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行弘賢のよくわかる!リミテッド講座

2015.03.25

行弘賢のよくわかる!リミテッド講座 第3回:『タルキール龍紀伝』発売直前!新環境ドラフト攻略

 皆さんこんにちは! 『タルキール龍紀伝』が発売ということで、今回もリミテッド講座をやっていきたいと思います。『タルキール覇王譚』を使わなくなったドラフト新環境をしっかり予想していきます!

 前回の『運命再編』の時の記事を読んでいない方は、第1回第2回の連載を読んでからこちらを見ていただけるとより記事が読みやすくなると思いますので、そちらもよろしくお願いいたします。

1.環境の変化〜『タルキール龍紀伝』参入後のタルキールドラフト〜

 『タルキール龍紀伝』参入後のドラフトは、『タルキール龍紀伝』→『タルキール龍紀伝』→『運命再編』と開封するドラフトです。同じタルキール・ブロックのドラフトですが、『タルキール覇王譚』を使用しなくなったうえ、今までのドラフトと共通の『運命再編』も最後に開封と、まったく別のドラフトになったと言えるでしょう。

ファーストインプレッション

 今回の『タルキール龍紀伝』のカードリストを見たファーストインプレッションは、以下の5点です。

  • 新たなキーワード能力「反復」「圧倒」「大変異」がリミテッド向きで強力
  • 赤のコモンがクリーチャー、除去ともに強く、人気色になりそう
  • 赤以外の色は、除去が弱い割にクリーチャーが強い
  • 3色以上は難しそう
  • 『運命再編』の対抗色カードが取りにくそう

 順番に解説していきます。

新たなキーワード能力「反復」「圧倒」「大変異」がリミテッド向きで強力

 「濫用」以外の3つの新キーワード能力は基本的にただ強い能力で、どれもほとんどただのボーナスなので、使い勝手が非常に良いと思われます。「濫用」は効果こそ大きいものの、盤面次第では濫用できないこともあり、メインの色が青黒でクリーチャーの線の細い色の組み合わせになってしまうので、デッキ構築の際には注意したいですね。

赤のコモンがクリーチャー、除去ともに強く、人気色になりそう

 赤のコモンは《衝撃の震え/Impact Tremors(DTK)》、《破壊行為/Vandalize(DTK)》以外はほとんどがメインデッキでの使用に耐えうるスペックのカードばかりで、コモンの3種の除去、《双雷弾/Twin Bolt(DTK)》、《尾の切りつけ/Tail Slash(DTK)》、《サルカンの怒り/Sarkhan's Rage(DTK)》はどれも除去として良質で、人気色となる可能性が高いです。

赤以外の色は、除去が弱い割にクリーチャーが強い

 逆に赤以外はコモンにこれといって強い除去が存在しません。強力なはずの白の《平和な心/Pacifism(DTK)》ですら濫用の餌にされたり圧倒達成の水増しになったりと環境的な向かい風があるため、マナ効率の良い強いクリーチャーがひたすらに強いというテンポ環境になるのではないかと思います。

3色以上は難しそう

 『タルキール龍紀伝』の土地が事実上《進化する未開地/Evolving Wilds(DTK)》しかないので、以前より多色化するのは難しくなったと言えます。ですがそもそも3色以上のカードがほとんど環境に無いため、3色以上で組むメリットもかなり減りました。とはいえ、シングルシンボルでタッチできる強いレアカードは多数存在するので、それらを《進化する未開地/Evolving Wilds(DTK)》や『運命再編』の2色土地を取ってタッチするのは良いと思います。

『運命再編』の対抗色カードが取りにくそう

 『タルキール龍紀伝』が各種友好色ドラゴン推しのパックなので、基本的には友好色ピック推奨となってきます。そのため『運命再編』の《狡猾な一撃/Cunning Strike(FRF)》のような対抗2色コモンサイクルはピックしづらくなり、以前に比べてかなり安く拾えると思います。


 ここまでがカードリストを見た最初の感想です。

 今回は『運命再編』のパックこそ含んでいるものの、前回の環境とはまったく違う、ほぼ新しいブロックのドラフトと言えますね。

 さて、次は『タルキール龍紀伝』の新キーワード能力について見ていきましょう。

2.新キーワード能力について

反復

この呪文があなたの手札から唱えられたなら、これの解決に際し、これを追放する。あなたの次のアップキープの開始時に、あなたはこのカードを追放領域からこれのマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。


 反復は青白のキーワード能力です。『エルドラージ覚醒』が初出のこの能力は、当時も《よろめきショック/Staggershock(ROE)》などをはじめとして評価が高いものが多く、今回も期待できると思います。『運命再編』の果敢持ちのカードとの相性も良く、反復はシナジーするカードが多い印象です。

