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戦略記事

行弘賢のよくわかる!リミテッド講座

第63回:『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』ドラフト攻略

行弘 賢


 皆さんこんにちは!行弘(@death_snow)です!

 『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』発売後、プロツアーにスポットライトにとイベント続きで中々時間が取れず、ようやくこうして記事を皆さんにお届けすることができました。ご存じの方もいるとは思いますが、プロツアー『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』では優勝することができ、スポットライトでも恩師の平林さんが優勝と、最高の2週間となりました。日本から応援していただいた皆様にこの場を借りて改めて感謝申し上げます。

 さて、そんな『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』。ドラフトの方もプロツアーの練習や、MTGアリーナでいつも通り遊んできましたので、今回も、そこで得た経験を皆さんに共有する記事をお送りしていきます。

 それではまずは環境のポイントから見ていきましょう!

1.『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』ドラフト環境のポイント

 『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』ドラフトでは、プレイ・ブースター3パックを使用します。

 
環境のポイント1:ジョブ選択を使う

 今回の新規キーワード能力の1つであるジョブ選択は、トークンと装備品を1枚で戦場に出す事ができる優秀なキーワード能力です。

 

 装備品はその性質上、ある程度ゲームが進行した後は付け替えることによってカードを使わずにマナをクリーチャーのスタッツに変換することができるため、リミテッドにおいては優秀なシステムカードになります。装備品の唯一の弱点が単体では何もしないという点ですが、それがクリーチャー・トークンも生成するとなると、相当に使いやすくなる為、ジョブ選択のカードは基本的には積極的に採用したいです。

環境のポイント2:召喚獣の扱いに要注意

 クリーチャーとしても英雄譚としても機能する召喚獣は、扱いが思ったより難しいカードです。強力な効果を持つカードが多い召喚獣ですが、基本的に攻めを継続できないと何もせずに場から退場してしまう事もしばしば。そうした場合は単にカードを1枚損してしまうため、召喚獣を使う場合は明確な役割を意識して採用するか、ある程度攻める形のデッキになっているかが重要になります。

 

 例えば《召喚:チョコボ&モーグリ》は、全体強化するカードなのでトークンを軸に攻めるデッキで活躍します。しかし、除去が多いデッキや後半の重いクリーチャーでゲームを決めるデッキでは継続的に戦場にいるクリーチャーが求められるため、場を支える役割としては上手くいかないカードになります。

 

 《召喚:デブチョコボ》などは最低限トークンを場に残すので攻めを意識したデッキで採用せずともある程度の活躍は見込めますが、こういったものでない限り採用しようとする召喚獣がどれくらい自分のデッキで活躍できるかはよく考えて採用するようにしましょう。

環境のポイント3:土地は17枚以上採用しよう

 今回の環境は手札からカードをプレイする以外に、マナをうまく使えるシステムが多く採用されています。例えばジョブ選択の装備品やフラッシュバックがそれにあたります。これらは土地を多く引いてしまう、いわゆるマナフラッドの状況でもある程度マナを使い続けてゲームを支える事ができるため、普段より土地を有効活用する事ができます。

 逆に土地がうまくプレイできないと、これらのシステムの恩恵が得られないため、どんどん不利になっていきます。

 

 その為《ワールドマップ》のような実質土地と換算できるカードとの兼ね合いはあるものの、それらを合計して17以上でデッキを組んだほうが安定したデッキになりやすいです。

 逆に17枚以上にできない構成は、この環境の優秀なシステムをうまく使えないという事になるため、そういった構成にならないよう気を付けてカードを採用するようにしましょう。

 以上の3つのポイントを意識する事でデッキを作りやすくなると思うので、まずはこれらを意識してピックするようにしてみましょう。

 それでは続きまして、今回の新規収録メカニズムをおさらいしていきましょう。

2.収録メカニズムについて

ジョブ選択

ジョブ選択(この装備品が戦場に出たとき、無色の1/1の英雄・クリーチャー・トークン1体を生成し、その後、これをそれにつける。)
装備しているクリーチャーは~、他のタイプに加えて~である。

 

 ジョブ選択とは、その装備品が戦場に出た時に英雄・トークンを生成し、それにその装備品をつけるキーワード能力です。

 トークン生成の能力を持つ装備品なので非常に使いやすく、現環境を定義つける優秀なキーワード能力です。

 もう一つの特徴としてジョブ選択を持つ装備品は必ずなんらかのクリーチャータイプを追加で持たせるようになっています。それにより他のカードとシナジーする事もあるので見落とさないよう注意しましょう。

