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行弘賢のよくわかる!リミテッド講座
第30回:『基本セット2019』ドラフト 答え合わせ編
皆さんこんにちは!
今回は前回から続いての後編ということで、グランプリ・千葉2018とグランプリ・ミネアポリス2018(英語カバレージ)の2つのリミテッドグランプリを経ての「新環境リミテッド:2GP参加後の振り返り」をやっていきます。
運良くグランプリ・ミネアポリスではトップ8に入賞することができた都合もあり、本番でたくさんドラフトすることができましたので、いつものプロツアー後の振り返り同様本番で得た経験をフィードバックできたらと思います。
1.2GPを終えて環境のまとめ
前回の記事でも書いた通り、僕が感じた最初の印象がこちら。
- 強力なアーキタイプとして1マナ域から始まるビートダウンが存在し、回避能力持ちのクリーチャーも多いため受ける戦略が成立しにくい。
- 低マナ域の優秀な除去が少なく、エンチャント・オーラでクリーチャーを強化することが正当化されやすい。地上は受けるクリーチャーが多くと止まりやすいため、攻める際は回避能力が必須。
- 受けのデッキを組む際には明確なゴールが必要。中途半端なフィニッシャーや呪文群ではビートダウンや相手のレアには太刀打ちできないことが多い。
そして、その後の実際の練習過程や2GP参加で感じた環境の印象とファーストインプレッションの差、つまり「的中度」を点数にすると、以下のようになりました。
70点:強力なアーキタイプとして1マナ域から始まるビートダウンが存在し、回避能力持ちのクリーチャーも多いため受ける戦略が成立しにくい。
《錆色翼の隼》を始めとした《ペガサスの駿馬》や《星冠の雄鹿》を絡めた白のビートダウンはクリーチャーでは押しとめることが難しく、依然として強力で、白を絡めたビートダウンは一番人気のアーキタイプです。
そのため他の色は空きやすい傾向にあり、しっかりカードがとれるなら除去ベースのコントロールなら立ち向かうことも可能です。
特に黒は除去やクリーチャーにライフを回復する効果が付いてるものが多く、ライフを詰められてる状況からまくる展開に持ち込みやすいです。
80点:低マナ域の優秀な除去が少なく、エンチャント・オーラでクリーチャーを強化することが正当化されやすい。地上は受けるクリーチャーが多く止まりやすいため、攻める際は回避能力が必須。
序盤からオーラで強化したクリーチャーを1枚のコモンで対処できるのは同じくオーラである《萎凋》と《光明の縛め》ぐらいしかなく、特に飛行などの回避能力持ちクリーチャーに付いてしまうと手がつけられないこともよくあります。
そのためオーラに負けないようにこれらのオーラをドラフト段階から意識して取ることは非常に重要ですし、このオーラの攻防で負けないように、《神聖の発動》や《帰化》などのエンチャント対策はしっかりと用意するようにしましょう。
また、そもそも対策されている場合はオーラをサイドアウトして普通にクリーチャーを展開して攻めれるようにしたいので、デッキがオーラで強化しないと戦えない軽いクリーチャーばかりにならないように注意しましょう。
地上中心の軽量ビートダウンはクリーチャーの質で相手に負けるとオーラに頼り切ってしまい非常にリスキーなので、回避能力が多い白以外の色を選択した場合は、オーラを使わず質で勝負するようにしましょう。
100点:受けのデッキを組む際には明確なゴールが必要。中途半端なフィニッシャーや呪文群ではビートダウンや相手のレアには太刀打ちできないことが多い。
受けるということはゲームを長引かせるということであり、ゲームを長引かせる以上は長引かせることがこちらに有利に働かなければ意味がありません。
なので除去からピックを始めた場合も基本は攻めの除去として使う意識でデッキを作っていくことをオススメします。青黒のような一見受け寄りの構成を組んでしまいそうなカラーリングでも、ある程度攻めを意識した構成になるようにした方が勝ちやすいです。
2.新・環境のまとめ
以上の点を加え、前回の環境解説と統合した環境のまとめは以下のとおりです。
- 白を絡めたビートダウンは最強のアーキタイプ。そのため非常に人気色となっており逆に他の色が空きやすい傾向にあるので、白をできない場合はしっかり他の色に移れるようにしよう。
- オーラでクリーチャーを強化する戦略は強力ではあるものの、過信は禁物。対策されてると感じたならその対策にはまらないようにサイド後にこちらも対応できるようにしておきたい。
