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インタビュー

第27回マジック世界選手権 最後の出場権利獲得者4人に迫る

Corbin Hosler

2021年9月9日

 

(編訳注:埋め込み動画は英語実況のものです。)

 先週末に行われたガントレットにおいて、最後の権利獲得者4人が決まったことにより、ついに第27回マジック世界選手権の出場者が決まった。

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 世界選手権の16名のプレイヤーは、2020-21シーズンを代表する、もっとも実績のあるマジックプレイヤーであり、苛烈なリーグ・ウィークエンド、セットチャンピオンシップ、そしてラストスパートであるMPLとライバルズのガントレットを勝ち抜いた最後の4名による集大成だ。

 言うまでもなく、夢の実現だ。マジックの競技プレイヤー人生をかけて戦うものであり、このゲーム史上最も優れたプレイヤーたちのうち多くが、この少数の参加者による世界選手権に出場権を手にすることができなかった。佐藤レイ、井川良彦、ジャン=エマニュエル・ドゥプラ/Jean-Emmanuel Depraz、そしてヤン=モーリッツ・メルケル/Jan-Moritz Merkelは今シーズン、世界のベストプレイヤーの上位16名に入っていたといえるし、今は最後の一歩を踏み出し、世界選手権を勝ち取るチャンスを掴んだのだ。

 そのうちの1人にとっては、この夢の実現は少しほろ苦いものだった。

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佐藤 レイ

 

 「勝ったときは、少し複雑な気持ちでした」と佐藤レイは述懐した。「最後の対戦相手は、チームメイトである熊谷陸であり、尊敬しているプレイヤーでした。リーグが始まる前に彼、高橋優太、井川良彦、そして原根健太とともに1年をともにすることを決めました。僕たちは1年間、一緒に戦ってきました。ガントレットで勝てたキーポイントは、チームワークでした。疑いようがありません。MPLガントレットにおいて、僕たちのデッキチョイスは最高でした」

 世界選手権への出場は、佐藤にとってキャリアハイとなる。「僕の人生で、MPLに3年連続で所属できたことも含めて最も誇らしい瞬間でした。自分が好きなものの世界一を現実的に狙えるという人はそう多くないでしょう」

 佐藤の体験が示しているのは、最後の4人の世界選手権出場者を決めた、両ガントレットにおける最大の物語、日本勢による支配だ。そのチームはシーズンを通して浮き沈みを繰り返したが、彼らにとって年間で最も重要なイベントにおいて一丸となり、これまで見せつけたように、MPLガントレットにおいて「ジェスカイ変容」でサプライズを起こしたのだ。この名人芸のようなメタゲーム予測が、週末において主たる切込役を生み出し、トップ8での騒動が収まった時、最後の4席のうち、3つが佐藤、熊谷、そして井川によって占められていた。

 最終的に、熊谷がはじき出される形になってしまった。佐藤と井川がまずは勝ち進み、その後ドゥプラが熊谷に対し、世界選手権出場決定戦において番狂わせを起こしたのだ。完璧とはいかなかったものの、第27回マジック世界選手権の枠を2人が勝ち取ったことは鮮烈なパフォーマンスであり、かのチームは注目の的となった。

 「もちろん、(世界選手権では)井川、高橋とチームを組むつもりです」と佐藤は語る。「僕たちが世界最高のチームであることを証明しようと思います!」

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井川 良彦

 

 井川もまた、彼の躍進はチームでの調整にあると信じており、ガントレットに向けて彼らはデッキを75枚目に至るまで完璧に作り上げたという。

 世界選手権への出場権を手に入れることは、彼の夢がかなったことを意味する。それは井川の言葉で表せば「もっとも名誉あるトーナメントであり、プロプレイヤーとしての目標のひとつ」だ。「世界のトッププレイヤーたちを相手にプレイすることで、プレイヤーとして成長したいと思います。そして、トーナメントの最後までそれができれば、これ以上の喜びはありません」

