READING

戦略記事

行弘賢のよくわかる!リミテッド講座

第43回:『カルドハイム』ドラフト攻略

行弘 賢

 皆さんこんにちは! 最近は本格的に寒さを感じる季節になりましたよね。カルドハイムも氷雪をフィーチャーしていたので気候的にリンクしていることに気が付き、マジックでも四季を感じることができて面白いなと思いました。

 さて、今回は前回から引き続き、事前にMTGアリーナで『カルドハイム』ブースタードラフトをプレイしてきましたので、そこで得た経験を皆さんに共有する記事をお送りしていきます。

もくじ

  1. 『カルドハイム』ドラフト環境のポイント
  2. 収録メカニズムについて
  3. 『カルドハイム』のトップコモン&アンコモン
  4. 『カルドハイム』ドラフトの注目のアーキタイプ
  5. 最後に

 

 

1.『カルドハイム』ドラフト環境のポイント

 それでは、まずは環境のポイントから見ていきましょう! 『カルドハイム』ブースタードラフトでは、『カルドハイム』ドラフト・ブースター3パックを使用します。

ja_khm_booster_3packs.png
環境のポイント1:カードパワーを意識する

 この環境はカード同士のシナジーで戦ういわゆるアーキタイプ環境ではなく、単体の強いカードをいかに多く使うかを意識する環境です。

 英雄譚を始めとした多色のカードが強く、さらにコモンに多色化しやすい土地があるため、3色以上にしていかにデッキに強いカードを多く詰め込めるかが重要になってきます。

 ドラフトというゲームではあるものの、シールドに近い感覚で「いかに目の前を通るカードパワーの高いカードを上手く使うか」を意識してピックする環境です。

環境のポイント2:氷雪を意識する色

 この環境は6つ目の色ともいえる「氷雪マナ」を必要とするカードが多く存在します。特に青と緑に多く存在するため、この2色のどちらか、あるいは両方の色をやる際は氷雪を持つ土地カードを意識してピックする必要があります。

 氷雪のカードは縛りがあるだけに強力なものが多いため、いざ取っても使えないということがないように気をつけたいですね。

環境のポイント3:攻める時は装備と飛行

 新能力「予顕」を持つクリーチャーの多くがサイズに優れているカードのため、早期から地上クリーチャーで攻めるデッキはサイズ差に苦しめられることが多く、さらに白以外は2マナ以下に攻めに適したクリーチャーが少ないため、そもそも早期からクリーチャーを展開して攻めるデッキを作りづらいです。

 そこで重要なのが飛行クリーチャーと装備品です。飛行クリーチャーは予顕持ちのクリーチャーを相手にした時にサイズ差で攻めづらい展開になりにくいだけでなく、装備品とも相性が良いです。特に《金脈のつるはし》は装備のマナを補完してくれるだけでなくマナのカラーサポートまでこなしてくれる飛行と最高に相性が良い装備品となります。

 地上攻めの際はサイズ差で負けにくいように装備品でサポートしていきましょう。戦場に出た時にトークンがついてくる各色のアンコモンの装備品については、たくさんデッキに入れてもクリーチャーが足りずに効果を発揮できなくなるケースをケアできるため、2~4枚採用しても問題ないケースが多いです。

 以上の3つのポイントを意識することでデッキを作りやすくなると思うので、まずはこれらを意識してピックするようにしてみましょう。

 それでは続きまして、今回の新規収録メカニズムをおさらいしていきましょう。

 

2.収録メカニズムについて

予顕(よげん)

予顕[コスト](あなたのターンの間、あなたは{2}を支払って、あなたの手札からこのカードを裏向きに追放してもよい。後のターンに、これの予顕コストでこれを唱えてもよい。)

 「予顕」能力は自分のターンなら優先権があるタイミングでいつでも{2}を支払うことで、それ以降のターンに一部のカードを除き元のマナ・コストより少ないマナでカードをプレイすることができるキーワード能力です。

 リミテッドだと普段は2マナ域のクリーチャーがある程度必要になってきますが、予顕で2マナ域が埋まるため軽いマナ域が少なくて困るケースが少なくなるのは嬉しい設計ですね。

誇示

誇示 ― [コスト]:[能力](この能力は、このターンにこのクリーチャーが攻撃していたときにのみ、毎ターン1回のみ起動できる。)

 誇示は、誇示を持つクリーチャーが攻撃した場合、そのターン中優先権があるタイミングなら必要なマナ・コストを支払うことでいつでも1回だけ起動型能力を起動できるキーワードです。

