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行弘賢のよくわかる!リミテッド講座
第55回:『イクサラン:失われし洞窟』ドラフト攻略
皆さんこんにちは!行弘です!
今回はプレイヤーズコンベンションのスケジュールの都合で普段より記事の掲載が遅れて申し訳ありません。その分いつも以上にドラフトしてきましたので、そこで得た経験を皆さんに共有する記事をお送りしていきます。
それではまずは『イクサラン:失われし洞窟』環境のポイントから見ていきましょう!
1.『イクサラン:失われし洞窟』ドラフト環境のポイント
『イクサラン:失われし洞窟』ドラフトは、ドラフト・ブースターパック3個を使用します。
環境のポイント1:アーキタイプ環境
この環境は単体のカードで戦う前提になっていない、シナジー前提のカードが多く、カードをいかに組み合わせるかが鍵になってきます。
単純に色の組合せの強弱だけでなく、その色の組合せでどういったアーキタイプがあるかを知っておく事が重要なので、記事後半に出てくる注目のアーキタイプを是非参考にしてみてください。
環境のポイント2:作製と発見
この環境は作製と発見により、終盤手札からカードをプレイできなくなっても、盤面にあるリソースで戦い続ける事ができます。確定で呪文を唱える事ができる各色のタップイン発見洞窟土地と、作製持ちのアーティファクトは終盤の戦いを安定させてくれる強力な新キーワード能力ですので、是非優先的にピックするようにしましょう。
また、これらのカードがある事でマナを使い続ける事ができる為、先攻がいつもより有利な環境に感じます。後攻の際は相手の呪文をさばき続ける必要があるため、接死や到達などの盤面を膠着させるカードや、膠着した際に有利に働く起動型能力を持つシステムカード、飛行持ちクリーチャーが重要になってきます。
環境のポイント3:発見を上手く使おう
発見は必ず呪文を見つける事ができる反面、めくれるカードのマナ総量次第で効果がぶれる能力です。各色のタップイン発見洞窟土地は発見4と(カードプール的に)1~4マナまでのカードのどれかを見つける能力なので、1マナのカードがめくれるか、4マナのカードがめくれるかで大きな違いがあります。その為、発見のカードを多く採用している場合、できるだけ低コストのカードを少なくし、4マナのカードを多くする事で発見の価値を上げる事ができます。
……とはいえ2マナ以下をまったく採用しない事は序盤を放棄する事になってしまう為、アーキタイプに必要なカードと除去呪文を中心に、ある程度カードを厳選して採用するようにしましょう。
以上の3つのポイントを意識する事でデッキを作りやすくなると思うので、まずはこれらを意識してピックするようにしてみてください。
2.収録メカニズムについて
それでは続きまして、今回の新規収録メカニズムをおさらいしていきましょう。
作製
~で作製 [コスト] ([コスト], このアーティファクトを追放する, あなたがコントロールしていてこれでない~やあなたの墓地にある~・カードである1つを追放する:このカードをオーナーのコントロール下で変身させた状態で戻す。作製はソーサリーとしてのみ行う。)
作製とは、作製を持つアーティファクトカードを指定されたカードの種類とマナ・コストを支払う事で裏面に変身させるキーワード能力です。
作製に必要なコストは大抵がクリーチャーかアーティファクトで、戦場か墓地どちらでもコストとして追放させることができます。作製を起動した際コストとして作製を起動したアーティファクトも追放されるので、起動を許してしまうと変身までは行われてしまう点に注意しましょう。
落魄
このターンにあなたが落魄していた場合、~。(パーマネント・カードがいずこかからあなたの墓地に置かれたなら、あなたは落魄する。)
落魄N ― あなたの墓地にN枚以上のパーマネント・カードがある場合、~。
底なしの落魄 ― Xは、あなたの墓地にあるパーマネント・カードの枚数に等しい。
落魄とは2種類の意味合いを持つルール用語および能力語です。前者はそのターン墓地にパーマネント・カードが落ちた際にボーナスを得るパターンで、後者は墓地のパーマネント・カードの枚数を参照とし効果を発揮します。
どちらもパーマネント・カードを参照としてはいますが、それぞれ効果を発揮する方法が違う事に注意しましょう。落魄を達成させるためには構築の際墓地に積極的にカードを送る必要があるため、切削するカードや《死の重み》などのパーマネントかつ除去呪文は優先的に採用しましょう。
発見