 日本のチームにとって、MPLガントレットの週末を支配し、彼らがマジックの世界における頂点に位置することを確固たるものにした。しかし、ドゥプラとメルケルにとってはよりストレスフルなものとなった。例えば、ドゥプラは世界選手権の出場権を懸けた最初の試合に敗北し、2戦目では相性の悪い熊谷とのマッチアップを迫られた。フランスのプロは数年間に渡りMPLの一員として世界選手権レベルのパフォーマンスを見せており、シーズン初めの『ゼンディカーの夜明け』チャンピオンシップにおいてトップ8入賞を逃している。

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ジャン=エマニュエル・ドゥプラ

 

 「これまでに達成したことを誇りに思います」ドゥプラは決定戦で逆転勝利を収めた後、安堵の表情で語った。「1年にわたる長い戦いを経て、最終的に成功を収めた人はほとんどいませんでした。勝った瞬間は妙な気分でした。というのも、3ゲーム目のドローがあまりにも非現実的だったので、勝つだろうということは分かっていました。その瞬間は喜びましたが、全力で集中力を保ち、実際に勝利したときにはすべての緊張感と喜びが解放されました」

 

 成長を続けるドゥプラのキャリアにとって、これは極めて重要なさらなる一歩だ。彼は2017年のグランプリ・ワルシャワ優勝でトーナメントシーンに突如として現れると、さらにはワールド・マジック・カップ2018でチーム戦での優勝を果たした。彼は2019ミシックチャンピオンシップⅤで再度決勝での戦いに臨むこととなり、昨夏のプレイヤーズツアー・オンライン2ではトップ8入賞を果たした。変遷するプロマジックの世界で、ドゥプラは、グランプリ・サーキットからデジタル・マジックにおける最高水準の戦いまですべてをこなしてきた。今、彼にはもうひとつタイトルを獲得するチャンスがある。

 「今、私は世界選手権を勝つことにすべてを注ぎ込みます。カードが欲しいんですよ」とドゥプラは宣言した。

 ヤン=モーリッツ・メルケルはその感覚を知っている。彼はプロデビュー戦のプロツアー・神戸2006で優勝を果たしたのだ。そして長いブランクを経て、このゲームに猛烈な勢いで復帰したのだ。彼は『ゼンディカーの夜明け』チャンピオンシップのトップ8入賞を果たし、成り上がりに一区切りをつけた。そのことが彼にライバルズ・ガントレットへの参加権利をもたらし、彼にとって最大のチャンスを手に入れた。敗者側側ブラケットを戦い抜き、世界選手権出場を懸けた決定戦でガヴィン・トンプソンと対峙することになったのだ。数時間前に、トンプソンはメルケルを下していた。

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ヤン=モーリッツ・メルケル

 

 苦境から立ち直る力がなければ、チャンピオンシップレベルのイベントでトップ8に残ることはできない。そして、最終戦にまで舞い戻ってくると、メルケルは疑いようもないスキルの高さを見せつけ、世界選手権への出場権を勝ち取った。これはこのドイツ人のとんでもない成り上がりの集大成だ。彼の2020-21シーズンはチャレンジャーとして始まったが、3月にMagic Online Championship Series Showcaseでトロフィーを再度獲得すると、『ゼンディカーの夜明け』チャンピオンシップでトップ8入賞を果たし、そして今や2021-22シーズンのMPLの権利を獲得し、マジック世界王者としてシーズンを終える機会をも手に入れたのだ。

 「信じられないくらい嬉しいし、誇りに思う。そして、ここまで協力してくれたすべての人に感謝を」メルケルは世界選手権出場を決めた後に語った。「驚いているし、まだ信じられない気持ちだよ。良い成績を残して、たくさんいい試合をして、楽しめることを願っているよ」

 来月に世界選手権が開幕すれば、良い試合が見られることは約束されている。賞金総額が250,000ドルであることもそうだし、何より最もエキサイティングな賞品が用意されている。つまり、世界王者はマジックのカードに永遠にその名を刻むことができるのだ。

 第27回マジック世界選手権では、2020-21シーズン最後の王者が生まれることになる。その模様は10月8~10日(PDT)にtwitch.tv/magic で生放送予定だ!

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