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グランプリ・千葉2016
第4回戦:中野 彰教(神奈川) vs. 高橋 優太(東京)
By Sugiki, Takafumi
3,500人以上の参加者を集め、もはや伝説とも言える『モダンマスターズ 2015年版』発売記念グランプリが開催されたこの千葉の地に、再びグランプリが帰ってきた!
この第4回戦からは、ゴールド、プラチナレベルのプロプレイヤーも不戦勝が明け、全てのプレイヤーがテーブルに着くこととなる。そうなれば、プラチナ・プロを呼ばないわけにはいかないであろう。「レガシー」、「プラチナ・プロ」、そうなれば、うってつけのプレイヤーがいる。
Hareruya Pros 高橋 優太 |
日本で行われた前回のレガシーグランプリである、グランプリ・京都2015で戴冠した彼は、プロツアー『異界月』でのトップ8などの活躍により、今シーズンはプラチナ・レベルプロとしてのシーズンを送っている。先月から今月にかけては、クアラルンプール、ワルシャワ、ロッテルダムと転戦するもクアラルンプールでのベスト8入り以外は初日敗退となっており、このあたりでもう一つ結果を残したいところだ。
対する中野は普段から高橋が勤務する晴れる屋のトーナメントに出場しており、2人は顔見知りであるとのことだ。黒単を愛用する中野に対峙し、高橋は「いつもの色かな」とつぶやくと、中野は無言のまま微笑み返し、シャッフルを続ける。しかし、中野の柔和な表情の奥には、プラチナ・レベルプロの高橋に一発入れたいという強い意志も感じさせる。果たして、その中野の意志は現実のものとなるのであろうか?
中野 彰教 vs. 高橋 優太 |
ゲーム1
先攻をとった高橋は、静かに《汚染された三角州》、《溢れかえる岸辺》と土地を並べる立ち上がり。グランプリ・京都2015と同様に《師範の占い独楽》、《相殺》を軸にした青白タッチ赤奇跡デッキを使用しているようだ。対する中野は、《沼》をプレイと高橋が予想したとおりのカラーリングのデッキを使用しており、高橋は「やっぱり」と独り言。
高橋の使う奇跡は、何と言っても4マナまで土地を並べられるかが、ゲームを左右する大きなファクターとなる。中野の《納墓》を《対抗呪文》し、《思考囲い》で《意志の力》を抜かれるも、きちんと4ターン目に4マナから《精神を刻む者、ジェイス》をプレイ。ぐっと勝利を引き寄せる。
対する中野は、先述の《納墓》、《思考囲い》以外、目立った動きをしないまま、《精神を刻む者、ジェイス》が高橋の手札を2回《渦まく知識》したところで、投了を宣言した。
中野 0-1 高橋
中野はサイドボーディングで、《金属モックス》を《真髄の針》に入れ替える。一方の高橋も、《真髄の針》を割ることなどを目的とした《摩耗 // 損耗》をサイドボーディングする。
ゲーム2
中野は《真髄の針》で《師範の占い独楽》を指定、そして2ターン目には《水蓮の花びら》から驚くべきクリーチャーを展開する。それは、《意志の大魔術師》。
レガシーでは禁止されている《ヨーグモスの意志》が内蔵された大魔術師サイクルのカード。高橋は「珍しいカード入ってるね。うんうん。」と自分に言い聞かせながら、ここからの中野の展開に想いを巡らせる。今月に発売されたばかりの『統率者(2016年版)』にて初めて収録されたカード。能力的にもこのカードが中野のデッキの軸であることは間違い無く、対処を一つ間違えれば死が待っていることは容易に想像がつく。とはいっても、高橋が出来るのは、《思案》で手札を整えながら中野の仕掛けを待つのみだ。
中野 彰教 |
中野は1回の《意志の大魔術師》での攻撃を挟んだ後、《暗黒の儀式》から仕掛ける。高橋の手札には《対抗呪文》と《意志の力》があり、打ち消せる呪文は2つ。高橋はこの《暗黒の儀式》を通す。中野は続けて《冥府の教示者》で《ライオンの瞳のダイアモンド》を手札に加える。そして2つ目の《冥府の教示者》をプレイしたところで、高橋は《対抗呪文》を《冥府の教示者》にプレイしながら顔を渋らせる。中野が《ライオンの瞳のダイアモンド》、《ライオンの瞳のダイアモンド》とプレイし、《意志の大魔術師》の能力を起動したところで、打ち消すべきカードが2枚以上ある中野の墓地を見つめながら、高橋はカードを片付けはじめた。
中野 1-1 高橋
サイドボード中に、高橋は「カウンターの順、間違ったなぁ。」とぼやく。対する中野も「マッチ終わったら教えてください。」とそれに応える。ゲーム中にも、マジックに対する飽くなき探究心と向上心を見せる2人。高橋の手札を見ながらこの記事を書いている私に対して、高橋が「今の勝ってましたよねぇ」と話しかけてきた時には、正直、対応に困ったが、これも高橋のミスを改善しようとする強い意志が自然と現れた結果だ。
ゲーム3
高橋は《師範の占い独楽》の後、《墓掘りの檻》をプレイし、中野の墓地活用戦略を阻害するが、中野がプレイしたのは《苦花》。これに対して高橋は「多種多様な攻め手を......」とつぶやく。高橋は《思案》で《摩耗 // 損耗》を探し当て《苦花》を対処することに成功するが、中野の次の仕掛けがどこから飛んでくるのかが全く分からない。
中野が次に繰り出したのは《暗黒の儀式》からの《最後の望み、リリアナ》。
奥義まで到達すれば中野が俄然有利になるため、高橋はライブラリーから《造物の学者、ヴェンセール》を掘り当てる作業を開始する。《師範の占い独楽》2枚とフェッチランドを駆使しながら、まずは《精神を刻む者、ジェイス》を探し出し、さらには《外科的摘出》で自らの《溢れかえる岸辺》をライブラリーから抜き圧縮するという、涙ぐましい努力までするも、《最後の望み、リリアナ》は奥義に到達。勝ち目が無いと悟った高橋は、ライフをほとんど残したまま投了を宣言した。
中野 2-1 高橋
高橋は、再度私に「2ゲーム目、勝ってましたよねぇ。カウンター打つ先間違えてますよね。」と尋ね、「カウンターするなら《暗黒の儀式》でしょ?」と答えると「そうそう......」とつぶやく。
中野が今回のレガシーグランプリのために新たに用意してきた黒単のキーパーツ《意志の大魔術師》が、百戦錬磨の高橋に読み違いを生じさせ、結果、中野に金星をもたらした。
「《意志の大魔術師》も十分禁止カードの強さだよ。でもミスったんだから自分が悪い。」
自身のミスによって敗者となったことを真摯に認め、二度と同じ過ちはしないという力強い意志を見せる高橋。フィーチャーテーブルからの去り際にポツリと自身に言い聞かせるように一言。
「這い上がる」
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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