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行弘賢のよくわかる!リミテッド講座
第51回:『兄弟戦争』ドラフト攻略
皆さんこんにちは!
皆さんは「プレイヤーズコンベンション愛知2022」は楽しまれましたか? 僕は併催の「チャンピオンズカップファイナル サイクル1」に参加してきました。結果は振るいませんでしたが、久々のオフラインの大規模な大会で非常に楽しく参加させていだきました。
その都合とはなりますが、今回の『兄弟戦争』の記事の公開がいつもより遅くなってしまいまして……早く見たい!という方のために大会後急いで記事作成に取り掛かりましたので、何卒ご容赦いただけますと幸いです。
さて、今回も事前にMTGアリーナで『兄弟戦争』でドラフトしてきましたので、そこで得た経験を皆さんに共有する記事をお送りしていきます。
それではまずは環境のポイントから見ていきましょう!
1.『兄弟戦争』ドラフト環境のポイント
『兄弟戦争』ドラフトは、『兄弟戦争』ドラフト・ブースター3個を使用します。
環境のポイント1:パワーストーン
このセットはアーティファクトをフィーチャーしているだけあって、多種多様なアーティファクト・カードが存在します。
そのため、それをいち早く唱えたり、利用したりするためにマナ加速としての一面を持つパワーストーンの存在が重要になってきます。
基本的におまけとしてカードに付随してくるパワーストーンは実質土地として換算できるデッキならば非常に強力なため、アーティファクトを多く採用する場合は積極的にパワーストーンを出すカードを採用して戦えるデッキを作っていく必要があります。
パワーストーンを運用する時は5マナ域以降を有色の呪文にするか、アーティファクトにするかでパワーストーンの評価が大きく変わってきますので「パワーストーンはあるけど有色呪文が多い」「アーティファクトは多いけどパワーストーンがまったく出ない」の2パターンにならないように意識してドラフトをする必要があります。
環境のポイント2:レンジを決める
今回は旧枠アーティファクト枠からレア以上のカードが出現する都合で、いつもよりレアリティが高い環境となっています。そのため、長期戦をする場合はお互いいつも以上にレアと付き合うことになります。
そのため、長期戦をする場合は自分がレアを多く採用しているか、相手のレアにしっかり対処できるかが重要になります。
また、そのようなゲームをせず、早期にゲームを決めてレアリティ勝負に持ち込ませない方法もあります。
ただ重いアーティファクトをだらだらと盤面に並べるようなデッキだと、除去とレアを多く採用している遅いレンジのデッキと早期にゲームを決める速いレンジのどちらにも相性が悪くなってしまうので、ゲームレンジは意識してドラフトするようにしましょう。
環境のポイント3:膠着を打破する
今回のセットに多く存在するアーティファクト・クリーチャーは色がなく使いやすいですが、通常のクリーチャーより少しスタッツが悪いカードが多く、回避能力もないものが多いため、地上は膠着しがちになります。そのため、構築段階で膠着を打破する工夫が必要となってきます。
例えば、起動型能力を持つ、膠着状態でも毎ターン有利になるカードを採用したり、飛行クリーチャーを多く採用して完全な膠着にならないようにしたり、早期決着を目指しそもそも膠着状態にならないようにするなど、多様なアプローチがあります。カードを出すだけ出して、膠着したら何もできないようなデッキにだけはならないように気を付けましょう。
以上の3つのポイントを意識することでデッキを作りやすくなると思うので、まずはこれらを意識してピックするようにしてみましょう。
それでは続きまして、今回の新規収録メカニズムをおさらいしていきましょう。
2.収録メカニズムについて
試作
試作(あなたはこの呪文を、異なるマナ・コスト、色、サイズで唱えてもよい。これは能力とタイプを保持する。)
試作とは、能力によって指定されたマナ・コストで唱えることで、異なるマナ・コスト、色、サイズでプレイすることができるキーワード能力です。
主に通常プレイが重いカードが持つキーワード能力で、試作だと通常より軽く唱えることができるため、序盤から終盤まで臨機応変に使える優秀なカードが多いです。
マナ・コストと色が通常プレイと異なる状態で盤面に固定されるため、これらを参照にするカードをプレイしたりされたりした場合は忘れないように注意しましょう。
パワーストーン
パワーストーン(それは、「{T}:{C}を加える。このマナはアーティファクトでない呪文を唱えるためには支払えない。」を持つアーティファクトである。)
パワーストーンとは、アーティファクトでない呪文を唱えるためには使えない、無色マナを出すアーティファクト・トークンです。
さまざまなカードから生成されるこのトークンですが、アーティファクトが軸となるセットなだけに非常に活躍します。
また、起動型能力ならば有色のパーマネントでも使うことができますし、マナを支払わせられる打ち消し呪文の支払いなどに使うこともできます。あくまで縛りは「アーティファクトでない呪文を唱えるためには支払えない」の1点だけであることに注意しましょう。
蘇生
蘇生[コスト]:あなたの墓地にあるこのカードを戦場に戻す。これは速攻を得る。次の終了ステップの開始時に、あるいは、これが戦場を離れるなら、これを追放する。蘇生はソーサリーとしてのみ行う。)
蘇生とは、指定されたコストを支払うことで、墓地のカードを一時的に戦場に戻すことができるキーワード能力です。
一度墓地に落ちたカードでも一時的に盤面に戻すことで、ダメージソースやアドバンテージソースとして再度活躍することができるので、単純に強力な能力ですね。
ターン終了時に追放される能力の都合上、生け贄を要求するカードと使うとよりお得なので覚えておきましょう。
さて、続きましては各色のトップコモン・アンコモンを見ていきましょう!