段階

段階(追加コスト1つを選ぶ。)

  • ケアル ─ {0} ─ パーマネント1つを対象とする。ターン終了時まで、それは呪禁と破壊不能を得る。
  • ケアルラ ─ {1} ─ パーマネント1つを対象とする。ターン終了時まで、それは呪禁と破壊不能を得る。3点のライフを得る。
  • ケアルガ ─ {3}{W} ─ ターン終了時まで、あなたがコントロールしているすべてのパーマネントは呪禁と破壊不能を得る。6点のライフを得る。
 

 段階とは、上記のようなモードが複数あるものからモードを選択し、元々のコストに更に選択したモードの追加コストを支払う事でそのモードで呪文を唱える事ができるキーワード能力です。

 選んだモードによっては、クリーチャーでない呪文1つを唱えるたび、それを唱えるために4点以上のマナが支払われていた場合の条件を満たす事もできる等、ユーティリティーな活躍ができる、使い勝手の良いキーワード能力です。

英雄譚・クリーチャー

クリーチャー・エンチャント ─ 英雄譚(この英雄譚が出た際とあなたのドロー・ステップの後に、伝承カウンター1個を加える。~の後に、生け贄に捧げる。)

 

 英雄譚・クリーチャーは名前に召喚を含むクリーチャーのメカニズムで、クリーチャーながら英雄譚の能力を持つクリーチャーを指します。

 基本的にはアタック・ブロックができる英雄譚と考えてもらって良く、除去は当たりやすくなったものの、戦力として数えやすい優秀なものが多いです。英雄譚の効果が主な効果になるため下のテキスト欄にあるキーワード能力を見落としがちなので注意しましょう。

 さて、続きまして各色のトップコモン・アンコモンを見ていきましょう!

3.『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』のトップコモン&アンコモン

白・アンコモン
 

 《「竜騎士」の両手槍》:2マナ2/1飛行と序盤から圧力をかけつつ、除去された後はどのクリーチャーにも飛行を与える装備品として活躍できる、非常に強力なジョブ選択持ち装備品です。

 

レターモーグリ》:2マナ以下のアーティファクトと幅広いサーチ対象で確実にアドバンテージを取りつつ、自身も3/2飛行と申し分ないスタッツを持つ、使うデッキを選ばない優秀なクリーチャーです。

 

グ・ラハ・ティア》:宝物や生贄にするカードとのシナジーはいわずもがな、一度生き残ればクリーチャー同士の衝突ですらアドバンテージに変わる、非常に強力なシステムクリーチャーです。

白・コモン
 

ゲイラキャット》:アーティファクトを2つと条件はある程度必要になるものの、3マナ3/3飛行・警戒は破格のスタッツ。白の軸となる非常に強力なクリーチャーです。

 

白聖石》:除去できる幅が広く、更にマナアーティファクトとしても運用できる、1枚で2枚分の役割を果たす、《ゲイラキャット》との相性も抜群な優秀な除去アーティファクトです。

 

光の一閃》:白の軸になりやすいジョブ選択と相性が良い、軽くインスタントでプレイ可能な優秀な除去です。

青・アンコモン
 

イル・メグのピクシー族》:2マナの飛行のクロックとして優秀かつ、諜報能力により後の展開もサポートする、単体性能が非常に高いクリーチャーです。

 

キスティス・トゥリープ》:自分と相手、どちらの墓地からも使えるため基本的に腐りにくく、クリーチャーなので使い回しもしやすい優秀なクリーチャーです。

 

睡眠魔法「スリプル」》:格闘呪文や火力呪文で壊れるリスクはあるものの、それを差し置いても1マナでクリーチャーを除去できる破格な性能を持つ除去エンチャントです。

青・コモン
 

竜騎士の飛竜》:3マナ2/1飛行と悪く無いスタッツのクリーチャーにトークンのおまけがついている、ダメージレースに強い優秀なクリーチャーです。

 

氷魔法》:どのモードも標準スペックを持つ、使い勝手の良いバウンス呪文です。

 

サハギン族》:一度育つだけで2/4と2マナとしては破格の性能になり、ブロックされない能力により壁役から攻めまで広い役割をこなせる優秀なクリーチャーです。

黒・アンコモン
 

「暗黒騎士」の両手剣》:付け替えに3点のライフが必要と、複数回の付け替えはリスクを伴うものの、マナを支払わなくて良いため、攻めを継続するのに優秀な、強力なジョブ選択持ち装備品です。

