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行弘賢のよくわかる!リミテッド講座
第38回:『エルドレインの王権』ドラフト 答え合わせ編
皆さんこんにちは!
今回は前回から続いての後編ということで、いつもと同様に「新環境リミテッド:ミシックチャンピオンシップ後の振り返り」をしていきましょう。
今回も2019ミシックチャンピオンシップⅥ(リッチモンド)に参戦してきたので、その後の振り返りしっかりやらせていただきます。
1.ミシックチャンピオンシップを終えて環境のまとめ
前回の記事でも書いた、僕が感じた最初の印象がこちら。
- 単色推奨
- 除去よりもクリーチャー優先
- 出来事を意識する
そして、その後の実際の練習過程やミシックチャンピオンシップⅥで感じた環境の印象とファーストインプレッションの差、つまり「的中度」を点数にすると、以下のようになりました。
80点:単色推奨
この環境は、単色が推奨されている環境です。というのも、「一徹」という特定の色マナを多く要求するメカニズムや、4マナの混成マナ・サイクルがあり、単色でないとプレイすることが難しいカードがある程度カードプールに存在するためです。
ですので、基本的には単色ベースでこれらのカードを使いつつ、強力なカードや除去だけタッチするというのが基本的なピックの路線で間違いないと思います。
ただし、黒の強力な除去である《パイ包み》はタッチで使用するのが難しく、さらに黒は人気のある色であり、黒に触っている時には単色デッキになりにくいです。ですので、黒をやる場合だけはあらかじめ2色で組むことを想定してピックしていったほうが、安定したマナベースのデッキになりやすいです。
50点:除去よりもクリーチャー優先
基本的にはコントロールデッキを組むより早期決着を目指した単色寄りのビートダウンの方がやはり裏目が少なく良いデッキになりやすく、マナ・カーブを意識したクリーチャーの方がピックの優先度が高くなります。
ですが単色寄りになりがちだからこそ、色の合った除去は非常に貴重です。ピックの路線が確定した後は、むしろ除去は優先的に取っても大丈夫です。
90点:出来事を意識する
出来事のカードは息切れしにくくなるだけでなく、ゲームに選択肢を増やしてくれる非常に強力なキーワード能力です。特に緑と白は出来事とシナジーするカードも多く、意識してピックする必要があります。出来事のカードが安い色は空いているサインともとれるので、常に注意してみるようにしましょう。
2.新・環境のまとめ
以上の点を加え、前回のファーストインプレッションと統合した環境のまとめは以下のとおりです。
- 黒単以外の単色を目指しつつピックする。黒絡みだけは2色になりがちなので最初から2色を視野に入れてピックするようにしましょう。特に緑黒、青黒は強力なアーキタイプなので2色にする価値は高いです。黒以外は完全単色か、強力なカードやデッキに必要な重要なカードだけ1~4枚くらいまでをタッチすることを目指します。
- 基本的には単色を目指すので、単色のビートダウンを推奨。青単だけはライブラリーアウトも目指せるので、ライブラリーアウトのカードが多く取れたら目指してみるのもひとつの手。基本的にはクリーチャーを優先してピックしてデッキの軸を作っていき、その後、色が合った除去を見かけたらこれは優先して取るようにします。初手付近で強力なフィニッシャーが確保できた場合は除去の優先度を上げても大丈夫です。
- 攻めるのにも守るのにもリソースの差がついてしまうと消耗戦で必ず負けてしまうので、ある程度出来事の枚数がデッキにある必要があります。ただし赤の出来事カードは強力なものが少ないため、あまり意識しなくても大丈夫です。
さて、次はこの環境で実際にどのようなアーキタイプが活躍しているか、代表カードとともに解説していきます。前回紹介しなかったアーキタイプを中心に紹介していきますね。
3.各種注目アーキタイプ
注目のアーキタイプ・その1:ライブラリーアウト
「ライブラリーアウト」は、《無礼の罰》や《マーフォークの秘守り》などの相手のライブラリーを削るカードで相手の山札を無くして勝利を目指すアーキタイプです。
