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行弘賢のよくわかる!リミテッド講座
第49回:『ニューカペナの街角』ドラフト攻略
皆さんこんにちは! 最近は半袖で外出しても大丈夫な気候だったり、家の中でも寒かったりと寒暖差がある日が続いていますね。季節の変わり目なので体調崩さないように気を付けたいこの頃です。
さて、今回も事前にMTGアリーナで『ニューカペナの街角』でドラフトしてきましたので、そこで得た経験を皆さんに共有する記事をお送りしていきます。
それではまずは環境のポイントから見ていきましょう!
1.『ニューカペナの街角』ドラフト環境のポイント
『ニューカペナの街角』ドラフトは、『ニューカペナの街角』ブースターパック3個を使用します。
環境のポイント1:マルチカラーを意識する
『ニューカペナの街角』は2色以上のカードが多く存在するマルチカラー(多色)のカードを推しているセットですので、必然的にマルチカラーのカードの組合せを意識する必要があります。
今回ですと、白→青→黒→赤→緑→白……と、カラーホイール上で隣り合っている色をいわゆる友好色と呼ぶのですが、この友好色を基本にピックしていくと各3色へと渡りやすくマルチカラーのカードを使いやすくなります。
例えば白青とピックすると緑と黒の3色のカードを使うことができますが、白黒とピックすると対応するのが白青黒の3色しかないため必然的にこの3色に固定されてしまうことになります。そのうえ2色のカードも友好色にしか存在しないため、必ず友好色2色でピックする必要があります。
環境のポイント2:基本は2色とタッチの3色目
友好色2色でピックしていくと、3色の強力なカードも多く使うことができます。とはいえ、3色のカードや3色目のカードを好きなだけ取っていては色マナに不自由しカードをプレイできなくなってしまうことも多々起きてしまいます。
色マナをサポートする土地やカードは環境に多く存在するものの、基本は2色でピックしていき、3色目のカードは2~5枚程度に抑えるのがベターです。タッチするカードの色を出せるカードは「タッチで入れている枚数+1」枚程度あると安定しますので基準にしてみてください。
環境のポイント3:2色の組合せの特性を覚える
他の環境ですと2色の組み合わせは10種類あり、それぞれの特性を覚えるのは大変ですが、今回は主に使う2色の組み合わせが友好色の5種類なので、まずはこの5種類の組合せの特性を覚えましょう。
- {W}{U}:クリーチャーにカウンターを置く
- {U}{B}:墓地に5種類のマナ総量を揃える
- {B}{R}:生け贄と奇襲
- {R}{G}:宝物
- {G}{W}:市民と団結
これらを軸にピックの方向性を固め、飛行クリーチャーや除去呪文など汎用性の高いもので肉付けしてデッキを作ると方向性が定まった良いデッキになりやすいです。
3色になる場合はメインの2色の組合せと相性が良いものや単純に強力なものだけを選りすぐってタッチするようにしましょう。
環境のポイント4:強力すぎる盾カウンター
『ニューカペナの街角』から登場したキーワード能力である盾カウンターは白・青・緑に存在するメカニズムであり、クリーチャーが死亡する多数の要因である戦闘ダメージや呪文による破壊を一度防ぐことができます。
そのため、盾カウンター持ちクリーチャーを多く使えるこの3色の組合せが強力であることはそもそもとして、飛行が少なく地上戦しかできない黒・赤・緑の3色をメインカラーとする場合は盾対策が必須となります。
盾カウンター持ちのクリーチャーは破壊ではなくタフネスの修整ですとそのまま死亡させることができるので、黒を使う場合はタフネスにマイナス修整を与える《交渉の難航》などの除去呪文を。赤だと盾の軽減を貫通できる《プロの招聘》といった火力呪文を優先してピックするようにしましょう。
