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行弘賢のよくわかる!リミテッド講座
第58回:『ブルームバロウ』ドラフト攻略
皆さんこんにちは!行弘(@death_snow)です!
先週末はスタンダードの大型オンライン大会である「マジック:ザ・ギャザリング ジャパンオープン2024」が開催され、ブルームバロウのカードが大活躍してる様を見てローテーションが到来し新環境になったと改めて感じました。まだご視聴してない方は生放送のアーカイブをご覧ください。僕も解説しています!
さて、そんなスタンダードで大活躍中の『ブルームバロウ』。ドラフトの方もMTGアリーナでいつも通り遊んできましたので、今回も、そこで得た経験を皆さんに共有する記事をお送りしていきます。
それではまずは環境のポイントから見ていきましょう!
1.『ブルームバロウ』ドラフト環境のポイント
『ブルームバロウ』ドラフトには、『ブルームバロウ』プレイ・ブースターを3パックを使用します。
環境のポイント1:テンポを取り合う
今回のブルームバロウの環境は序盤が非常に重要な環境となっています。というのも種族(生き物としてのクリーチャー・タイプ)をフィーチャーしたセットである事からも種族シナジーが多く盛り込まれており、同じ種族がそろえば揃うほど基本的に得する事が多いからです。
種族を並べるにあたって低マナ域から一定の種族を出し続ける事が重要なので、まずは序盤を重視し、比較的軽いマナ域の軸になりうる種族カードを意識して採用するようにしましょう。
環境のポイント2:強力なクラスを逃すな
今回は各色にクラスカードが存在し、レアはもちろんアンコモンもものによっては一枚でゲームを支配できる程強力なものも存在します。種族のシナジーも大切ですが、クラスはそれを軸に据えても良い程に強力なので、強力なクラスは種族カードより基本的に優先して採用するようにしましょう。
環境のポイント3:膠着を打破する
新生によるトークンや到達持ちが多い環境なのでダメージレースができずお互いクリーチャーを並べ合う展開になる事が意外と多発します。その場合はゲームが長引いた際に多く引いた土地を利用できる起動型能力を持つクリーチャーを採用したり、クラスのようなシステムカードが有効になります。
到達が多いとはいえ飛行クリーチャーももちろん膠着を打破するのに役に立ちますし、ただただサイズの大きなクリーチャーも重要になってきます。新生持ちのクリーチャーや起動型能力持ちのクリーチャーが低コストに多いので、気が付いたら同じサイズや同じ役割のカードばかりで膠着を打破できない構成にならないように気を付けましょう。
以上の3つのポイントを意識する事でデッキを作りやすくなると思うので、まずはこれらを意識してピックするようにしてみましょう。
2.収録メカニズムについて
続きまして、今回の新規収録メカニズムをおさらいしていきましょう。
新生
新生N(この呪文を唱えるに際し、追加でNを支払ってもよい。そうしたなら、このクリーチャーが戦場に出たとき、1/1でこれのコピーであるトークン1体を生成する。
新生とは、唱える際に新生のコストを支払う事で場に出た際にそのクリーチャーの1/1のコピーを生成する能力を誘発させるキーワード能力です。この能力は土地を多く引いてしまった際の受け入れとしても活用できるので、新生持ちが多い場合は比較的軽いカードだけでデッキを組んでも強力なものになりやすいです。
贈呈
~を贈呈する(あなたがこの呪文を唱えるに際し、対戦相手1人に贈呈する約束をしてもよい。そうしたなら、これの他の効果が適用される前に、そのプレイヤーは~。)
贈呈するとは、対戦相手に指定の条件のボーナスを与える代わりに、カードの効果を強力にするキーワード能力です。
ボーナスは緩いものでは食物や魚トークン等のあまり盤面や状況に影響がないものから、相手にカードを引かせるような強力なものまで様々なものがあります。条件が厳しいものはその分リターンが大きい設計にはなっていますが、状況により贈呈するかを選択するようにしましょう。
給餌
給餌(あなたの墓地にあるカード3枚を追放するか食物1つを生け贄に捧げる。)