発見Nを行う。(マナ総量がそれ以下であり土地でないカード1枚が追放されるまで、あなたのライブラリーの一番上から1枚ずつ追放していく。それをマナ・コストを支払うことなく唱えるか、あなたの手札に加える。残りをあなたのライブラリーの一番下に無作為の順番で置く。
発見とは、指定された数字以下のカードが見つかるまで山札を追放していき、指定されたマナ総量以下のカードが見つかった際にそれを即座にプレイするか、手札に加えるかを選ぶキーワード能力です。
状況次第でその場でプレイするか手札に加えるか選べるため使い勝手の良い能力ではありますが、コンバットトリックや打ち消し呪文なんかがめくれてしまうと相手にばれつつそのターンは無駄になりやすい為、これらの呪文は発見とやや相性が悪い事に注意しましょう。
探検
探検を行う。(あなたのライブラリーの一番上にあるカード1枚を公開する。それが土地なら、そのカードをあなたの手札に加える。そうでないなら、このクリーチャーの上に+1/+1カウンター1個を置く。その後、そのカードを戻すかあなたの墓地に置く。)
探検とは、探検した際に山札の一番上を公開し、土地なら手札に、それ以外なら探検したクリーチャーに+1/+1カウンター1個を置き、その後山札の上からそのカードを墓地に置くかそのまま上に置くか選ぶキーワード能力です。
クリーチャーを強化するだけでなく土地を得る事もできるので、序盤・中盤に後の展開を安定させることができる優秀な能力です。これを特定のタイミングで起動できる地図・トークンもあります。こちらは任意のクリーチャーに起動できますが、対応して除去されてしまうと能力が立ち消えしてしまう点に注意しましょう。
3.『イクサラン:失われし洞窟』のトップコモン&アンコモン
さて、続きまして各色のトップコモン・アンコモンを見ていきましょう!
白・アンコモン
《窯焼きの煉瓦》:アーティファクトをタップする事でボーナスがあるカードと相性が良く、作製さえできれば一気に盤面を強化できる、環境屈指のアンコモンです。
《薄暮薔薇の聖遺》:地図・トークンやノーム・トークンなど、生け贄にするカードは環境に多く、広い除去範囲を持つ優秀な除去です。
《大いなる扉の守護者》:普通にプレイするだけなら6マナ4/4ですが、トークンや装備品などのアーティファクトと組み合わせる事で4ターン目あたりからプレイする事も可能な、強力な飛行クリーチャーです。
白・コモン
《修繕士の手持ち鞄》:アーティファクトをタップするカード、落魄、作製とあらゆるカードとシナジーする、デッキを大きく支える一枚です。ダメージレースする展開などではライフ回復も非常に嬉しいおまけですね。
《石化》:軽く広い範囲を除去できる、環境屈指の除去です。
《オルテカの雲衛兵》:環境的に飛行クリーチャーの価値が高く、面展開できるのでダメージレースしても強くアーティファクトシナジーも見込める優秀なクリーチャーです。
青・アンコモン
《遠眼鏡のセイレーン》:地図・トークンが幅広くシナジーするだけでなく、早いターンから飛行クロックとして活躍する1マナとは思えない強力なクリーチャーです。
《磁石の針》:タップの後2ターンの麻痺は実質除去として働く瞬間があり、その後は作製により毎ターン探検ができる、使い勝手の良い強力なアーティファクトです。
《ピラニアによる摂食》:除去の弱い青にとって、ほぼ完全除去に近い性能をもつ瞬速の除去はかなり貴重です。パーマネントなので落魄とも相性が良いですね。
青・コモン
《水巻きの偵察》:《遠眼鏡のセイレーン》と同じく飛行としてもシナジー要因としても環境屈指のコモンです。初手付近で取るに値する強さを持ちます。
《樫材のセイレーン》:飛行かつ警戒なので地図・トークンや装備品での強化と相性が良く、海賊なので海賊シナジーも得ることができる、優秀なアーティファクト・クリーチャーです。
《反転された氷山》:落魄やアーティファクトシナジーと相性が良く、作製した後の変身後のクリーチャーはフィニッシャーとして十分活躍できる、手広く活躍できる優秀な作製アーティファクトです。
黒・アンコモン
《苦々しい勝利》:手札かライフかどちらかを選択する必要はありますが、インスタントかつ2マナと破格のコストでプレイ可能な優秀な除去です。手札を捨てるコストは落魄とも相性が良いです。
《チュパカブラの残響》:落魄を参照するので無条件とはいかないものの、多少デッキを寄せさえすれば除去内蔵クリーチャーとして活躍できる、環境屈指のアンコモンです。
