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Latest Developments -デベロップ最先端-

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『アモンケット』とスタンダード一問一答

Sam Stoddard / Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru

2017年5月26日

原文はこちら

 こんにちは、そして「Latest Developments -デベロップ最先端-」へようこそ! 今週は、皆さんから寄せられた質問にお答えして、そしてそれが『アモンケット』からスタンダードまで全てに対するいくらかの回答になればと思います。

@sparksjay: 完成したカードに翻訳された(公開された)最も大きなひらめきの瞬間は?

  《驚恐の目覚め》/《絶え間ない悪夢》です。『イニストラードを覆う影』のデザインの長い期間、パックに両面カードを2枚入れることについて話し合っていましたが......それはドラフトにとってよろしくないゲームプレイにつながりました。両面カードを1パックにほぼ1枚に戻したとき、私はどのようにして初代『イニストラード』でやらなかったカードをやるべきか提案し、そして両面ソーサリーをやるべきだと言及しました。人々は私を変な目で見ましたが、私は印刷されたカードととほぼ同じものをスラスラと述べました。

@jtempkin: 『アモンケット』は速いドラフト環境を意図していたの? それともこれは転換点なの?

 完成間近にこのドラフト環境を調整するときに、我々は実際にこの環境が遅すぎ削り合いになりすぎる環境だと思い、いくつか変更を行いかなり良いと思う位置にたどり着きました。後から考えると我々が軽いマナ域に行った強化のいくつかが、結果的にこの環境を少し速すぎるものにしたのは明らかで、おそらく我々は削り合いになった環境の記憶が多すぎたのでしょう。

@gkourouleas: このセットをデザインするときにモダンについて考えましたか? モダンに良い方法で影響を与えるカード(《致命的な一押し》のような)を意図的にデザインしましたか?

 モダンが人気のあるフォーマットになるにつれて、我々はセットにモダンで使われるカードがあるようにするために多くの取り組みを行ってきました。《致命的な一押し》は、我々が紛争はモダンのほうがスタンダードよりも強いことを分かっていて、白や《四肢切断》のような「無色」ではない、とても強力な除去呪文を求めていた例です。

@HairlessThoctar: 《霊気池の驚異》はタップ状態で出るか、生け贄にするか、唱えないようにするかするべきではなかったか? 後から考えて、何が変わったか?

 いくつかあります。まず最初に、《集合した中隊》や《霊気池の驚異》以降、我々はランダムでライブラリーの上からクリーチャーを出すカードの数の制限をするべきだと私は考えています。私はこの現在のカードの問題を起動コストに1マナ加えるか、その呪文を唱えないようにしていれば修正できていたと考えています。もし我々が追加で6か月エルドラージがいることを知っていたなら、間違いなくもう少し弱くしていたでしょう。

@DurdleHerder: 《来世への門》の誘発型能力は《王神の贈り物》を使わなくても十分な強さや面白さがあると思っていますか?

 おそらくは、《カルドラの兜/Helm of Kaldra(5DN)》シリーズのそれぞれが単体では少し弱いのと同じように、十分ではないでしょう。このカードは全てのパーツがまだ揃っていないとしても実際にシリーズの部品になることを意図されています。しかしご心配なく、我々はあなたをからかっているわけではありません。《王神の贈り物》は『破滅の刻』に収録されています。


《来世への門/Gate to the Afterlife(AKH)》 アート:Christine Choi
@CCG_Brothers: 不朽と余波を見ると、もうNWOは存在していないように感じられます。デザインの考えは何が変わったのですか?

 新世界秩序(NWO)はまだありますが、『カラデシュ』と『アモンケット』の複雑さのレベルは少し高い側に寄っているといえます。余波はコモンに存在しないことによってNWOを回避し、そしてコモンの不朽クリーチャーはかなりシンプルです。我々は間違いなく複雑さを減らす方法を探していて、1年2ブロック制への移行は、最近のブロックの多くが6か月ではなく1年全体で十分な数のメカニズムを持つ点でいくつか問題がありました。我々は将来に向けてメカニズムの数を少し減らし、ゲームプレイを阻害しない方法で複雑さを下げる方法を探しています。

@bheinous: スタンダードのローテーションの切り替えによってできた課題や予想外の相互作用に対して、デベロップはどのように対処していますか?

