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エターナル・ウィークエンド・アジア2018

観戦記事

ヴィンテージ準々決勝:Romero Adria(スペイン) vs. 高橋 研太(長野)

Yohei Tomizawa

 「エターナル・ウィークエンド・アジア2018」ヴィンテージ選手権は、これより決勝トーナメントが開始する。154人いた参加者は、8人まで絞られ、より過酷な対戦へと進む。

 準々決勝でフィーチャーするのは高橋 研太とロメロ・エイドリア/Romero Adriaの2人だ。

 高橋は晴れる屋トーナメントセンターで開催される「ヴィンテージ神挑戦者決定戦」において、最もトップ8率が高いと言われている。その数は第7期から第11期までの連続5回。

 高橋と言えば《ドルイドの誓い》のイメージが強い。なぜ、ここまで頑なに使い続けるのか。

「憧れですね。今までマジックやってきて、どうしても勝てないデッキがあったんです。それが今は無きエクステンデッドの『カウンターオース』だったんですよ。」

 昔とはフォーマットも形も変わったが、憧れたデッキがその手の中にある。

 高橋は、今日も変わらずドルイドへと誓いを立て、フィーチャーエリアの席へと座る。

 高橋と対戦するのは、情熱の国スペインからやってきたエイドリア。休暇を利用し、友人たちと旅行がてらやってきたとのこと。昨日今日は「エターナル・ウィークエンド・アジア2018」を、明日は友人たちと京都旅行を楽しむ予定とのことだ。

 マジック歴は7年、そのうちヴィンテージ歴は1年だけ。たった1年で、エイドリアは「エターナル・ウィークエンド・アジア2018」のトップ8の座を射止めた。

 地元では週に一度はヴィンテージをプレイし、MOでも調整を欠かさない。エイドリアの努力は、「エターナル・ウィークエンド・アジア2018」ヴィンテージ選手権で、決勝トーナメント進出という形で実を結ぶ。

 優勝まで残り3試合。次のステージへ進むのは、どちらのプレイヤーか。

 
ロメロ・エイドリア(写真左) vs. 高橋 研太(写真右)
ゲーム1

 先手のエイドリアが《Tundra》から《定業》を唱えると、高橋は《精神的つまづき》で即応。高橋は自身のターンで《ギタクシア派の調査》をファイレクシア・マナで支払い、エイドリアの手札を暴く。

 この《ギタクシア派の調査》で得た情報は、非常に価値があるものだった。高橋は《露天鉱床》をセットランドすることで、エイドリアの《露天鉱床》を機能しにくくし、自身の《露天鉱床》はいつでも起動可能と牽制する。

 高橋が《露天鉱床》の能力を即座に起動しなかったことで、エイドリアはトップデッキした《アズカンタの探索》をプレイする。必要牌と不要牌を分けるこのエンチャントは、長引けば少しずつエイドリア有利へと傾いていく。

 そう、長引けば、だ。

 高橋は《Tropical Island》で緑マナを生み出すと《ドルイドの誓い》。現状《禁忌の果樹園》は戦場にないため、誘発することはない。だが、セットランドされた瞬間に勝負は決まる。

 エイドリアは《アズカンタの探索》で選別を行い《思案》。1枚を取ると《沸騰する小湖》を生け贄に《Volcanic Island》をフェッチし、デッキトップを新鮮なものとする。タップ状態の《Tropical Island》を《露天鉱床》で割り、高橋の土地を《露天鉱床》1枚きりにする。

 それは、まるで。1ターン目から高橋が描いていた通りの流れだった。

 
高橋 研太

 セット《禁忌の果樹園》。初手からもっていたコンボの片割れを置くと、《露天鉱床》を使ってしまったエイドリアに対処手段はない。

 エイドリアは《ダク・フェイデン》を唱えるが、高橋はどこ吹く風。《ドルイドの誓い》が対処されない限り、最早関係ないのだ。

 エイドリアのターン終了時にスピリット・トークンを生成し、アップキープに《ドルイドの誓い》が誘発! ここでデッキから順にクリーチャーが出るまで墓地へと落とされるが……クリーチャーが全く公開されない。それこそ手札に《引き裂かれし永劫、エムラクール》はあるが、まだ2枚のクリーチャーが残っているはずなのに。