給餌とは、食物を1つ生贄に捧げるか、自分の墓地のカードを3枚追放するかを選択するとボーナスがあるキーワード能力です。
食物をある程度まかなえるデッキであれば序盤以外では基本的に給餌のコストには困らないですが、食物自体の3点ライフを得る能力が強力なのもありスレッショルドを使わないデッキであれば墓地を優先して使うようにしましょう。
雄姿
雄姿 ― ~が各ターン内で初めてあなたがコントロールしている呪文や能力の対象になるたび、~。
雄姿とは、雄姿を持つクリーチャーがそのターン自身のコントロールしている呪文や能力により対象になった際にボーナスを得る事ができるキーワード能力です。
装備品等の起動型能力によって毎ターン安定して能力を誘発させることができると雄姿持ちのパフォーマンスを発揮しやすいため、雄姿持ちをたくさん採用する際はバックアップするカードもしっかりと用意するようにしましょう。
積算
あなたが積算Nを達成するたび、~。(1ターンの間に呪文を唱えるための4点目のマナを支払うと、積算Nを達成する。)
積算とは、そのターンの間に呪文を唱える際に支払ったマナ・コストが指定された数以上の場合にボーナスを得る事ができるキーワード能力です。
新生の際に追加で支払ったマナもカウントされるため、新生持ちと相性が良いです。起動型能力等能力によるコスト支払いに対してはカウントされない点に注意しましょう。
3.『ブルームバロウ』のトップコモン&アンコモン
さて、続きまして各色のトップコモン・アンコモンを見ていきましょう!
白・アンコモン
《建築家の才能》:盤面を形成するのに優れ、単体でシナジーを形成する強力なクラスです。《バンブルフラワー夫人の大鍋》との相性が非常に良いので是非組み合わせてみましょう。
《漂い影のコヨーテ》:除去内蔵クリーチャーとして非常に優秀なクリーチャーです。トークンが多い環境なので、トークンを除去して後腐れなく使いつつ自身を強化する動きも強力です。
《輝き刃のオコジョ》:魂絆によりダメージレースにおいて無類の強さを発揮する強力な2マナクリーチャー。先制攻撃を持つので装備品等でバックアップするだけで相手もブロックする事が難しくなるのも強力ですね。
白・コモン
《払拭の光》:幅広い対象に触れる確定除去として文句ない性能です。クラスがある環境なので置物(エンチャントやアーティファクト)に触れるのもありがたいですね。
《剛胆な兎》:打点アップかつ面を展開できる攻めの軸とできる優秀な新生持ちクリーチャーです。
《人参ケーキ》:トークン生成で盤面を作りつつ占術で手札を安定させ食物としてライフも回復させることができる、1枚でゲームメイクできる能力が高いアーティファクトです。
青・アンコモン
《渦泥の蟹》:タップさせる能力が強力かつ、瞬速により計算外の動きができるので意外な勝ちパターンを多発させることができます。ある程度インスタント・ソーサリーを入れないとコストが重いのがネックとなるので注意しましょう。
《カワセミの騎士》:5マナ4/5飛行というマジックの歴史的に見ても図抜けたスタッツを持つアンコモンとは思えない性能をしてるだけでなく、鳥を出すと魚トークンを生成し、飛行で殴り地上は魚でしのぐという1枚でゲームを支配できる環境屈指のクリーチャーです。
《精神をかき混ぜる者》:毎ターン諜報しつつ、スレッショルドが達成された場合は相手全体を弱くすることができる、システムクリーチャーとしてあまりにも高スペックなぜひとも採用したいクリーチャーです。
青・コモン
《知識の真珠》:カワウソがいれば2マナ2ドローと非常にコスパ良く使える優秀なドロー呪文です。
《竜巻の番人》:クリーチャーが軸になる環境において毎ターンクリーチャーを出す事はそこまで難しい条件ではないため安定して飛行クリーチャーとして攻撃する事ができ、さらに状況に応じて地上クリーチャーにボーナスを与えるカードの恩恵も受ける事もできる、攻めに適したクリーチャーです。
《スズメの陣形》:新生により複数飛行クリーチャーを展開できるだけでなく、地上クリーチャーを飛ばす能力によりフィニッシャー的な役割も期待できるクリーチャーです。
黒・アンコモン
