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グランプリ・千葉2018
1stドラフト:八十岡 翔太のピックを追う!~2パック目の悲劇を越えて~
グランプリ2日目。ここからはいよいよトップ8をかけた熾烈なブースタードラフト・ラウンド6回戦が開幕となる。
ここでは1敗ラインのプレイヤーがひしめく2番ポッドより、プラチナレベルプロにして殿堂顕彰者・八十岡 翔太のピックをお届けしよう。
上上家には同じく殿堂の中村 修平が、上家には昨日の最終戦で瀧村 和幸に惜しくも敗れて全勝を逃した新開 泰弘が座る。
かつて「リミテッドにはマジックの基礎が詰まっている」と述べたこともある八十岡は、そのマジックの原型が詰まった基本セットにおいて、一体どのようなドラフティングを見せてくれるのだろうか。
1パック目
- 1-1 《狂気の一咬み》(他候補: 《信仰の伝令》《リリアナの契約》)
- 1-2 《吸血鬼の君主》
- 1-3 《ケンタウルスの狩猟者》(他候補: 《奇怪なドレイク》)
- 1-4 《僧帽地帯のドルイド》(他候補: 《角のドルイド》)
- 1-5 《死の円舞曲》(他候補: 《野生林の鉤爪》《森林の地溝》)
- 1-6 《ギラプールの案内人》
- 1-7 《不吉な死霊》
- 1-8 《緑林の歩哨》
- 1-9 《鼓舞する突撃》(他候補: 《森林地の小川》)
- 1-10 《死の円舞曲》
- 1-11 《ドラゴンの卵》
- 1-12 《雇われ刺客》
- 1-13 《根の罠》
- 1-14 《溶解》
- 1-15 《沼》
ターニングポイントは、開封パックにいきなり訪れた。
緑のトップコモンである《狂気の一咬み》は、卓内の許容人数が少ない代わりに突き抜けたデッキを組み上げやすい緑に最も参入しやすいカード。それに対し《信仰の伝令》はこちらも強力な白のアンコモンだが、コモンが粒揃いの白は最も混みやすい色でもある。
決断を迫られた八十岡は、この先自分が緑のカードを絞ることができれば他のプレイヤーにとって参入のチャンスが少なくなり独占のうまみが狙えるだろうということで、《狂気の一咬み》をピックする。
2手目は黒の初手級アンコモン、《吸血鬼の君主》。そこから《ケンタウルスの狩猟者》《僧帽地帯のドルイド》と緑のカードをピックし、流れは悪くない。7手目に《不吉な死霊》も拾えたことで、黒も比較的空いていることがわかる。
そのまま黒緑を本線として1パック目が終了。下家は《信仰の伝令》で白、下下家は《奇怪なドレイク》からの青赤と予想され、緑に参入できそうなカードも流していないことを考えると住み分けもきっちりなされており、2パック目での逆回りのピックに期待が持てる好スタートとなった。
2パック目
- 2-1 《輝かしい天使》(他候補: 《緑林の歩哨》)
- 2-2 《流血の空渡り》(他候補: 《悔恨する僧侶》)
- 2-3 《悪運尽きた造反者》(他候補: 《角のドルイド》《組み直しの骸骨》)
- 2-4 《精神腐敗》(他候補: 《感電》)
- 2-5 《墓場からの復活》
- 2-6 《血の美食家》(他候補: 《ギガントサウルス》)
- 2-7 《剛力化》(他候補: 《戦墓のグール》)
- 2-8 《血の美食家》
- 2-9 《血の美食家》
- 2-10 《野生林の鉤爪》
- 2-11 《ロウクスの神託者》
- 2-12 《強迫》
- 2-13 《君主の一噛み》
- 2-14 《ロウクスの神託者》
- 2-15 《冥府の傷跡》
だが2パック目、八十岡の予想を覆す事態が進行する。
まず開封パックから登場したのは白のボムカード、《輝かしい天使》。しかも同じパックの中に黒と緑でプレイアブルなカードは《緑林の歩哨》ただ1枚のみ。さすがにこれは流せないということで、初手からカットを強いられる。
さらに2手目こそ《流血の空渡り》が取れたものの、そこから黒と緑のまともなカードは一切流れてこない。あまりに何もないので、4手目という早さでメインにはほぼ入らないであろう《精神腐敗》をピックしだす始末。