これらライブラリーを削るカードを多くピックできたらもちろん良いのですが、現実的には複数集まるほうが珍しいので、1枚で相手のライブラリーを削り切れる《空想の書物》が初手付近でピックできた場合や、《無礼の罰》や《マーフォークの秘守り》が卓で1周するような状況でのみ狙うとよいでしょう。
基本的にライブラリーアウトで勝つことを目指すため攻めるクリーチャーは必要なく、ライブラリーを削るカード以外なら《極小》や《魔法の眠り》などの除去と、リソースを増やすドローカードを優先的にピックしていきましょう。
色は青単色がベストですが、黒を足して《パイ包み》や《湖での水難》などの除去を足すのもひとつの手です。
注目のアーキタイプ・その2:緑白出来事
「緑白出来事」は、《エッジウォールの亭主》、《不思議な道照らし》、《放浪馬》などの出来事とシナジーするカードを中心に、出来事カードを多く採用し、圧倒的盤面とリソースで勝利を目指すアーキタイプです。
出来事自体がアドバンテージを稼ぎやすいカードなため、出来事が複数採用されてる時点である程度カードパワーは保証されたデッキであるといえますが、「緑白出来事」はさらにそれをシナジーにより強力にしていきます。特に《エッジウォールの亭主》は出来事クリーチャーにドローを付与とリソースを確保し続けることができるため、最重要カードになります。
「緑白出来事」は基本的にこれら3種のアンコモンと出来事のカードを意識してピックするだけである程度形になりやすいため、序盤にこれらのアンコモンがピックできたら積極的に狙いたいアーキタイプです。
弱点としては、色の特性上除去が薄くシステムクリーチャーに弱くなりがちなので、《ガラスの棺》や《筋骨隆々》などの完全除去は意識して早めにピックするようにしましょう。
注目のアーキタイプ・その3:紋章旗アグロ
「紋章旗アグロ」とは、単色のビートダウンに《紋章旗》を採用し、単色の恩恵を最大限に発揮するアーキタイプです。
個人的にこの環境最強のアーキタイプは《紋章旗》を採用した単色のビートダウンと考えていて、特に回避能力の多い白と相性が抜群です。
《紋章旗》自体がアーティファクトなので《羽ばたき狐》などのアーティファクトを参照するカードとも相性が良く、白単色ならば必須とも言えるカードなので、見かけたら必ずピックするようにしましょう。
以上、3つの注目のアーキタイプでした。
この環境は単色環境なので有効な色の組み合わせ自体は少ないですが、同じ単色でもカードの採用によってデッキの方向性が大きく変わってくるので、ぜひさまざまなカードを試してアーキタイプを模索してみてください。
4.『エルドレインの王権』のトップコモン&アンコモン
前回も『エルドレインの王権』の各色トップ3を挙げましたが、今回はその改訂版です。
前回から評価が変わってトップ3から抜けたカードと入ったカードを解説していきますので、前回の記事を読んでいない方はぜひそちらも確認していただけたらと思います。
白・アンコモン
in
《不思議な道照らし》:最強アーキタイプの一角である緑白出来事において必須級なクリーチャーのため評価を上げました。
out
《獅子の爪、エイリン卿》:白の路線的に重い地上クリーチャーはあまり活躍できず、同じマナ域ならば《尊きグリフィン》の方が優先度が高いため評価を下げました。
白・コモン
in
《塔への閉じ込め》:白において貴重な除去のため評価を上げました。
out
《アーデンベイルの戦術家》:白単色ならば無数に欲しいくらいのクリーチャーですが、単色以外だとダブルシンボルがネックになりやすいため評価を下げました。
青・アンコモン
今回のトップ3 | 前回のトップ3 |
---|---|
《具眼の主、エレノラ卿》 | 《具眼の主、エレノラ卿》 |
《フェアリーの荒らし屋》 | 《フェアリーの荒らし屋》 |
《動かすフェアリー》 | 《カボチャ変化》 |
in
《動かすフェアリー》:ダメージレースを一気に有利に進めることができる、非常に優秀な出来事クリーチャーとして評価を上げました。