 

オーバーキル》:3マナの実質完全除去として機能するだけでなく、破壊不能のクリーチャーも死亡させることができる、環境屈指の除去です。

回転

サブクエスト:モブハント》:5マナの確定除去と単体性能はそこまでですが、宝物生成能力が強力で、様々なカードとシナジーを形成する、除去の枠を超えた強力なエンチャントです。

黒・コモン
 

ヴェインの鬼謀》:キッカーコストが環境的に使いやすい事もあり、幅広い範囲のクリーチャーを除去できる優秀な除去です。

 

セフィロスの介入》:4マナインスタントの確定除去と、あまりコストパフォーマンスは良くないものの、2点ライフゲインのおまけが意外にもゲームに与える影響が大きく、見た目以上に強力な除去です。

 

「黒魔術士」の杖》:ジョブ選択により序盤から相手に圧をかけ続ける黒魔術士を作りつつ、その後も優秀な装備品として機能する、優秀なジョブ選択持ち装備品です。

赤・アンコモン
 

チョコメット》:クリーチャーを除去しながら盤面に鳥・トークンを生成できる1枚で2枚分の働きをする分かりやすい強さだけでなく、本体火力として最後の詰めとしても機能する、非常に強力な火力呪文です。

 

プロンプト・アージェンタム》:2マナ2/2速攻と単体性能が高く、宝物生成能力により攻めながらマナサポートもできる、見た目以上にゲームに貢献する優秀なクリーチャーです。

 

「侍」の刀》:ジョブ選択により3マナ3/3速攻・トランプルと優秀なスタッツのクリーチャーとして場に出つつ、残った装備品の性能も非常に優秀なジョブ選択持ち装備品です。

赤・コモン
 

メテオストライク》:アーティファクトとクリーチャー、幅広い除去性能と追放がうれしい、構築級の除去呪文です。

 

雷魔法》:モードを可変する事で、悪く無いコストパフォーマンスで幅広い範囲のクリーチャーを除去する事ができる、赤を代表する除去呪文です。

緑・アンコモン
 

召喚:フェンリル》:土地を伸ばしつつ、後続のクリーチャーを強化し、最後はドローに変わる、1枚で大きな役割を果たす、緑を代表するアンコモンです。

 

盟友、トルガル》:好きな色を出すマナクリーチャーとして強力なだけでなく、人間を強化する事もできる、非常に性能の高いマナクリーチャーです。

 

陽気なルシ、ヴァニラ》:最低限のスタッツを持ちつつ、切削能力とパーマネント回収でアドバンテージも稼ぎ、上手く合体すればフィニッシャーにもなる、優秀なクリーチャーです。

緑・コモン
 

バラムのアルケオダイノス》:土地サイクリングで手札を安定させつつ、6マナのクリーチャーとして申し分のない性能を持つ、優秀な緑のフィニッシャーです。

 

チョコボキック》:キッカー込みだとほとんどのクリーチャーを除去できるだけでなく、土地を戻す事で上陸等で再利用も狙える、非常に優秀な除去です。

 

町の歓迎者》:街や黒緑のような切削して土地を探す能力と相性が良いアーキタイプでは非常に重宝する、オンリーワンの性能を持つクリーチャーです。

 続きまして、『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』の注目アーキタイプを紹介していきます。

4.『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』ドラフトの注目のアーキタイプ

注目のアーキタイプ・その1:白青アーティファクト

 「白青アーティファクト」は、《ゲイラキャット》や《ヘリガンナー》など、アーティファクトとシナジーがある白と青のカードをアーティファクトカードでバックアップするアーキタイプです。

 

 基本的にはジョブ選択の装備品や《ゲイラキャット》が強い白を軸にカードを集めつつ、《独創的な革新者、シド》や《ヘリガンナー》などの青のアーティファクトシナジーのあるカードが流れてきた際に白青を意識していくのがセオリーになります。

 

 アーティファクトの数が重要になるアーキタイプなので、《魔導兵器の歩兵》も2枚以上集められるとアーキタイプとしてぐっと引き締まるので見かけたら意識して優先的に採用するようにしましょう。