八十岡もさすがにポーカーフェイスは崩さないものの、流れてくるカードを見るたび思わず「どういうことだよ!」と叫びだしたくなっているように見えた。
ともあれ8人の中で八十岡ただ1人だけカードを実質1~2枚しかピックしなかった2パック目が終了すると、八十岡のプレイアブルカードはどう見積もっても13枚あるかないかというところ。つまりここから10枚はカードを補充しなければならない。
そんな状況で、いよいよ八十岡は運命をかけた3パック目に突入する。
3パック目
- 3-1 《ヴァレロンの有印剣》
- 3-2 《蔦草牝馬》(他候補: 《流血の空渡り》《死が触れぬ者、リリアナ》)
- 3-3 《狂気の一咬み》
- 3-4 《蔦草牝馬》
- 3-5 《用心深いベイロス》
- 3-6 《グレイブディガー》
- 3-7 《霊気トンネル》(他候補: 《雇われ刺客》)
- 3-8 《剛力化》
- 3-9 《緑林の歩哨》
- 3-10 《剛力化》
- 3-11 《死の円舞曲》
- 3-12 《帰化》
- 3-13 《ロウクスの神託者》
- 3-14 《アジャニの歓迎》
- 3-15 《島》
だが八十岡、一転して僥倖。
初手で色が何であろうと関係ない爆弾レア《ヴァレロンの有印剣》を引き当てると、《蔦草牝馬》《狂気の一咬み》《蔦草牝馬》と初手級ピックを連打。6手目までのピックの大半を、アンコモン以上のカードで埋めることに成功したのだ。
1パック目段階で流れが悪くなかったという伏線が上振れで噴いた形。プレイアブルカードも (1枚程度足りていないが) 確保することに成功し、どうにかまともなデッキに仕上げたのだった。
八十岡「あんだけ緑絞ったのに2パック目の流れおかしいでしょ!俺の知ってるドラフトじゃなかった(笑)」
結論から言うと下家と下下家は予想通り白と青赤をやっており、2パック目の流れはただ黒と緑のカードが出なかっただけ、つまり単なる不運なのだが、それもドラフトというゲームの中では当然起こりうる事象ではある。
むしろ、そうした事態に見舞われながらも卓の色人数とポジションから色変えは不要と見切り、黒緑のままきっちりと戦えるデッキを組み上げた八十岡のバランス感覚をこそ、ここは称えるべきだろう。
八十岡「3色目をタッチする気なかったから特殊地形(土地)全部流してたけど、《蔦草牝馬》2枚と《霊気トンネル》が取れたから、《森林地の小川》は拾っておいた方が良かったなー」
3パック目の中盤で突如挟まった青いピック、《霊気トンネル》は2枚拾えた《蔦草牝馬》に対応してのものだった。終盤になって訪れたデッキ構成の変化にも冷静に対応できている。
八十岡「まあ2-1だね」
下家はどの色をやっているか。自分のやる色は卓で空いているか。上家と喧嘩していないか。
基本をきっちりと押さえたドラフトピックで、八十岡はトップ8進出を目指す。
9 《森》 8 《沼》 -土地(17)- 2 《緑林の歩哨》 1 《悪運尽きた造反者》 1 《僧帽地帯のドルイド》 1 《ケンタウルスの狩猟者》 1 《ギラプールの案内人》 1 《雇われ刺客》 1 《流血の空渡り》 2 《蔦草牝馬》 1 《不吉な死霊》 1 《グレイブディガー》 1 《ロウクスの神託者》 1 《吸血鬼の君主》 1 《用心深いベイロス》 -クリーチャー(15)- |
3 《剛力化》 2 《狂気の一咬み》 1 《死の円舞曲》 1 《野生林の鉤爪》 1 《ヴァレロンの有印剣》 -呪文(8)- |
1 《島》 1 《沼》 1 《アジャニの歓迎》 1 《強迫》 1 《溶解》 2 《死の円舞曲》 1 《霊気トンネル》 1 《冥府の傷跡》 1 《帰化》 1 《根の罠》 1 《君主の一噛み》 1 《ドラゴンの卵》 1 《精神腐敗》 1 《輝かしい天使》 1 《鼓舞する突撃》 3 《血の美食家》 2 《ロウクスの神託者》 1 《墓場からの復活》 -サイドボード(22)- |
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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