濫用

このクリーチャーが戦場に出たとき、あなたはクリーチャーを1体生け贄に捧げてもよい。
[カード名]がクリーチャーを1体濫用したとき〜


 濫用は青黒のキーワード能力で、クリーチャーを生け贄に捧げることによって様々なボーナスを得ることができる能力です。濫用を持つクリーチャー自身を生け贄にして効果を得ることも可能です。生け贄に捧げるクリーチャーに制限はないので、死亡した時になにかしらボーナスがあるクリーチャーを生け贄にしたり、トークンのようなアドバンテージを失わないクリーチャーを生け贄にするようにしたいですね。

圧倒

あなたがコントロールするクリーチャーのパワーの合計が8以上である〜


 圧倒は赤緑のキーワード(能力語)で、比較的達成するのが容易な、強力な能力です。恩恵も様々で、圧倒すると起動型能力が使えるようになったり、先制攻撃のような戦闘が有利になる能力がついたりします。圧倒持ちカードは基本スペックも並のクリーチャー以上のものが多く、赤緑はかなり優遇されているカラーコンビネーションと言えます。

大変異

あなたはこのカードを、{3}で2/2クリーチャーとして裏向きに唱えてもよい。これの大変異コストで、これをいつでも表向きにしてよい。そうしたなら、これの上に+1/+1カウンターを1個置く。


 変異との違いは、表向きになったときに+1/+1カウンターが乗る、その一点のみです。大変異持ちの大きなメリットは「大変異コストが読みにくい」ということです。コモンにすらほとんどのマナ域で表向きになれるカードが存在しており、『タルキール覇王譚』の変異の「一方的な戦闘になるのは5マナから」が通用しなくなっています。とはいえ、極端にサイズアップするカードは5マナ以上がほとんどなので、2/2と相打ちできるサイズならば基本的にはそこまで警戒することもないでしょう。

 表向きになるとなんらかのボーナスがあるクリーチャー(《僧院の伝承師/Monastery Loremaster(DTK)》など)がコモンからそこそこいるので、変異は除去できるならば除去しておいて損は無いかもしれません。

3.『タルキール龍紀伝』の注目のカード

 さて、それではここからは色別、レアリティ別(コモン・アンコモン)で、僕が強力だと思うカード・トップ3を挙げていきたいと思います(3枚の中での順位はつけません)。皆さんも最初はカードの強さがいまいちよく分からないと思うので、ぜひ参考にしてみてください。

白・アンコモン

《エイヴンの陽光弾手/Aven Sunstriker(DTK)》:変異からの大変異と合計で8マナかかるものの、飛行の4点クロックは強いです。強化呪文との合わせ技ならばすぐに相手に致命傷を与えることも可能です。{W}{W}がきついものの、素出ししても強力です。

《ドロモカの隊長/Dromoka Captain(DTK)》:先制攻撃も相まって、一度攻撃しだしたらなかなか止まりません。鼓舞によりずーっと自陣を強化し続けるので、厄介なこと極まりないですね。

《絹包み/Silkwrap(DTK)》:点数で見たマナ・コストが3以下と、除去の範囲は狭そうですが、裏向きのクリーチャーを追放できるので使い勝手はそこまで悪くありません。環境に軽い除去が少ないので、低マナの除去は貴重ですね。

白・コモン

《平和な心/Pacifism(DTK)》:基本的にはほぼ完全除去として機能する優秀な2マナの除去です。濫用されたり割られたりするリスクがあるので、サイドボード後は注意が必要です。

《巧みな機動/Artful Maneuver(DTK)》:一度戦闘で使用し、反復時にまたブロックされにくくしたり打点を2点上乗せしたりと、テンポ戦略に合致した優秀なコンバットトリックです。

《霧蹄の麒麟/Misthoof Kirin(DTK)》:大変異のコストが{1}{W}と軽く、パワー3の警戒飛行持ちなのでコモンとしては破格のスペックですね。


青・アンコモン

《シルムガルの魔術師/Silumgar Sorcerer(DTK)》:悪くても自身を生け贄に相手のクリーチャーを打ち消し、押している盤面なら普通に2/1飛行として出してもかまいません。もちろん、自軍の一番弱いクリーチャーを濫用できるとベストですね。

《空智の教え/Skywise Teachings(DTK)》:2マナを追加で支払うだけで2/2飛行クリーチャーが出るというのは非常に効率が良く、反復持ち呪文との相性は特筆に値します。《ナーガの意志/Will of the Naga(FRF)》のような探査の呪文とも相性が良いと言えます。

