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EVENT COVERAGE
エターナル・ウィークエンド・アジア2018
モダン決勝:田杉 啓伍(愛知) vs. 髙谷 翔一(東京)
時刻は午後9時を過ぎ、エターナル・ウィークエンドのメインイベントであるレガシーとヴィンテージの両選手権が終わり、慌ただしく撤収作業が行われている。
その傍らでたったふたりのプレイヤーがこの週末を締めくくる最後の戦いに臨もうとしていた。
「人間ビートダウン」を駆る田杉啓伍。
田杉啓伍 |
「緑白カンパニー」を駆る高谷翔一。
高谷翔一 |
1日でなんと13ラウンドという、グランプリをほぼ1日で行うような過酷な戦い。
疲労困憊のはずの彼らはそれでも燦爛と目を輝かせ、モダン選手権の決勝戦のテーブルに意気揚々と着いている。
レガシー、ヴィンテージと異なり優勝トロフィーは無い。
グランプリと異なりプロ・ポイントも賞金も無い。
愛知県からやって来た田杉に至っては終電すら怪しい時間だろう。
それでも、彼らはこの決勝の舞台に立っている。
なぜならトーナメントが、マジックが大好きだから最後まで戦い抜けるのだ。
田杉 啓伍(写真左) vs. 髙谷 翔一(写真右) |
ゲーム1
マリガンした田杉は2ターン目に《帆凧の掠め盗り》をプレイし髙谷の手札を覗き込む。土地が2枚に《薄暮見の徴募兵》《極楽鳥》というもの。
《帆凧の掠め盗り》が空振ってしまったのは痛いが、無限コンボの要素は見えず田杉にとってはそこまで悪くないビジョンだろうか。
だが、コンボでなくとも押し込めるのがこのデッキの強みだ。髙谷は2体目の《聖遺の騎士》を引き込み、先ほどプレイした片割れの能力をを起動。《樹木茂る山麓》から《森》をサーチし、3ターン目にして5/5が2体という盤面を作り上げる。
田杉は《カマキリの乗り手》で空からクロックをかけるが、髙谷の《聖遺の騎士》たちの攻撃により一気に10点のダメージを受ける。
ダメージレースをひっくり返さなければいけない田杉は《帆凧の掠め盗り》から《サリアの副官》で自軍をサイズアップさせ6点のダメージを与える。
髙谷は田杉にとって致死量となる2体の《聖遺の騎士》で攻撃。田杉は《帆凧の掠め盗り》で1体をブロックし、ライフを3残す。手札の《修復の天使》で何とか生き残りつつライフレースを逆転する算段だ。
だが、そこに至るまでもなく、戦闘後に髙谷は《歩行バリスタ》をX=3で提示したのだった。
田杉 0-1 髙谷
髙谷翔一 |
ゲーム2
田杉が《霊気の薬瓶》、髙谷が《貴族の教主》というともにグッドスタートを切る。
田杉は《サリアの副官》《教区の勇者》。そして《帆凧の掠め盗り》をプレイ。
上記の髙谷の手札から《流刑への道》を抜き去り、《翻弄する魔道士》で《集合した中隊》を指定。《サリアの副官》と《教区の勇者》は4/4まで成長して攻撃へ向かう。
髙谷は仕方なく《不屈の追跡者》で手掛かり・トークンを生み出し《貴族の教主》を追加する。
田杉はこの手掛かりがリソースへと変換される前にライフを詰めるべく、《反射魔道士》で《不屈の追跡者》を手札に戻し攻撃。髙谷は1体の《貴族の教主》を犠牲にするが、ライフはわずかに2。
実質的なラストターン。髙谷は手掛かり・トークンを生け贄に捧げ、唯一の逆転手であるコンボパーツを探すが、「《集合した中隊》しか引かなかったー」とサイドボードに手をかけた。
田杉 1-1 髙谷
田杉啓伍 |
ゲーム3
運命の第3ゲーム。髙谷が《極楽鳥》、田杉が《貴族の教主》という互いにマナ・クリーチャーからスタートを切る。
髙谷が《薄暮見の徴募兵》を追加するのに対し、田杉は《翻弄する魔道士》で《集合した中隊》を指定する。
髙谷は無限コンボのパーツとなる《献身のドルイド》、そして2体目の《薄暮見の徴募兵》を追加する。
いきなりコンボのリーチをかけられた田杉は《貴族の教主》3体目をプレイ、「賛美」を重ねダメージを与え始める。
だが、髙谷はおもむろに《療治の侍臣》をプレイする。
田杉は「あらー」と声を上げた。
もはや妨害することはできない。呆気にとられる田杉だが、まだ投了の声は発しない。
最後の戦いを最後まで見届けることを選択し、髙谷が《歩行バリスタ》を提示するのを見てから握手を求めたのだった。
田杉 1-2 髙谷
試合後、肩を落とし観戦していた友人たちと試合を振り返る田杉。
「初めて優勝できた!」と喜ぶ髙谷。
13回戦を戦い終えた者同士であるのに勝者と敗者のコントラストは残酷なまでに鮮やかだ。
それが分かっていても、きっと彼らはこれからもマジックをプレイし続けるだろう。
この過酷なイベントを途中で投げ出すことなく、13時間以上も戦い抜くほどに彼らはマジックが好きなのだから。
髙谷翔一、モダン選手権優勝おめでとう!
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