out
《カボチャ変化》:依然として非常に強力なバウンス呪文ですが、相対的に評価を下げました。
青・コモン
今回のトップ3 | 前回のトップ3 |
---|---|
《魔法の眠り》 | 《魔法の眠り》 |
《無礼の罰》 | 《鋼睨みのグリフィン》 |
《マーフォークの秘守り》 | 《マーフォークの秘守り》 |
in
《無礼の罰》:「ライブラリーアウト」において必須なだけでなく、青のやりたい構える動きにマッチしているカードなため評価を上げました。
out
《鋼睨みのグリフィン》:上手く使えるアーキタイプが青赤しかなく、少し用途が狭いので評価を下げました。
黒・アンコモン
今回のトップ3 | 前回のトップ3 |
---|---|
《厳格な者、コンラッド卿》 | 《厳格な者、コンラッド卿》 |
《真夜中の騎士団》 | 《真夜中の騎士団》 |
《壮大な破滅》 | 《沼のいたずら好き》 |
in
《壮大な破滅》:除去できる幅が広く、追放で後腐れがない非常に優秀な除去として評価を上げました。
out
《沼のいたずら好き》:ほぼ緑黒専用カードかつ、緑黒は重いところが緑で補完されがちなので評価を下げました。
黒・コモン
赤・アンコモン
in
《燃焦苑の教練者》:騎士限定とはいえ、一瞬の打点の向上が爆発的で赤の方向性と非常にマッチしたクリーチャーとして評価を上げました。
out
《狂ったネズミ飼い》:ほぼ青赤専用カードで、受けが狭いため評価を下げました。
赤・コモン
in
《焼尽の連射》:赤単を目指す理由のひとつ。ほぼ完全除去、かつおまけの3点はあまりに強力。
《七人の小人》:継続的に攻撃できる可能性がある、赤の優秀な2マナ域です。もちろん数を揃えないと弱いため、優先的にピックして枚数を確保するようにしましょう。
out
《谷の商人》:優秀なシステムクリーチャーではあるのですが、赤の方向性的に早期の決着を目指すので長期戦に強いカードの評価を下げました。
《硫黄投石器》:食物がある環境で継続ダメージでは相手を追い詰める一打になりにくいため、評価を下げました。
緑・アンコモン
今回のトップ3 | 前回のトップ3 |
---|---|
《エッジウォールの亭主》 | 《エッジウォールの亭主》 |
《パンくずの道標》 | 《豆の木の巨人》 |
《寓話の守り手》 | 《寓話の守り手》 |
in
《パンくずの道標》:環境最強格ともいえる優秀なシステムカードとして評価を上げました。
out
《豆の木の巨人》:依然として優秀な出来事クリーチャーですが、相対的に評価を下げました。
緑・コモン
今回のトップ3 | 前回のトップ3 |
---|---|
《獰猛な魔女跡追い》 | 《獰猛な魔女跡追い》 |
《筋骨隆々》 | 《筋骨隆々》 |
《ギャレンブリグの聖騎士》 | 《ギャレンブリグの木工師》 |
in
《ギャレンブリグの聖騎士》:強力なサイズに強力な回避能力持ちと、単色気味に組めたなら非常に頼りになるフィニッシャーなので評価を上げました。
out
《ギャレンブリグの木工師》:コンバット・トリックで使える出来事クリーチャーは分かりやすくリソースを稼いでくれるため強力ではありますが、相対的に評価を下げました。
以上、各色トップ3でした。2色絡みのカードの評価と赤絡みのカードの評価が大きく間違っていたので訂正いたしました。ぜひともご参考にしてください。
また、皆さんと評価が違う部分ももちろんあると思いますので、ぜひ比較してみてください。
5.最後に
久しぶりに前編・後編とやらせていただきましたが、いかがでしたか? 感想いただけましたら今後の参考とさせていただきますので、ぜひTwitterなどでお送りください。
今回はミシックチャンピオンシップⅥでドラフト5勝1敗と優秀な成績で終えることができ、緑単色と青単色と、どちらも単色ベースのデッキでした。単色路線は間違いないと思っていますので、ぜひ記事を参考にしてみてください!
では次回も新セット発売直前にお会いしましょう。それでは!
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