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2020年シーズン・グランドファイナル
2020年シーズン・グランドファイナル トップ8ラウンドハイライト
2020年10月11日
(編訳注:埋め込み動画は英語実況のものです。)
初日、2日目合わせて12回戦。スタンダードとヒストリックの2フォーマットにわたって行われた予選ラウンドを経て、「2020年シーズン・グランドファイナル」はトップ8ラウンドを迎えた。最終日の舞台に上がる8名は、ダブルエリミネーション形式の戦いで新たな王者を決めることになる。
今シーズン最後の1日にグランドファイナルの優勝トロフィーを争う8人は、いずれも素晴らしいプレイヤー揃いだ。
そしてこの決勝ラウンドは、最終的にオースティン・バーサヴィッチとアーロン・ガートラーによるチャンピオンシップマッチへ至る。ここでは、それまでの軌跡をハイライトでお届けしよう。
勝者側ブラケット
準々決勝で特に注目すべきは、殿堂顕彰者同士の一戦だ。ガブリエル・ナシフは今大会で自身14度目のトップ8入賞という偉業を果たし、一方のセス・マンフィールドはわずか1か月前の2020ミシックインビテーショナルから2大会連続の優勝を視野に入れている。
そんな両者の戦いは、一方的なものに終わった。ナシフが2連勝でマンフィールドを下したのだ。今大会唯一の「ディミーア・ローグ」使いとしてトップ8へ入賞し世界に衝撃を与えたマンフィールドだが、この試合ではナシフに一歩及ばず。フランスのレジェンド・プレイヤーが準決勝進出を決めた。
2020年シーズン・グランドファイナルでは、もう1人殿堂顕彰者が決勝ラウンドへ進出している。予選ラウンド終盤に連勝を重ねて自身5度目のトップ8入賞を達成した、ラファエル・レヴィだ。この経験豊富なベテラン・プレイヤーと準々決勝で対峙するのは、1年のうちに3度目のトップ8入賞を記録した今ホットな選手、オースティン・バーサヴィッチだった。決勝ラウンドへ多く進出した「オムナス・アドベンチャー」が、最初の同系戦を迎える。
デッキに自信を持っていたバーサヴィッチだが、この試合を支配したのはレヴィだった。彼は2ゲームを素早く連取すると、今度はエマ・ハンディの「グルール・アドベンチャー」を破ったアーロン・ガートラーと再びの「オムナス・アドベンチャー」同系戦へ挑むことになった。
準々決勝も残るは1試合。「対オムナス・デッキ」を先導してきたオータム・バーチェットの登場だ。対するは、2020プレイヤーズツアーファイナルでのトップ8入賞からわずか2か月で2度目のトップ8入賞を果たした、ブラジルの新星パトリック・フェルナンデス。それでもバーチェットは、《創造の座、オムナス》を倒すためにデザインされた「グルール・アドベンチャー」という武器に全幅の信頼を置いていた。必ずやフェルナンデスを圧倒し、勝者側ブラケット準決勝へ後押ししてくれるはずだと。
こうして、準決勝には「オムナス・アドベンチャー」使い3人とグルールを率いるバーチェットが残ったのだった。
準決勝の2試合はどちらも目を離せないものだった。
バーチェットとナシフの一戦は、バーチェットが第1ゲームを奪ったものの、第3ゲームまでもつれ込んだ熱戦を最後に制したのはナシフだった。オムナス・デッキを倒すべくバーチェットとハンディが作り上げた「グルール・アドベンチャー」は予選ラウンドを席巻したものの、バーチェットは決勝ラウンドの舞台でナシフを前に膝を屈し、敗者側ブラケットへ落とされたのだった。
勝者側ブラケット決勝でナシフと戦うプレイヤーを決める、もう1つの準決勝。こちらもまた、この舞台にふさわしい手に汗握る一戦となった。「オムナス・アドベンチャー」の同系戦でレヴィとガートラーは一進一退の攻防を繰り広げ、大一番に挑む者の気迫を見せつけた。ライフ、マナ、そして必要なカード。両者ともあらゆるリソースを駆使し、長期戦の中で最大の脅威を定着させるべく優位を奪い合った。
大乱戦から抜け出したのは、ガートラーだった。これで彼は、チャンピオンシップマッチまであと1勝に迫った。だがその1勝を得るには、再び殿堂顕彰者を打ち破らなければならない。
《創造の座、オムナス》が上げる花火が再び炸裂した。大量のマナと誘発型能力が乱れ飛ぶ激戦は、目を離せないシーソーゲームの様相を見せた。