盾カウンター持ちのクリーチャーは基本的に地上クリーチャーかつサイズは小さめのため、盤面を膠着させて回避やサイズで勝負するというのも一つの手です。そのため膠着させるために到達持ちの《解体作業員》やクリーチャーに飛行を付与できる《金色の両翼》などの採用も検討してもいいかもしれませんね。
以上の4つのポイントを意識することでデッキを作りやすくなると思うので、まずはこれらを意識してピックするようにしてみましょう。
それでは続きまして、今回の新規収録メカニズムをおさらいしていきましょう。
2.収録メカニズムについて
謀議
謀議する。(カード1枚を引き、その後カード1枚を捨てる。あなたが土地でないカードを捨てたなら、このクリーチャーの上に+1/+1カウンター1個を置く。)
謀議とは、カードを1枚引いてその後捨てたカードが土地でない場合そのクリーチャーの上に+1/+1カウンター1個を置く、常夜会一家({W}{U}{B})の持つメカニズムです。
基本的には謀議を持つクリーチャーが戦場に出た時に誘発する能力で、手札の余分な土地カードを捨てるか、それ以外のカードを捨てて+1/+1カウンター1個を置くかを選ぶ能力で、クリーチャーを強化しつつ手札も循環させて安定したゲーム運びに繋げることができる強力な能力です。
犠牲
犠牲N(あなたがこの呪文を唱えるに際し、あなたはパワーがN以上であるクリーチャー1体を生け贄に捧げてもよい。そうしたとき、この呪文をコピーする。)
犠牲とは、呪文を唱える際にマナ・コストの他に犠牲の横に指定された数字以上のパワーを持つクリーチャーを生け贄に捧げることで、その呪文がコピーされるという貴顕廊一家({U}{B}{R})の持つメカニズムです。
指定された数字が1ですと犠牲しやすいのですが、2以上になってくると生け贄に捧げるクリーチャーが盤面で有用なカードになってくることも多いため、1と2以上で使い勝手が大きく変わってくることに注意しましょう。
奇襲
奇襲[コスト] (あなたがこの呪文を奇襲コストで唱えたなら、これは速攻と「このクリーチャーが死亡したとき、カード1枚を引く。」を得る。次の終了ステップの開始時に、これを生け贄に捧げる。)
奇襲とは、本来のマナ・コストとは異なる代替コストで唱えることで、速攻とターン終了時に生け贄と死亡時にカードを1枚引く能力を持ちながら戦場に出すことができる、土建組一家({B}{R}{G})の持つメカニズムです。
ターン終了時に生け贄に捧げられてしまうため1回限りの攻撃しかできない奇襲ですが、低コストカードなどは後半引いても役に立たないことが多く、奇襲してカード1枚分に変えることができて非常に便利です。
「ターン終了時に生け贄」なので生け贄に捧げられたときに効果を発揮するカードと相性が良く、犠牲などのコストに当てるのも有用です。
団結
団結 ― これでないクリーチャー1体があなたのコントロール下で戦場に出るたび、~。
団結とは、自身以外のクリーチャーが戦場に出たときに誘発する能力を示す能力語で、舞台座一家({R}{G}{W})の持つメカニズムです。
トークンでも誘発するので市民・トークンなどのトークンを出すカード全般と相性が良く、1枚で複数のクリーチャーを出すカードは団結持ちクリーチャーを使う際は意識してみましょう。
盾カウンター
盾カウンターを~(これがダメージを受けるか破壊されるなら、代わりにこれの上から盾カウンター1個を取り除く。)
盾カウンターとは、戦闘および火力呪文によるダメージや、除去呪文による破壊などを盾カウンターを取り除くことで耐えることができる、斡旋屋一家({G}{W}{U})の持つメカニズムです。
戦闘ダメージや除去から一度とはいえクリーチャーを守ることができるのは非常に強く、元から盾カウンターを持つクリーチャーはそれだけで優秀なので、ぜひ意識してピックしてみましょう。
タフネスへのマイナス修整や追放呪文など、破壊ではないものについては盾カウンターは機能しない点に注意しましょう。
さて、続きましては各色のトップコモン・アンコモンを見ていきましょう!
