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津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ

2017.02.23

津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ メタの中心とそれを取り巻くローグデッキ特集

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 こんにちは! 晴れる屋の津村です。

 各種「機体」デッキが大暴れしたプロツアー『霊気紛争』から早いもので2週間が経ちました。みなさんご存知のように、プロツアーは「機体」の独壇場で幕を閉じたわけですが、その後スタンダード環境はどのように変化したのでしょうか。

 今週は「グランプリ・ピッツバーグ2017」を中心に、Magic Onlineのプロツアー予選や、Magic Online Championship (以下MOCS)の結果を振り返りながら、プロツアー後のメタゲームの流れを追っていきたいと思います。

 今回はおまけとして珍しいデッキを多めにお届けしますので、そちらもお楽しみいただければ幸いです。それでは、まずは「グランプリ・ピッツバーグ2017」の結果をご覧いただきましょう。

グランプリ・ピッツバーグ2017 トップ8デッキ (2017年2月11~12日)

  • 優勝・「黒緑アグロ」
  • 準優勝・「マルドゥ (赤白黒) 機体」
  • 3位・「マルドゥ (赤白黒) 機体」
  • 4位・「黒緑エネルギー」
  • 5位・「黒緑昂揚」
  • 6位・「ジェスカイ・サヒーリコンボ」
  • 7位・「黒緑昂揚」
  • 8位・「黒緑アグロ」

 プロツアーとは打って変わって「黒緑」に支配された同大会。「黒緑」には「エネルギー型」、「昂揚型」、それらふたつに分類されない「アグロ型」と実に多くのバリエーションが存在しますが、ほぼ全てのバージョンに共通するのは《巻きつき蛇/Winding Constrictor》による圧倒的な爆発力を軸にしている点です。

 ご存知「黒緑」デッキの核を成すこのカード。《ピーマの改革派、リシュカー/Rishkar, Peema Renegade》・《新緑の機械巨人/Verdurous Gearhulk》といった面々との強烈なシナジーはもちろんのこと、「エネルギー」戦略ともよく噛み合う1枚です。

 また、《歩行バリスタ/Walking Ballista》とのコンボもお手軽かつ強力で、これは特にタフネス1のクリーチャーが多い「機体」デッキに効果覿面であり、なおかつ「サヒーリコンボ」を容易に妨害できる手段としても重宝します。

 「黒緑」と対峙する際には、とにもかくにも《巻きつき蛇/Winding Constrictor》をすぐに除去できるかどうかが非常に重要であり、それを加味して最近では《チャンドラの誓い/Oath of Chandra》や《焼夷流/Incendiary Flow》といったカードの使用率が上がってきています。

 「マルドゥ機体」の除去カードも《ショック/Shock》から《致命的な一押し/Fatal Push》へと変化しており、構築の段階で《巻きつき蛇/Winding Constrictor》を強く意識したデッキリストが増えてきた印象です。「グランプリ・ピッツバーグ2017」だけでなく、プロツアー予選やMOCSでも「黒緑」は明確な勝ち組となっており、今後しばらくの間は「黒緑」に負けない構築やデッキ選択が必要不可欠になるでしょう。

 それでは、ここからは各種注目デッキをご覧ください。

「黒緑」

Ryan Hare - 「黒緑アグロ」
グランプリ・ピッツバーグ2017 優勝 / スタンダード (2017年2月11~12日)
9 《森》
7 《沼》
4 《花盛りの湿地》
4 《風切る泥沼》

-土地(24)-

4 《森の代言者》
4 《歩行バリスタ》
4 《巻きつき蛇》
3 《ピーマの改革派、リシュカー》
2 《地下墓地の選別者》
4 《新緑の機械巨人》

-クリーチャー(21)-
4 《致命的な一押し》
4 《ニッサの誓い》
3 《闇の掌握》
1 《霊気圏の収集艇》
3 《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》

-呪文(15)-
3 《不屈の追跡者》
2 《ゲトの裏切り者、カリタス》
2 《膨らんだ意識曲げ》
3 《精神背信》
2 《鞭打つ触手》
1 《人工物への興味》
1 《破滅の道》
1 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》

-サイドボード(15)-
グランプリ・ピッツバーグ2017 イベントカバレージ より)

