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グランプリ・香港2017
瀧村 和幸の1stドラフトピック ~えっ、何が起こったの?~
By Atsushi Ito
グランプリも2日目に入り、『イクサラン』のブースタードラフト6回戦に突入。
ここでは8勝1敗ラインで2番ポッドに位置づけたBIG MAGIC所属のゴールドレベルプロ、リミテッドにおいてかなり独創的なデッキを組み上げることの多い瀧村 和幸のピックをお届けしよう。
同じくゴールドレベルプロのHareruya Pros・熊谷 陸やプロツアー京都2009でのトップ8経験を持つ棚橋 雅康も同卓しており、レベルの高いドラフトとなりそうだ。
1パック目
1-1: 《キンジャーリの陽光翼》
他候補:《危険な航海》《風と共に》《司教の兵士》《輝くエアロサウルス》
初手は文句なしの爆弾レア。3マナ2/3飛行と一見地味なサイズに見えて、3ターン目に出るとそのままゲームが崩壊しかねないほどのポテンシャルを持っている。
ただピック自体に迷いが入る余地こそないものの、同じパックで白の強力なコモンが2枚出てしまっており、卓内で白をやる人数が増えてしまいそうなところが唯一の気がかりか。
1-2: 《司教の兵士》
他候補:《ティロナーリの騎士》《マーフォークの枝渡り》《水罠織り》《猛竜の群れ》《プテロドンの騎士》
のちに「少し丸く行きすぎたかも、結果論だけど」と語った2手目。最高形は《ティロナーリの騎士》からの白赤恐竜にスムーズに行けるパターンだが、「まだこの時点ではヴァンプ(吸血鬼)の目もあるし、白の人数を絞りたかった」とのこと。ここでは、1パック目の白2枚残りが判断材料となっている。
ブースタードラフトにおいて、ピックの判断材料はそのパックのカードだけではない。前の手順で流した強力なカードと同じ色のカードを続けて流せば、下家方向のプレイヤーに「同じ色のカードが続けて流れてきた」という「ストーリー」を与えてしまうことにつながる。
だから「白の人数を絞りたかった」というのは、より具体的に言えば、流した1手目のパックと合わせて白ピックの「ストーリー」を持つプレイヤーが増えるのをあらかじめ防止したかった、ということだろう。
1-3: 《ティロナーリの騎士》
他候補:《セイレーンの嵐鎮め》《巨大な戦慄大口》《卑怯な行為》《見習い形成師》
他候補もそこまで魅力的ではなく、ここから1手遅れで赤への参入を志す。
1-4: 《プテロドンの騎士》
1-5: 《猛竜の幼生》
1-6: 《ティロナーリの騎士》
1-7: 《恐竜暴走》
すると、この怒涛の流れ。特に5手目と6手目は赤への参入を明確に肯定するものであり、ドラフトの成功を予感させる。
1-8: 《襲撃》
1-9: 《結集する咆哮》
1-10: 《猛竜の群れ》(!)
さらに10手目、なんと《猛竜の群れ》が1周!