3.『ニューカペナの街角』のトップコモン&アンコモン
白・アンコモン
《市民の鉄梃》:シナジーが多い市民・クリーチャーを2ターン目に2マナ2/2相当のクリーチャーとして出しつつ、装備としても使いまわしが効く非常に優秀な装備品です。
《照光の巨匠》:2マナクリーチャーの二段攻撃なだけで優秀、さらにこれを対象に呪文を唱えることで謀議によりサイズアップと手札入れ替えもできる強力なクリーチャーです。
《魔道士の従者》:自身が及第点のサイズかつトークンが相手を牽制し続けるため、見た目以上にゲームに影響を与える優秀なクリーチャーです。
白・コモン
《鼓舞する監視者》:3マナ2/1飛行と基礎的な性能に加えて、1枚ドローと1点ライフゲインを持つコモンとは思えない非常に優秀なクリーチャーです。
《ラフィーンの密通者》:2ターン目に謀議することで手札を整理して安定した動きを目指せるだけでなく、土地以外のカードを捨てれば3/2と、2マナのコモンにしては破格の性能になる優秀なクリーチャーです。
《支援工作員》:市民かつ+1/+1カウンターを乗せることができるため、2軸のシナジーを狙える優秀なクリーチャーです。
青・アンコモン
《翼盾の工作員》:盾カウンター持ち、かつ飛行付与能力持ちなので攻守に渡って活躍する優秀なクリーチャーです。
《一蹴》:4マナでプレイしてもカードを損をしないバウンス呪文として悪くなく、2マナでプレイできる可能性もある優秀なバウンス呪文です。
《超能力すり》:バウンス能力も謀議能力もどちらも強力なため、ぜひデッキに入れたい1枚ですね。
青・コモン
《こだまの検察官》:謀議で土地でないカードを捨てることで4マナ3/4と非常に強力な性能になる、優秀な謀議持ちクリーチャーです。
《常夜会一家の新入り》:3マナ2/2飛行とベースこそ標準的なものの、絆魂を得ることができるためダメージレースにおいて優位に立ちやすい、優秀な飛行クリーチャーです。
《都落ち》:盾カウンター持ちなど除去耐性を持つカードへの疑似除去として、あるいはクリーチャー以外にも触ることができる範囲の広さが優秀な呪文です。
黒・アンコモン
《夜の棍棒使い》:通常プレイだとダブルシンボルですが、奇襲だとシングルシンボルで使えるのでプレイしやすく、1枚ドロー付きの除去カードとして振る舞える瞬間もある優秀な奇襲持ちクリーチャーです。
《ラフィーンの口封じ》:謀議持ちかつ各種生け贄カードで相手のクリーチャーを除去することも可能な、シナジーの種として優秀なクリーチャーです。
《鞭打》:盾カウンター持ちクリーチャーへの回答かつ、1マナでプレイできた時の恩恵が破格すぎる優秀な除去です。
黒・コモン
《交渉の難航》:タフネスにもマイナス修整を与えるので、盾カウンターを持つカードを除去しやすい優秀な除去です。
《橋桁のうすのろ》:1枚ドローと2/2も戦場に残してくれるため奇襲が使いやすく、2回クリーチャーが戦場に出るため団結や犠牲とも相性が良い、優秀な奇襲持ちクリーチャーです。
《殺害》:3マナインスタントの完全除去はいつだって強力です。ただし、3色環境においてダブルシンボルはマナベースへの負担が大きいため取りすぎや過信は禁物です。
赤・アンコモン
《プロの招聘》:3マナ3点という性能はそこまで強力なものではありませんが、盾カウンターを無視できる性能は唯一無二です。
《大火槌の放火魔》:盾カウンターを取り除くことができるため1点からでも有用で、宝物が出やすい赤と相性が良い優秀なシステムクリーチャーです。
《松明吹き》:青いクリーチャーに対しては効率よく除去でき、単純な除去としても悪くない性能を持った優秀な除去です。
赤・コモン
《絞殺》:クリーチャーに1マナ3点と、ソーサリーながら破格の性能は驚異と言わざるを得ません。赤の最も優れたコモンです。
《騒乱の巡回者》:2ターン目に威迫のクロックとして出して良し、終盤は2点与えつつドローに変わる、2マナ域として活躍する優秀なクリーチャーです。
《大勝ち》:宝物シナジーが多い赤系のアーキタイプにおいて、宝物を出しつつ手札を整えることができる優秀な呪文です。
緑・アンコモン
《害獣の声》:実質4/4相当で攻撃できる盾カウンター持ちクリーチャーなので、戦闘で圧倒的存在感を発揮できるクリーチャーです。
《用心棒の荒事》:黒相手に強力な除去であることはもちろん、死亡時に追放するのも嬉しい強力な除去です。
《洗練された随員》:4/4と優秀なスタッツかつ、自身は強化できないものの団結の能力も強力なクリーチャーです。
緑・コモン
《宝石泥棒》:3マナ3/3トランプル警戒だけでもコモンの域を超えているにも関わらず、なぜかおまけに宝物まで出してくれる、あまりにもコストパフォーマンスが良いクリーチャーです。
《賭け試合》:除去としての性能だけ見るとよくある格闘呪文ですが、宝物を出してくれるのは嬉しいおまけですね。
