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『アモンケット』でのデベロップの疑問

Sam Stoddard / Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru

2017年4月14日

原文はこちら

 こんにちは、そして「Latest Developments -デベロップ最先端-」へようこそ! 今週の私の記事を読む前に、こちらから行ける『アモンケット』の全カードに目を通しておくべきでしょう。私の記事を理解するのにその情報が必要だからではなくて......新しいカードがあるからです!

 それが終わったら、今度は私があなたにこのセットに関するある知識と、デベロップが『アモンケット』に取り組むときに考えていたことに関するアイデアを伝える時間です。今日の主題は、我々がデヴァイン(デザインとデベロップの中間)期間に入る時とその少し前でのこのセットのデベロップの目標の一部についてです。

 もちろんデザインは実際のデザイン期間におけるファイルの支配権を持っていますが、彼らは物事が進行するようにデベロップ・チームからの情報を求めています。多くの場合デザイン上の理由によるそのセットの決定についてデザインとデベロップが議論をして、デベロップはデザインにそれらが最終的にカード上でどのように機能することになるかを伝え、それによって......デザイン・チームはデザインに一次対応をします。デザインはそのアドバイスを徹底して却下することもできます――しかしそうするとそれらのカードが印刷される可能性はかなり低くなります。我々はこれらの問題を一緒に解決する傾向にあり、両方のチームが満足する答えを考え出しています。

 このセットでの目標を果たすために、我々は『アモンケット』をデザインしている間にいくつかの問題に答えなければいけませんでした。細かい説明は抜きにして、早速それらの質問の一部を見ていきましょう。

どのようにして-1/-1カウンターのデザイン空間を最大化するか?

 我々の決まりでは+1/+1カウンターと同時に使えないことになっているので、我々は-1/-1カウンターを頻繁には使いません。-1/-1カウンターは+1/+1カウンターよりもずっとデザイン空間が狭いので、斬新なデザイン空間を考え出しそれを掘り下げる必要があります。

 -1/-1カウンターが行う一番クールなことは、カードに興味深い上限を作り出すことです。《炎歩スリス》のようなカードの問題点の1つは、容易にゲームを逃げ切ってしまうことができる点です。似たようなカードを作ることは可能ですが、上限をつけることはそれが対処できないぐらい大きくなることがなくなるので良いことです。我々は逆転を不可能にすることなく、それらがゲームを支配するようにバランスをとることができます。

 初期バージョンの『アモンケット』では萎縮が存在していたのですが、それは我々がこのセットでやりたい他のことを妨げてしまいました。萎縮はゲームを過剰にぐだぐだにしてしまいました。デベロップ・チームは『シャドウムーア』で《不気味な戯れ児》が行った-1/-1カウンターをリソースとして使うアイデアを浮上させましたが、-1/-1カウンターが利点になるカードが多すぎることについてデザイン・チームから反対さました。

 彼らの考えでは、ここでの-1/-1カウンターは痛みや負傷を表現していて、積み上げるのではなく解体することが基本である世界を表すものでした。また可能な限り-1/-1カウンターを相手のクリーチャーにだけ置くことを望んでいました。

 これら全てが合わさって最終的に『アモンケット』のクールなカードのいくつかとなり、その中で私のお気に入りは《媒介者の修練者》です。これはある程度「-1/-1カウンターをリソースとして使う」ことをしますが、それ以上にこのカードを強くするものです。最初の数ターンはマナ・クリーチャーとしてこれを使い、マナを出し終わればデカブツになります。

どのようにして余波カードとその制約のバランスをとるか?

 余波カードはなんだか変なものです。その見た目や動きについての話ではなく、これらが作られた過程の話です。我々は通常作りたいと思ったカードを作り、そしてクリエイティブ・チームがベストを尽くしてそれらにフレイバーを加えます。分割カードの場合、残された名前の空間がほとんどないのでそれがとても困難です。

 幸運なことに、これらは過去数回のものとは異なる挙動をしていたので、「◯◯と◯◯」という命名の法則を破って「◯◯から◯◯」という命名法則にすることができるようになり、多くの命名空間を得ることができました。しかし無限に空間があるわけではないので、デザイン過程の後期にはクリエイティブ・チームによって可能な限り多くの使えそうなカード名を見つける作業が多く行われました。デザインとデベロップの両チームの間で、それらの名前に向かって取り組む必要がありました。《不帰+回帰》の挙動は偶然によるものではなく、我々はその名前に合ったクールなカードを考えだしたのです。

