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グランプリ・北九州2013

観戦記事

第6回戦:渡辺 雄也 (神奈川) vs. 塩出 聡(和歌山)

By Tetsuya Yabuki

渡辺 雄也(緑黒コントロール) vs. 塩出 聡(ジャンド)

「胸を借りるつもりで」と、はにかむように笑顔を見せたのは塩出 聡。今回が2回目のグランプリ参加というこのフレッシュなプレイヤーは、フィーチャー・マッチで超一流の対戦相手を迎え、緊張した様子だ。その相手である渡辺 雄也は、落ち着いた所作でシャッフルを行う。両者はいくつか言葉を交わしながら、穏やかな雰囲気で試合の準備を進めていた。

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 両者とも意識していたデッキはやはりビートダウンだった。渡辺は「ビートに強い緑黒コントロール」を選択した。一方ジャンドを操る塩出は、「とりわけキープ基準には気をつけていた」と言う。この試合でも、シャッフルから初手の決定までに、「もしビートだったら」という逡巡があったことだろう。初手の吟味もまた、ゲームを作る大切な要素なのだ。

試合

 両者とも1枚ずつ手札を確認し、ひと呼吸置いてキープを宣言。

 最初の数ターンでお互いにビートダウンでないことがわかると、ゲームの序盤はゆっくりと進んだ。初動は渡辺の《冒涜の悪魔》で、塩出は《高原の狩りの達人》で返した。渡辺は続けて《スラーグ牙》プレイ。塩出も《原初の狩人、ガラク》を繰り出し、盤面を固める。

 その返しのターン、渡辺が動く。渡辺の攻撃から《原初の狩人、ガラク》を守ろうと、塩出は《冒涜の悪魔》に狼トークンを生け贄に捧げる。すると渡辺は塩出の戦場に残った2体のクリーチャーにそれぞれ除去を当てて、《スラーグ牙》の攻撃を通した。この攻撃で《原初の狩人、ガラク》は墓地へ送られた。

 《ラクドスの復活》で渡辺の残りの手札を落とす塩出だが、盤面に残る12点ものクロックを捌くことができない。

「次いきましょう」塩出が申し出た。

渡辺 1-0 塩出


塩出 聡

 2ゲーム目は、塩出が初手の7枚を目にするなりマリガンを宣言。入念なシャッフルの後の6枚にも苦い表情を見せる。しばらく考えた後にその6枚をキープした塩出は、《強迫》からゲームをスタートした。

 公開された渡辺の手札は土地5枚と《ヴェールのリリアナ》、《地下世界の人脈》。塩出は《ヴェールのリリアナ》を取り去った。

 3ターン目に塩出が《地下世界の人脈》を貼ると、渡辺は《生命散らしのゾンビ》で塩出の手札を明かした。《ゴルガリの魔除け》、《ラクドスの復活》、《吸血鬼の夜鷲》の3枚だ。

 塩出は返しのターンに引き込んだ《強迫》で再び渡辺の手札を攻め、今度は《地下世界の人脈》を落とした。しかし、渡辺の戦場に《ボーラスの信奉者》が送り込まれ、《生命散らしのゾンビ》を生け贄に捧げると手札の差は埋め合わされた。

 その一方で《地下世界の人脈》を起動してドローを増やす塩出だが、なかなか有効牌を引けず、渡辺の攻撃と合わせてライフがじわじわと削られていく。


渡辺 雄也

 塩出のライフがひと桁に入ったそのとき、渡辺の戦場に《悪魔の顕現》が着地し、5/5のデーモンを生み出した。《悪魔の顕現》は《ゴルガリの魔除け》で対処するものの、塩出のライフ9点では《変わり谷》を含めた渡辺の攻め手で足りてしまう。塩出は《戦慄掘り》でデーモン・トークンを除去するが、渡辺の盤面には《冒涜の悪魔》が続いた。塩出のライフは残り5点。

 《吸血鬼の夜鷲》を繰り出し、なんとか盤面を持たせたい塩出。渡辺は《生命散らしのゾンビ》で塩出の手札を確認すると、ダメージを計算し、《変わり谷》を含めて攻撃。塩出のライフは3まで落ち込んだ。祈るように《地下世界の人脈》を起動する塩出だが、返しの攻撃を乗り切る手立てはなかった。

渡辺 2-0 塩出

 試合後、このマッチアップについて「メインはジャンド有利、サイド後は緑黒」という意見で一致した両者。またいくつか穏やかに言葉を交わし、渡辺が先にフィーチャー・エリアを立つと、塩出は試合に注目していた仲間と意見を交換し合い、「緊張したけど、これも良い思い出」と笑顔でフィーチャー・エリアを去っていくのだった。

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