《ウィックの巡回兵》:切削能力により給仕やスレッショルドに貢献しつつ相手のクリーチャーを除去する事ができる、6マナ払うに値する強力なクリーチャーです。
《星景の僧侶》:新生するとライフを回復するたびに2点ルーズさせる事ができるため、見た目以上に一気にゲームを終わらせる性能を持つ、シナジーこそ必要ですが強力な飛行クリーチャーです。
《思考忍びの邪術師》:威迫により定期的にダメージを稼ぎやすいのでトカゲ関連のカードと相性が良く、戦場に出た際の効果は確実にアドバンテージも稼ぐ事ができるゲームの中盤を有利にしてくれるクリーチャーです。
黒・コモン
《夜の飢え》:3マナかつシングルシンボルのインスタント確定除去は流石の強さ。自身が押してる時は贈呈をせず、押されてる時は贈呈してライフを守ればいいので選択肢が難しく無いのも嬉しいですね。
《堪能》:コンバットトリックとしても使える除去性能かつ、食物を出す能力によりライフレースを有利にしたりシナジーを形成する事ができる見た目以上に活躍の幅が広い優秀な除去です。
《短剣牙の二人組》:接死持ちなので相打ち性能が高く、切削によりスレッショルドや給仕と相性が良い後腐れなくシナジーを形成できる使い勝手の良いクリーチャーです。
赤・アンコモン
《鍛冶の才能》:マナカーブを単体で埋める事ができ、レベル3からは後続のクリーチャーが全部フィニッシャーになる、1枚で勝ちうることができる環境屈指の強力なクラスです。
※こちらのカードにはテキスト修正がございます。詳細はこちら。
《狂気の一齧り》:インスタントかつパワーを上げながら一方的にダメージを与える事ができるため、雄姿持ちクリーチャーと組み合わせるとコンバットリックとしても運用可能な強力な除去です。
《地震牙の猪》:5/5到達速攻トランプルと単純明快な強さが環境的にもマッチしており、攻守において活躍できる強力なクリーチャーです。
赤・コモン
《瑪瑙の落石》:3マナ4点除去として安定した性能かつ、アーティファクトまで見る事ができる比較的広い除去性能が嬉しい優秀な除去です。
《ポイ捨て》:2マナ3点インスタントと悪く無い除去性能と、アライグマをコントロールしてる際に手札を入れ替える事ができるボーナスも嬉しい優秀な除去です。
《非道な二人組》:積算により自身だけでなく他のクリーチャーも強化できるので雄姿持ちとも相性が良い、赤の攻めの軸となりうる優秀なクリーチャーです。
緑・アンコモン
《烈風のヘラジカ》:瞬速により相手のクリーチャーを一方的に打ち取る事もでき、警戒到達なので盤面の制圧能力が非常に高い、デッキを選ばず活躍可能な非常に強力なクリーチャーです。
《茨守りの古参兵》:3マナ3/4と強力なマナレシオをしつつ、更に積算によりアライグマ全体を強化する、ダブルシンボルこそ若干の使いにくさはあるもののそれを差し引いてもぜひ採用したいクリーチャーです。
《狩人の才能》:戦場に出た際にまず一方ダメージにより除去性能があり、2レベル目で継続的に盤面をサポートし、最後はドローへと繋がる、1枚であらゆる局面に対応可能な環境屈指のアンコモンです。
緑・コモン
《パン職人を悩ませる二人組》:食物を生成しつつ積算により自身を強化し2マナ域のクリーチャー以上の働きが期待できる優秀な2マナクリーチャーです。
《くっつき舌の歩哨》:3マナ3/3到達と優秀なマナレシオかつ、パーマネントバウンス能力により様々なカードとシナジーする、幅広く活躍できるクリーチャーです。
《オタマジャクシパンチ》:カエル以外のアーキタイプだと多少使いにくさはあるものの、緑の自身より大きなクリーチャーに対処するのが難しい色の性質を補える性能の優秀な除去です。
4.『ブルームバロウ』ドラフトの注目のアーキタイプ
最後に『ブルームバロウ』の注目アーキタイプを紹介していきます。
注目のアーキタイプ・その1:白青鳥
「白青鳥」は、《羽信隊の導師》や《カワセミの騎士》などの鳥や飛行クリーチャーが出た際にボーナスのあるカードを軸に飛行クリーチャーで攻めるアーキタイプです。
飛行を軸に攻めるアーキタイプではあるのですが《羽信隊の導師》のような地上クリーチャーと相性が良いクリーチャーもいるので飛行一辺倒にならないよう注意しましょう。地上クリーチャーかつ飛行にもなれる《竜巻の番人》は非常に相性が良いのでぜひ採用したいですね。
