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Making Magic -マジック開発秘話-

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『Unstable』のスクラップ その2

Mark Rosewater / Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru

2017年12月4日

原文はこちら

 先週、『Unstable』のカード個別デザインの話を始めた。このセットには6年以上の時間をかけてきたので、話すべきことは無数にある。従って、まだ終わっていない。こんな前フリはもう終わりにして、さっそく本題に入ることにしよう。


《〈ジュリアス・マゼモルフ博士〉/Dr. Julius Jumblemorph》[UST]
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{2}{G}{W}

伝説のクリーチャー

4/4

ジュリアス・マゼモルフ博士は(このカードが戦場にないときであっても)あらゆるクリーチャー・タイプである。

宿主が1体あなたのコントロール下で戦場に出るたび、あなたは「あなたのライブラリーや墓地から、拡張を持つカード1枚を探し、それをその宿主に結合させる。」を選んでもよい。あなたがこの方法であなたのライブラリーを探したなら、それを切り直す。


 実はこのカードは最初、宿主/拡張の統率者として作られたものだ。統率者戦で宿主と拡張を使う上での最大の問題の1つは、デッキを埋めるのに充分な枚数のカードが存在しないということであり、我々は宿主・クリーチャーを拡張できるようにする助けとなるクリーチャーを作りたいと考えたのだ。我々はもっと繊細なものを色々と試してみたが、それらでは求めている条件を満たせないということがわかったので最終的に単刀直入なバージョンに向かうことにした。宿主・クリーチャーをプレイし、必要な拡張カードを手に入れ、そしてその宿主を拡張するのだ。

 その後、世界構築中に、アーティストが交配研究所のために強烈な見た目のクリーチャーを作った。アーティストの描いたクリーチャーの中に、ほぼこのカードのアートのようなクリーチャーがあったのだ。我々はこれに惚れ込んで、それを採用する場所を探すことにした。伝説のクリーチャーは交配研究所のリーダーになるとわかっていたので、これがまさにふさわしいと思えたのだ。《〈ジュリアス・マゼモルフ博士〉/Dr. Julius Jumblemorph》[UST]のアートには非常に多くのクリーチャーが描かれており、それを再現するために多相のような能力(なぜ多相を持たせなかったのかはわからない。おそらく、クリエイティブ的な意味で、このクリーチャーが多相の戦士でなかったからだろう)が与えられることになったのだ。


《〈リス伯爵〉/Earl of Squirrel》[UST]
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{4}{G}{G}

クリーチャー ― リス・アドバイザー

4/4

絆リス(このクリーチャーがダメージを与えると、さらにあなたはその点数に等しい数の緑の1/1のリス・クリーチャー・トークンを生成する。)

あなたがコントロールしているクリーチャー・トークンは、それらの他のクリーチャー・タイプに加えてリスである。

あなたがコントロールしている他のリスは+1/+1の修整を受ける。


 デザインに入る時点で決めていたことの1つが、リスのロードを作るということだった。私は、これまでに2つ銀枠セットを作っていたのにリスのロードを作っていなかったことを激しく悔やんでいたのだ。自己防衛のため、私は『ウルザズ・レガシー』で黒枠世界にリスのロードである《錯乱した隠遁者》を作ったほどだった。

 必要なことが2つあるのはわかっていた。1つ目が、リスに+1/+1の修整を与えるものであること。2つ目が、非常にリスらしいキーワード能力を持つものであることだ。1つ目は単純だったが、2つ目には時間がかかった。

 私が銀枠カードで好んで行なうことの1つに、既存のキーワードを選んでそれを少し奇妙なことをするように変更するということがある。『Unglued』の《Hurloon Wrangler》でやったデニム渡り/denimwalkはその好例だ。

 私がよく弄るキーワードの1つが、絆魂だった。大枠をそのままに、ライフを得る以外の結果を得るようにしたらどうなるか。例えば、あなたがダメージを与えるたびに、そのダメージごとにあなたのマナ・プールに好きな色1色のマナを1点加えるのなら、それは絆マナだ。私は他のあらゆるバージョンを試してみた。絆捨て、絆削り、絆ショック、などなど。そして、クリーチャー・トークンを作るというアイデアが浮かんだのだ。絆ゴブリン、絆エルフ、絆ゾンビ、などなど。これは正しい方向性に思われた。