3.『兄弟戦争』のトップコモン&アンコモン
今回は試作を持つアーティファクト・クリーチャーを試作コストの色に含めて評価していきます。
白・アンコモン
《戦闘の打破者》:試作と通常コスト、どちらで唱えても戦闘力が高く、カードも引ける裏目なしの強力なクリーチャーです。
《徴兵士官》:1マナ域ながらパワー2を持ち、さらに起動型能力によりアドバンテージも稼ぐ、現代の1マナ域として申し分のない性能です。
《静止網》:幅広い範囲を除去しつつ、ライフ回復とパワーストーン生成と文句無しの強力な除去です。
白・コモン
《解呪》:インスタントかつ、環境に多く存在するアーティファクトを除去できる、環境屈指の除去です。
《服役》:除去としての性能も高く、占術2とおまけとしては破格な性能を持つ優秀な除去です。
《パワーストーン技師》:2マナ域で最低限の相打ち性能を持ちつつ、死亡時にパワーストーンを生成する能力で対処を難しくさせる、優秀な2マナクリーチャーです。
青・アンコモン
《飛行機械の整備士》:除去耐性があるだけでなく、追加のドローだけで自身のサイズがあがる、非常に優秀な2マナクリーチャーです。
《微風の歩哨》:2マナ2/1瞬速飛行なだけで優秀なのに、サイズアップやクリーチャーの使い回しもできる、使い勝手の良い飛行クリーチャーです。
《観測用飛行機械》:試作、通常プレイどちらも悪くない性能の飛行クリーチャーかつ、占術で後の展開も安定する優秀な試作クリーチャーです。
青・コモン
《ファラジの考古学者》:序盤の壁かつ、アドバンテージを稼ぐ可能性もある優秀なクリーチャーです。
《コイロスのロック鳥》:瞬速かつ3/3飛行と悪くないサイズに、パワーストーンのおまけまでつく優秀な飛行クリーチャーです。
《ウィークストーンの支配力》:1マナと4マナで使い分けできる、使い勝手の良い除去です。
黒・アンコモン
《喉首狙い》:アーティファクト・クリーチャーこそ除去できないものの、インスタントかつ2マナと破格の確定除去です。
《かじりつく害獣》:切削で墓地リソースを増やしつつ、タフネス2まで相打ち可能、生け贄先としても優秀な使い勝手の良い1マナクリーチャーです。
《喉鳴らしの選定者》:サイズアップしていく飛行クリーチャーかつ、死亡時にクリーチャーを場に戻す能力で除去耐性もある優秀なクリーチャーです。
黒・コモン
《やり場のない悔恨》:追放なので後腐れなく除去できるうえに、インスタントかつコストも軽くなる、環境屈指の除去です。
《見栄え損ない》:コンバットトリックとしても使える使い勝手の良い除去です。
《突き刺す戦耕し》:2マナと6マナどちらでもプレイ可能な、マナカーブを埋めるのに都合の良い優秀な試作クリーチャーです。
赤・アンコモン
《有角の石探し》:2/2威迫かつパワーストーン生成と、2ターン目にプレイした時のバリューが大きすぎる優秀なクリーチャーです。
《抹消する稲妻》:4点と幅広い範囲を除去でき、追放なので蘇生持ちも安心して除去できる優秀な除去です。
《採掘の神童、ミシュラ》:速攻かつパワー2と最低限の戦闘能力を持ちつつ、長期戦にも強い手札循環能力を持つ、優秀なシステムクリーチャーです。
赤・コモン
《採掘爆発》:クリーチャーだけでなく、プレイヤーにも飛ばせるユーティリティーな除去かつ、パワーストーン生成もできる優秀な除去です。
《ペンレゴンの剛牛》:生け贄シナジーもありつつ、パンプアップと本体ダメージ能力で単体の攻撃性能も高い、優秀なクリーチャーです。
《ゴブリンの爆風走り》:1マナながら3/2威迫になることがある、序盤から攻める赤のデッキにおいて軸となる優秀なクリーチャーです。
緑・アンコモン
《サリンスの鋼探し》:アーティファクトが出るたびにアドバンテージ獲得のチャンスがありつつ、いらないカードならば疑似的な諜報としても使える、2マナにしては破格の性能を持つシステムクリーチャーです。
《合金の精霊信者》:パワーストーンなどの比較的後半不要なアーティファクトを4/4の戦闘力が高いクリーチャーへと変える、環境屈指のシステムクリーチャーです。
《強情なベイロス》:4マナ4/4と優秀なサイズかつ、4点ライフゲインでダメージレースも優位に立てる、安定した優秀なクリーチャーです。
緑・コモン
《アルゴスの日和見主義者》:3マナ3/2と悪くないサイズかつ、パワーストーンを生成できる緑を代表するコモンクリーチャーです。
《岩枝のゴーレム》:試作でマナ域を可変できる、使い勝手の良い緑のフィニッシャーです。
《勇壮な対決》:ソーサリーなので過信はできませんが、サイズアップ能力により使いやすい優秀な除去です。
