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2020プレイヤーズツアーファイナル
2020プレイヤーズツアーファイナル 2日目メタゲームブレイクダウン
2020年7月26日
145名で始まった「2020プレイヤーズツアーファイナル」初日の戦いが終わり、74名が2日目進出を果たした。「ティムール再生」の絶対的な支配の中で行われた7回戦を経て、2日目のメタゲームの様相はどのように変化したのか?
初日から2日目にかけての変化を見ていこう。
アーキタイプ | 初日使用者数 | 初日使用率 | 2日目使用者数 | 2日目使用率 | 進出率 |
---|---|---|---|---|---|
ティムール再生 | 57 | 39.3% | 29 | 39.2% | 50.9% |
4色再生 | 22 | 15.2% | 16 | 21.6% | 72.7% |
バント・ランプ | 17 | 11.7% | 9 | 12.2% | 52.9% |
緑単アグロ | 9 | 6.2% | 3 | 4.1% | 33.3% |
白単アグロ | 8 | 5.5% | 4 | 5.4% | 50.0% |
ジャンド・サクリファイス | 7 | 4.8% | 3 | 4.1% | 42.9% |
ラクドス・サクリファイス | 6 | 4.1% | 2 | 2.7% | 33.3% |
アゾリウス・コントロール | 3 | 2.1% | 2 | 2.7% | 66.7% |
エスパー・ミッドレンジ | 3 | 2.1% | 1 | 1.4% | 33.3% |
赤単アグロ | 2 | 1.4% | 0 | 0.0% | 0.0% |
スゥルタイ・ランプ | 2 | 1.4% | 1 | 1.4% | 50.0% |
その他 | 9 | 6.2% | 4 | 5.4% | 44.4% |
特筆すべきは以下の点だ。
- ハイレベルな舞台では、大きな変化は起こらなかった。緑や赤のアグロ・デッキを除き、2日目の環境は初日の数字とかなり似通っている。
- 《荒野の再生》の支配は続くが、少々予想と異なる部分もありそうだ。初日に最も成功したアーキタイプは、73%もの進出率を記録した「4色再生」だった。
- 「サクリファイス」系は全体的に不調だった。プレイヤーたちは《魔女のかまど》と《大釜の使い魔》に備えていたのだ。
- 「白単アグロ」が、現環境のアグロ戦略における筆頭の座を緑単や赤単から奪った。緑単と赤単が苦戦する一方で、白単は使用者8名中4名を2日目へ送り出している。
- ローグ・デッキも渡り合える可能性を見せた。「再生」デッキに支配された環境でも、完全にメタ外のデッキで活躍したプレイヤーがいる。
同系戦への意識
世界最高の《荒野の再生》使いが一堂に会した舞台で、「同系戦を制する者は誰か」という話題に行き着くのは当然のことだろう。初日の7回戦を終えて明らかになったのは、白をタッチして《時を解す者、テフェリー》や《ドビンの拒否権》のようなカードを採用できるようになった「4色再生」の優位性だった。
2日目進出率73%という数字は、全体の半数ほどしか進出できない大会においてとりわけ目を引く。一方、「ティムール再生」の方はまさにその「半数ほど」が進出し、2日目も使用率39%を維持している。
1 《森》 2 《島》 1 《山》 1 《平地》 2 《繁殖池》 2 《踏み鳴らされる地》 4 《寺院の庭》 2 《神聖なる泉》 4 《寓話の小道》 4 《ケトリアのトライオーム》 4 《ラウグリンのトライオーム》 2 《ヴァントレス城》 -土地(29)- 3 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》 2 《厚かましい借り手》 1 《帰還した王、ケンリス》 -クリーチャー(6)- |
4 《成長のらせん》 1 《霊気の疾風》 1 《ドビンの拒否権》 1 《否認》 1 《焦熱の竜火》 3 《神秘の論争》 4 《荒野の再生》 4 《サメ台風》 3 《発展 // 発破》 3 《時を解す者、テフェリー》 -呪文(25)- |
2 《幽体の船乗り》 1 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》 2 《帰還した王、ケンリス》 2 《ドビンの拒否権》 2 《ガラスの棺》 2 《裁きの一撃》 1 《霊気の疾風》 1 《轟音のクラリオン》 2 《陽光の輝き》 -サイドボード(15)- |
《生皮収集家》が減り、《追われる証人》が増える?