 「グランプリ・ピッツバーグ2017」を制したのは、「エネルギー」でも「昂揚」でもないバランス型でした。《ニッサの誓い/Oath of Nissa》を採用することで、序盤の安定性に長けているのが特徴的なリストです。

 「黒緑」はクリーチャーが最も充実したカラーリングであり、特に2マナ域のクリーチャー選択はデッキ構築者の意図が色濃く反映されます。コントロールデッキに優秀な《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger》を選ぶ人もいれば、「黒緑」と「機体」に強い《才気ある霊基体/Gifted Aetherborn》を選択する人もいますが、このリストでは対戦相手のデッキを問わず活躍が期待できる《森の代言者/Sylvan Advocate》が採用されています。

 《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger》や《才気ある霊基体/Gifted Aetherborn》は、特定のマッチアップでは2マナとは思えないほどの働きぶりを見せてくれるものの、前者はビートダウンデッキに、後者はコントロールデッキに対して非力さが目立ち、対戦相手のデッキによって強弱に差が出るカードです。その点《森の代言者/Sylvan Advocate》は堅実さを絵に描いたようなカードなのでムラが少なく、ここにきて改めて存在感を示した1枚。

 他のカード選択を見ても全体的にバランスの良い構成に仕上がっている印象を受けますが、ここ最近ではミラーマッチを意識したより積極的なアプローチも散見されます。

「黒緑エネルギーアグロ」

Brad Nelson - 「黒緑エネルギーアグロ」
StarCityGames.com Classic Baltimore 準優勝 / スタンダード (2017年2月19日)
7 《沼》
5 《森》
4 《花盛りの湿地》
4 《風切る泥沼》
4 《霊気拠点》

-土地(24)-

4 《導路の召使い》
4 《歩行バリスタ》
4 《巻きつき蛇》
3 《光袖会の収集者》
4 《不屈の追跡者》
2 《豪華の王、ゴンティ》
4 《新緑の機械巨人》

-クリーチャー(25)-
4 《致命的な一押し》
3 《闇の掌握》
1 《殺害》
3 《霊気圏の収集艇》

-呪文(11)-
2 《膨らんだ意識曲げ》
4 《精神背信》
2 《自然廃退》
2 《造命師の動物記》
1 《殺害》
1 《苦い真理》
1 《破滅の道》
2 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》

-サイドボード(15)-
StarCityGames.com より引用)

 スタンダードを得意とするブラッド・ネルソンがプロツアー『霊気紛争』から一貫して使用しているデッキが、メインから《豪華の王、ゴンティ/Gonti, Lord of Luxury》を採用した「黒緑」デッキです。

 《才気ある霊基体/Gifted Aetherborn》しかり、ミラーマッチにおける「接死」のインパクトは相当なものですが、《豪華の王、ゴンティ/Gonti, Lord of Luxury》はそれに加えアドバンテージ獲得能力まで付随しています。「黒緑」はデッキ全体としてビートダウンデッキに強くコントロールデッキに弱いという側面がありますが、《豪華の王、ゴンティ/Gonti, Lord of Luxury》ならばミラーマッチへのガードを上げつつ苦手なデッキへの耐性を高めてくれます。

 また、このリストは「黒緑」に必ずといっていいほど採用されている《ピーマの改革派、リシュカー/Rishkar, Peema Renegade》が不採用となっている点にも注目です。代わりに《不屈の追跡者/Tireless Tracker》を4枚採用することで、前述の《豪華の王、ゴンティ/Gonti, Lord of Luxury》、《光袖会の収集者/Glint-Sleeve Siphoner》と合わせて一般的なリストよりもはるかに長期戦に強くなっており、消耗戦にさえ持ち込めれば概ねゲームを掌握することができる構成に仕上がっています。

 さらにはこれらのカードを生かしやすくするために、2マナ域に比較的珍しい《導路の召使い/Servant of the Conduit》が採用されています。後半戦に腐りやすいというマナクリーチャー特有の悩みも、《霊気圏の収集艇/Aethersphere Harvester》の「搭乗」員として使用することで無駄なく活用することができるようになっています。

 デッキは2色でまとめられているものの、《導路の召使い/Servant of the Conduit》と《霊気拠点/Aether Hub》が入っていることを生かしてサイドボードに《苦い真理/Painful Truths》が採用されていたりと、デッキリストのいたるところから創意工夫が感じられる素晴らしいリストですね。