 この『破滅の刻』のテストの後期に決まったローテーションを年1回にする決定により、我々はわずかな時間で『破滅の刻』と『アモンケット』のカードをそれらに適応させるために大慌てで調整しました。また我々は『アモンケット』に《霊気池の驚異》に対する答えを入れようとし(《刻み角》はその役割を果たしています)、基本的に想定よりも長くスタンダードにとどまると分かっていたカードに適応させようとしました。私は《変位エルドラージ》のせいで最低でもあと1枚カードを取り除く必要があったと思います。

 幸運にも、『イクサラン』以降は時間があったので、今後の変更についてはとても良く分かっています。全体的に、我々はセットのメカニズムとテーマを推しすぎないように取り組み、18か月のスタンダードに比べて24か月のスタンダードでは、孤立的テーマやメカニズムのデベロップがはるかに難しく混乱の元になるので、その数を減らそうとしています。

@Burzolog: 新しくできたプレイ・デザイン・チームがどのようにデベロップに影響するかについて話せることはある?

 特にありません! 新しいプレイ・デザイン・マネージャーのダン・バーディック/Dan Burdickは6月の初めごろに記事を書いて、彼のチームによる変更と彼のチームの仕事がどんなものであると考えているかについて語ってくれます。しかしながらプレイ・デザインが我々の過程に行われた唯一の変更ではなく、それらはほぼ同じ時に語られるでしょう。私が言えることは、これは単にプレイテストにリソースを割いて、より早い時期にセットをバランスが取れて機能的にするために多くの作業をするだけでなく、物事を機能させるために四苦八苦するのでもなく、セットを反復する時間をもっと多くするためのものです。

@DesignerDanF: プレイ・デザインの追加の他に、ウィザーズが最近のスタンダードの問題から学んだことは?

 ここで話せることはたくさんありますが、マーク・ローズウォーター/Mark Rosewaterが6月12日の記事で多くのことに触れていますので、彼の記事をご覧になってください。

@_Riccielle_: 今のスタンダードのマナ・カーブについてどう思いますか? 《難題の予見者》はすごいけど使われていない? デベロップは支援ミスをした?

 これはマナ・カーブの問題というよりもマナ基盤の問題です。我々は『マジック・オリジン』でペインランドが収録され、それらが出たときに無色マナのエルドラージの助けになることを知っていました。また我々はそのマナ基盤を万が一強くしすぎた場合に備えて、長くなりすぎる前にローテーションすることも知っていました。我々はエルドラージがこれほど長くスタンダードにとどまると想定していなかったので、『アモンケット』にはそれらを唱えることを支援する2色土地は何も入れませんでした。異なる世界では、『アモンケット』の2色土地はサイクリングではなくフィルターランドや《雨雲の迷路》サイクルで、人々はまだエルドラージを唱えられたかもしれません。

@jwiley129:どうして赤に2マナ1/3果敢があって青にはないの?

 青もそれを得ることができ、我々はまだそれを作っていないだけです。赤の2マナ域にはおいそれと《灰色熊》を、特に有利な能力のついたものを出せないので難しいのですが、赤はアグレッシブであるために低いマナ・カーブのものが必要な色でもあります。青には《天空のアジサシ》のようなものや1/1飛行に何らかのボーナスを持ったものを作ることができますが、赤はかなり制限されていて、2マナ域での良い形の回避能力は威迫だけです。結果的に、そのセットのリミテッドを機能させようとしたときに、我々は1/3果敢を青よりも赤に入れる可能性がとても高くなります。

@CaptainRedstorm: なんでチャンドラ以外の赤の神話レアは他の色よりカジュアルプレイヤー向けなの? そのほとんどはトーナメントでプレイアブルから程遠い。

 我々はかなりの数のヒットを出しています――《雷口のヘルカイト》、《忌むべき者のかがり火》、《紅蓮術師のゴーグル》、《龍を操る者》、《業火のタイタン》、《コジレックの帰還》――まだまだあります。とはいえ、赤の神話レアは最も難しいものの1つです。その問題の1つは赤のカラー・パイと楽しいことが必ずしも素晴らしい一致を見ていないということです。スタンダードの赤いデッキを強くしているものの多くはアグレッシブなクリーチャーと火力であり、我々は神話レアにそれらを増やしすぎることはありません。また我々はたくさんカードを引くなどの他の色が得る奇妙で強力な神話レアのために少し余裕を持たせてあります。我々がミッドレンジやコントロールで強力なクリーチャーを作ったとしても、そのフォーマットでの赤の位置づけによってスタンダードで使われることは少なくなります。

@VorthosMike:なんで天使は男なの? 元ネタがあるのにデベロップやメカニズムの側では何が違うの?

