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グランプリ・神戸2014

観戦記事

準決勝:覚前 輝也(大阪) vs. 三田 星平(鹿児島)

By 小山 和志

 みごと準々決勝を4人のプレイヤーが勝ち抜いた。が、彼らに休息の暇はない。フィーチャーマッチエリアの準備が整い次第、すぐに準決勝というさらに過酷な戦いが彼らを待っているのだ。

 だが、ここで対戦する三田 星平(鹿児島) と覚前 輝也(大阪)は比較的リラックスしているように見える。

 デッキリストが公開となったこの試合、2人はわからないカードについて和やかにお互い教えあい、覚前には笑顔すら見える。それでも、ここは準決勝という、グランプリの頂に限りなく近い場所。5分間のデッキ公開時間が終わると、両者の表情は一気に勝負師のそれへと変貌した。


覚前 輝也(写真左)と三田 星平(写真右)

ゲーム1

 青白赤テンポを手にする三田が先手。《流刑への道》しかないオープニングハンドを見て少考する。

 覚前は理想である《ゴブリンの先達》からスタート。このゴブリンがダメージを重ねれば重ねるほど、勝利への道がグッと近づく。続くターンには《大歓楽の幻霊》をキャストし、覚前の炎の柱が着々と三田を追い詰めていく。

 三田は《大歓楽の幻霊》に対応して《ゴブリンの先達》こそ除去するが、《大歓楽の幻霊》のアタックを受けての《ヴェンディリオン三人衆》は《灼熱の血》で除去されてさらに3点。《大歓楽の幻霊》の能力もあり、ライフは11まで落ち込んだ。

 なんとかダメージを食い止めたい三田だが、完全に袋小路に陥っている。残り2枚の覚前の手札から繰り出されるダメージはいかほどか、そして盤面を収めるために受けるダメージはいかほどか。三田は勝利への道筋を見つけるため、必死に解答を模索する。

 覚前のフルアタックに対して、まずは《流刑への道》で《大歓楽の幻霊》を除去し、これで9。なんとか「生ける《紅蓮光電の柱》」を除去し、懸命に止血を図る。が、覚前はさらなる《大歓楽の幻霊》を戦場へ送り出す。《差し戻し》して1枚引いてみるが、もはや三田のライフは危険水域の7だ。

 そして、覚前の手札から《頭蓋割り》が2枚打ち込まれると、三田は呪文のキャストすらもできないのだった。

覚前 1-0 三田

 後手の覚前が1本を先取した。レガシーですら頻繁に使われる《大歓楽の幻霊》の強さをまざまざと見せつけた。果たして、三田に起死回生の策はあるのだろうか。


青白赤テンポの三田

ゲーム2

 ふたたび三田が先手でスタート。そして、後手の覚前がふたたび《ゴブリンの先達》スタート。これに対し、三田は《沸騰する小湖》で《》からの《稲妻》という、ダメージを最小限に抑える最高の対応を見せる。

 さらに《溶岩の撃ち込み》は《否認》で打ち消し、三田は覚前の完全シャットアウトをもくろむが、《苛立たしい小悪魔》を《瞬唱の魔道士》からの《稲妻》で対応した際に、《ボロスの魔除け》でかわされてしまう。

 しかし、三田が返しにキャストしたのは《戦争と平和の剣》! これをクリーチャーが装備してしまえば、覚前にとって致命傷となってしまう。なんとか装備を防ぎたい覚前は《灼熱の血》で《瞬唱の魔道士》を除去する。

......が、三田の次なる策はライフとクリーチャーを一気に確保する《機を見た援軍》。このトークンが《戦争と平和の剣》を装備し、無敵クリーチャーが誕生してしまう。

 このトークンが攻撃し始めると、もはや勝負にならないほどにダメージレースがひっくり返る。何せ、三田には毎ターン追加ダメージとライフ回復がついてくるうえに、覚前は装備しているクリーチャーに触れることすらできないのだ。

 なんとか《頭蓋割り》でライフ回復を一度は防ぐが、それでも9残っている三田のライフを削るのには、時間もマナも足りないのだった。

覚前 1-1 三田

バーンを操る覚前

 どうやらもう一方の準決勝の勝者が決まったようだ。観衆からの拍手と、プレイヤーから漏れてくる感想戦の声がそれを2人に知らせる。だが、三田と覚前はそれを意にも介さずサイドボードの入れ替えに没頭する。両者にとって大事なのは決勝戦の相手ではなく、今この瞬間、この相手なのだ。お互い最後になるかもしれないゲームに向けて、最善のサイドボーディングを練る。

ゲーム3

 バーンの覚前が待望の先手。覚前がキープしたのに対し、三田はマリガンを選択。後悔の無いよう、最善の手札を探し求める。そして次なる6枚をキープした。

 覚前からみたびの《ゴブリンの先達》......はなく、《渋面の溶岩使い》が口火を切る。続いて《裂け目の稲妻》、《溶鉄の雨》が《否認》されたところで、もう1枚の《溶鉄の雨》が《神聖なる泉》を破壊し、順調にライフを削っていく。

 三田が《天界の列柱》をタップインすると、色マナが無いうちにと、《ボロスの魔除け》を打ち込み、三田のライフは早くも残り11だ。

 続く《渋面の溶岩使い》は、能力を三田へと使用した際に《電解》で撃ち落とされるが、すでに三田のライフは一桁まで減少しており、覚前のデッキからすればもはや射程圏内だと言っていいだろう。

 だが、三田も逆転のプランを手札に抱えていた。《瞬唱の魔道士》をプレイし、返しに《戦争と平和の剣》。これが《瞬唱の魔道士》に装備されてしまえば、先ほど同様、一気に試合をひっくり返すことができる。

 だが、魔道士が剣をその手にすることはなかった。

 ライフが8の三田に対し、覚前は手札から火力呪文を打ち込む。ターン終了時に《頭蓋囲い》を1枚、2枚。

 そして自らのターンに、

3枚目。
覚前 2-1 三田
覚前 輝也が決勝進出!
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