 ある日、私は《〈リス伯爵〉/Earl of Squirrel》[UST](デザイン名は〈隣のリス/Squirrel Next Door〉だったと思う)を見ていたら、絆リスこそが私の探していたものだと閃いたのだ。このカードの1つ目の能力でリス・トークンを作り、2つ目の能力でそれを強化する。しかし何かが足りなかった。

 私の尽力にもかかわらず、マジックには多くのリスが存在するとは言えない。このカードをリスのロードらしくあるままでリス以外のものにも有効にする方法はないだろうか。このカードが他のものをリスに変えられるとしたらどうか。しばらく考えて、私が気に入ったアイデアは、緑らしくトークン・クリーチャーに影響を及ぼすことにするというものだった。

 最後の大問題は、これを伝説のクリーチャーにするかどうかだった。これはいい統率者になるだろうが、強化が累積するということを考えるとリス・デッキが4枚戦場に出したい類のカードでもある。私のブログの愛読者諸君は御存知の通り、これはよく取り上げている問題だ。伝説のカードにはルール上の制限があるのだ。最終的に、私はこのセットで大量の伝説のクリーチャーを作ったので、リス・デッキにご褒美をあげることにした。そう、これは結局のところリスのロードなのだ。


《〈完全に普通の肘掛け椅子〉/Entirely Normal Armchair》[UST]
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アーティファクト

あなたのターンの間、完全に普通の肘掛け椅子があなたの手札にあるなら、あなたはこれをあなたの戦場に隠してもよい。

{0}:完全に普通の肘掛け椅子をオーナーの手札に戻す。この能力は対戦相手しか起動できず、そのプレイヤーが完全に普通の肘掛け椅子を見ているときにしか起動できない。

{2}, 完全に普通の肘掛け椅子を生け贄に捧げる:攻撃クリーチャー1体を対象とし、それを破壊する。


 市場調査とプレイヤーとの会話を通じて、私はこれまでの銀枠セットで大成功したものを把握している。可能な限り、私は過去の成功の精神を踏まえた新カードを作る努力をしている。《〈完全に普通の肘掛け椅子〉/Entirely Normal Armchair》[UST]は基本的には《〈ずる顔〉/Cheatyface》[UNH]の家具版である。知らない諸君のために説明すると、《〈ずる顔〉/Cheatyface》[UNH]は『Unhinged』のクリーチャーで、対戦相手に気づかれなければタダで戦場にひっそり出すことができるのだ。(ちなみに、『Unglued』と『Unhinged』のカードはGathererで現在のテンプレートとルール・テキストに則って更新される予定だ。《〈ずる顔〉/Cheatyface》[UNH]のオラクル・テキストは実際のルールをより良く反映したものに更新され、戦場にずるして出す前に、適正に引く必要がある。)

 《〈完全に普通の肘掛け椅子〉/Entirely Normal Armchair》[UST]は少し違う挙動をする(もっと防御的だ)。しかし、同じようにこっそり戦場に出す必要がある。実際、このカードを通常通りに唱えることはできなくしてある。《〈完全に普通の肘掛け椅子〉/Entirely Normal Armchair》[UST]をプレイしたいなら、気づかれずに出す必要があるのだ。プレイテストの結果、これは非常に面白いものだということがわかった。


《〈とてつもなく遅いゾンビ〉/Extremely Slow Zombie》[UST]と《〈三頭ゴブリン〉/Three-Headed Goblin》[UST]
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{1}{B}

クリーチャー ― ゾンビ

3/3

後制攻撃(このクリーチャーは後制攻撃を持たないクリーチャーの後で戦闘ダメージを与える。)

// のぉぉぉぉ......