 『アモンケット』のデザインの目標の1つは、明るいように見えて何かが足りないどこか不穏な雰囲気を作り出すことでした。多くの物事にはちょっとだけ場違いな感じがします――男性の天使のようなものや、除去呪文の名前の多くは明るい響きのするものです。新しいプレイヤーは気づかないかもしれませんが、本当にその伝承を知りたい人はこれらのような小さな情報が見つかります。

@MTGLordOfLeaves: なぜミノタウルスが『アモンケット』で選ばれたの? なぜカードを捨てることを参照するカードは片方に寄らずにミノタウルスとジャッカルに分かれているの?

 我々は中型の人型クリーチャーを必要としていて、そしてジャッカルは小型の赤の位置にあり、ミノタウルスはクリエイティブが設定した種族の1つでした。カードを捨てることを参照するカードは黒赤のメカニズムとして想定されていて、ミノタウルスのロード以外我々はどんなクリーチャーにするかほとんど考えていませんでした――ほとんどクリエイティブに任せていました。後から考えれば1つの部族に結び付けようとすることにもっと意味があったかもしれませんが、それらの決定は十分早い時期によく考えられたものではありませんでした――特にカードを捨てることを参照するカードや「ちょい勇」の多くは、デベロップ中期に加えられたからです。

@EverUncertain: 『アモンケット』で《誤算》がないのはどうして?

 《誤算》は我々がスタンダードに求める打ち消し呪文よりも少し強力です。《検閲》は現在多く使われており、私はこのことは《検閲》がパワー・レベルの面でより正しい位置にあることを意味していると思っています。私は我々がここ最近のものよりも強力な打ち消し呪文を作ることができると思いますが、《誤算》まで行ってしまうことは必要以上になると思います。

@WUBRG: スタンダードではカードを禁止する代わりに制限しないのはどうして? あなたたちはメタを修正する許容範囲を得られ、プレイヤーは奪われた感が少なくなり、自分たちのカードをプレイするようになります。

 カードを制限することの問題点はマジックに過剰なランダム性が加えられることです――引けば壊れたカードをプレイできますが、引けなければそれまでです。それだけでなく、特に《ウルヴェンワルド横断》で探せる《約束された終末、エムラクール》の場合は問題を十分に修正できるとは思いません。さらに、人々に1枚だけプレイできることを伝える、伝達上の問題があります。

@Gavken: FFLでのこのスタンダードの全てのテストはローテーションの変更で完全にぶん投げられてしまったの?

 我々のFFLでの『アモンケット』スタンダードのテストは、ローテーションの変更とカードの禁止により現実世界とは大きく異なります。『イクサラン』が出るときまでに、我々のテストの精度は証明されるでしょう。問題のあるカードの多くはローテーション落ちし、我々には禁止カードのないフォーマットをテストする時間があります。我々は自分たちがカードで見落としをすることを知っていますが、間違いがあっても楽しくなるフォーマットを作ろうとしています。これはほとんどのスタンダード環境で起こっていて、今回は他の場合よりも問題が大きかったのです。

@MaxPlaysMTG: 『アモンケット』の再録カードについてもっと知りたいです。《エイヴンの思考検閲者》や《マグマのしぶき》、《新たな信仰》、《本質の散乱》はどのようにあなた方のスタンダードに対する見解と一致したのですか?

 我々は積極的に再録カードをセットにもっと入れようとしてきました――それはうまくいったりいかなかったりしました。多くの場合それらの努力は失敗し、我々はそのカードを少し弱くするか少なくとも数字を変更する必要がありました。《エイヴンの思考検閲者》はスタンダードを邪魔しすぎず、《ウルヴェンワルド横断》のような強力なサーチ効果があれば良い動きをするかもしれないクールなカードなので再録されました。《マグマのしぶき》は《屑鉄場のたかり屋》や他の墓地のカードのために再録されました。《本質の散乱》は我々が頻繁に再録するカードで、《新たな信仰》はフレーバーが勝り懐かしい思い出のカードでした。


 今週はここまでです、お楽しみいただけたでしょうか。来週はさらにマジックのデベロップについてお話しします。

 それではまた来週お会いしましょう。

サムより (@samstod)

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