「コピーキャットの逆襲・4色サヒーリの復権」

Jaberwocki - 「4色サヒーリ」
Magic Online Competitive Standard Constructed League 5勝0敗 / スタンダード (2017年2月13日)
5 《森》
1 《島》
1 《山》
1 《平地》
4 《植物の聖域》
2 《獲物道》
2 《尖塔断の運河》
4 《霊気拠点》
1 《進化する未開地》

-土地(21)-

4 《導路の召使い》
4 《ならず者の精製屋》
4 《つむじ風の巨匠》
4 《守護フェリダー》

-クリーチャー(16)-
4 《霊気との調和》
4 《ニッサの誓い》
3 《チャンドラの誓い》
4 《蓄霊稲妻》
4 《サヒーリ・ライ》
3 《反逆の先導者、チャンドラ》
1 《実地研究者、タミヨウ》

-呪文(23)-
3 《不屈の追跡者》
2 《払拭》
2 《自然のままに》
3 《否認》
1 《自然廃退》
1 《チャンドラの誓い》
2 《バラルの巧技》
1 《実地研究者、タミヨウ》

-サイドボード(15)-
MTGO Standings Competitive Standard Constructed League より)

 ここ数日、「黒緑アグロ」への対抗馬としてメキメキと頭角を現しているのが《チャンドラの誓い/Oath of Chandra》を採用した「4色サヒーリ (コピーキャット)」です。従来の《蓄霊稲妻/Harnessed Lightning》に加えて《チャンドラの誓い/Oath of Chandra》を採用しているおかげで《巻きつき蛇/Winding Constrictor》に余裕をもって対処できるようになっていています。

 もとより「戦場に出た時」に誘発する能力を持つクリーチャーや《ニッサの誓い/Oath of Nissa》を多用しているために、他のデッキよりも《守護フェリダー/Felidar Guardian》を強く運用できる点がこのデッキの強みでしたが、《チャンドラの誓い/Oath of Chandra》は新たな《守護フェリダー/Felidar Guardian》の相棒として「4色サヒーリ」にピッタリとフィットしています。

 さらに「黒緑」デッキに対して非常に効果的な《実地研究者、タミヨウ/Tamiyo, Field Researcher》や《バラルの巧技/Baral's Expertise》など、「黒緑」過多のメタゲームを想定したカード選択が目を惹きます。

 どちらも膨大な時間を稼ぎ出してくれるカードですが、《バラルの巧技/Baral's Expertise》は《歩行バリスタ/Walking Ballista》が複数体いる状態からでもコンボを決められたりと奇襲性も抜群です。ただしこの手法は今では広く知られてきていることもあり、「黒緑」側は「プレインズウォーカー」や《バラルの巧技/Baral's Expertise》で負けない盤面を作ることに注力してくることが多いので、マナベースに手を加えて《燻蒸/Fumigate》にしてしまうのも一考に値します。

 すでにミラーマッチが相当に多くなってきているため、少なくともサイドボードにはミラーマッチ対策が必須となります。《領事の権限/Authority of the Consuls》といった露骨なコンボ対策を施しているリストもありますが、僕のお勧めは《霊気池の驚異/Aetherworks Marvel》です。

 《霊気池の驚異/Aetherworks Marvel》は設置に成功してしまえば対戦相手の倍以上の手数で、なおかつインスタントタイミングで行動できるようになります。一見地味に見えるかもしれませんが、ミラーマッチに限れば《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance》や《実地研究者、タミヨウ/Tamiyo, Field Researcher》よりもはるかに強力なカードなので、ぜひ一度お試しいただければと思います。

 このアーキタイプは「黒緑」にしっかりと戦える一方で、「マルドゥ機体」と「ジェスカイ・サヒーリコンボ」を苦手とします。「機体」相手にコンボで勝つのは容易ではないため、サイドボード後にはコンボに頼らない構成で戦えれば理想的ですね。「ジェスカイ・サヒーリコンボ」に関しては、このデッキにとっては幸いなことにプロツアー以降めっきり数を減らしてきているので、それも「4色サヒーリ」が勢力を伸ばしている要因のひとつと言えるでしょう。