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{3}{R}{R}

クリーチャー ― ゴブリン・ミュータント

3/3

三段攻撃(このクリーチャーは先制攻撃と通常と後制攻撃の戦闘ダメージを与える。)

// 2つの頭は1つよりも優れているのは事実だけれど、その後の利益は減っていく。


 『未来予知』のデザイン中に、マーク・ゴットリーブ(当時のルール・マネージャー)は「後制攻撃/last strike」を持つミライシフト・カードを作った。後制攻撃は先制攻撃の正反対で、通常のダメージの後の時期にダメージを与えるというものだった。デザイン・チームはその後、どんなデザイン・チームでも後制攻撃を見たらすることをした。三段攻撃を持つカードを作ったのだ。その数か月後、ルール・マネージャーとして、マークはこのアイデアを却下した。採用するにはダメージの扱いを大きく変更する必要があったためである。

 私はこのアイデアが気に入っていたので、「次の銀枠セット用」リストに入れた。《〈とてつもなく遅いゾンビ〉/Extremely Slow Zombie》[UST]と《〈三頭ゴブリン〉/Three-Headed Goblin》[UST]は、このデザイン・ファイルに最初に入ったカードのうち2枚であり、デザインとデベロップの間を通して基本的には変化しないままだった。


《〈刑務所に行け〉/GO TO JAIL》[UST]
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{W}

エンチャント

刑務所に行けが戦場に出たとき、対戦相手がコントロールするクリーチャー1体を対象とし、刑務所に行けが戦場を離れるまでそれを追放する。

その追放されたカードのオーナーのアップキープの開始時に、そのプレイヤーは6面体サイコロを2個振る。そのプレイヤーがゾロ目を振ったなら、刑務所に行けを生け贄に捧げる。


 このカードのアイデアは、6面体サイコロで何ができるか実験していたときに生まれたものだ。ブレインストーミングとして我々は、他のゲームが6面体サイコロで何をしているか考えた。しばらくの後で、我々はモノポリーと「刑務所に行け」のメカニズム(ゾロ目が出るまで毎ターンサイコロを振る)に思い至ったのだ。そして、もしかしたらただ能力を真似るだけではなく、実際にモノポリーを名指ししたものにすることができるのではないかと気がついた。

 ウィザーズ・オブ・ザ・コーストの親会社はハズブロであり、モノポリーを作った会社だ。そこで我々はブランド・チームに相談し、モノポリー関係者に許可を取ってもらうように頼むことにした。許可が降りたので、ブースター商品史上初となる他ゲームを公式に名指ししているカードとなったのだ(なお、『Unstable』ではもう1枚、《〈ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズの剣〉/Sword of Dungeons & Dragons》[UST]がダンジョンズ・アンド・ドラゴンズを名指ししている)。


《〈大演算器〉/The Grand Calcutron》[UST]
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{W}{U}

伝説のアーティファクト

大演算器が戦場に出たとき、各プレイヤーの手札はプログラム(公開されたカードの順序のある並び)となる。

プレイヤーは自分のプログラムの最初のカードだけをプレイできる。

カードがいずこかからプレイヤーの手札に入るなら、そのプレイヤーはそれを公開し、自分のプログラムのいずれかの場所に入れる。

各プレイヤーの終了ステップの開始時に、そのプレイヤーのプログラムのカードが5枚未満なら、そのプレイヤーはその差分のカードを引く。


 これも、ファイルにあった2つの別々のデザインを組み合わせて作ったカードである。1枚目のカードは自分を改造しすぎて機械になってしまった小型装置団のリーダーを表す伝説のアーティファクトであり、2枚目のカードは手札をプログラムにするというアイデアをメカニズム的に表すために作られたエンチャントであった。我々はそのリーダーのデザインをいろいろと試したが、我々が望むコンピューターらしさを再現したものはできなかった。そしてある日、プログラムにするカードをアーティファクトにすればリーダーそのものだと気がついたのだ。