注目のアーキタイプ・その2:青黒ネズミ
「青黒ネズミ」は、《精神をかき混ぜる者》や《短剣牙の二人組》のような諜報や切削によって墓地の枚数を増やし、ネズミに多く存在するスレッショルドを達成し戦うアーキタイプです。
青黒は色の性質上相手に干渉する呪文が多い為クリーチャーのスタッツは全体的に抑えられています。その為スレッショルドが達成できない場合は他の色に対抗できないのでまずはスレッショルドを達成できる構成を目指すようにしましょう。
スレッショルドが達成さえすれば《精神掘りの通り魔》や《精神をかき混ぜる者》のような盤面に大きく還元されるクリーチャーもいるので、ゲームの中盤以降は見た目以上に強力なクリーチャーが多く存在するアーキタイプです。
注目のアーキタイプ・その3:青赤カワウソ
「青赤カワウソ」は、カワウソの多くが持つ果敢や《大嵐の釣り人》のようなクリーチャー以外の呪文を唱えた際にボーナスがあるカードでカワウソをバックアップして戦うアーキタイプです。
クリーチャーを呪文でバックアップして戦う性質上クリーチャー以外の呪文を多く採用しなければいけない為他のデッキと比べデッキのバランスがピーキーで、クリーチャー13枚前後、クリーチャー以外の呪文10枚前後くらいが指針となります。ドロー呪文も多くいれるので土地を16枚以下にする選択肢もあります。
クリーチャーは《大嵐の釣り人》や《焚き火花の二人組》のようなクリーチャー以外の呪文と相性が良いものを厳選し、それを守る《下支え》のような呪文や除去呪文を駆使して戦うようにしましょう。
注目のアーキタイプ・その4:緑青カエル
「緑青カエル」は、《蓮葉跳びの導師》のような自身のクリーチャーを死亡せずに場を離れさせるカードと、《三本木の書記官》のようなそれらと相性が良いカードを組み合わせて戦うアーキタイプです。
《オタマジャクシパンチ》のような単純にカエルと相性が良いカードもあり、カエル全体のスタッツも比較的良い事から単純なグッドスタッフとして戦う事もできます。
カエルはシナジーが真価を発揮されるまで場を作り上げる必要があるので、膠着した際のオプションくらいで考えておいてもいいかもしれません。
注目のアーキタイプ・その5:黒赤トカゲ
「黒赤トカゲ」は、《火硝子の導師》のようなトカゲに多く存在する対戦相手にダメージを与える事でボーナスがあるカードを戦闘ダメージ以外でもサポートできる《焚き火花の二人組》のようなカードを組み合わせて戦うアーキタイプです。
基本的には戦闘ダメージでボーナスを目指していきたいため、《山峡の略奪者》のような威迫持ちを採用して軽いマナから攻めていきたいのですが、序盤が崩れてしまうと途端に使いにくいカードが多く、先手後手にも大きく依存するアーキタイプなので最大値こそ高いものの安定させるのに苦労するアーキタイプなので構築難易度は高めです。
注目のアーキタイプ・その6:黒緑リス
「黒緑リス」は、《パン職人を悩ませる二人組》などの食物を出すカードと、《好奇心旺盛な餌あさり》等の給仕を持つカードや《名誉あるリス隊長》のような食物と相性が良いカードを組み合わせて戦うアーキタイプです。
給仕は墓地を利用する事もできるので墓地の枚数を増やしつつ食物を生成する事もできる《蓄え放題》が非常に相性がいいので、ぜひ優先して採用するようにしましょう。
黒緑リスは食物というライフレースに大きく貢献できるトークンを出すカードが多く、除去呪文とクリーチャーのスタッツのバランスが良い色の組合せなので個人的には一番オススメのアーキタイプです。
5.最後に
これで今回の記事は終わりです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。この記事が少しでも、皆さんが新環境のドラフトを楽しむ助けになれば幸いです。
今回はいつもと違ったテイストのセットとなっていて、リミテッドだといつも以上に可愛い動物たちと触れ合える機会が多いのでぜひ皆さん遊んで見てください。
それでは皆さん、また次回の連載記事でお会いしましょう!
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