ローグデッキ特集

 今現在のMagic Onlineは体感だと「黒緑」と「4色サヒーリ」が圧倒的に多く、それに「機体」が続く形となっていますが、Magic Onlineの結果が掲載されているこちらのページを覗いてみると、それ以外にも非常に楽しそうなリストがいくつか結果を残しています。ここからはそれら少し珍しいデッキもご覧いただきましょう。

「青赤ゾンビ」

fluffy21 - 「青赤ゾンビ」
Magic Online Competitive Standard Constructed League 5勝0敗 / スタンダード (2017年2月18日)
6 《島》
5 《山》
4 《尖塔断の運河》
4 《さまよう噴気孔》
2 《高地の湖》
2 《ウギンの聖域》

-土地(23)-

4 《秘蔵の縫合体》
4 《縫い翼のスカーブ》
4 《改良された縫い翼》
4 《老いたる深海鬼》

-クリーチャー(16)-
3 《稲妻の斧》
4 《安堵の再会》
3 《苦しめる声》
4 《熱病の幻視》
4 《コジレックの帰還》
3 《癇しゃく》

-呪文(21)-
2 《不憫なグリフ》
1 《払拭》
1 《稲妻の斧》
2 《街の鍵》
2 《否認》
2 《呪文萎れ》
1 《癇しゃく》
2 《ナヒリの怒り》
2 《グレムリン解放》

-サイドボード(15)-
MTGO Standings Competitive Standard Constructed League より)

 「グランプリ・ピッツバーグ2017」でSteve Rubinらが使用し脚光を浴びた「青赤ゾンビ」。《稲妻の斧/Lightning Axe》・《安堵の再会/Cathartic Reunion》・《苦しめる声/Tormenting Voice》で《縫い翼のスカーブ/Stitchwing Skaab》か《改良された縫い翼/Advanced Stitchwing》を墓地に落とし、そこに《秘蔵の縫合体/Prized Amalgam》と《老いたる深海鬼/Elder Deep-Fiend》を絡めて攻勢に移るデッキです。

 「黒緑」と「機体」に対して有効である《コジレックの帰還/Kozilek's Return》を効果的に活用できるデッキのひとつであり、クリーチャーデッキに強いデッキとして白羽の矢が立ちました。

 攻撃手段が再利用可能なクリーチャーばかりなので、一見コントロールデッキに対して強そうに見えますが、序盤の展開にもたついてしまうと《安堵の再会/Cathartic Reunion》・《苦しめる声/Tormenting Voice》・《熱病の幻視/Fevered Visions》を打ち消されてしまったり、《縫い翼のスカーブ/Stitchwing Skaab》や《改良された縫い翼/Advanced Stitchwing》の「墓地から戦場に戻る」能力を《不許可/Disallow》で打ち消されてしまい苦戦を強いられます。青いデッキに対してはタップアウトの隙に《縫い翼のスカーブ/Stitchwing Skaab》たちを戦場に戻すように心がけ、《熱病の幻視/Fevered Visions》で早期決着を狙うといいでしょう。

 安定性には多少の難があるものの、それを補って余りあるほどの爆発力と爽快感を秘めたデッキで、クリーチャーデッキが多い今のような環境でこそ真価を発揮することができます。

「ティムール《電招の塔/Dynavolt Tower》」

yaya3 - 「ティムール・電招の塔」
Magic Online Competitive Standard Constructed League 5勝0敗 / スタンダード (2017年2月14日)
5 《森》
1 《島》
1 《山》
4 《植物の聖域》
2 《伐採地の滝》
4 《尖塔断の運河》
4 《霊気拠点》

-土地(21)-

3 《守られた霊気泥棒》
4 《ならず者の精製屋》
3 《奔流の機械巨人》

-クリーチャー(10)-
4 《霊気との調和》
1 《ショック》
4 《蓄霊稲妻》
3 《予期》
2 《焼夷流》
2 《否認》
1 《自然廃退》
4 《電招の塔》
3 《虚空の粉砕》
4 《天才の片鱗》
1 《粗暴な排除》

-呪文(29)-
3 《つむじ風の巨匠》
2 《払拭》
1 《儀礼的拒否》
2 《否認》
1 《自然廃退》
2 《コジレックの帰還》
2 《即時却下》
2 《慮外な押収》

-サイドボード(15)-
MTGO Standings Competitive Standard Constructed League より)