 全ては素晴らしく進んだが、1つだけ例外があった。我々は常々、小型装置団のリーダーである伝説のアーティファクトを、統率者として使えるようにしたいと考えていたのだ。しかし、クリーチャーではないので、文章欄に統率者として使えると書く必要があった。問題は、このカードの「プログラム」部分を文章化した時点で文章欄が一杯で、統率者に関する一文を入れることができなかったということである。我々はこれをクリーチャーにすることも検討したが、このカードで一番のポイントは彼が生き物でなくなるレベルに自分を改造したというところなので、これをクリーチャーにしてしまうとフレイバーが台無しになってしまうのだ。


《〈怪物たらし、グルシルダ〉/Grusilda, Monster Masher》[UST]
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{3}{B}{R}

伝説のクリーチャー ― ゾンビ・悪人

4/4

あなたがコントロールしていて、結合されているかエンチャントされているか装備しているクリーチャーは威迫を持つ。

{3}{B}{R}, {T}:墓地からクリーチャー・カード2枚を対象とし、それらをあなたのコントロールしているクリーチャー1体に結合した状態で戦場に出す。(それのパワーはそれらの合計のパワーに等しく、それのタフネスはそれらの合計のタフネスに等しく、それはそれらの名前、マナ・コスト、タイプ、文章欄などを持つ。)


 グルシルダは卑怯な破滅軍団を運営する秘密結社4人の3人目だ。初期設定の後で、彼女はフランケンシュタイン博士、あるいはモロー博士のような、生物学を弄び、死んだクリーチャーを組み合わせるキャラクターとなった。不死のクリーチャーを弄ぶ不死のクリーチャーというのはクールだというアイデアから、ケリー・ディグス/Kelly Diggesは最終的に彼女をゾンビにした。

 最初のバージョンでは彼女は宿主や拡張とは関係していなかったが、我々は、彼女がやっていることがテーマ的にあまりにも近いため、メカニズム的な繋がりを作らないのは誤りに見えると気がついたのだ。また、彼女は最初は能力を結合させていたが、他のカードで文章欄を盗むことを弄るようになってから、我々は彼女の能力を結合したクリーチャーに単に両方の文章欄を持たせるだけのものにした。


《〈どっちの手にクローン機〉/Handy Dandy Clone Machine》[UST]
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{3}

アーティファクト

{2}, {T}:無色の2/2のホムンクルス・クリーチャー・トークンを1体生成する。これは常に、それだけを表す手と指2本で表されていなければならない。そうでなければ消滅する。

// 初期の実験が失敗したのは、クローンが全て親指だったからである。


 銀枠セットでよく使う要素の1つが、物理的な影響をもたらすメカニズムである。これは黒枠マジックでは通常しないことであり、ゲームプレイにまた別の面白さを加えることができる。

 また、私は、『Unhinged』の《〈靴の樹〉/Shoe Tree》[UNH]で試みたことに再挑戦してみたいと思っていた。

 《〈靴の樹〉/Shoe Tree》[UNH]では、カウンターを表すために靴を使う必要があった。普通人は2足しか靴を持っていないので、こうしておけばクリーチャーのうち1体にしかプレイできないようになる(カウンターを2個使うので)というアイデアだった。2枚目を出すなら、どこかから、大抵は誰かから、靴を借りなければならないのだ。しかしプレイヤーはこれを解決するために余分な靴を持ってくるようになった。これを、もっと破りにくい方法で再現する方法はないだろうか。

 また、我々は「外部協力者/outside assistance」テーマを扱っていたので、私の意識は他の人物をそのゲームに関わらせるという方向に向いていた。私が最終的に目をつけたのは、手だった。手を使うことを求めるカードというのはどうだろうか。他の手を持ってくることはできない(真面目な話、ルール上、手は生きている人物についていることが求められている)、つまりこれは他の人間とのやり取りを強制することになる。大きな問題は、手に何をさせるのか、だった。

 私は何を手にさせられるか考え、そして最終的に小さな歩くクリーチャーを作らせることができると思い至った(何を言っているのかわからない諸君は、ぜひこのカードのアートを見てくれたまえ)。これは面白いトークンになる。また、この制限があればカードのコストを下げることができるだろう。