 誇示を使い続けるためには除去で相手のブロッカーを排除したり、装備品によるサイズ差で上回ったりと多少の工夫は必要ですが、アドバンテージに直結する能力もあるのでぜひ上手く工夫して使ってみましょう。

氷雪

 氷雪は氷雪マナや氷雪パーマネント、氷雪呪文を参照するメカニズムです。氷雪マナは氷雪パーマネントから生み出されたマナのことを指します。例えそれがどの色のマナを生み出したとしても、氷雪マナとしても扱われます。

 氷雪カードの中には氷雪パーマネントの数を参照するカードが多く存在するため、氷雪カードを中心にデッキを組む際は氷雪土地を始めとした氷雪パーマネントを中心にデッキを組む必要があります。ピックの際に明確に欲しいものがない場合は、氷雪土地を取っておくと後々楽になるので意識して取るようにしましょう。

多相

多相(このカードはすべてのクリーチャー・タイプである。)

 多相はどの領域にある場合でもすべてのクリーチャー・タイプを持つ、という能力です。

 すべてのクリーチャー・タイプを得る都合上あらゆる部族シナジーの恩恵を受けるだけでなく、多相のカードのみとシナジーするカードもあります。

 多相のほとんどは青と緑に存在するため、基本的には巨人とエルフの水増しとして使うことが多くなります。特に巨人は単体が重いマナ・コストを持つものが多いため、早い段階で巨人として戦場に出しておける多相は非常に重要です。

 

 さて、続きましては各色のトップコモン・アンコモンを見ていきましょう!

 

3.『カルドハイム』のトップコモン&アンコモン

白・アンコモン

クラリオンのスピリット》:かなりお手軽に飛行のトークンを生み出し、序盤からかなりのプレッシャーを与えることのできる非常に強力なクリーチャーです。1マナ域のカードがある時は3ターン目に連続でプレイする選択肢があるのもいいですね。

持続のルーン》:装備品につければ簡単にダメージレースをぶち壊すあまりにも強力なエンチャント。装備コストが軽く付け替えやすい《金脈のつるはし》と相性が抜群です。

星界の番人》:お手軽に盤面を強化しつつ本体も3/3飛行という優秀なスタッツを持つ攻守に渡って活躍できる優秀なクリーチャーです。《リトヤラの鏡湖》で毎ターン増やせるコンボは覚えておくとどこかで使えるかもしれません。

白・コモン

戦場の猛禽》:《金脈のつるはし》のベストパートナー。2つ目の呪文を唱えた時に効果を発揮する系のカードとも軽いアクションとして相性が良く、白をやる時は優先して取りたいクリーチャーです。

金への捕縛》:クリーチャーだけでなく、装備品などのクリーチャー以外のカードにも柔軟に対応できる優秀な除去カードです。

確固たる戦乙女》:通常プレイでも4マナ3/2飛行と十分な性能なのに、なぜか2マナでプレイできるオプションがある非常に優秀な飛行クリーチャーです。

青・アンコモン

雪崩呼び》:氷雪土地をある程度必要とするものの、1枚でゲームメイクできる環境屈指のシステムクリーチャーです。

氷縛りの柱》:除去されにくく、起動コストの軽いタッパーはいつでも環境最強クラスのカードです。大体のレアよりも強力なので見かけたら出来るかぎり使いたいカードですね。

飛行のルーン》:装備品に飛行を付与させるとあまりにも強力なことに気が付くエンチャント。これまた攻撃が通るたびに能力が誘発する《金脈のつるはし》との相性が最高です。

青・コモン

占い鴉》:4マナ3/3飛行で使ってもよし、予顕から分割して払ってもよしの、単純に使い勝手の良い優秀な飛行クリーチャーです。

多元宇宙の警告》:予顕により分割で支払えるので、マナスクリュー(土地が並べられない状況)に対応しやすく、余ったマナを有効活用しやすい、使い勝手の良いドロー呪文です。

煙霧歩き》:3マナ1/4飛行かつパワー上昇能力持ちなので、だいたいのクリーチャーを牽制できる優秀な多相クリーチャーです。青赤をやる際は巨人シナジーも加味して優先して取りたい1枚ですね。

黒・アンコモン

ドローガーの兜》:装備コストこそ重いものの、5マナでトークンとともに出した時の強さはかなりのもの。残った装備品も盤面に与えるインパクトは無視できない、強力な装備品です。

