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戦略記事

行弘賢のよくわかる!リミテッド講座

第42回:『ゼンディカーの夜明け』ドラフト攻略

行弘 賢

 皆さんこんにちは! 最近涼しくなってきて、秋の到来を感じさせる季節になってきましたね!

 さて、今回は前回から引き続きMTGアリーナで『ゼンディカーの夜明け』でドラフトしてきましたので、そこで得た経験を皆さんに共有する記事をお送りしていきます。

 それではまずは環境のポイントから見ていきましょう!

1.『ゼンディカーの夜明け』ドラフト環境のポイント

 『ゼンディカーの夜明け』ドラフトは、『ゼンディカーの夜明け』ドラフト・ブースターを3パック使用します。

環境のポイント1:アーキタイプ環境

 『ゼンディカーの夜明け』は、カード同士のシナジーを推奨する指針となるカードがたくさんあるセットです。この指針となるカードに寄せたピックをし、特定のカードを集めシナジーを軸にデッキを作ることを「アーキタイプ・ドラフト」といいます。

 今回の『ゼンディカーの夜明け』ドラフトではこのアーキタイプ・ドラフトを基本的には目指すことになります。

環境のポイント2:パーティーは難易度高め

 環境にたくさんあるアーキタイプの中でも、パーティーは組むのが最も難しいアーキタイプです。というのも、4つの種族をバランス良く構築しないといけないため、ピックの段階からかなりの噛み合いが必要となりますし、盤面のクリーチャーも軽々に戦闘で相打ちしたりできないのでプレイ面でも難しいです。

 その割にはパーティーボーナスもそこまで魅力的ではないため、パーティーについてはコスト軽減系以外積極的にデッキに採用しない方がデッキを作りやすいです。

環境のポイント3:部族かそれ以外か

 この環境はならず者(青黒)、ウィザード(青赤)、戦士(白赤)、クレリック(白黒)の4つのクリーチャー・タイプがそれぞれ同じクリーチャー・タイプを参照するカードが多く存在するため、同一種族で固めてデッキを作る部族のアーキタイプが推奨されています。

 それぞれ基本的には上記の色の組み合わせでピックしていくため、2色固定のピックとなりがちで、決め打ち気味にピックしていくことになります。なので、完成形はどれも非常に強いのですが、上手くカードが取れなかった場合は逃げ道が少なく、部族はハイリスク・ハイリターンのアーキタイプと言えます。

 その逆で受けが広いアーキタイプが「キッカー」と「上陸」です。こちらは単体性能が高いクリーチャーや呪文が多く、色の縛りも薄いためデッキの形になりやすいです。ただし、先ほど挙げた部族よりはシナジーカードが少ないため、部族と比べて完成形になりにくいという欠点はあります。

 この「キッカー」と「上陸」は緑に多く存在するため、部族をやるなら緑以外、緑をやるなら部族以外と覚えておくとピックの指針になるかもしれません。

環境のポイント4:モードを持つ両面カードを使う

 『ゼンディカーの夜明け』には新メカニズムとして「モードを持つ両面カード」が存在します。これらは基本的には土地として運用できるため、今回はこれらを採用し、土地を減らしたり増したりと土地の枚数を工夫することができます。

 モードを持つ両面カードは非常に使いやすく強力なメカニズムですが、呪文のモードはマナ・コストに対して性能が少し悪いものが多いため、基本はマナを多く引いたときに呪文として使える土地としてデッキに採用することになります。

 例えば土地17枚のデッキであるなら、モードを持つ両面カード2枚+基本土地15枚で合わせて17枚にするといった感じです。ただし、これですと両面カードを土地として運用する状況が大半となってしまうため、あまり上手く使えているとは言えません。

 土地としても使え、呪文としても使うためには、ある程度通常の土地も入れて運用したいため、目安としてはモードを持つ両面カード2枚に対して基本土地1枚を減らすバランスで組むとちょうど良いかと思います。

 

 以上の4つのポイントを意識することでデッキを作りやすくなると思うので、まずはこれらを意識してピックするようにしてみましょう。

 それでは続きまして、今回の新規収録メカニズムをおさらいしていきましょう。

2.収録メカニズムについて

パーティー

あなたのパーティーを構成しているクリーチャー1体につき~(あなたのパーティーは、ウィザードとクレリックと戦士とならず者それぞれ最大1体から構成される。)