 それぞれが新しい手でなければならないとすると、作れるトークンはいくつになるか。そう、自分だけで作れるのは2つ(しかもそうすると物理的な問題が出てくる)、それ以上にするには誰かの協力が必要になるのだ。これまでの私の最高記録は、4人にトークンになる協力を得てのトークン10体である。この記録を塗り替えた諸君は、ぜひ写真に撮って送ってくれたまえ。


《〈ハングマン〉/Hangman》[UST]
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{B}

クリーチャー ― 人間・悪人

1/1

ハングマンが戦場に出るに際し、6から8文字の単語を秘密裏に記録する。

{1}:ハングマンをコントロールしていないプレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは記録された単語か、その単語に含まれていてまだ推測されていない文字を推測する。その推測が外れていたなら、ハングマンの上に+1/+1カウンターを1個置く。どのプレイヤーもこの能力を起動できる。

プレイヤーが記録された単語かその全ての文字を推測したとき、ハングマンを生け贄に捧げる。


 このカードは単純な前提から始まった。対戦相手にハングマンをプレイさせる、ハングマンというカードなのだ。問題は、一体それがどういうことかということである。ハングマンという名前なので、クリーチャーである必要がある。対戦相手にハングマンをプレイさせたいので、対戦相手は単語を見つけることで利益を得なければならない。また、それまではこれを使ったプレイヤーに利益があるようでなければならない。

 対戦相手にとって最もわかりやすい利益は、このクリーチャーを殺すことだ。つまり、使ったプレイヤーが得たい利益は、このクリーチャーを強化することということになる。+1/+1カウンターはそのための一番簡単な方法だと思われた。そう、対戦相手が単語を推測してこのクリーチャーが死ぬまで、このクリーチャーは大きくなり続けるのだ。

 次の問題は、この推測はいつされるのかということだ。アップキープの能力として試してみたが、これは単語を推測するのに時間がかかりすぎた。もっと頻繁に発生する誘発条件といえば何があるだろうか。呪文が唱えられるたびに誘発するとしてみたが、これはゲームの流れを邪魔するものだった。我々が見つけた解決策は、どちらのプレイヤーも使える起動型能力にすることだった。ゲームの初期には、自分のクリーチャーを強化するために自分で起動する。その後では、充分大きくなっているであろうハングマンに対処したくて対戦相手が起動し始めることになるのだ。


《〈緊急修正〉/Hot Fix》[UST]
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{4}{W}{U}

ソーサリー

あなたは10秒間で、自分のライブラリーを見て並べ直す。その10秒の終わりに、あなたがそれらのカードのいずれかに触れていたなら、あなたのライブラリーを切り直す。

// これは絨毯の虫食いではなく模様です。


 初期に我々が試していたメカニズムの1つが、「ストップウォッチ/stopwatch」である。そのカードは、対戦相手が時間を計っている間に唱えたプレイヤーが何かをするというものだった。定められた時間のうちに定められたことをすることができれば利益を得て、できなければ不利益なことが起こるのだ。我々はいくつかクールな効果を見つけたが、このメカニズムを成立させるには様々なことが噛み合う必要があった。最終的に、我々はこのメカニズムを採用するに足るだけのデザインを作ることができなかったのだ。

 《〈緊急修正〉/Hot Fix》[UST]は我々が一番気に入っていたストップウォッチのデザインである。ライブラリーを並べ直すのは様々な利点があるクールな作業で、切り直しの不利益はテーマ的にもメカニズム的にも意味のある不利益だ。「いや、本当に10秒だよ」というための素敵な方法だったのだ。一応言っておくと、我々はさまざまな制限時間を試し、10秒がちょうどいいということがわかったのだ。


《〈ハイプードラ〉/Hydradoodle》[UST]
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{X}{X}{G}{G}

クリーチャー ― ハイドラ・猟犬

0/0

ハイプードラが戦場に出るに際し6面体サイコロをX個振る。ハイプードラはそれらの出目の合計に等しい数の+1/+1カウンターが置かれた状態で戦場に出る。

到達、トランプル

// 押し込み強盗よりしつけられていない。


 『コンスピラシー:王位争奪』の《飼い馴らされたハイドラ》のマシアス・コルロス/Mathias Kollrosによるスケッチは、かなり《〈ハイプードラ〉/Hydradoodle》[UST]のアートに似たものだった。アート・チームはそれが少し馬鹿げていてそのセットの雰囲気には合わないと考え、アーティストに他のアプローチを試すように言ったのだ。