 Magic Online上で年間最優秀選手に輝いたこともあるyaya3が作り上げたデッキが「ティムール《電招の塔/Dynavolt Tower》」デッキです。一般的な《電招の塔/Dynavolt Tower》デッキと言えば、大量のソーサリー・インスタント呪文にクリーチャーは《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk》のみといった構成がお馴染みですが、このリストでは「エネルギー」に着目して《守られた霊気泥棒/Shielded Aether Thief》や《ならず者の精製屋/Rogue Refiner》といったカードが加えられています。

 これだけでも並々ならぬ構築センスを感じますが、このデッキでご注目いただきたいもうひとつのポイントが《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger》対策が目白押しな点です。

 コントロールデッキにとって何度でも蘇る《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger》は悩みの種以外の何物でもありませんが、このリストは《守られた霊気泥棒/Shielded Aether Thief》も含めて相当数の対処法を持ち合わせています。《焼夷流/Incendiary Flow》は《巻きつき蛇/Winding Constrictor》に、《自然廃退/Natural Obsolescence》は《キランの真意号/Heart of Kiran》、《新緑の機械巨人/Verdurous Gearhulk》や《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk》への解答にもなっており、《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger》専用カードではなく、「青赤」系統のデッキが対処に困る高タフネスのクリーチャーに対処できる点もうれしいところ。

 このデッキの強みとしては、《電招の塔/Dynavolt Tower》が4枚フル投入されているため「4色サヒーリ」にとても相性が良い点です。

 前述の通りMagic Onlineでも現実世界でも「4色サヒーリ」はかなり数を増やしてきていますが、今後さらにその流れが加速するようであればこのデッキにとってより戦いやすいフィールドになると思います。

「青白即席型《霊気池の驚異/Aetherworks Marvel》」

Tulio_Jaudy - 「青白即席型・霊気池の驚異」
Magic Online Competitive Standard Constructed League 5勝0敗 / スタンダード (2017年2月16日)
5 《島》
2 《平地》
4 《港町》
2 《植物の聖域》
4 《霊気拠点》
4 《産業の塔》

-土地(21)-

4 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》

-クリーチャー(4)-
4 《改良器具》
4 《改革派の地図》
1 《発火器具》
1 《鎮定工作機》
4 《ガラス吹き工の組細工》
4 《織木師の組細工》
1 《予言のプリズム》
4 《金属の叱責》
1 《鼓舞する彫像》
4 《霊気池の驚異》
2 《燻蒸》
2 《解析調査》
3 《発明品の唸り》

-呪文(35)-
3 《折れた刃、ギセラ》
1 《保護者、リンヴァーラ》
1 《消えゆく光、ブルーナ》
1 《大いなる歪み、コジレック》
2 《払拭》
4 《霊気溶融》
1 《慮外な押収》
1 《燻蒸》
1 《見捨てられた神々の神殿》

-サイドボード(15)-
MTGO Standings Competitive Standard Constructed League より)

 こちらは「青白」で「即席」を基調とした《霊気池の驚異/Aetherworks Marvel》デッキ。

 基本的にはその他の《霊気池の驚異/Aetherworks Marvel》デッキと同じく、《ガラス吹き工の組細工/Glassblower's Puzzleknot》や《織木師の組細工/Woodweaver's Puzzleknot》で「エネルギー」を溜めつつ《霊気池の驚異/Aetherworks Marvel》へと繋げ、そこから《絶え間ない飢餓、ウラモグ/Ulamog, the Ceaseless Hunger》や《燻蒸/Fumigate》で盤面を掌握することになります。

 大量に搭載されたアーティファクトは単体での力不足が気になりますが、《金属の叱責/Metallic Rebuke》や《解析調査/Reverse Engineer》、そして《霊気池の驚異/Aetherworks Marvel》へとアクセスできる《発明品の唸り/Whir of Invention》の「即席」の種として役に立ちます。

 特に《金属の叱責/Metallic Rebuke》はこのデッキの根幹を支えるカードで、このカードなしにはこのリストは成り立たないと言って差し支えないほど。《霊気池の驚異/Aetherworks Marvel》と並び立派なキープ基準にもなる、このデッキの縁の下の力持ち的な存在です。