 パーティーとは、4つの種族をそれぞれにつき1体ずつコントロールしている場合にボーナスがあるメカニズムです。同じ種族のクリーチャーが2体戦場に出ていてもカウントは1、クリーチャーが2つ以上の該当するクリーチャー・タイプを持っていてもカウントは1となります。

モードを持つ両面カード

 モードを持つ両面カードとは、プレイする際に第1面か第2面のどちらかを選ぶことができる新しい両面カードのことです。今回はレアの2色土地サイクルを除き、すべて第1面が呪文で、第2面が土地となります。

 戦場以外では第1面の情報しか参照しないため、「プレイする」こと以外では土地として戦場に置けない点に注意しましょう(「土地を戦場に出す」効果では×)。

 さて、続きましては各色のトップコモン・アンコモンを見ていきましょう!

3.『ゼンディカーの夜明け』のトップコモン&アンコモン

白・アンコモン

忘却への旅》:基本は2種族くらいが盤面にいることが多いため、3マナ前後の優秀な万能除去です。

カビーラの叩き伏せ》:第1面のモードが除去であるため、非常に使いやすいモードを持つ両面カードです。

従者つきの癒し手》:クレリック最強格のアンコモン。自分と相手のターンどちらもトークンが出るため、地上戦に非常に強く、自身の能力でライフを回復できるため飛行クリーチャーとのダメージレースにも強い非常に優秀なシステムクリーチャーです。

白・コモン

英雄たちの世話人》:戦場に出たときに最低2点、おおむね4点以上回復する、ダメージレースを大きく有利にする優秀な飛行クリーチャーです。

ナヒリの束縛》:ダブルシンボルと多少色マナ拘束こそネックにはなりますが、3マナで広い範囲に対処できる優秀な除去です。

コーの祝賀者》:ライフを回復することでシナジーを多く形成するクレリックにおいて、重要な役割を持つシステムクリーチャーです。

青・アンコモン

凪魔道士の威圧》:「青黒ならず者」のような、相手の墓地を能動的に増やすことができるアーキタイプで強いのはもちろんのこと、普通にマナ・コスト通りに使ってもそこそこ強く、幅広いデッキで活躍することができる強力な呪文です。

ドレイクの休息地》:キッカーした場合4マナ2/2飛行にその後のキッカーでずっと2/2飛行が出てくると考えると、あまりにも強力すぎるシステムエンチャントです。

遺跡ガニ》:ある程度デッキを寄せる必要はありますが、1枚で勝てる可能性がある非常に強力なシステムクリーチャーです。

青・コモン

泡の罠》:1マナと4マナどちらで使っても強力な、非常に優秀な除去です。

乱動への突入》:アドバンテージを失わず、広い範囲で盤面に触れる優秀なバウンス呪文です。

目覚めし激浪》:キッカーのアーキタイプの必須級のクリーチャーです。逆にキッカーが少ないデッキではまったく活躍できないので、ある程度キッカーが取れている時だけピックするようにしましょう。

黒・アンコモン

血の長の渇き》:1マナと4マナどちらで使ってもコストパフォーマンスの良い、非常に優秀な除去です。

ブラックブルームのならず者》:第1面が普通に強いため、黒いデッキならどれでも採用できる、優秀なモードを持つ両面カードです。

墓入りの妨害》:大体4~5マナでプレイでき、戦場にクリーチャーが2体出る、強力すぎるリアニメイト呪文です。

黒・コモン

命取りの協力》:シングルシンボルかつ、インスタントかつ、マナ・コスト軽減能力も付いている、リミテッド目線で見た時にコモンとしてはここ数年の中でもトップクラスの性能を持つ除去です。

大群への給餌》:2マナで幅広い範囲を除去できる優秀な除去です。クレリックで使うとライフを回復するカードが多いため、デメリットのライフ損失も気にならないのが良いですね。