 そして『Unstable』のアート発注の話になる。このセットのアート・ディレクターであったドーン・ムリン/Dawn Murinは、ハイドラの絵を考えることになった。彼女は必要な絵を完全に知っていた。彼女はマシアス・コルロスに連絡して、「《飼い馴らされたハイドラ》の最初のスケッチを覚えています? それが必要なんです。」と言ったのだ。

 銀枠セットの話を知っている諸君に言うなら、これと同じように『Unglued』の《Infernal Spawn of Evil》も、ロン・スペンサー/Ron Spencerが冗談で提出した絵を、我々が後にカードのアートとして使いたいと伝えたものである。


《〈無限の精霊〉/Infinity Elemental》[UST]
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{4}{R}{R}{R}

クリーチャー ― エレメンタル

∞/5

(このクリーチャーは無限のパワーを持つ。)

// これはとても無限なのでこのフレイバー・テキストは「これはとても無限なのでこのフレイバー・テキストは「これはとても無限なのでこのフレイバー・テキストは「これはとても無限なのでこのフレイバー・テキストは「これはとても無限なのでこのフレイバー・テキストは「これはとても無限なのでこのフレイバー・テキストは「これはとても無限なのでこのフレイバー・テキストは......


 しばしばソーシャルメディアで、私は自分が突飛だと思った、自分のやったことについての適当なコメントをする。詳細を伝えるためではなくプレイヤーの興味を引くためのものなので、そのコメントの多くはかなり曖昧なものだ。《〈無限の精霊〉/Infinity Elemental》[UST]は、そういったコメントの一例である。

 このカードがファイルに入った日に、私は「今日、バニラの神話レアを入れた」とコメントした(確かTwitterだったと思うが、ブログだったかもしれない)。(バニラとは、ルール・テキストを持たないクリーチャーのことを指す開発部語である。)私が知っていて読者が知らなかったのは、私が銀枠セットに取り組んでいたということである。これは、このセットが存在するということを告知するよりも3年ほども前のことだったのだ。私は、神話レアのバニラ・クリーチャーというのがおかしな話に聞こえるということはわかっていた。

 私は、読者はちょっと唸って、それから日常に戻るだろうと思ったのだ。しかしそうはならなかった。人々はこのニュースに興味津々になったのだ。興奮した人もいた。怒った人もいた。混乱した人もいた。しかし、その誰もが、これについて語りたがったのだ。人々はこれがどういう意味なのか議論し、かなりの時間を費やしてどうすれば可能なのかという理論を立てたのだ、

 いったん落ち着いてからも、数か月に一度、あのカードはまだファイルにあるのかという質問が来た。私があると答えると、再び会話が盛り上がるのだ。私は心配になった。『Unstable』はまだ非公開で、何年もかけているセットがあるということを気づかれたくなかったので、私は最初に話したセットが今そのカードが入っているセットと同じかどうかということをごまかすようになった。そしてやがて『Unstable』の存在が告知されたその日に、私はそのバニラの神話レアは『Unstable』にあったのだということを知らせたのだった。これによって会話は盛り上がり、人々はこれに関する疑問を次々に投げかけてきた。

 私が『Unstable』発売について興奮している理由の1つは、これでこれについての質問に答えずともただプレイしてもらうだけでよくなったことなのだ。


《〈パイ投げ〉/Just Desserts》[UST]
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{1}{R}

インスタント

クリーチャー1体を対象とする。パイ投げはそれにπ点のダメージを与える。(πは円周と直径の比率である。(それは3より僅かに大きい。))