『基本セット2021』は、白単色のクリーチャー・デッキを好むプレイヤーにとって実に嬉しいセットだった。《無私の救助犬》、《歴戦の神聖刃》、《栄光の頌歌》が加わったことで、この伝統的なアーキタイプが一気に成立したのだ。「白単アグロ」は全体除去にも極めて強く、《栄光の頌歌》や《敬慕されるロクソドン》、《不敗の陣形》による全体強化でクリーチャーのサイズも素早く上がる。
このデッキは使用者の半数を2日目へ送り出した。「緑単アグロ」も「赤単アグロ」も上回る結果だ。
17 《平地》 4 《アーデンベイル城》 -土地(21)- 4 《駐屯地の猫》 4 《巨人落とし》 4 《追われる証人》 4 《石とぐろの海蛇》 2 《無私の救助犬》 4 《歴戦の神聖刃》 2 《徴税人》 4 《敬慕されるロクソドン》 -クリーチャー(28)- |
4 《急報》 4 《栄光の頌歌》 3 《不敗の陣形》 -呪文(11)- |
2 《徴税人》 3 《一心同体》 3 《敬虔な命令》 2 《ガラスの棺》 1 《不敗の陣形》 4 《黒き剣のギデオン》 -サイドボード(15)- |
速さか大きさか
ハイレベルな舞台において、スタンダードは2つの陣営に分かれている。1つは、手段はさまざまだが可能な限り早く対戦相手を倒すことを狙う「アグロ」。もう1つは、《荒野の再生》や《成長のらせん》、《世界を揺るがす者、ニッサ》などといったマナ加速手段を用いて、早い段階で強大な脅威を繰り出す「ビッグマナ」だ。
その視点で見ると、「ジャンド・サクリファイス」と「ラクドス・サクリファイス」のようなミッドレンジ・デッキは比較的苦戦していると言えるだろう。「ジャンド・サクリファイス」は《ボーラスの城塞》を切り札に据えて環境に食らいつこうと試みたが、「サクリファイス」系を選択した13名のうち、2日目へ進出できたのは5名に留まった。
3 《沼》 3 《森》 1 《山》 4 《草むした墓》 4 《血の墓所》 4 《踏み鳴らされる地》 1 《ロークスワイン城》 4 《寓話の小道》 -土地(24)- 4 《大釜の使い魔》 4 《金のガチョウ》 3 《忘れられた神々の僧侶》 4 《波乱の悪魔》 4 《悲哀の徘徊者》 3 《真面目な身代わり》 2 《フェイに呪われた王、コルヴォルド》 -クリーチャー(24)- |
4 《魔女のかまど》 2 《初子さらい》 4 《パンくずの道標》 2 《ボーラスの城塞》 -呪文(12)- |
2 《初子さらい》 1 《強迫》 4 《苦悶の悔恨》 2 《溶岩コイル》 2 《害悪な掌握》 2 《自然への回帰》 1 《燃えがら蔦》 1 《ボーラスの城塞》 -サイドボード(15)- |
ランプ戦略の急先鋒たる「バント・ランプ」は平均的な成績を収め、使用率をわずかに上げた。「アゾリウス・コントロール」もまた、5勝2敗で初日を切り抜けた殿堂顕彰者ラファエル・レヴィ/Raphael Levyをはじめ、使用者3名中2名が2日目へ進出している。しかし同じくフランスが誇るスーパースターであり(コントロール使いとして有名な)殿堂顕彰者であるガブリエル・ナシフ/Gabriel Nassifは、初日の早い段階で敗退してしまった。これには、世界中のコントロール・ファンがため息を漏らしたことだろう。
9 《島》 7 《平地》 4 《神聖なる泉》 4 《啓蒙の神殿》 2 《ラウグリンのトライオーム》 2 《ヴァントレス城》 1 《アーデンベイル城》 2 《廃墟の地》 4 《寓話の小道》 -土地(35)- 2 《太陽の恵みの執政官》 2 《空を放浪するもの、ヨーリオン》 -クリーチャー(4)- |
4 《海の神のお告げ》 3 《ガラスの棺》 3 《メレティス誕生》 4 《ドビンの拒否権》 2 《霊気の疾風》 2 《神秘の論争》 2 《太陽の神のお告げ》 2 《意味の渇望》 3 《空の粉砕》 4 《エルズペス、死に打ち勝つ》 4 《サメ台風》 4 《覆いを割く者、ナーセット》 4 《時を解す者、テフェリー》 -呪文(41)- |
1 《空を放浪するもの、ヨーリオン》
-相棒(1)- 1 《巨人落とし》 1 《幽体の船乗り》 1 《厚かましい借り手》 1 《太陽の恵みの執政官》 1 《空を放浪するもの、ヨーリオン》 2 《空の縛め》 2 《霊気の疾風》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《ガラスの棺》 1 《ナーセットの逆転》 1 《空の粉砕》 1 《終局の始まり》 1 《ヘリオッドの介入》 -サイドボード(14)- |
「その他」の活躍
普段注目されにくい「その他」のカテゴリーには、確立されたメタゲームのどこにも属さない一風変わったデッキや使用者1名の「専用機」などが含まれる。倒すべき上位デッキが明確な「2020プレイヤーズツアーファイナル」では、ローグ・デッキを手に成功を収めたプレイヤーも見受けられた。