 《発明品の唸り/Whir of Invention》は《霊気池の驚異/Aetherworks Marvel》以外のアーティファクトもサーチできるということで、「サヒーリコンボ」を妨害できる《発火器具/Implement of Combustion》や、手札にきてしまった《絶え間ない飢餓、ウラモグ/Ulamog, the Ceaseless Hunger》を唱えるための《鼓舞する彫像/Inspiring Statuary》も採用されています。

 《鼓舞する彫像/Inspiring Statuary(AER)》から《絶え間ない飢餓、ウラモグ/Ulamog, the Ceaseless Hunger》を唱える展開は思いのほか多いですし、《燻蒸/Fumigate》や《保護者、リンヴァーラ/Linvala, the Preserver》に「即席」が付いて助かることもあるため、これまた見た目以上に頼りになる1枚。

ulamogs.jpg
ときにはこんな絶体絶命の状況を救ってくれたりも......。

 実際に使用してみてその完成度の高さに驚いてしまったのですが、それもそのはず、このデッキはブラッド ネルソンやマーティン・ミュラーが所属するチーム「Genesis」のプロツアー調整デッキのひとつだったそうです(参考記事)。プレイしていてとても楽しいデッキでもあるので、《霊気池の驚異/Aetherworks Marvel》やアーティファクトを主軸にしたデッキがお好きな方はぜひ一度手に取ってみてください。

今週の一押し~「スゥルタイ・レッド」~

ヨシダ ユウタロウ - 「スゥルタイ・レッド」
「PPTQ併設午後からGPT静岡in新宿」 優勝 / スタンダード (2017年2月12日)
3 《沼》
1 《森》
2 《島》
1 《山》
4 《花盛りの湿地》
4 《植物の聖域》
4 《産業の塔》
4 《霊気拠点》

-土地(23)-

4 《屑鉄場のたかり屋》
4 《ならず者の精製屋》
4 《不屈の追跡者》

-クリーチャー(12)-
4 《致命的な一押し》
4 《改革派の地図》
3 《金属の叱責》
3 《無許可の分解》
2 《最後の望み、リリアナ》
2 《策謀家テゼレット》
3 《生命の力、ニッサ》
4 《キランの真意号》

-呪文(25)-
1 《難題の予見者》
2 《儀礼的拒否》
1 《自然のままに》
2 《自然廃退》
1 《否認》
1 《苦い真理》
3 《ヤヘンニの巧技》
1 《バラルの巧技》
1 《慮外な押収》
1 《グレムリン解放》
1 《領事の旗艦、スカイソブリン》

-サイドボード(15)-
ストライクと大会 より引用)

 「今週の一押し」は禍々しいという言葉がこれ以上なく似合う「スゥルタイ (青黒緑) レッド」を。基本的な動きは《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger》や《キランの真意号/Heart of Kiran》、そして《不屈の追跡者/Tireless Tracker》と《ならず者の精製屋/Rogue Refiner》といったマナレシオに優れたクリーチャーを除去や打ち消し呪文でバックアップする「クロック・パーミッション」に分類されるデッキです。

 このデッキのおしゃれポイントはデッキ全体をアーティファクトに寄せることで、《産業の塔/Spire of Industry》と《無許可の分解/Unlicensed Disintegration》を採用可能にしている点です。

 ご存じのように《無許可の分解/Unlicensed Disintegration》はスタンダードで最高の除去呪文と評される1枚ですが、「スゥルタイ」のマナベースからこのカードを予測することは相当に難しく、対戦相手の計算を狂わせダメージレースを一気に制することができます。

 また、久しぶりにお目にかかった《生命の力、ニッサ/Nissa, Vital Force》もダメージレースで大きくリードできる1枚で、とりわけ《キランの真意号/Heart of Kiran》との組み合わせは強力です。

 メインから打ち消し呪文と長期戦に強いカードが目白押しなので、環境が遅くなればなるほど真価を発揮しやすいデッキですね。なんといっても非常に独創的で面白いデッキなので、みなさんもぜひ一度お試しください。


おわりに

 今週の「津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ」は以上です。プロツアーから一転して「黒緑」デッキが最盛を極めており、そこに「機体」、「4色サヒーリ」が続いている形です。「黒緑」の勢いはまだまだ衰えそうにありませんが、「4色サヒーリ」を筆頭にここ最近で急激に数を増やしてきたデッキの猛追に注目です。

 次回はプロツアー予選や各種グランプリの結果をお届けしたいと思います!

 それでは、また次回の連載でお会いしましょう!

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