最後に勝利をもたらしたのは、《幸運のクローバー》だった。レヴィとの対戦でも、ナシフとの対戦でも、前評判ではガートラーが勝つと予想されていなかった。だが今年はじめに「Dreamhack Open in Anaheim 2020」で優勝した際も使用したアドベンチャー・デッキで、彼はチャンピオンシップマッチの席を勝ち取ったのだ。勝者側ブラケットにおけるガートラーの活躍はその座にふさわしく、彼の腕前は疑いようがないだろう。こうしてガートラーは、ようやく一息つくことができたのだった。
敗者側ブラケット
熱戦続くトップ8ラウンドだが、まだ折り返しに過ぎない。ここからは、ガートラーとともにチャンピオンシップマッチの舞台へ上がるプレイヤーを決める戦いだ。敗者側ブラケットの中からただ1人だけが、この場に残ることができる。
頂点を目指す戦いが再び始まると、あることが明らかになった。予選ラウンドのスタンダード部門で快勝を続けてきた「ディミーア・ローグ」と「グルール・アドベンチャー」だが、今日この日は《創造の座、オムナス》のものであったのだ。ハンディとマンフィールドは復活を懸けた戦いでオムナス・デッキに敗れ、フェルナンデスはレヴィと、そしてバーサヴィッチは最後の対オムナス・デッキである「グルール・アドベンチャー」を操るバーチェットと対峙する。
バーチェットはこの週末、《創造の座、オムナス》という倒すべき相手の進行を阻止するべく強い決意で挑んだ。しかしバーサヴィッチは止まらなかった。緊張感あふれる3ゲームを通して、彼はバーチェットが繰り出す《エンバレスの宝剣》や巨大な《山火事の精霊》といったゲームエンド級の脅威をさばいていったのだ。
勝負は、バーサヴィッチが第3ゲームを制して決着した。これで《創造の座、オムナス》が最終的な勝者となることが確定した。バーサヴィッチは、負ければ終わりの試合を連続で生き抜いたのだ。
一方、フェルナンデスとレヴィも真っ向勝負を繰り広げた。1ゲームずつ取り合う一進一退の展開を見せた両者の試合は、最終ゲームでレヴィの《エッジウォールの亭主》2枚が戦場に残り、彼に燃料を供給し続けた。レヴィはさらに《幸運のクローバー》も盤面に2枚追加し、そこからは雪だるま式にアドバンテージを獲得していった。
チャンピオンシップマッチの舞台で待つガートラーのもとへ向かうプレイヤーは、残り3人。バーサヴィッチとレヴィによる試合の勝者が、最後の戦いの席を懸けてナシフと対峙することになる。
歴史に残るであろう今大会において、バーサヴィッチの歴史的な快走はレヴィをもってしても止められなかった。いずれも長時間にわたる接戦となった3ゲームを通して、両者はダメージとリソースを交換し合った。ゲームの形勢は拮抗し、膠着状態が続いた。そしてバーサヴィッチは、今大会中に何度も見せた彼の必殺技とも言える一撃を放つ――《豆の木の巨人》を《投げ飛ばし》であなたに。
この劇的な勝利を表現するには、「のちの世に語り継がれる」という言葉でも足りない。《投げ飛ばし》で勝ったときの気持ちと《投げ飛ばし》で負けたときの気持ちを一度に感じられる最高のクリップをご紹介しよう。
3日間にわたる戦いが、12回戦におよぶ予選ラウンドが、そしてトップ8ラウンドの激戦がついに、バーサヴィッチとナシフによるこの週末最後の戦いの席を懸けた一戦に収束した。
ここまでご覧いただいた皆さんなら、今後の展開を予想できるだろう。両者ともマナを加速し、《水蓮のコブラ》を除去し、《創造の座、オムナス》の能力を誘発させ、そして再び、試合は第3ゲームまでもつれ込んだ。決着のゲームには、「オムナス・アドベンチャー」ならではのドラマが待っていた。
最終ゲーム、バーサヴィッチは序盤の優位を得てナシフのライフを残り7点まで削っていった。それでもナシフは《僻境への脱出》で潤沢なマナとカードを確保し、18点ものダメージを生み出す対戦相手の盤面を前にしても動じなかった。
しかしナシフは失念していた――バーサヴィッチが《投げ飛ばし》の達人であることを。バーサヴィッチはナシフのライフを吹き飛ばせるだけのパワーを持つ《豆の木の巨人》を投げ捨て、ナシフの打ち消し呪文にも《否認》を当てた。この日最初の試合に負けて後がない状況に追い詰められながらも、バーサヴィッチはそれを乗り越え、チャンピオンシップマッチへ続く道を切り開いたのだ。
オースティン・バーサヴィッチとアーロン・ガートラー。ともにデッキを調整したチームメイトの2人だが、2020年シーズン・グランドファイナルの優勝トロフィーを掲げられるのはただ1人であることを知っている。
(Tr. Tetsuya Yabuki)
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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