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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:Open the Vault(モダン)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:Open the Vault(モダン)

by 岩SHOW

 新年、明けましておめでとうございます! 昨年はマジック大好きな皆さまに大変お世話になりました。2017年もマジックの良さ・楽しさをより多くの人に伝えられるように精進して参りますので、どうぞ宜しくお願いいたします。

 さーて新年一発目の更新。なんとなくお正月っぽいデッキを探していて、これだ!というものを見つけた。どことなく福袋・お年玉感のあるデッキ! かつてモダンにて「サニーサイドアップ」なるデッキが猛威を振るっていた。「Second Sunrise」の方が最近のプレイヤーには浸透しているかな。このデッキはプロツアー優勝者も輩出している強力なコンボデッキだ。

 キーパーツである《第二の日の出》が禁止されたことでトーナメント・シーンから姿を消していたが......マニアは第二の《第二の日の出》を見つけて細々と使用し続けている。モダンリーグで全勝をしていたのでそのリストを見ていただこう。

Havik917 - 「Open the Vault」
Magic Online Competitive Modern Constructed League 5勝0敗 / モダン (2016年12月11日)[MO] [ARENA]
4 《
1 《平地
4 《アダーカー荒原
4 《ダークスティールの城塞
4 《幽霊街

-土地(17)-


-クリーチャー(0)-
3 《睡蓮の花
2 《オパールのモックス
4 《彩色の宝球
4 《彩色の星
4 《テラリオン
1 《写本裁断機
4 《胆液の水源
1 《精神石
4 《信仰の見返り
4 《クラーク族の鉄工所
4 《物読み
3 《蔵の開放
4 《作り直し
1 《苦悩火

-呪文(43)-
2 《トーモッドの墓所
3 《沈黙
2 《真髄の針
4 《アーティファクトの魂込め
2 《サイクロンの裂け目
2 《残響する真実

-サイドボード(15)-

 リストを見ただけでは何をするデッキかわかり辛いと思うので、まずは基本的な「サニーサイドアップ」の解説を簡単に。「サニーサイドアップ」は、

  • 睡蓮の花》のように生け贄に捧げることでマナを生み出すアーティファクト
  • 生け贄に捧げて土地をサーチするフェッチランド
  • 戦場に出た時にカードを引けるアーティファクト
  • それを生け贄に捧げる《クラーク族の鉄工所

......などなどをまとめて戦場から墓地に送り込む→《第二の日の出》or《信仰の見返り》を唱えて全部戦場に戻す、を繰り返す。

 そうするとマナも手札も徐々に増えていくので、ライブラリーを掘り進めて《妖術師のガラクタ》で日の出or見返りをライブラリーの底に送って引いて唱えてというループを作り出す。

 その中で《黄鉄の呪文爆弾》をプレイヤーに投げつけては戦場に戻すということを繰り返して勝利。あるいは、もっとシンプルにストームたっぷりの《ぶどう弾》を投げつけるか。

 モダンよりも遥か昔、エクステンデッドにおける《第二の日の出》デッキには大量の《スカイクラウドの卵》などの卵サイクルが投入されており、卵を割りまくって目玉焼きを作る→目玉焼きの片面焼きを意味する「サニーサイドアップ」という名をつけられた、というわけ。

 コンボデッキとしての安定感は高く、また回りだすと対戦相手を置いてけぼりにしてただ延々と時間を消費していく。結果、《第二の日の出》は禁止カードとなってしまう。

 話は戻って今日のデッキ。《信仰の見返り》とともに墓地からアーティファクトを掘り起こすのは《蔵の解放》。

 このカード名が、なんか年末大掃除・年始大安売り感があると思うのは......僕だけ? まあそれは置いといて......《蔵の解放》は《第二の日の出》に比べると重い。なので、繰り返し使用するには大量のマナが必要。《クラーク族の鉄工所》は4枚必須だ。この鉄工所に《胆液の水源》やマナを出し終わったアーティファクトを投げ込んで、無色マナを大量に得よう。それらは《テラリオン》で色マナに還元してやれば良い。

 色マナを得る方法の1つに、《幽霊街》を《ダークスティールの城塞》に撃ち込むという手もある。城塞は破壊不能で壊れず、《幽霊街》の能力でライブラリーから基本土地を探す→《信仰の見返り》を唱えて《幽霊街》を戻してもう1回、という寸法だ。

 《写本裁断機》は無限ループ形成に関わる1枚。鉄工所と複数のアーティファクト+《睡蓮の花》or《テラリオン》という状況で白マナ含む10マナ生み出せるようになると、パーマネントを根こそぎ生け贄→《信仰の見返り》で戻す→《写本裁断機》に5マナ払って回収、のループを好きなだけ行いつつマナを増やすことができる(もちろん、12マナ出せれば《蔵の解放》でも同じことができる)。

 無限ループせずともマナは大量に増えることだろう。この増えたマナを使って勝利するのだが......その手段が潔くてカッコイイ。《苦悩火》でドカンと一撃20点!これは気持ちいい。複雑なシステムの果てにX火力で20点という昔のコンボデッキ感がたまらないね。

 たった1枚のフィニッシャー、もし手札破壊で捨てさせられても《写本裁断機》で拾えばOK。まあ不安があるなら《ぶどう弾》や呪文爆弾なんかを足しても良いかもね。少し形は変わるが、鉄工所から溢れるマナで《引き裂かれし永劫、エムラクール》を出す方向に特化したデッキもあったりする。

 サイドボードも面白い。《アーティファクトの魂込め》4枚!これを《ダークスティールの城塞》に貼りつけて殴って勝つというアグレッシブ・サイドボーディングが取れるのだ。

 これは対戦相手も予想しておらず、ほとんどの場合唯一効く除去《流刑への道》はサイドアウトされることだろう、奇襲が決まる確率は高いぞ。特にコンボを成立させてから勝つまでに時間がかかるデッキなので、サイド後に早期決着プランがあるというのは有り難いことこの上ない。Magic Onlineだと自分の持ち時間が切れてコンボ決まってるのに負け......とかあり得るからね......。

 綺麗に回すには練習が不可欠。僕もこれを書きながら一人回し中だ。こたつに入りながらテレビを見つつやるには良いかもしれない。まあ、このコラムが掲載されるころにはもう正月休みも終わりなんだけども......あ~、デッキを回す無限の時間、どっかに落ちてないかなぁ~!!

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