// 「円周率を死以上にしてやる!」

// ―不合理なフレイキー


 このカードは『Unstable』がまだ影も形もない頃から存在していた。銀枠カードの面白いアイデアを見つけるたび、私はそれを書き留めて(私が「Un-Published」と呼んでいる)公開されていない銀枠カードのファイルに綴じるのだ。このカードを作るもとになったのが何だったのかも思い出せない。思い出せるのは、私にとってこれがどう面白いかだ。ほとんど普通のカードのように働くのに、銀枠セットに入るのがふさわしい程度の奇妙さを持つ言葉遊びだったのだ。《〈パイ投げ〉/Just Desserts》[UST]、デザイン名は〈道化攻撃/Clown Attack〉は『Unstable』の最初のカードだった。

 私は常々、道化師がパイを投げることをカード化したいと思っていた。先週、《〈すごいアイデア〉/The Big Idea》[UST]の項で言ったとおり、このセットにはしばらくの期間、道化師のミニオンが存在していて、私はその中にパイを投げるのもいるだろうと考えていた。それらがボツになったとき、私はケリー/Kellyにこのカードで道化師にパイを投げさせて欲しいと頼んだのだ。ケリーはそれを認めてくれて、このセット全体で唯一の道化師となるゴブリンの道化師にしたのだ。

 もう一言。『Unstable』を全世界に公開する方法として、私は、私のソーシャルメディアに《〈パイ投げ〉/Just Desserts》[UST]を円周率の日(3月14日。円周率の最初の3桁)に投稿して、このカードが新しい銀枠セットのカードだと気づかせようと提案した。最終的には時期が早すぎたことと《〈パイ投げ〉/Just Desserts》[UST]がセットのテーマと離れていたこと(初期のプレビューではそのセットがどんなものかを示したい)で、この計画は没になったのだ。


《〈なんとか隷属機〉/Kindslaver》[UST]
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{5}

伝説のアーティファクト

{5}, {T}, なんとか隷属機を生け贄に捧げる:プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーの次のターンの間、ゲーム外の人物1人はそのプレイヤーをコントロールする。そのターンの終了時まで、どちらのプレイヤーもその人物に助言してはならない。

// 「リラックスして―代わりを持ってきたよ。」


 『Unstable』のプレイ・デザインについて私の気に入っている話の1つが、この《〈なんとか隷属機〉/Kindslaver》[UST]、デザイン名は〈友人隷属機/Friendslaver〉に関するものだ。

 デベロップの後期に、ベン・ヘイズ/Ben Heyesがリード・デベロッパーを務めていたころのことだ。彼はプレイテストをしていて、対戦相手は同じデベロップ・チームのメンバー、確かマーク・パーヴィス/Mark Purvisだった。マークが次のターンに勝てるという状況だったので、ベンは《〈なんとか隷属機〉/Kindslaver》[UST]を唱えて起動した。

 ベンは周りを見回し、当時マジックのエディターだったティム・アーテン/Tim Atenを見つけた。ティムはセットの編集に忙しかったが、周りに他にそれほど人がいなかったので、ベンはティムに手伝ってもらえるよう頼むことにした。ティムは目を上げ、ベンは彼にゲーム進行中のテーブルまで来てくれるように身振りで頼んだ。ティムは立ち上がり、テーブルにやってきた。ベンはティムに、1ターンの間マークをコントロールしてほしいと説明した。ティムは腰を下ろし、盤面を理解して、それから手順を進めてベンを殺した。

 ベンは驚いて、「なんでそんなことするんだ?」と尋ねる。ティムは「次に誰か手伝ってほしいと思っても、僕を選ぶのはやめろって教えるためだよ」と答えたのだ。ティムが自分の机に戻るのを見ながら、ベンはヒステリックに笑ったのだった。

『Unstable』なサービス

 さて、時間切れだが、今回も話は終わらなかった。いつもの通り、『Unstable』とこの記事についての諸君の反響を楽しみにしている。メール、各ソーシャルメディア(TwitterTumblrGoogle+Instagram)で(英語で)聞かせてくれたまえ。

 それではまた次回、『Unstable』のカード個別の話の最終回、そして2017年最後の記事でお会いしよう。

 その日まで、あなたが《〈なんとか隷属機〉/Kindslaver》[UST]を使う時には誰に手伝いを頼むか、あなたが慎重でありますように。

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