《大洞窟のコウモリ》:飛行、絆魂と2マナながらライフレースに強く、自身が場を離れるまで相手の手札を一枚追放する能力はゲームプランを立てやすくする、序盤に最もプレイしたいクリーチャーです。
黒・コモン
《死の重み》:落魄を達成させつつ除去が可能な、序盤を支えてくれる優秀な除去です。
《死者の仲間入り》:ダブルシンボルなので多少のプレイしにくさはあるものの、序盤から終盤にかけてほぼ確定除去として機能する非常に優秀な除去です。
《税血の刃》:除去付きなので確実に仕事をしつつ、盤面にアーティファクトを残す事ができ、膠着時には作製でライフにも圧をかける事ができる、優秀な作製アーティファクトです。
赤・アンコモン
《地質鑑定士》:クリーチャーとしては若干物足りない性能ですが、発見により実質4マナ以上の働きをする事がほぼ確定している、デッキを選ばずに活躍できる環境屈指のアンコモンです。
《戦慄大口の怒り》:1マナでクリーチャーとアーティファクトどちらも破壊できる可能性のある、1枚で戦況を大きく覆す事ができる強力なコンバットトリックです。
《勝利の噛み砕き》:普通に使っても1マナ2点と悪くなく、恐竜で使えば1マナで3点以上を与える事ができる、強力な除去です。
赤・コモン
《削剥》:インスタントかつアーティファクトも破壊可能な、優秀な除去です。
《怒りっぽい歩く彫像》:攻めながら手札を整える事ができ、アーティファクトタップ系の能力ともシナジーがあり、さらに手札を捨てるので落魄ともシナジーする優秀なアーティファクト・クリーチャーです。
《陽光の松明》:落魄しながら除去できる優秀な装備品。今回は接死持ちクリーチャーも多いので、完全除去になる瞬間もあるのも高評価ポイントです。
緑・アンコモン
《一往一来》:探検をより強力にするだけでなく、裏返りさえすれば膠着状態で一方的に有利になる事ができる、強力なシステムエンチャントです。
《マラメトの戦闘象形》:クリーチャーを展開しながら更に強化して格闘する事ができる、上手く決まれば一気に盤面のアドバンテージを取る事ができる強力な格闘呪文です。
《打ち壊すブロントドン》:3マナ3/4と非常に優秀なスタッツを持ち、更にアーティファクト・エンチャントを破壊できる事で盤面が膠着した後も仕事がある、優秀なクリーチャーです。
緑・コモン
《ヤドクガエル》:好きな色マナを出せ、到達と接死で一枚で相手の盤面の一番強力なクリーチャーを抑える事ができる、強力すぎるマナクリーチャーです。
《開拓する斧顎》:4マナ4/3と標準以上のスタッツを持ちながら探検によりアドバンテージか更に上のサイズも狙える、強力な探検持ちクリーチャーです。
《ファートリの最後の一撃》:インスタントかつパワーをあげつつ除去できる、何の文句もない優秀な除去呪文です。
4.『イクサラン:失われし洞窟』ドラフトの注目のアーキタイプ
続きまして、『イクサラン:失われし洞窟』の注目アーキタイプを紹介していきます。
注目のアーキタイプ・その1:白青アーティファクト/飛行
「白青アーティファクト」は《主の案内壁画》や《順応する宝石護り》などのアーティファクトとシナジーするカードを軸に、《反転された氷山》などの作製持ちのアーティファクトや《修繕士の手持ち鞄》などのノーム・トークンでバックアップするアーキタイプです。
青には地図・トークンを生成するカードがあり、白にはノーム・トークンを生成するカードがあるためアーティファクトでないカードでもアーティファクトカウントできる事もあり、多色の《主の案内壁画》との相性が抜群の強力なカラーコンビネーションです。
ただし青は除去に乏しい色なので一度守勢に回るとなかなか盤面を覆す事が出来なく、致命的なカードに対処する事も難しいです。その為アーティファクト軸とは別に、青と白の優秀な飛行クリーチャーで攻める軸を選択する事も必要になります。
《オルテカの雲衛兵》や《水巻きの偵察》などのアーティファクトを展開できる優秀な飛行クリーチャーを取りつつアーティファクトシナジーカードを取ってデッキをまとめられると2軸で攻める事ができる良いデッキになりやすいです。
注目のアーキタイプ・その2:白黒サクリファイス/作製
「白黒サクリファイス」は、《毒気の薬》や《税血の刃》など盤面に残るアーティファクトを《薄暮薔薇の聖遺》や《熱狂的な献上》で生贄に捧げる事でアドバンテージに繋げていくアーキタイプです。
白と黒は除去が強力な色の組合せかつ、作製持ちのアーティファクトを多く有する色の組合せな為、いかに作製のところまで消耗戦できるかが勝敗のカギとなります。その為序盤をいなしながら作製やサクリファイスと相性が良い《税血の刃》は重要な役割を果たします。また、リソースを稼ぐために《毒気の薬》や《熱狂的な献上》も積極的に採用しましょう。
