EVENT COVERAGE

グランプリ・神戸12

読み物

Round 14: 大塚 高太郎(東京) vs. 今川 浩匡(大阪)

By Jun'ya Takahashi  ゴールを目前にしたラストスパート。これまでの13回戦を11勝2敗以上で切り抜けたプレイヤーたちには、まだプレーオフへの参加権を争うチャンスがある。グランプリの開始時には1100人を超えるプレイヤーに平等に与えられていた権利も、Round 14を迎える今となっては一握りにしか残されていない。 Round 14  そこでこのRound 14では、『プレーオフ挑戦券』を未だに握りしめ続けている強者の戦いにスポットライトを当てた。負けたら手から零れ落ちてしまう権利。負けられない戦いがここにある。
Game 1
 旧知の仲で和やかな雰囲気が試合前には流れていたが、ダイスロールで先手を取った大塚がマリガンの判断をする際には、いつのまにやら張り詰めた緊張感がテーブルを包みこんでいた。すぐにキープを宣言した大塚とは対照的に、1分程だろうか、わずかな時間考え込んでいた今川は覚悟を決めてゲームを始める意思を伝えた。  《》と《》から《夜明け歩きの大鹿》と動く大塚を、今川は《無私の聖戦士》と《町民の結集》で迎え撃つ。  その後の2ターンはどちらも睨みあったまま動かない平和なターンが過ぎたが、《平地》3枚で困った表情を浮かべていた今川に待望の《》がもたらされたことでゲームが動き始めた。まずは《修道院のグリフィン》で大塚の動きを見計らう。  回避能力持ちは対処しようと、大塚は《狂気の残骸》で打ち落とした。まだまだ形勢を傾かせるわけにはいかない。  それを見て今川は、本命の《ソンバーワルドのドライアド》を繰り出した。飛行以上の回避能力である森渡りを持った《ソンバーワルドのドライアド》は、緑赤のデッキをプレイする大塚にとってはブロック不能のクリーチャーと同義である。  手早い対処を求められる大塚は《願い事》で《狂気の残骸》と、エンド時に生け贄に捧げていた《夜明け歩きの大鹿》を回収し、1ターン遅れのドライアド狩りに挑む。    だが、続くターンに更なる問題が大塚に降りかかる。除去しようとしていた《ソンバーワルドのドライアド》の他に、今川の場には《夜明けのレインジャー》までもが登場してしまったのだ。  現状は今川の場には赤マナはないが、入っているであろう《》を引かれてしまうと変身した《夜明けのレインジャー》1枚で完封されかねない。だが、《ソンバーワルドのドライアド》のクロックも馬鹿にはできない。  片方を倒すと必ず裏目が生まれてしまうのだ。  板ばさみの選択肢を迫られた大塚は、とりあえずの保留の選択として自身のクリーチャーを展開する。少しでも選択を遅らせることでゲーム展開に合わせた状況判断ができるだろう。そう信じた大塚は《狂気の残骸》を抱え込んで好機を待つ。  しかし、その安全策と思われた保留という選択肢は、大塚にとって最悪の選択肢に変わってしまった。今川が引いてきたクリーチャーは2枚目の《ソンバーワルドのドライアド》だったのだ。選択肢も何も、単純に除去対象が増えて状況が悪化した大塚にとって残された時間は少ない。  せめてダメージレースを挑もう。《残忍な峰狼》と《黴墓の大怪物》で逆転を狙う大塚だったが、今川が握りしめていたのは最高のカウンターパンチである《大物潰し》で、大振りが更なる隙を生みだしてしまう。  返しのターンに全てのクリーチャーをレッドゾーンに送り込んだ今川は、《無私の聖戦士》の能力を起動した後に《勇壮の時》を打ちこむことで速やかにゲームを終わらせた。 大塚 0-1 今川
Game 2
大塚 高太郎
大塚 高太郎
 再び先手を取った大塚は、《夜明け歩きの大鹿》と《軽蔑された村人》でマナベースを整えることからゲームを構築し始めた。  対する今川も《ガツタフの羊飼い》と《錯乱したのけ者》を繰り出して、白緑らしい軽量クリーチャーによる戦線を構築するが、土地が2枚で止まってしまう。  大塚は《クルーインの無法者》と《苛まれし最下層民》を追加して今川の弱みを見逃さない。  ギリギリのタイミングで《平地》を引きこんだ今川は、《上座の聖戦士》と《修道院のグリフィン》で攻勢を維持しようとする。  ところが、ここで大塚が6枚目の土地にたどり着き、《血の抗争》で一気に盤面の優位をもぎ取りにかかる。《上座の聖戦士》と《錯乱したのけ者》によるシナジーを狙っていた今川は、《修道院のグリフィン》と《錯乱したのけ者》を失ったことで一気に窮地に追いやられてしまった。  それでも攻撃を続けて勝機を探す今川は《蜘蛛の掌握》を駆使して突破口を見つけるも、続くターンに大塚が打ちこんだ《地獄の口の中》がその穴をすぐに塞いでしまう。  おまけに《黴墓の大怪物》まで出てきてしまえばダメージレースもままならない。今川は《果樹園の霊魂》と《ソンバーワルドのドライアド》でワンチャンスを狙うも、8点残された大塚のライフを削るためには時間が足りなかった。 大塚 1-1 今川
Game 3
今川 浩匡
今川 浩匡
 白熱したGame 2を経て、お互いに気合いがこもったGame 3。Game 2以上のゲームが期待される中、お互いの負けられない気持ちは思わぬ形の結末を迎えてしまった。  よくあると言えばよくあることなのだが、マナトラブルである。《夜明け歩きの大鹿》と土地6枚の手札をマリガンした大塚は、《》3枚と緑のカードで構成された6枚の初手でゲームを始めたが、ゲーム終了時まで《》に出会うことがなかったのだった。  大塚のデッキはGame 2で紹介したように重量級のキーカードで一発逆転を狙う大振りなデッキである。そして、それらの重量カードをプレイするためにはマナが必要となる。つまり過剰なマリガンによってリソースを減らしてしまうことは、それらをプレイする機会を失わせることにもつながってしまうのだ。  戦略的にダブルマリガンを行えない大塚には選択肢は残されていなかった。  《教区の勇者》と《暗茂みの狼》による今川の軽快なクロックに対して、大塚は5枚の《》を目の前にしながら1枚の呪文も唱えられずに敗北することとなった。 大塚 1-2 今川 大塚 「さすがに土地6枚呪文1枚の手札はマリガンしなきゃならないよな。あと1枚だけ、何でもいいから呪文があれば土地5枚でもキープしたのに。」  申し訳なさそうに今川が立ち去った後、「フィーチャーマッチ勝てないんだけどー。」と呟きながら大塚がぽつりぽつりとゲームを振りかえった。 大塚 「ゲーム1でも《》を引かれる確率とライフレースを考えれば、踏み切って《狂気の残骸》で《ソンバーワルドのドライアド》を除去するべきだったかもしれないね。でもな・・・」  ゲームの性質の一つとはいえ、呆気なさすぎるサドンデス。やり切れない思いだけがテーブルに一つ残った。
  • この記事をシェアする