何といってもまずは、マイケル・ジェイコブ/Michael Jacobの名を挙げなくてはならないだろう。彼は今大会で唯一《軍団のまとめ役、ウィノータ》を使い、6勝1敗で初日を突破したのだ。配信者として長年活動している彼はリスクを恐れず今大会に挑み、その姿勢は大いに報われたのだった。
1 《山》 2 《平地》 1 《沼》 4 《聖なる鋳造所》 1 《凱旋の神殿》 4 《血の墓所》 4 《神無き祭殿》 1 《静寂の神殿》 4 《サヴァイのトライオーム》 1 《エンバレス城》 2 《寓話の小道》 -土地(25)- 4 《無私の救助犬》 1 《漆黒軍の騎士》 3 《帆凧の掠め盗り》 3 《ラゾテプの肉裂き》 1 《将軍の執行官》 3 《災いの歌姫、ジュディス》 3 《悲哀の徘徊者》 1 《軍勢の切先、タージク》 4 《バスリの副官》 4 《軍団のまとめ役、ウィノータ》 4 《敬慕されるロクソドン》 -クリーチャー(31)- |
4 《急報》
-呪文(4)- |
1 《湧き出る源、ジェガンサ》
-相棒(1)- 1 《巨人落とし》 2 《荒廃甲虫》 1 《帆凧の掠め盗り》 1 《将軍の執行官》 2 《軍勢の戦親分》 1 《ドラニスのクードロ将軍》 1 《帰還した王、ケンリス》 2 《敬虔な命令》 1 《灯の燼滅》 1 《取り除き》 1 《害悪な掌握》 -サイドボード(14)- |
もう少しコンボ寄りでないビートダウン・デッキはないかって? それなら、「黒単アグロ」で2日目進出を決めた熊谷 陸のデッキをご紹介しよう。
19 《沼》 4 《ロークスワイン城》 2 《総動員地区》 -土地(25)- 4 《どぶ骨》 4 《漆黒軍の騎士》 4 《帆凧の掠め盗り》 2 《黒槍の模範》 2 《死より選ばれしティマレット》 4 《狩り立てられた悪夢》 1 《残忍な騎士》 4 《騒乱の落とし子》 3 《悪ふざけの名人、ランクル》 -クリーチャー(28)- |
3 《強迫》 4 《無情な行動》 -呪文(7)- |
1 《残忍な騎士》 1 《悪意に満ちた者、ケアヴェク》 3 《苦悶の悔恨》 3 《闇の掌握》 3 《害悪な掌握》 4 《肉儀場の叫び》 -サイドボード(15)- |
《龍神、ニコル・ボーラス》の姿もある。ボウルン・チャン/Bolun Zhangは多元宇宙の悪をも含めた「4色プレインズウォーカーズ」デッキで2日目へ歩を進めたのだ。
4 《神聖なる泉》 4 《神無き祭殿》 2 《静寂の神殿》 4 《湿った墓》 4 《欺瞞の神殿》 1 《血の墓所》 2 《サヴァイのトライオーム》 1 《ラウグリンのトライオーム》 4 《次元間の標》 -土地(26)- 4 《半真実の神託者、アトリス》 -クリーチャー(4)- |
2 《強迫》 3 《思考消去》 1 《取り除き》 1 《無情な行動》 1 《古呪》 2 《肉儀場の叫び》 2 《煤の儀式》 1 《絶滅の契機》 4 《エルズペス、死に打ち勝つ》 4 《覆いを割く者、ナーセット》 4 《時を解す者、テフェリー》 4 《龍神、ニコル・ボーラス》 1 《戦慄衆の将軍、リリアナ》 -呪文(30)- |
2 《悪斬の天使》 2 《強迫》 2 《取り除き》 2 《害悪な掌握》 1 《霊気の疾風》 1 《苦悶の悔恨》 1 《無情な行動》 2 《肉儀場の叫び》 2 《絶滅の契機》 -サイドボード(15)- |
そしてもちろん、マジック・プロリーグ選手の行弘 賢も、彼の理想とする「誰も見たことのないデッキで勝つ」ことを実現して2日目へ進出した。まさか《朽ちゆくレギサウルス》と《時を解す者、テフェリー》を1つのデッキにまとめ上げるとは……まさに行弘の真骨頂と言えるだろう
行弘と「エスパー・ミッドレンジ」の活躍については、「初日の注目の出来事」記事もご覧いただきたい。
2 《平地》 2 《島》 1 《沼》 4 《神聖なる泉》 2 《啓蒙の神殿》 4 《神無き祭殿》 1 《静寂の神殿》 4 《湿った墓》 1 《欺瞞の神殿》 4 《寓話の小道》 -土地(25)- 4 《歴戦の神聖刃》 4 《徴税人》 4 《厚かましい借り手》 4 《朽ちゆくレギサウルス》 2 《エイスリオスの番犬、クノロス》 4 《予見のスフィンクス》 -クリーチャー(22)- |
2 《霊気の疾風》 2 《ドビンの拒否権》 1 《不吉な戦術》 4 《神秘の論争》 4 《時を解す者、テフェリー》 -呪文(13)- |
2 《巨人落とし》 2 《軍団の最期》 1 《霊気の疾風》 1 《不吉な戦術》 1 《ドビンの拒否権》 1 《害悪な掌握》 3 《赦免のアルコン》 2 《絶滅の契機》 2 《オルゾフの簒奪者、ケイヤ》 -サイドボード(15)- |
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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