 しかしデベロップ・チームにとってはカードを変更する能力に制限がかかることになります。我々は数字を調整する余地が多くありましたが、機能を大きく変更したいのであればかなりの作業をしなければなりませんでした。

 これら全ては我々が実際にカードを楽しいものにすることについて話し始める前のことです! フラッシュバックを機能させるための工夫は、それ単体ではプレイアブルから遠いものにかなり軽いフラッシュバック・コストを持たせる(《熟慮》《古えの遺恨》《骨までの齧りつき》)か、それ自体をプレイアブルなものに近くしておまけとしてかなり重いフラッシュバック・コストを持たせる(《チェイナーの布告》《炎の稲妻》《高まる野心》)かのどちらかです。我々はここから出発しましたが、組み合わせて機能するものを見つける必要がありました。


《裕福》(《貧窮+裕福》) アート:Greg Opalinski

 余波カードには様々な種類が存在します。まず、それぞれの半分が役に立つかもしれないけども、それが異なった時であるもの(《驚天+動地》)や、長期戦の効果につながる可能性がある「序盤戦」の効果を持つもの(《貧窮+裕福》《木端+微塵》)、前半が後半の準備をするもの(《食餌+給餌》《腹背+面従》)、そして複数の分類に当てはまるもの――これらのカードを機能させるための選択肢はたくさんあります。

 これは自由なように見えるかもしれませんが、どんなものであれカードに我々が望むような動きをさせる余地はあまりないので、多くの課題を作り出します。我々はこれらのクリエイティブ的な制限の中で取り組む必要があります。多くの時間がかかりましたが、私はこれらのカードの出来ばえには満足しています。

どのように神々を『テーロス』から改良するか?

 このセットは神々のいる最初のセットではありません――その栄誉は『テーロス』か、明神を含めるのであれば『神河物語』のものです。

 神々は我々が頻繁にマジックに求めるものではありませんが、時々、特に我々が神々の神殿がある現実世界の文化に結びついたトップダウンのセットに取り組むときに出てくるのは筋が通っています。神々を使うのはこれが最後ではなく、我々はこの2つに将来神々に再訪したときに成果をあげられる共通点を持たせる必要がありました。

 我々は『テーロス』ブロックから神々についての多くの教訓を得て、楽しいスタンダード環境のためにそれらを作りたいのであれば全く同じ方法ではできないと分かっていました。デベロップ・チームはデザインに対してこの問題とそれを軽減するためにできることをとても率直に伝えました。

 我々は人々がいったん盤面に出てしまうと普通は対処不能だからといって神を1~2枚だけ入れるようになることを望んでいませんでした。また我々はこれらをただ本当に強いだけのクリーチャーにすることは、全体的に「健康的な」ことと結びつける上でいい仕事をするとは思いませんでした。

 信心はこのセットになく、また実際我々はただそれを神々につけるというアイデアで全くスタンダードを整えていませんでした。信心を違うものにするさまざまな選択肢がありましたが、それに意味があったとしても神々が行き詰まりになるように感じられました。

 「~ないかぎり攻撃したりブロックしたりできない」という能力は、『テーロス』の神々の信心が足りなければクリーチャーでないという能力に十分近く、一方で将来我々が神々をまたやるときにはまた何か他のことができるようなものでした。

 また前回は、神々がほとんどの間クリーチャーではなかったので対処しにくかったという問題点がありました。我々は神々をエンチャントにすることは『テーロス』のものなのでやりたくないことも分かっていましたが、我々は共通点を必要としていました。

 神々を大きく破壊不能なクリーチャーのままにすることは、それらを適正な立ち位置に置かれたように感じさせました――常にクリーチャーですし、「~ないかぎり攻撃したりブロックしたりできない」のための条件には対処できるので、我々は楽しいカードを作るのに良いところにいると感じました。


 我々はこれら3つの事柄しか考えていなかったというわけではありません――我々はサイクリングで何をするべきかを考え出し、砂漠をどのようにこのセットでプレイするかを考え出し、楽しい不朽のデザインを作らなければなりませんでした。それらについて今後お話しして行く予定で、手始めに次回は不朽と、そのメカニズムでの我々の努力の調査をお話しします。

 それまでは、出揃ったカードイメージギャラリーを見て4月22日(土)~23日(日)のプレリリースに備えてください!

 それではまた次回お会いしましょう。

サムより (@samstod)

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