続きまして、『兄弟戦争』の注目アーキタイプを紹介していきます。
4.『兄弟戦争』ドラフトの注目のアーキタイプ
注目のアーキタイプ・その1:白青兵士
「白青兵士」は、白と青の兵士の飛行クリーチャーを《ヨーティアの戦術家》のロード能力などでバックアップして戦うアーキタイプです。
《飛空士の騎兵部隊》や《空挺司令官》など、兵士と相性が良いカードや、横並びが優秀な《屑鉄造りの軍勢》を《ヨーティアの戦術家》でバックアップするのが主な勝ち筋です。
《ヨーティアの戦術家》はなくても飛行が優秀なので戦えるデッキにはなりますが、できれば《ヨーティアの戦術家》そのもののような強力な兵士シナジーのカードから参入したいアーキタイプです。
注目のアーキタイプ・その2:緑白アーティファクト
「緑白アーティファクト」は、《ヨーティアの造反者》を代表としたアーティファクトが戦場に出るたびに能力を誘発するカードを軸に戦うアーキタイプです。
アーティファクトが戦場に出るたびに能力を誘発するカードは、通常のアーティファクト・カード以外にもパワーストーンを出すカードやアーティファクト・兵士・トークンを出すカードとも相性が良く、幅広くいろいろなカードとシナジーします。そのため、まずはアーティファクトが戦場に出るたびに能力を誘発するカードから意識してピックしましょう。
これらのカードと相性が良く単体性能でも強力な《屑鉄造りの軍勢》は緑白アーティファクトにおけるベストコモンなので見かけたら優先して取るようにしましょう。
注目のアーキタイプ・その3:青黒セカンドドロー
「青黒セカンドドロー」は《統合の福音者》や《飛行機械の整備士》など、同一ターンに2枚目のカードを引いた際に能力が誘発するカードを、ドロー呪文や効果でバックアップして戦うアーキタイプです。
青黒にはドロー呪文以外にも《屑鉄造りの憤怒獣》や《戦闘急使》など蘇生持ちでカードを引ける優秀なクリーチャーもいて、無理なくアーキタイプを目指せるのが特徴となっています。
青黒は戦場に出てしまったアーティファクトには対処するのが難しい色なので、長期戦で対処不能なカードに負けないように、ディフェンシブになりすぎないように気を付けましょう。
注目のアーキタイプ・その4:赤黒サクリファイス
「赤黒サクリファイス」は、《ゴブリンの爆風走り》や《ギックスの潜入者》など、生け贄に捧げたときに威力を発揮するカードを《ペンレゴンの剛牛》などのカードを生け贄に捧げるカードでバックアップして戦うアーキタイプです。
赤黒サクリファイスといえば、《拮抗する兄弟》のような相手のクリーチャーを一時的にこちらのコントロールにしてそのまま生け贄に捧げる戦略のようなイメージがありますが、今回はそれだけでなく、生け贄に捧げるたびにボーナスがあるカードも絡めて戦うアーキタイプです。
そのため瞬間的な生け贄だけでなく、継続的な生け贄手段も必要になるため、《ペンレゴンの剛牛》や《人体改造機の供犠台》などの生け贄手段は優先度が高くなります。
また生け贄の材料としては蘇生クリーチャーが優秀で、赤黒は蘇生クリーチャーも優秀なものが多いため、蘇生クリーチャーも優先してピックするようにしましょう。
注目のアーキタイプ・その5:黒緑切削
「黒緑切削」は、《ブランチウッドのうろつくもの》や《貪欲な巨大モグラ》などの切削持ちクリーチャーで山札から墓地にクリーチャーを直接落としつつ、《ギックスの頭蓋剝ぎ》や《節くれ根の棺担ぎ》などの墓地のクリーチャー枚数を参照してボーナスがあるクリーチャーで盤面を圧倒していくアーキタイプです。
切削することで墓地にクリーチャーを落としていくと、蘇生持ちクリーチャーがリソースとなっていくため、蘇生持ちカードも優先してピックしましょう。
また、環境屈指の除去である《やり場のない悔恨》がより強力に使えるアーキタイプなため、見たら取るレベルで優先してピックしましょう。
5.最後に
これで今回の記事は終わりです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。この記事が少しでも、皆さんが新環境のドラフトを楽しむ助けになれば幸いです。
今回は蘇生や試作など選択肢が多いカードが無数に存在するため、いつも以上に難しいゲームが多い印象にあります。旧枠アーティファクトも含め多種多様なレアで遊べるので毎回違う体験になりやすく、奥が深い環境で非常に楽しめるのでぜひ皆様も遊んでみてください。
それでは皆さん、また次回の連載記事でお会いしましょう!
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