《窯焼きの煉瓦》や《バネ仕掛けの鋸刃》など、強力な作製アーティファクトをピックできたならこのアーキタイプを積極的に狙ってみてください。
注目のアーキタイプ・その3:白緑強化
「白緑バフ」は、白緑の優秀なクリーチャーを《マラメトの模範、クチル》や《翡翠の種石》などのクリーチャーを強化するカードでバックアップしていくアーキタイプです。
このアーキタイプは《マラメトの模範、クチル》という強力なクリーチャーに依存してるため、《マラメトの模範、クチル》以外からはあまり参入できないアーキタイプです。
とはいえ白は飛行と作製持ちのアーティファクト、緑は探検とマナレシオに優れた優秀なクリーチャーが存在する為優秀なカードをピックしていくといつの間にかこの2色になってしまう事もあります。その場合は《マラメトの模範、クチル》の受けを考え、クリーチャー強化するカードも合わせてピックしておくようにしましょう。またクリーチャーを強化する際は飛行クリーチャーだとより効果が大きくなるので、白の飛行クリーチャーは優先的にピックするようにしましょう。
注目のアーキタイプ・その4:青黒落魄/リアニメイト
「青黒落魄」は、《大いなる過ち、ウチベンバク》や《チュパカブラの残響》など、強力な落魄持ちクリーチャーを切削持ちなどのパーマネントを墓地に落とすカードでバックアップするアーキタイプです。
落魄を切削などの墓地を肥やすカードでバックアップしていく過程で強力な重いクリーチャーが墓地に落ちる事があります。それを早いターンに墓地から直接場に出すいわゆるリアニメイトカードである《非化石化》や《魂のとぐろのバイパー》は青黒の二つ目の軸となります。青と黒のサイクリング恐竜クリーチャーはこの戦略と相性が良いため他の色に比べて優先度が高めとなります。
また、レアではありますが《不気味な船長の玉座》は青黒落魄と相性が非常に良いカードかつ一枚で勝ちうるカードなので、ピック出来た際には変身も考慮してデッキを作ってみましょう。
注目のアーキタイプ・その5:青赤アーティファクト/海賊
「青赤アーティファクト」は、《コズミュームの略奪者、風雲船長》や《待ち伏せる海賊》などのアーティファクトとシナジーするカードをアーティファクトカードでバックアップするアーキタイプです。
青赤アーティファクトはテーマが分かりやすく、構築難易度が低い為人気のアーキタイプになります。アーティファクト・クリーチャーである《怒りっぽい歩く彫像》や《樫材のセイレーン》は《コズミュームの略奪者、風雲船長》と分かりやすく相性が良く、《海賊帽子》は海賊にクリーチャーを寄せる動機になります。
地上の軽いクリーチャーだけだと緑の肉厚なクリーチャーや接死持ちのクリーチャーに苦戦する為、赤を軸にデッキを組むと赤緑の劣化のようなデッキになってしまう事に注意しましょう。
注目のアーキタイプ・その6:赤緑恐竜/発見
「赤緑恐竜」は、《ギシャスの初子、イツキンス》を代表とした赤と緑の優秀な恐竜をマナクリーチャーで早期ターンにプレイし、圧倒的スタッツで戦うアーキタイプです。
赤緑恐竜はカード単体が強力なものが多い代わりに、シナジーが乏しく一度盤面が膠着してしまった際はシステムも少なくライブラリーアウトまで膠着してしまうケースも少なくありません。
その為《動揺するアルティサウルス》は貴重な盤面膠着に強いカードであり、《一往一来》はマナフラッド対策として最適なシステムになります。この2枚は赤緑をやる際は積極的に採用するようにしましょう。
また、《太陽の創造物の管理者》を軸としたサブテーマである発見はシナジーが大振りで中々再現性が無く、アドバンテージを稼ぐなら他の色の方が優秀な為、あまりこちらの軸は狙わず早期ターンで決着をつけるようにスタッツの良いクリーチャーを多く採用する方が良さそうです。
5.最後に
これで今回の記事は終わりです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。この記事が少しでも、皆さんが新環境のドラフトを楽しむ助けになれば幸いです。
今回は個人的には白が少し抜けて強い印象はありますが、どの色も十分に戦える色の強弱があまりないバランスの良い環境に見えます。アーキタイプの熟知がいつも以上に大切な環境ですので、この記事の他に色んな配信を観て勉強するのも良さそうですね。
それでは皆さん、また次回の連載記事でお会いしましょう!
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