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Feature: プロツアー・名古屋予選通過者の視点
By Tomohiro Kaji
今回のグランプリの種目はエクステンデッドと、普段慣れ親しんでいるスタンダードよりも広いカードプールを持ったフォーマットだ。
これは6月に開催される
プロツアー・名古屋の予選フォーマットに採用されていたものだが、ご存知でない方もいらっしゃるかもしれないので説明すると、グランプリには上位16名には賞金やプロポイントに加え、プロツアーの参加権利も与えられるという特典がある。
もちろんこのグランプリ・神戸にも、国内プロツアーの参加権が懸かっている。
そして、この2010年の12月に行われた世界選手権に続く約半年ぶりの国内プレミアイベントは、予定されていた日から
地震の影響で約1ヶ月ほど延期されるという特別なイベントになってしまった。
だが、逆に本来見ることができない一面が見られるとも捉え、名古屋へ向けてのプレイヤー紹介も兼ねて、これまでの予選でプロツアー・名古屋の参加権を獲得した19名に、簡単なアンケートをお願いしてみた。
試合の合間の限られた時間の中で取材に協力してくれたみなさん、ありがとうございました。
質問は主に、プロツアー予選と今回のグランプリの使用デッキとその違いについて、グランプリが延期したことによる環境の変化やデッキ選択への影響についてお答えいただいた。
その問いの意図は、延期の1ヶ月が環境にどんな変化を与えたのか、ということを知ることにある。19人からは実に多様な回答が返ってきた。
データから言えるのは、予選突破時のデッキには「青白石鍛冶」が特に多いアーキタイプだったということだろう。

簡単に言えばスタンダードの「Caw-Blade」のアッパーバージョン、《》を軸に《》と《》を活用する構築がなされており、いわゆるコントロール好きなプレイヤーがこぞってこのアーキタイプを選択したいたのだと思われる。
そして実際、環境の変化についても《》と《》のことがたくさん書かれていた。
ミラディン包囲戦の参入直後、スタンダードではあったがプロツアー・パリの結果も踏まえて、この2枚のカードがとても強いカードであることは明らかだった。
そして、これらのカードをどう活用するか、またどう対策するのか、どれくらいの強さなのかという次元の議論が、元のスケジュールのグランプリでは行われるはずだったように考えられていた。
しかし、そのズレた一月の間にグランプリをスキップして開催されたプロツアー予選により、環境とメタゲームの研究がさらに進んでしまったというのが通過者達の共通認識だったようだ。
勝つのは強いデッキだが、その強さというのは環境に依存していることを忘れてはならない。
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中村 篤史 | 佐藤 慎也 |
当サイト連載『高橋優太の「このフォーマットを極めろ!」』の
第14回:グランプリ・神戸 直前特集~白単タッチ青、フェアリー、ヴァラクート」で紹介されている3つのアーキタイプが青白フェアリーに続く人気になっていることにも注目だろう。
延期の一ヶ月で変わったことについてマジック以外の回答で興味深かったのが、3月の卒業式シーズンで参加できなかったプレイヤーが逆にこのグランプリに参加できるようになったプレイヤーがいたこと。
プロツアー予選を通過したために、グランプリに参加してみようと思ったプレイヤー、逆に、就職したことで練習する時間を取るのが難しくなった人など、この他にも年度が切り替わることから影響を受けたプレイヤーがいたのだろう。
変化は至る所に見つけられ、そして影響しあっている。
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佐藤 謙弐 | 村上 和弥 |
詳細なデッキ分布や、考察は別コラムで紹介したいと思うので、最後に、このアンケートを不戦勝の間に提出してくれた藤本太一の非常に鋭いコメントで考察を締めくくりたいと思う。
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藤本 太一 | |
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藤本 「《》と《》が強い環境から、再び赤緑ヴァラクート、フェアリーが強い環境に戻ったように思います。そして、今回のグランプリは、この2つに回答を用意できたデッキが勝つのではないでしょうか。」
初日終了時点で、藤本は9-0という成績だ。
プレイヤーは初日の711名から88名へと絞られ、グランプリ・神戸、2日目が始まった!
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