 やっとのことで《業火のタイタン》が場に出ると、《ドラゴンの息》がエンチャントされ、デッキの残り枚数は9枚になった。

 高橋のデッキの特徴を挙げるならば、それは《ドラゴンの息》だろう。

「戦場に出てから攻撃するまでの、1ターンのタイムラグが嫌なんですよね。だから僕は《ドラゴンの息》のことを追加の《Time Walk》と呼んでますよ」

 高橋の言葉に偽りはない。《業火のタイタン》へ《ドラゴンの息》がエンチャントされると、エイドリアへと襲い掛かる。攻撃の誘発でトークンと《ダク・フェイデン》を落とし、プレイヤーへダメージを与える。

 デッキ枚数が8枚と心許ないが、高橋はあるカードを探すために、第2メイン・フェイズにデッキを掘り進む。

 それは《ダク・フェイデン》。ドローやアーティファクト対策のためではない。高橋はカードを捨てる手段を模索していたのだ。

 ディスカード、《引き裂かれし永劫、エムラクール》。

 戦場には《ドルイドの誓い》と《禁忌の果樹園》、そしてデッキに戻った《引き裂かれし永劫、エムラクール》。

 勝機のないことを悟った、エイドリアはサイドボードへと手を伸ばす。

エイドリア 0-1 高橋

 
ゲーム2

 エイドリアはファイレクシア・マナで《ギタクシア派の調査》をプレイすると、高橋は丁寧に手札を並べていく。

 確認すると《沸騰する小湖》から《Tundra》をフェッチ、《定業》を唱える。この2枚には《太陽の指輪》があったが、手札に十分な土地カードを持つエイドリアは一番下へと送った。

 高橋がキャストした《ギタクシア派の調査》をエイドリアは《精神的つまづき》で打ち消し。続く《定業》も《精神的つまづき》と、高橋の動きを徹底的に阻害していく。

 三度目の正直とプレイした高橋の《定業》は通り、上下に分けると《Volcanic Island》を盤面へ。

 カード同士の交換により枯渇した手札を拡充するため、エイドリアは2マナを出しつつ《噴出》。ここへ高橋は《紅蓮破》を合わせて打ち消すと、エイドリアは本命の《ダク・フェイデン》。

 プレインズウォーカーを通すわけにはいかず、高橋は《意志の力》で事なきを得る。

 そして自身のターンに入ると《宝船の巡航》で、圧倒的なアドバンテージ。

 お互いにドローゴーが続き、手札をため込むと、先に動いたのはエイドリア。フィニッシャーである《精神を刻む者、ジェイス》をプレイする。

 
ロメロ・エイドリア

 高橋は《マナ吸収》を唱え、エイドリアは《紅蓮破》で即応。スタック上の打ち消し呪文のみ解決すると、高橋は《紅蓮破》で《精神を刻む者、ジェイス》自身を打ち消す。

 このタップアウトの隙に高橋は《業火のタイタン》!

 エイドリアの手札に除去はない。《商人の巻物》で《時を越えた探索》を探し、そのままプレイ。《Mox Pearl》と《剣を鍬に》を手札に加え、《業火のタイタン》を追放する。

 高橋は再度仕掛ける。《ダク・フェイデン》をプレイすると、エイドリアから打ち消しはなく、着地を果たす。エイドリアの《Mox Pearl》を奪い、《露天鉱床》で《Tundra》を割る。突如としてエイドリアの場から白マナ源が枯渇してしまう。

 続くターンに高橋は《ダク・フェイデン》でルーティングを行い、《綿密な分析》と懐かしいカードを墓地に送る。即座にフラッシュバックすると、デッキ名にもなっているエンチャント呪文を唱える。

 《禁忌の果樹園》を求め、高橋は《ダク・フェイデン》の能力を起動し続ける。その起動は続き、いつしか忠誠値は6まで溜まる。

 エイドリアは《渦まく知識》が《精神的つまづき》されると、《ダク・フェイデン》の一番下の効果を確認し、右手を差し出した。

エイドリア 0-2 高橋

高橋 Wins!
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