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The Finals 2019

インタビュー

The Finals 2019 優勝、佐藤 直輝 インタビュー

Hiroshi Okubo

 1995年より現在にかけての14年間。間に数年ほど廃止されてしまった期間はあるものの、「The Finals」は今なお年末の祭典の異名を取り、数多のプロや強豪、あるいは単に、マジックプレイヤーが、一同に介する機会として、年暮を盛り上げてくれる。

 そして「The Finals 2019」。今年のこのトーナメントで優勝の栄冠に輝いたのは、プロでもなく、強豪として名が通っているわけでもない……言ってしまえば単に「マジックプレイヤー」である佐藤 直輝だった。

 果たして佐藤はどういった人物で、どういった過程を経て今回の優勝を――ごく普通のマジックプレイヤーから、強豪への仲間入りを果たしたのか。トーナメントの余韻も冷めやらぬ中だったが、佐藤はインタビューに快く応えてくれた。

佐藤 直輝 (神奈川)

「チーム」の在り方

――まずは優勝おめでとうございます! 我々は佐藤さんについてあまり多くのことは知りません。なので、今回は佐藤さんの人となりについてのお話を伺えたらと思います。まず、普段はどこでマジックをプレイされているのでしょうか?

佐藤「ホームのカードショップは、自宅の近くにあるMINT横浜店です。とはいえ、大会があれば都内のショップなどにも出入りしますし、そもそもメインの活動場所はネットということになるかもしれません」

――ネットですか? MTGアリーナとか、Magic Onlineとか、そういった話でしょうか?

佐藤「そうですね、MTGアリーナもMagic Onlineも利用しています。ただ、ここでいうネットはそうしたマジックをする環境そのものの話ではなくて、ネット上での調整チームのことです」

――調整チーム! 今日会場にいらっしゃったお仲間の方々もチームのメンバーですか?

佐藤「そうですそうです。以前からの知り合い同士もいますが、基本的にはTwitterなどで繋がったメンバーです。ただ、このチームは……ドライな言い方になるんですが、『目標を達成するためだけに集まった集団』という感じなので、いわゆるお友達っていう付き合いとはまた別の関係ですね」

――めちゃくちゃ淡白ですね(笑) 具体的にどういったチームなのでしょうか?

佐藤目標ごとに集まって、その都度解散してるんですよ。たとえば今回の『The Finals 2019』のためにスタンダードを調整するチーム、みたいな。だから固定のメンバーがいるわけでもなく、毎回Twitterやブログでメンバーの募集をかけて、集まった人たちと練習をする感じです」

――それはまたすごく特殊に聞こえますね。どうしてそういったチームになっているのでしょうか?

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佐藤「これは僕の持論ですが、アマチュアである僕らがプロプレイヤーと渡り合っていくためには、質のいい練習と、それを続けるための高いモチベーションが必要不可欠です。なので、モチベーションを維持しつつ、メンバー同士でリソースを分配し合うことができるようなチームが理想的だと思っています」

――それは言えているかもしれません。

佐藤「ですよね。さらに言えば、社会人だったり学生だったり、人によって置かれている環境も違えばマジックに取り組める時間も人それぞれです。なので、チーム内でもノルマなどは課さず、各々のできることをやる、といったチームが望ましいと考えています。なので、常設のチームではなく、集まったり解散したりを繰り返すのが一番理に適っているんですね」

――たしかに、「最近ちょっとモチベ低下気味かも」みたいなことはありますし、定期的に解散するなら、メンバーからすれば「じゃあ今回でいったん抜けるわ」みたいなことも言いやすいかもしれません。

佐藤「惰性で続けるのもかえってしんどいですしね。まぁ、それでもHareruya Hopesの梅田 卓也さんだったり、昨年のThe Finals 2018でトップ8に入賞された太田 翔さんなど、固定のメンバーは何人かいるんですが……」

――なるほど。そうしたチームでの調整が、今回実を結んだわけですね。

佐藤「そう思ってます。今回もチームメンバーでスプレッドシートを共有してて、デッキごとの勝率とかメタゲームを調べて、『《魔女のかまど》を使ったデッキは強いね』という意見が共通したところから調整がスタートしています」

――(実際にスプレッドシートを見せてもらって)おお、かなり本格的ですね。佐藤さんはずっと競技志向だったんですか?

佐藤「ええ。もともと他のカードゲームをやっていたこともあって、そっちでそこそこ勝てていたので、『基本セット2014』でマジックを始めてから今までずっと競技志向です。といっても普段はグランプリなどでも2日目に行けたり行けなかったりといった感じなので、ようやく実を結んだ感じです」

――なるほど。さきほどモチベーションの話にもなりましたが、なかなか勝てない状況が続く中で競技を続けていくのは、つらいこともなかったですか?

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佐藤「それはありますよ、やっぱり勝ちたくてマジックしてるので(笑) でも、負けたとしても課題点を見つけて改善したり、ここのプレイおかしかったかもな?みたいな振り返りができていれば、進歩することはできます。そういう積み重ねが一番大事だと考えているので……つらくてもやめてしまったら負けなんです。やめてしまったらこれまで積み重ねてきたものが全部無駄になってしまうので」

――そうしたストイックな姿勢が、今回の優勝に結びついたわけですね。

佐藤「まぁ、初めてこうした大きなタイトルをいただくことができたので、これまでやってきたことがようやく実を結んだなという実感はあります。本当に嬉しいです」

――ありがとうございました。今後も佐藤さんのご活躍をお祈りしております!


 The Finals 2019で優勝を果たした佐藤は、ごく一般的なマジックプレイヤーの1人かと思われた。しかし、その実誰よりもストイックで、勝利を目指して着実に楔を打ち続けることができる者だった。

 佐藤は、来年1月末に開催を予定されているマジックフェスト・名古屋2020が楽しみだと語る。聞けばパイオニアの練習も始めているのだそうだ。

 きっと、フィーチャーマッチテーブルで彼の「強豪」としての勇姿を見る日も、そう遠い未来のことではないだろう。

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