杯に毒》:予顕により色マナ・シンボルとコストが軽くなる使い勝手の良い確定除去です。占術2もおまけにしては嬉しすぎますね。

復讐に燃えた死神》:あらゆる局面で活躍できる、性能が単純に高い1枚。予顕で分割してマナを支払えるオプションがあるのも嬉しいですね。

黒・コモン

大蛇の餌》:色拘束こそ多少つらいものの、インスタントかつ追放なので後腐れない優秀な確定除去です。

冥府のペット》:2つ目の呪文をプレイするとボーナスがあるアーキタイプのコモン代表。ターン終了時までしか飛行がつかないので、出したターンよりも攻撃できるタイミングで能力が使えるようプレイを工夫しましょう。

悪魔の贈り物》:除去に対応してもよし、コンバットに使ってもよしの優秀な強化呪文です。

赤・アンコモン

玄武岩の荒廃者》:多相と相性の良い巨人。2マナ、3マナ、4マナと展開してこれで相手のクリーチャーを除去できたならそのままゲームに勝ちうる、非常に強力な除去内蔵クリーチャーです。なにげにプレイヤーにダメージを飛ばせるのも嬉しいですね。

熱狂した略奪者》:誇示持ちと合わせることで厚みのある攻めができる、優秀な2マナクリーチャーです。《恐れなき仔》を1マナから展開できた場合はかなり攻撃し続けることができます。

速度のルーン》:装備品を絡めた攻めるデッキになりやすい赤に非常に適したエンチャント。速攻付与が活きるように、付け替えの際の装備コストが軽い装備品につけたいですね。

赤・コモン

悪魔の稲妻》:インスタントであり、かつ予顕により分割もでき、通常プレイも3マナと比較的軽くプレイできる、環境屈指の除去呪文です。

ドワーフの援軍》:2体トークンを出すため、装備品や全体強化と相性が良い1枚。予顕により分割でプレイできるのも嬉しいですね。

霜噛み》:1マナ3点はあまりにも破格。使う際はぜひ氷雪パーマネントをある程度採用して使いたいですね。

緑・アンコモン

アルダガルドのスピリット》:氷雪土地をサーチできるので単純にアドバンテージを稼げるだけでなく、本体も優秀なスタッツを誇る、氷雪アーキタイプで重要な役目を果たすクリーチャーです。

吹雪の乱闘》:普通に使っても軽い格闘呪文ですが、氷雪パーマネントを揃えることでより使い勝手の良くなる、優秀な除去カードです。

北方の先導》:雑に言えばこれ以降のクリーチャーに+1/+1カウンターを置くと書いてあるクリーチャー。お手軽に自軍を強化できるので氷雪土地と合わせて使いましょう。

緑・コモン

サルーフの群友》:4マナ3/3のキャントリップ(1枚ドローが付いたカード)としてだけでも優秀なクリーチャーなのに、予顕までついている緑のコモンを代表する1枚です。

冬を彫る者》:氷雪土地を起こすことで疑似的なマナ・クリーチャーとして運用することができる、優秀なシステムクリーチャーです。

スケムファーのための闘争》:クリーチャーを強化しつつ除去もこなす優秀さを持ち、かつ予顕しておくことで展開しつつ除去することもできる使い勝手の良さも魅力のカードです。

 

 続きまして、『カルドハイム』の注目アーキタイプを紹介していきます。

 

4.『カルドハイム』ドラフトの注目のアーキタイプ

注目のアーキタイプ・その1:青赤巨人

 「青赤巨人」は、《巨人たちの侵略》や《氷結する火炎、エーガー》などの巨人と相性が良いカードと、単体性能が高い巨人を組み合わせるアーキタイプです。

 そもそも青赤の巨人はどれも単体で性能が高く、シナジーを意識しなくてもデッキに入る性能なため、万が一シナジーのあるカードが取れずに巨人アーキタイプとして成立しなくても強いデッキになりやすいのが魅力です。

 《氷結する火炎、エーガー》を取れた際は巨人だけでなく、クリーチャーにダメージを与える除去呪文も優先して取るようにしましょう。

注目のアーキタイプ・その2:青白予顕

 「青白予顕」は、《見張るもの、ヴェイガ》や《ニコ、運命に抗う》などの予顕と相性が良いカードでアドバンテージとカードの質で相手を圧倒するアーキタイプです。

 予顕カードはそれ単体として質の良い呪文が多いため、予顕カードをカードパワー基準でピックしつつ、上記2種のカードが流れてきたらピックするのがスマートな流れです。

 《見張るもの、ヴェイガ》が取れた場合は単体ではあまり使いたくない《嘲笑の人形》もプレイアブル(デッキへの採用が検討できる)カードになることを覚えておきましょう。

注目のアーキタイプ・その3:白黒セカンドスペル

 「白黒セカンドスペル」は、《クラリオンのスピリット》や《武勇の審判者、ファーヤ》などの同一ターンに2回呪文を唱えた時にボーナスのあるカードをバックアップするアーキタイプです。