弱者成敗》:除去できる範囲こそ限られますが、インスタントタイミングで使用できる優秀な除去です。

赤・アンコモン

轟く叱責》:2マナで広い範囲を除去できる優秀な除去です。

ゴーマ・ファーダの先兵》:戦士デッキならば実質ブロッカーを1体排除することができる、戦士デッキで真価を発揮するクリーチャーです。

崖崩れの魔術師》:ウィザード・デッキならば一度戦場に定着してしまえばそのままゲームを決めうる、非常に強力なシステムクリーチャーです。

赤・コモン

探検隊の勇者》:戦士デッキならば3マナ4/3と、コモンとは思えない強力なクリーチャーです。

グロータグの虫捕り》:戦士デッキの貴重な2マナ域として活躍するのはもちろんのこと、種族が散ったデッキで使えば2マナ域とは思えない打点を出せる優秀なクリーチャーです。

乱動の噴火》:広い範囲を除去できるだけでなく、プレイヤーにも撃てるので最後のライフの詰めとしても使える優秀な火力呪文です。

緑・アンコモン

カルニの待ち伏せ》:除去と土地どちらも兼ねる優秀な両面カードです。緑は上陸の色なので優秀な両面カードはぜひ積極的にデッキに入れたいですね。

ムラーサの発芽種》:キッカーが付いている呪文は回収するタイミングだとちょうどキッカーできることが多く、また3マナ3/3と標準以上のマナレシオを持っているため通常プレイでも活躍できる、キッカーのアーキタイプで活躍する優秀なクリーチャーです。

蔦ヤモリ》:キッカーを早いターンにプレイできるようになり、自身も成長していく、キッカー・デッキのキーカードの1枚です。

緑・コモン

ナーリッドの群棲》:2マナと5マナそれぞれで使いやすいだけでなく、トランプル付与の能力も緑とかみ合っている、幅広いデッキで活躍できる優秀なクリーチャーです。

ジョラーガの幻想家》:キッカーと上陸どちらも土地が必要な緑において、盤面を強くしつつドローできる、デッキの潤滑油として重要なクリーチャーです。

狂気の一咬み》:ソーサリーかつクリーチャーも必要ですが、一方的にダメージを与えるのでサイズに優れた緑だと使いやすい除去です。

 

 続きまして、『ゼンディカーの夜明け』の注目アーキタイプを紹介していきます。

4.『ゼンディカーの夜明け』ドラフトの注目のアーキタイプ

注目のアーキタイプ・その1:白黒クレリック

 「白黒クレリック」は、《コーの祝賀者》と《略奪する破戒僧》のライフを回復し、ダメージを与えるシステムを軸に戦うアーキタイプです。

 上記2種はコモンだけで完結するシステムですが、アンコモンはより強力なシステムが存在します。それが《秘宝の薬瓶》と《従者つきの癒し手》で、どちらもクレリックでは非常に強力なため、見たら取るようにしましょう。これらが遅く流れてきたらクレリックに切り替えるのも視野に入れてもいいほど強力です。

 継続的にライフを回復したいため、クレリックではないですが飛行と絆魂を持つ《恐怖の薄暗狩り》は優先してピックするようにしましょう。

注目のアーキタイプ・その2:青黒ならず者

 「青黒ならず者」は、《空飛ぶ思考盗み》を始めとしたライブラリーを切削するカードで相手の墓地枚数を参照するカードをバックアップし、ライフとライブラリー両方を狙うことができるアーキタイプです。

 切削することを推奨する色の組み合わせなので、《遺跡ガニ》か《空飛ぶ思考盗み》から参入したいアーキタイプで、青と黒は呪文が強力な代わりにクリーチャーのマナレシオは他より弱めなので、できればライフよりライブラリーアウトを狙う構成がオススメです。

 とはいえ、ならず者は飛行や威迫が多いため、優秀な除去などの呪文が多い場合は切削するだけでなくライフを詰める方向でも十分強いため、どっちつかずにならなければライフを削る方向でも十分戦えます。

注目のアーキタイプ・その3:青赤ウィザード

 「青赤ウィザード」は、《崖崩れの魔術師》や《秘宝の護符》などの強力なシステムを、ウィザード・インスタント・ソーサリーの3種の呪文でバックアップして戦うアーキタイプです。