 
注目のアーキタイプ・その2:白黒サクリファイス

 「白黒サクリファイス」は、《アーリマン》や《魔列車》等の黒のカードを生贄にするカードと白のカード2枚分になる《ドワーフの城守》や各種ジョブ選択装備品等でバックアップするアーキタイプです。

 

 白には生け贄と最高に相性の良いシステムクリーチャーである《グ・ラハ・ティア》がいるため、白黒にいく際は最優先で採用するようにしましょう。

 

 また、《グ・ラハ・ティア》や《ジャッジマスター、ガブラス》と相性が良いのが宝物トークンで、宝物を生贄に捧げるだけでどちらも能力を誘発させることができるため宝物を出すカードは積極的に採用するようにしましょう。宝物を出すカードを採用することで色も足しやすくなり、《陽気な義賊、ジタン》のような一時的に相手のクリーチャーを奪うような生贄と相性が良いカードを追加で採用しやすくなるメリットもあります。

 黒が軸となっているアーキタイプなので黒赤で組む事もでき、アーキタイプの中でも柔軟に相方の色を決める事ができる事から失敗しにくい安定感あるアーキタイプになります。

注目のアーキタイプ・その3:青赤4マナスペル

 「青赤4マナスペル」は、《過激な淑女、シャントット》や《パラメキア皇帝》等のクリーチャー以外の呪文で4マナ以上を支払っているときに能力を誘発させるカードと《山チョコボで冒険》等の4マナ以上のクリーチャーでない呪文でバックアップするアーキタイプです。

回転

 

 《雷魔法》や《氷魔法》のような、序盤で使えつつ4マナ以上も狙える段階の呪文を多く採用することで序盤から終盤まで隙のない構成を狙う事ができます。また、4以上のクリーチャーでない呪文を《山チョコボで冒険》や《幻獣を奪取せよ》等のクリーチャーとしてもカウントできるカードを採用することで、クリーチャーとそれ以外の呪文のバランスを上手くまとめやすくなります。

 

 アーキタイプとしてコンセプトがわかりやすく寄せる事も難しくなく、単体性能が高いカードでまとめられることから環境屈指の強力なアーキタイプになります。

注目のアーキタイプ・その4:黒緑切削

 「黒緑切削」は、《暗闇の雲》や《「無」の暗黒魔道士、エクスデス》等の墓地のパーマネントの枚数を参照にするカードを《神羅の援軍》や《町の歓迎者》等の切削するカードでバックアップするアーキタイプです。

回転

 「黒緑切削」のアーキタイプの強さを支えるのは《暗闇の雲》で、これが無いとアーキタイプの強さが出にくいので黒緑に行く指針として《暗闇の雲》が取れているかどうかが重要になります。《暗闇の雲》が取れたら切削と《陽気なルシ、ヴァニラ》等のクリーチャー回収の組み合わせでゲーム中に《暗闇の雲》にたどり着きやすく、非常に安定感あるゲームができるようになります。

 

 また、《簒奪者、アーデン》等の強力なクリーチャーが取れた場合も似たような事が言えるため、これらを取れた場合に備えて黒緑切削は選択肢の1つとして覚えておきましょう。

 
注目のアーキタイプ・その5:青緑街

 「青緑街」は、《心を持たぬ者、オメガ》や《キキルンの商人たち》等の街と相性の良いカードを《イグニス・スキエンティア》や《地平線への到達》等の街を場に出せるカードでバックアップするアーキタイプです。

 

 「青緑街」で一番大事なのは街の枚数で、6~9枚ぐらいを目安に集める事になります。そうなると自然と2色以上でる土地が増えるため、基本的には多色化を狙う事になります。多色化することで様々な強力なカードを採用できるようになるため、街を多く集めてその間取れなかった呪文を後にカバーする事ができます。

 《桃源郷の探求者、チョコ》や《スピラの罰、『シン』》等、普通のアーキタイプでは採用できない強力なカードを積極的に採用して、カードパワーの差で押し切る構成を目指しましょう。

 

5.最後に

 これで今回の記事は終わりです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。この記事が少しでも、皆さんが新環境のドラフトを楽しむ助けになれば幸いです。

 今回は各色のバランスが良く、様々なアーキタイプで遊べる非常に楽しい環境に感じます。『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』からマジックを始めた人も、普段からリミテッドを遊んでいる方、幅広く楽しめる非常におすすめのエキスパンションになっていますので、是非皆さんドラフトを遊んでみてください!

 それでは皆さん、また次回の連載記事でお会いしましょう!

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