 同じターンに2回呪文を唱えるために、分割でマナを支払える予顕カードや、1マナのカードを多く採用するようにしましょう。《嘲笑の人形》は予顕しておくことで、いつでも2つ目の呪文として待機させることができるのでこのアーキタイプでは重要な役目を果たします。

 1マナかつ、2つ目の呪文としてシナジーのある《掟綴りの僧侶》も優先して取るようにしたいですね。

注目のアーキタイプ・その4:赤白誇示

 「赤白誇示」は、赤と白の誇示を持つクリーチャーを継続的に攻撃させるために、装備品や除去でバックアップするアーキタイプです。

 《熱狂した略奪者》は誇示そのものとシナジーするため、このアーキタイプだと優先度高くピックしましょう。

 装備品を多く採用する都合上クリーチャーが足りなくなるケースもあるので、誇示を持つカード以外だと、トークンを生成できるクリーチャーを意識してピックすると攻めを継続しやすくなります。

 誇示でマナを多く使うため、サイズアップ兼マナを増やせる《金脈のつるはし》は装備品の中でもかなり重要な役目を果たします。意識してピックするようにしましょう。

注目のアーキタイプ・その5:緑黒エルフ

 「緑黒エルフ」とは、《スケムファーの王、ヘラルド》や《エルフの戦練者》などのエルフとシナジーがあるカードを他の優秀なエルフカードと組み合わせ、物量差で戦うアーキタイプです。

 《エルフの戦練者》や《古葉の導師》、《潮による復活》などのトークンを出すカードで盤面を増やし、《スケムファーの影賢者》で一気にライフを削り切ることもできるので、これらのカードは優先してピックしましょう。

 また地上はトークンで攻守に渡って活躍できるものの、飛行からの攻めには弱いアーキタイプなので、エルフを生み出しつつ継続的な飛行耐性を用意できる《エルフの弓》は優先してピックするようにしましょう。

注目のアーキタイプ・その6:緑氷雪

 「緑氷雪」とは、《輝く霜》や《アルダガルドのスピリット》などの氷雪兼色サポートカードで氷雪や緑以外の強力なカードを自由にプレイできるようにし、圧倒的なカードパワーで戦うアーキタイプです。

 最初は氷雪土地や色サポートカードを優先してピックしつつ、合間に流れてきた強力な氷雪カードや単純にカードパワーが高いカードを意識してピックしましょう。その際《大蛇の餌》のようなタッチしにくいダブルシンボルのカードは、それがそれだけの価値があるかよく吟味して、あまり多くデッキに入らないように気を付けましょう。

 《氷縛りの柱》と《雪崩呼び》はアンコモンながらたいていのレアより強いカードなので、氷雪をやっている時は最優先で取るようにしましょう。

注目のアーキタイプ・その7:黒赤狂戦士

 「黒赤狂戦士」とは、《血空の虐殺》と他の狂戦士を組み合わせ、圧倒的アドバンテージ差をつけ戦うアーキタイプです。

 これだけ見るとレアからしかスタートできないアーキタイプに見えますが……その通りです。なんとなく赤黒をピックしていて、たまたま《血空の虐殺》が流れてくるか、初手から《血空の虐殺》をピックする以外ではこのアーキタイプになりません。

 赤黒の組み合わせは他に良いシナジーも少なく、正直環境で一番弱い色の組み合わせだと思います。《血空の虐殺》は強力な英雄譚ではありますが、それに引きずられて線の細い地上クリーチャーばかり入ったデッキにならないように気を付けましょう。

 

5.最後に

 これで今回の記事は終わりです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。この記事が少しでも皆さんが新環境でのブースタードラフトを楽しむ助けになれば幸いです。

 個人的に今回は赤が抜けて強く、次点で青と白、最弱候補は緑と黒という印象です。ただしどの色も決して戦えないレベルではないので、各種アーキタイプを参考にしてシナジーを構築した上で多色化し、カードパワーを担保すると強いデッキになりやすいと思います!

 それでは皆さん、また次回の連載記事でお会いしましょう!

  • この記事をシェアする

RANKING

NEWEST

CATEGORY

BACK NUMBER

サイト内検索