《虚空のスコール/Void Squall(DTK)》:2回に分けてバウンスができるというのはかなり強力で、対戦相手のテンポを大きく削ぐ効果が期待できます。《平和な心/Pacifism(DTK)》が付いた自分のクリーチャーを戻したり、濫用付きクリーチャーを戻したりと汎用性も高いですね。

青・コモン

《神出鬼没の呪拳士/Elusive Spellfist(DTK)》:序盤は1/3というサイズが頼もしく、中盤以降はブロック不可のクロックとして襲い掛かる、攻めにも守りにも適した、バランスのとれたオールラウンダーです。

《オジュタイの召喚/Ojutai's Summons(DTK)》:5マナで2/2飛行が2体というのはかなり強力で、それだけでゲームに勝つことが可能なほどです。反復持ちなので果敢などとの各種シナジーも期待できます。

《オジュタイの息吹/Ojutai's Breath(DTK)》:反復により2回に分けて唱えることで、自ターンまでタップする対象を保留できるのは強力で、相手の後続をタップし攻めを継続することもできます。《空智の教え/Skywise Teachings(DTK)》の次のターン、5マナでトークンを出しながら相手をタップさせる動きはマナカーブ的にも非常に美しいですね。


黒・アンコモン

《究極の価格/Ultimate Price(DTK)》:2マナとインスタントという2項目がかなり強力で、相手から読まれにくい優秀な除去です。ボムであり『タルキール龍紀伝』に多数存在する多色のドラゴンには触れないので、過信は禁物。

《ウクドのコブラ/Ukud Cobra(DTK)》:2/5接死と単純明快な強さ。タフネス参照の除去では除去しづらく、コンバットトリックでは損してしまうことが多く、壁役としてはいやらしいことこの上ないでしょう。

《ラクシャーサの墓呼び/Rakshasa Gravecaller(DTK)》:自身のサイズが3/6と普通以上で、なおかついきなり2/2を2体追加するので、盤面へのインパクトは凄まじいです。

黒・コモン

《押し倒し/Defeat(DTK)》:表向きになるとやっかいな大変異を2マナで除去できるので、テンポの面で見ても優秀な除去です。

《押し拉ぎ/Flatten(DTK)》:大抵のクリーチャーは除去できますし、コンバットトリックとしても使用可能なので優秀な除去といえます。

《禿鷹エイヴン/Vulturous Aven(DTK)》:4マナ2/3飛行だけで十分なスペックなのに、ドローまでついてきたらおいしすぎると思いません?


赤・アンコモン

《龍詞の咆哮/Draconic Roar(DTK)》:普通に使えばクリーチャー限定の《稲妻の一撃/Lightning Strike(M15)》ですが、ドラゴンさえあればそれがプレイヤーにもダメージが与えられる、1粒で2度美味しいカードです。

《焙り焼き/Roast(DTK)》:地上限定とはいえ、5点ダメージはほぼ完全除去なのでかなり優秀と言えます。

《カル・シスマのビヒモス/Qal Sisma Behemoth(DTK)》:攻撃やブロックにマナこそかかるものの、3マナで5/5というサイズはかなり驚異的。2マナで毎ターン《溶岩の斧/Lava Axe(M14)》をプレイできると思えば破格じゃないでしょうか?

赤・コモン

《サルカンの怒り/Sarkhan's Rage(DTK)》:ドラゴンをコントロールしていない場合は自分に2点ダメージを与えるデメリットこそありますが、それでもプレイヤー、クリーチャーを選べるインスタントの5点火力は強力の一言。

《双雷弾/Twin Bolt(DTK)》:2マナなのに盤面で2体のクリーチャーを対処することも可能で、普通に《ショック/Shock(M12)》としてプレイしても十分に強いです。プレイヤーにも飛ぶので使い勝手が良い火力ですね。

《尾の切りつけ/Tail Slash(DTK)》:赤のクリーチャーはパワー偏重のいわゆる「頭でっかち」が多いため、一方的にパワー分のダメージを与えるこのカードは除去としての信頼性が高いです。さらにインスタントなので使いやすいですね。


緑・アンコモン

《塩路補給部隊/Salt Road Quartermasters(DTK)》:3マナ3/3と環境の他のクリーチャーより初期サイズが大きく、さらに他のクリーチャーを絡めた戦闘を有利に進めることもできる、非常に優秀なクリーチャーです。

《鱗衛兵の歩哨/Scaleguard Sentinels(DTK)》:ドラゴンさえ公開できたら2マナ3/4と破格のスペックとなります。そうでなくても2/3で十分戦力となり、どちらにせよ優秀ですね、