 デッキの性質上クリーチャーはウィザードで固めて、他の呪文はインスタントとソーサリーが多くなるようにピックする必要があります。

 《探検隊の占者》は能力抜きでも飛行のクロックとして優秀なクリーチャーですが、ウィザードだとより強く使えるためコモンの中では優先して取りたいですね。

 ウィザードは最初に挙げた2種以外はそこまで横の繋がりがなく、意外とシナジーが薄いアーキタイプなので、参入するならば2種のどちらかから入るようにしたいですね。

注目のアーキタイプ・その4:青緑キッカー

 「青緑キッカー」は、《ドレイクの休息地》や《蔦ヤモリ》などのキッカーとシナジーのあるカードを軸に、序盤から終盤まで隙が少ないキッカー呪文で安定感あるゲームができるアーキタイプです。

 「青緑キッカー」の一番の魅力は、《泡の罠》や《乱動への突入》などのどのアーキタイプでも活躍する優秀な呪文からピックした場合、キッカーとシナジーがあるカードが取れた場合に後にキッカーに寄せる選択肢を取れるため、非常に参入しやすいことです。

 積極的に狙ってももちろん良いですが、キッカーは意外とシナジーするカードが少ないため、決め打ちするよりは部族に行けない場合の候補として考えておくと良いかもしれません。

注目のアーキタイプ・その5:赤緑上陸

 「赤緑上陸」とは、《アクームのヘルハウンド》や《梢のベイロス》などの上陸でパワー/タフネスを強化するクリーチャーを、通常の土地プレイの他に土地を置く呪文や、モードを持つ両面カードで継続的に土地を置いてバックアップして戦うアーキタイプです。

 上陸を持つクリーチャーは土地さえ置ければ特にシナジーが無くても強力なクリーチャーが多いため、とにかく毎ターン土地を置くことが求められるアーキタイプなのですが、今回のメカニズムであるモードを持つ両面カードが土地を水増ししつつマナフラッドも防ぐことが出来るため、両面カードの優先度が他のアーキタイプよりも高くなります。

 土地の枚数は両面カード含めて18枚以上が推奨で、両面カードを多く採用するならば合わせて20枚程度はあっても問題ないです。

注目のアーキタイプ・その6:赤白戦士

 「赤白戦士」とは、《カルガの戦導者》や《探検隊の勇者》などの戦士を参照とするシナジーがあるカードを軸に、序盤から相手を攻めて戦うアーキタイプです。

 基本的に上記の2種を優先した赤と白の戦士クリーチャーを集め、戦士とシナジーがあるカードを集めるだけなのでピックが簡単なアーキタイプではありますが、赤白は装備品とシナジーがあるカードも多いため装備品も意識して少し高めにピックしておくようにしましょう。特に《秘宝の斧》は戦士デッキでも非常に重要な装備品なので高めに取るようにしたいですね。

注目のアーキタイプ・その7:パーティー

 「パーティー」とは、戦場のクレリック・ならず者・ウィザード・戦士の4つの種族それぞれを参照し、ボーナスがあるカードを各種族をバランス良く盤面に揃え最大限に活かして戦うアーキタイプです。

 基本的にはパーティーが全員盤面に揃うことは稀なので、2種くらいで効果が発揮しやすいコスト軽減系のカードなど、フルパーティーを目指さなくても強力なカードを軸にピックしていきましょう。

 パーティーのバリューが出しやすい赤黒系ならば、《轟く火花魔道士》や《ドラーナの口封じ》を上手く使うことができます。

 ただし、パーティーは盤面にクリーチャーを定着させなければいけないため、プレイの難易度が高くピックも難しくなるため寄せすぎると勝ちにくいアーキタイプだと思います。

5.最後に

 これで今回の記事は終わりです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。この記事が少しでも、皆さんが新環境のドラフトを楽しむ助けになれば幸いです。

 個人的に今回は赤が少し他の色より落ちる気がしますが、そこまで差が無く非常にバランスが良い環境だと感じますので、ぜひたくさんドラフトを楽しんでみてください!

 それでは皆さん、また次回の連載記事でお会いしましょう!

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