この時点で、『イクサラン』ドラフトで白に次いで強力な色と目されている赤を卓人数が少ない状態で押さえることに成功したと言っていいだろう。
1-11: 《乗っ取り》
1-12: 《棘尾ケラトプス》
1-13: 《恐竜との融和》
1-14: 《苛立ち》
他方で白は後半から流れが途切れたため、《ティロナーリの騎士》を生かせる緑への2色目のスイッチを視野に入れて1パック目を終える。
2パック目
2-1: 《薄暮の賛美者》
諸手を挙げて歓迎するというほとではないものの、まだ埋まっていない5マナ域を埋めるカードとしては悪くないといったところ。
2-2: 《稲妻の一撃》
これは僥倖。環境最強クラスの除去かつ本体火力として、アグレッシブなデッキに合っている。
2-3: 《空の恐怖》
2-4: 《防護の光》
2-5: 《司教の兵士》
2-6: 《風雲艦隊の紅蓮術士》
他候補:《焦熱の連続砲撃》
のちに「ここは悩みどころだった」と語った部分。
瀧村「《焦熱の連続砲撃》は打たれたら絶対負けちゃうんで、カットした方が良かったかも。かなり怖い」
2-7: 《吸血鬼の士気》
2-8: 《ティロナーリの騎士》
ここでも8手目で《ティロナーリの騎士》が回ってくるのは赤の卓人数の少なさを窺わせる。
2-9: 《貪欲な短剣歯》
2-10: 《啓蒙》
2-11: 《貪欲な短剣歯》
2-12: 《かき回すゴブリン》
2-13: 《若返りの儀式》
2-14: 《かき回すゴブリン》
2パック目までを終えて《司教の兵士》が2枚に《ティロナーリの騎士》が3枚、さらに《空の恐怖》《猛竜の幼生》と、2マナ域が超充実した布陣となっている。
他方で《ティロナーリの騎士》を強化するための恐竜カウントは4枚といささか心許ない。トップコモンである《縄張り持ちの槌頭》はもちろん、《猛竜の相棒》《巣荒らし》《激情の猛竜》といった安い恐竜でも見かけたら積極的に拾っていきたいところだ。
3パック目
3-1: 《火炎砲発射》
他候補:《司教の兵士》
ダブルシンボルとはいえ、ほぼサイズに関係なく除去できるカードはありがたい。
3-2: 《猛竜の群れ》
他候補:《ティロナーリの騎士》
1パック目なら《ティロナーリの騎士》からピックするところだが、恐竜カウントの関係で《猛竜の群れ》を優先する。
3-3: 《弱者成敗》
3-4: 《吠えるイージサウルス》
3-5: 《オテペクの猟匠》
3-6: 《軍団の裁き》
だが、ここに来て1~2パック目までの流れが嘘のように、突如として赤の流れが消失する。それどころか、白の安いコモンすら流れてこないのだ。
恐竜カウントはまだ心許ない。瀧村がカードを繰る手も、どことなく忙しなく見える。
3-7: 《輝くエアロサウルス》
とここで、ようやく待望の恐竜が確保できたことで安堵した様子。
3-8: 《向こう見ず》
3-9: 《オテペクの猟匠》
3-10: 《軍団の征服者》
3-11: 《未知の岸》
3-12: 《キンジャーリの呼び手》
3-13: 《好戦的なブロントドン》
3-14: 《若返りの儀式》
だがその後は鳴かず飛ばずで、2パック目までの流れから期待された完成形からは程遠い、「まあまあ」か「少し強い」くらいのデッキに落ち着くこととなった。
瀧村「えっ、何が起こったの?って感じだったよね、3パック目」
2つ上のプレイヤーは白黒、上家は青単気味の青黒。にもかかわらず3パック目でろくなカードが流れてこなかったということは、上家にカットされたか、単純に赤いカードが出なかったか。
いずれにせよ途中までは瀧村が独創性を発揮する余地のほとんどない順風満帆なピックだっただけに、多少なりとも不運だったとしか言いようがない。
瀧村「2-1したいねー」
14回戦まで2敗で耐え抜くことができれば、最終ラウンドはID(意図的な引き分け)を選択できる可能性も出てくる。
まずは1stドラフト3回戦、瀧村の奮闘に期待しよう。
8 《山》 8 《平地》 -土地(16)- 3 《ティロナーリの騎士》 2 《司教の兵士》 2 《オテペクの猟匠》 1 《猛竜の幼生》 1 《空の恐怖》 1 《キンジャーリの陽光翼》 1 《かき回すゴブリン》 2 《猛竜の群れ》 1 《プテロドンの騎士》 1 《薄暮の賛美者》 1 《輝くエアロサウルス》 1 《風雲艦隊の紅蓮術士》 1 《吠えるイージサウルス》 -クリーチャー(18)- |
1 《防護の光》 1 《吸血鬼の士気》 1 《稲妻の一撃》 1 《恐竜暴走》 1 《火炎砲発射》 1 《結集する咆哮》 -呪文(6)- |
1 《未知の岸》 1 《恐竜との融和》 1 《啓蒙》 1 《キンジャーリの呼び手》 1 《苛立ち》 1 《襲撃》 1 《向こう見ず》 2 《貪欲な短剣歯》 2 《若返りの儀式》 1 《乗っ取り》 1 《軍団の征服者》 1 《軍団の裁き》 1 《かき回すゴブリン》 1 《弱者成敗》 1 《棘尾ケラトプス》 1 《好戦的なブロントドン》 -サイドボード(18)- |
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