《一家のために》:1マナで最大+4/+4修整を与えることができる、優秀なコンバットトリックです。
続きまして、『ニューカペナの街角』の注目アーキタイプを紹介していきます。
4.『ニューカペナの街角』ドラフトの注目のアーキタイプ
注目のアーキタイプ・その1:斡旋屋一家({G}{W}{U})
「斡旋屋一家」は、白を中心として友好色である青と緑を組み合わせるアーキタイプです。
白緑を基調とし青をタッチする場合は市民シナジーを序盤で押し付けつつダメージレースを優位に進めることができる《市民の奉仕者》を優先的にピックし、他には市民やコンバットトリックを意識してデッキを作っていきましょう。
白青を基調とし緑をタッチする場合は、カウンターを参照とするカードが多くなるため、盾カウンターや+1/+1カウンターなどのカウンターを置くカードと、優秀な飛行持ちクリーチャーを意識してデッキを作っていきましょう。
注目のアーキタイプ・その2:舞台座一家({R}{G}{W})
「舞台座一家」は、緑を中心として友好色である白と赤を組み合わせるアーキタイプです。
白緑を基調とし赤をタッチする場合には、斡旋屋一家とほぼ同じく市民シナジーを意識してデッキを作ります。赤だと強力な除去である《絞殺》を使える点や、3色のマルチカラーのコモン枠である《放蕩の歓楽者》が市民と団結どちらとも相性が良く、これらを使うために赤をタッチすることが多いです。
赤緑を基調とし白をタッチする場合は、宝物を出すカードと宝物とシナジーがあるカードを中心にピックしていき、赤緑に足りない白の飛行クリーチャーや強力なマルチカラーのカードである《舞台座一家の料理人、ロッコ》などを意識してデッキを作っていきましょう。
また宝物がたくさん出る構成だと4色以上の構成も目指せるので、強力な他の色のカードを使えるという利点もあります。
注目のアーキタイプ・その3:貴顕廊一家({U}{B}{R})
「貴顕廊一家」は、黒を中心として友好色である青と赤を組み合わせるアーキタイプです。
黒赤を基調とし青をタッチする場合は、生け贄シナジーの中心として活躍する《殺人魔》を優先的ピックし、犠牲や奇襲など生け贄と相性が良いカードでデッキを作っていきましょう。
青黒を基調とし赤をタッチする場合は、《詮索する新聞記者》などの墓地に5種類以上のマナ総量を揃えることで強化されるカードを中心に、自身の墓地にカードを送り込めるカードを組み合わせ、早期の条件達成を目指してデッキを作っていきましょう。
注目のアーキタイプ・その4:常夜会一家({W}{U}{B})
「常夜会一家」は、青を中心として友好色の白と黒を組み合わせるアーキタイプです。
白青を基調とし黒をタッチする場合、斡旋屋一家とほぼ同じでカウンターを参照とするカードを意識してデッキを作ります。黒のカードはタッチしたいカードが少なく、強力な除去である《殺害》はダブルシンボルでタッチしづらいため、基本的には強力なレアや3色のカードを使うために黒を足すことがほとんどです。
青黒を基調とし白をタッチする場合は貴顕廊一家とほぼ同じで墓地に5種類以上のマナ総量を揃えることで強化されるカードを中心にデッキを作ります。白の利点としては《鼓舞する監視者》という環境屈指のコモンが使えるという点以外、赤の方が基本的に青黒との相性が良いため、レアや白を含む3色のカードを使いたくなった場合に白をタッチすることを検討しましょう。
注目のアーキタイプ・その5:土建組一家({B}{R}{G})
「土建組一家」は、赤を中心として友好色である黒と緑を組み合わせるアーキタイプです。
黒赤を基調とし緑をタッチする場合は、貴顕廊一家とほぼ同じで生け贄シナジーを意識してデッキを作ります。赤も緑も宝物を出すことに長けているため色事故が起きづらく、他の色のカードも使える可能性があるのが緑タッチの利点です。
赤緑を基調とし黒をタッチする場合に意識することは舞台座一家とほぼ同じで、宝物シナジーを意識しデッキを作ります。赤も緑も宝物を出すことに長けているのでダブルシンボルの《殺害》のようなタッチが難しいカードも採用しやすく、赤緑の優秀なスタッツと優秀な除去で盤面を押していく構成になります。
5.最後に
これで今回の記事は終わりです。最後までお読みいただきありがとうございました。この記事が少しでも、皆さんが新環境のドラフトを楽しむ助けになれば幸いです。
今回は使える色の組合せが少ないシンプルなコンセプトのため、覚える知識もいつも以上に少なくて済むのでドラフト初心者の方でも戦いやすい環境だと思います。今までドラフトをやったことがない方も、ぜひこの記事を参考にして遊んでみてください!
それでは皆さん、また次回の連載記事でお会いしましょう!
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