《押し進み/Press the Advantage(DTK)》:もはやコンバットトリックというよりはインスタントの《踏み荒らし/Overrun(ODY)》に近い性能のカード。読みきることは難しく、例え読めたとしてもトランプルのせいで「詰み」の盤面を作り出すことが可能な強力インスタント。

緑・コモン

《勇壮な対決/Epic Confrontation(DTK)》:獰猛していなくても「熊パン」こと《凶暴な殴打/Savage Punch(KTK)》とほとんど同じ効果が得られます。かなり使い勝手がよく、強力な除去です。

《龍傷負いの熊/Dragon-Scarred Bear(DTK)》:圧倒時の再生コストが軽く、一度圧倒したら攻守に渡って活躍間違いなしのクリーチャーです。

《アタルカの獣壊し/Atarka Beastbreaker(DTK)》:後半引いても、圧倒さえしていれば6/6、またはそれ以上になる優秀な2マナ域です。


 以上、各色のトップ3でした。

 赤、白、青、緑は惜しくもトップ3に入らなかったものの4番目、5番目も同じぐらい強力なコモンがあり、逆に黒は少々コモンが物足りない印象を受けました。除去は強力なので、2色目として運用するのが良いかもしれませんね。

 さて次は、『タルキール龍紀伝』参入後の注目アーキタイプをチェックしていきましょう!


4.『タルキール龍紀伝』の注目のアーキタイプ

 前回の環境と比べてほとんど別の環境になったと言えるので、新たなアーキタイプが多数生まれています。逆に前回強かったアーキタイプは、使用パックの大きな変更により同じ色の組み合わせでもほとんどが別のアーキタイプへと一新されています。『タルキール龍紀伝』が友好色推しのパックなので、対抗色はあまり良い組み合わせではなくなりました。

注目のアーキタイプその1:青白反復

 《オジュタイの息吹/Ojutai's Breath(DTK)》や《オジュタイの召喚/Ojutai's Summons(DTK)》など、反復持ちのカードは強力なものが多いので、それらとシナジーを形成する《空智の教え/Skywise Teachings(DTK)》や果敢持ちを上手く運用していきましょう。飛行クリーチャーが多い色の組み合わせなので、飛行で殴りながら反復のカードでダメージレースを制していくのも強力な動きです。

注目のアーキタイプその2:赤緑圧倒

 赤と緑はクリーチャーのサイズが優秀で、《アタルカの獣壊し/Atarka Beastbreaker(DTK)》や《剣歯虎の先導隊/Sabertooth Outrider(DTK)》など圧倒で自分自身を強化する術を持っているため、要所要所で呪文を使って戦闘を有利に進めることができたら、それだけでそれこそ対戦相手を圧倒することができるでしょう。

注目のアーキタイプその3:青黒濫用

 青と黒には《宮殿の使い魔/Palace Familiar(DTK)》、《ジェスカイの賢者/Jeskai Sage(FRF)》、《スゥルタイの使者/Sultai Emissary(FRF)》と濫用のしがいのあるクリーチャーがそろっており、アドバンテージを失わずに濫用できるうえに青黒2色が濫用のカラーなのでかなり噛み合っていると言えます。ただしクリーチャーの線が細く、相手の大型クリーチャーに対処するのが難しいので、しっかりと除去をピックするようにしたいですね。

注目のアーキタイプその4:3色ドラゴン

 『タルキール龍紀伝』のレアやアンコモンにはマルチカラーの強力なドラゴンが多数存在します。しかしながら2色では友好色1色分のドラゴンしかデッキに入れることができないので、このアーキタイプではマナベースを強化していきます。マナベースが弱くなったとはいえ、3色対応可能な《進化する未開地/Evolving Wilds(DTK)》や2色土地は健在。アンコモンにはなりますが《シルムガルの碑/Silumgar Monument(DTK)》のようなマナベースを強化するカードもあります。以前の環境のような4色以上の多色は厳しいですが、2色タッチ1色で組めばドラゴンの氏族2つに対応可能なので、ドラゴン以外も強力なレアカード、「ボム」をタッチできる幅が広がり、カードパワーをいかんなく発揮できるでしょう。

 注目のアーキタイプは以上です。これからドラフトする際に参考にしてみてください。


5.最後に

 さて、これで今回の記事は終わりです。最後まで読んでいただいてありがとうございました。この記事が少しでも、皆さんが新環境のドラフトを楽しむ助けになれば幸いです。プロツアー『タルキール龍紀伝』後には再度環境の振り返り、答え合わせ編をやりますので、そちらもよろしくお願いします。

 皆さんまた来月の連載の記事でお会いしましょう。それでは!

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