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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:Imperial & Taxes(レガシー)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:Imperial & Taxes(レガシー)

by 岩SHOW

 レガシーでは青を使わないのはハンデ!ブレスト(《渦まく知識》)使い得!とよく耳にする。実際、1マナでカードを3枚も引き込んで手札の質を高めることの出来るブレストは強力無比な呪文で、これに追加で《思案》《定業》《精神を刻む者、ジェイス》とドローは完璧。《意志の力》《対抗呪文》などの打ち消しで緊急事態にも対処可能。《秘密を掘り下げる者》《瞬唱の魔道士》《真の名の宿敵》とクリーチャーも最強クラス、《High Tide》《霧虚ろのグリフィン》《実物提示教育》とコンボパーツもバッチリ。この環境の最強色といって差し支えないものだ。

 ただ、だからと言って最強の色を使わないのは間違いなのか。そうでもない。むしろ、最強であり使用者が多いからこそ、それを狩ることを目指した他の色のデッキで臨めば、勝機はある。勝ちに行くために最強を手放す、という選択肢もあるのだ。

 後は、純粋に......勝ちも大事だが、自分の使いたいデッキ使うのがやっぱり一番。楽しむためにマジックやってるんだから好きな色のデッキを使えばいい。たとえそれが環境で最強の青を用いないデッキであっても...例えば、この白タッチ赤のデッキなんて、良いデッキだね。

Mikael Teittinen - 「Imperial & Taxes」
グランプリ・プラハ2016 10位 / レガシー (2016年6月11〜12日)[MO] [ARENA]
2 《平地
2 《Plateau
4 《溢れかえる岸辺
1 《吹きさらしの荒野
3 《カラカス
3 《魂の洞窟
4 《リシャーダの港
4 《不毛の大地

-土地(23)-

4 《ルーンの母
4 《スレイベンの守護者、サリア
3 《石鍛冶の神秘家
2 《ファイレクシアの破棄者
1 《コーの空漁師
4 《ちらつき鬼火
3 《帝国の徴募兵
3 《月の大魔術師
1 《コロンドールのマンガラ
1 《ミラディンの十字軍
1 《ピア・ナラーとキラン・ナラー

-クリーチャー(27)-
4 《霊気の薬瓶
4 《剣を鍬に
1 《梅澤の十手
1 《火と氷の剣

-呪文(10)-
4 《エーテル宣誓会の法学者
1 《封じ込める僧侶
1 《コーの火歩き
1 《狡猾な火花魔道士
1 《フェアリーの忌み者
1 《濠の大魔術師
2 《外科的摘出
1 《流刑への道
2 《漸増爆弾
1 《厳密なる執行

-サイドボード(15)-

 対戦相手を妨害する能力を持った軽量クリーチャーと《不毛の大地》《リシャーダの港》のマナロックで相手を雁字搦めにするビートダウンデッキ「Death & Taxes」。通称デスタク。このデッキに赤をタッチしたものが本日紹介する「Imperial & Taxes」だ。

 まずはデッキのエンジン部分から。《霊気の薬瓶》だ。現在のレガシーでこのカードを使えるデッキというのはそれだけでアドバンテージを得ている。

 マナ・コストを払わず手札から直接クリーチャーを戦場に出せるこのカードがあれば、「奇跡コントロール」が仕掛けてくる《師範の占い独楽》+《相殺》の凶悪なロックコンボを突破してクリーチャーを展開することができる。この点は《魂の洞窟》も同様の役割を果たしている。青の打ち消し戦略に真っ向から立ち向かうデッキ、という点では「ゴブリン」にも通ずるものがある。

 この《霊気の薬瓶》を1ターン目に設置し、2ターン目からは《リシャーダの港》で相手のマナを縛るのが必勝パターン。相手のアップキープに任意の土地をタップすることで、展開を大いに遅れさせることができる。この行動には自身も実質的に2マナ払い続けなければならず(港と、その能力を起動するための1マナとで2つの土地を使用)、普通のデッキでは自身も展開が遅れてしまうのだが、そこを薬瓶が解決してくれるというわけ。マナを封じながら、呪文に追加マナの支払いを要求する《スレイベンの守護者、サリア》を展開すれば対戦相手は悶絶必至。これをさらに守護る《ルーンの母》が隣にいれば、もうそれだけで勝ててしまうマッチアップもあるだろう。

 あとは《石鍛冶の神秘家》《ちらつき鬼火》に《ファイレクシアの破棄者》......と、低コストの優秀なクリーチャーが並ぶのだが、ここに名を連ねるのが《帝国の徴募兵》。このクリーチャーを使うために、赤がタッチされているのだ。

 この『ポータル三国志』出身の人間・クリーチャーは、戦場に出た時にライブラリーからパワー2以下のクリーチャーをなんでも1枚、サーチしてきて手札に加えることができるという能力を持っている。『ポータル三国志』限定で見れば大した能力ではないのだが、古今東西ありとあらゆるクリーチャーが集まったレガシーで用いれば......持ってくるカードはよりどりみどり。

 《石鍛冶の神秘家》をサーチしてそこから強力装備品に繋ぐ、《スレイベンの守護者、サリア》でコンボデッキを食い止める、多色デッキは《月の大魔術師》で基本でない土地を全部山にしてオツカレ!などなど。必ずや状況に即したカードをプレゼントしてくれることだろう。このカードもやはり《霊気の薬瓶》との相性は格別だ。

 《コロンドールのマンガラ》の能力を解決する前に《カラカス》でこれを手札に戻し、相手のパーマネントだけ追放してこっちはマンガラを使いまわす、というデスタクの伝統的なコンボも搭載されている。伝説のクリーチャーでまた重いカードではあるので複数引きたくないのだが、そこを解決してくれるのが《帝国の徴募兵》になるというわけ。ゆえに《カラカス》3枚に対してマンガラは1枚に抑えられている。帝国様様である。このカードはデッキの準主役で、ゆえにデッキ名も「Imperial & Taxes」と呼ばれることに。

 この徴募兵のおかげで、メインデッキもサイドボードも1枚挿しが多くなっている。《フェアリーの忌み者》《コーの火歩き》などなど、特定のデッキ相手に有用なカードを1枚ずつ採用できるのはサイドボードを広く使うことができて素晴らしい。

 個人的には《コーの空漁師》なんてナイスチョイスだと思う。これを手札に握って蓄積カウンターが2つ乗った《霊気の薬瓶》を立たせておけば、重要なパーマネントが破壊されるタイミングでシュッと飛び出してそれを手札に戻して護ることができる。また、《ピア・ナラーとキラン・ナラー》も良いチョイス。飛行機械・トークンを展開してダメージレースを有利にするだけでなく、後半引いてきて使い道のない《霊気の薬瓶》も最低限の火力へと変換してくれる。

 赤白という2色は、アグレッシブでプレイングは簡単なデッキが多い印象があるが、この「Imperial & Taxes」はカード同士のシナジーもあり、どのタイミングでどのカードを探してきてどのようにプレイするのか、なかなかに繊細な部分のあるデッキで、やりこんでいるプレイヤーとそうでないプレイヤーとの間では天と地ほどの差がつくことだろう。気に入ったら早速デッキを組んで、練習あるのみ!

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