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グランプリ・北京2017
インタビュー:山本 賢太郎が語る、Musashiの面々―チームシリーズ優勝を目指して―
By Kazuki Watanabe
プロツアー『霊気紛争』から開始された、プロツアー・チームシリーズ。
現在、ランキングトップタイを走る日本人6名のチームをご存知だろうか?
山本 賢太郎、渡辺 雄也、行弘 賢、市川 ユウキ、覚前 輝也、八十岡 翔太が所属する、Musashi。
日本のマジックプレイヤーならば、皆が名前を知っているであろう豪華絢爛なメンバー6名が揃い、大方の予想どおりそれぞれが見事な成績をプロツアー『霊気紛争』で残し、現在ランキング1位タイを走っている。
今回は、リーダーを務める山本 賢太郎に、メンバーの紹介をしていただいた。
――早速ですが、今回はMusashiの面々についてお伺いしたいと思います。6名揃って練習をすることはあるのですか?
「ありますね。ここ最近はMusashiの6名に原根 健太君を加えて、構築の練習会を開催しています。泊まり込みでの合宿という形式は取らず、平日に集まれる人で集まる形を採っています。それぞれが試したいデッキを持ち込んで、総当たりのリーグ戦をやっているのですが、全員で集まることは難しいので、成績、実際に回した感触、そしてリストをLINEで共有しています。環境で強いと思えるデッキを見つける段階は終えたので、現在はブラッシュアップの段階ですね。」
――なるほど。全員が集まるのではなく、各々の時間を取れる範囲で参加している、という感じですね。
「そうですね。かなり感触が良いというか、上手く進んでいると思います。何しろ、皆のレベルが高いので」
山本 賢太郎が語る、Musashiの面々
――では、改めて山本さんからMusashiのメンバー紹介をお願いします。まずは、殿堂プレイヤーである渡辺 雄也さんについてご紹介願えますか?
「渡辺さんは、とにかく強い。この一言に尽きますね。先ほどの構築練習でも、彼は常に勝っているんですよ。どんなデッキを使ったとしても、好成績です。対戦していてもプレイのレベルが違うな、と思いますし、『この渡辺 雄也って男はとんでもないな』ということを思い知らされましたね。前から凄いプレイヤーだとは思っていたんですけど。」
――チーム結成以前から、渡辺さんと交流はあったのですか?
「ありましたね。話をすることも多かったですし、仲は良かったんですよ。ただ、仲間になり、より身近な存在になって、本当に凄いプレイヤーだなと思いましたね。これまでは一緒にじっくりと調整をやるということはあまりなかったんです。だからこそ、その凄さに改めて気づきました。」
――ありがとうございます。では続いて、市川 ユウキさんについてはいかがでしょうか?
「市川君は、仕事をしながら、毎回好成績を残しているのが本当に凄いですよね。プレイヤーとしての実力は言うまでもないですし、それから、思考を言語化できる能力を持っていることが、非常に頼りになります。調整をしているときに、特に頼りになります。」
――たしかに市川さんの言葉は明快ですよね。はっきりと、そして分かりやすく意見を述べてくれますし。
「普段から頼りになるのですが、調整の話で言えば、『このカードは強い、弱い』という話になったときに『どうして強いのか、弱いのか』をしっかりと言語化できる人がいるかどうかで、デッキの調整スピードって変わってくるんですよ。市川君がいると、そのスピードが跳ね上がりますね」
――「続いて、覚前 輝也さんについてお願いします」
「覚前君は、『僕たちにはない強さ』がありますね。マジックって、臨機応変に自分を変えなければならない場面ってあると思うんですけど、彼は良い意味で変わらない強さを持っているんです。」
――自分の意志がしっかりある、と言ったところでしょうか?
「それに近いですね。決意や信念がしっかりあって、芯の強さというか、それを安易に曲げないところが彼の魅力だな、と思います。なので、それがしっかり噛み合うと物凄く強いんですよね。調整のときでも、闇雲に意見を変えるのではなく、自分の意見をしっかりと通すだけの練習を積んできていますし」
――「では、残り2名ですが、行弘 賢さんについてお伺いしたいと思います」
「行弘さんは、独創的ですね。その発想力は本当に飛び抜けていて、構築練習でもデッキを作ってくる担当のような状態なんです。練習に持ってくるデッキが、毎回違いますからね。」
――ま、毎回!? 構築練習って、発売直後にやるわけですよね? それなのに、毎回違うデッキを持ち込むのですか?
「そうなんですよ。もちろんデッキの強さ、弱さに幅はありますが、この時期に何個もデッキを作ることができるというのは一つの才能ですよね。」
――そうですね。やろうと思ってできることではありませんし、発想力や、アイディアをまとめる力も必要になってきますから。
「だからこそ、彼はリミテッドが得意なのかもしれません。リミテッドでの強さは御存知かと思いますが、そういった能力がリミテッドで発揮されているのかな、と。デッキビルダーとしても本当に優秀なので、欠かせない存在です」
――なるほど。では最後に、八十岡 翔太さん(ヤソ)についてはいかがでしょうか? 八十岡さんもデッキビルダーとして頼りになる存在かと思うのですが。
「ヤソは......そういう次元ではないんですよね。そもそも僕たちとマジックの捉え方が違う、という感じがするんですよ。一度マジックをクリアして、2周目を遊んでいるイメージ、というのは言い過ぎかもしれませんが。」
――2周目......ヤソさんに限っては、なんとなく分かる気がしてくるから不思議ですね。
「すべてを分かっている、というべきなのかもしれません。そして、『このままだと1周目と同じでつまらないから、ちょっと縛りプレイやってみるか』と言ったようなところがあるんです。もちろん、これは僕のイメージなんですけど、それくらい次元の違う強さがありますね」
――そのマジック2周目であるヤソさんとの調整って、どんな感じなのですか?
「ヤソは、すごく大人なんです。こちらから提示した意見を否定せずに、『そういう考え方もあるけれど、こっちも良いんじゃない?』といったように、新しい視点、選択肢を提案してくれるんですよね。異なった意見でも、丸く返してくれるイメージなので、そういったところも頼れる存在です」
「チームシリーズ決勝に出場できるように」
――お聞きしていると、6名それぞれが違った強さを持っている印象を受けます。だからこそ現在1位を走っていられるのかもしれませんね。
「そうかもしれません。ただ、1位を独走しているわけではないですからね。2位ともそこまで離れているわけではないですし、1位タイですから。他のMusashiの面々も危機感を持ってやってると思いますよ」
――では、そろそろお時間が来ましたので、最後に読者の皆さんへメッセージをお願いします。
「チームシリーズはマジックのプロシーンで行われた新しい試みで、チーム形式だと『応援しやすい』という声も聞きます。このまま1位を維持して、プロツアー・チームシリーズ決勝に出場できるようにチーム全員頑張っていくので、応援よろしくお願いします」
それぞれが違った強さと魅力を持ち、活躍を続けるMusashiの面々。彼ら6名は、日本のマジック界を代表する存在と述べても過言ではない。
このグランプリ・北京2017で、そして次なるプロツアー『アモンケット』での彼らの活躍に注目しよう。
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