- 明確なゴールがない受ける構成より、ある程度攻めを意識した優秀な除去が入った構成の方が勝ちやすい。安易なアドバンテージや除去カードにひきずられないように要注意。
さて、次はこの環境で実際にどのようなアーキタイプが活躍しているか、代表カードとともに解説していきます。前回紹介しなかったアーキタイプを中心に紹介していきますね。
3.各種注目アーキタイプ
注目のアーキタイプ・その1:緑白オーラ
緑白オーラとは、《騎士の誓約》や《樫変化》、《野生林の鉤爪》といったクリーチャーを強化するエンチャント・オーラ呪文でクリーチャーを強化し、一気呵成に押し切るアーキタイプです。
クリーチャーを強化するオーラ呪文を優先してピックするのは当たり前として、付け先として優秀な《錆色翼の隼》や《蔦草牝馬》は優先してピックするようにしましょう。
地上クリーチャーにオーラを付けても他のバックアップがないと結局止まりがちなので、《ペガサスの駿馬》などの回避持ちクリーチャーはオーラよりも優先してピックしましょう。
また、ほぼ緑白でしか使えない《サテュロスの結界師》や《新米騎士》は噛み合った時は強力ですが、取れなくても致命的ではないので、優先して取らず遅い巡目で確保することも考慮しましょう。
注目のアーキタイプ・その2:青黒コントロール
青黒コントロールとは、《本質の散乱》や《リッチの愛撫》などの妨害カードで相手に干渉し、《予言》や《ふるい分け》でリソース差を広げ、最後はフィニッシャーで蓋をするアーキタイプです。
フィニッシャーは強力なレアが望ましいですが、《吸血鬼の君主》などの強力な飛行クリーチャーでも大丈夫です。
また、《殺害》や《どんでん返し》などの強力な呪文が取れた場合は、使いまわしできるように《秘密の回収者》は優先してピックするようにしましょう。
《霧の壁》や《悪運尽きた造反者》などを入れすぎると回避持ちクリーチャーに簡単に負けてしまうので、クリーチャーベースにするなら《夜の子》や《前兆語り》にして、多少なりともダメージレースできる構成がオススメです。
注目のアーキタイプ・その3:赤青鏡像
赤青鏡像とは、《斉射の古参兵》や《電光吠えのドラゴン》などの戦場に出たときに誘発する優秀な能力持ちクリーチャーを《鏡像》でコピーし使いまわすアーキタイプです。
赤ベースでピックしてる時に《鏡像》が流れてきたときに行きやすいアーキタイプで、早めに《斉射の古参兵》が取れたら意識して《鏡像》をピックしてみましょう。
4.『基本セット2019』のトップコモン&アンコモン
前回も『基本セット2019』の各色トップ3を挙げましたが、今回はその改訂版です。
前回から評価が変わってトップ3から抜けたカードと入ったカードを解説していきますので、前回の記事を読んでいない方はぜひそちらも確認していただけたらと思います。
白・アンコモン
トップ3(変更なし) |
---|
《秘儀術師の檻》 |
《民兵のラッパ手》 |
《抗戦》 |
白・コモン
トップ3(変更なし) |
---|
《暁の天使》 |
《ペガサスの駿馬》 |
《星冠の雄鹿》 |
青・アンコモン
今回のトップ3 | 前回のトップ3 |
---|---|
《排斥する魔道士》 | 《排斥する魔道士》 |
《睡眠》 | 《睡眠》 |
《どんでん返し》 | 《旅立った甲板員》 |
in
《どんでん返し》:クリーチャー交換は流石に強力。《秘密の回収者》との相性も抜群。
out
《旅立った甲板員》:評価は特に下がっておらず、1枚で勝ち得る強力なクリーチャーですが、相対的に入れ替わりました。
青・コモン
トップ3(変更なし) |
---|
《飛行の先駆者》 |
《噛みつきドレイク》 |
《エイヴンの風魔道士》 |
黒・アンコモン
トップ3(変更なし) |
---|
《吸血鬼の君主》 |
《殺害》 |
《不吉な死霊》 |
黒・コモン
トップ3(変更なし) |
---|
《流血の空渡り》 |
《リッチの愛撫》 |
《異様な忍耐》 |
赤・アンコモン
トップ3(変更なし) |
---|
《稲妻の一撃》 |
《火山のドラゴン》 |
《斉射の古参兵》 |
赤・コモン
トップ3(変更なし) |
---|
《ボガートの粗暴者》 |
《ゴブリンの扇動者》 |
《ショック》 |
緑・アンコモン
トップ3(変更なし) |
---|
《緑探しのドライアド》 |
《蔦草牝馬》 |
《優位宣言》 |
緑・コモン
今回のトップ3 | 前回のトップ3 |
---|---|
《狂気の一咬み》 | 《狂気の一咬み》 |
《ケンタウルスの狩猟者》 | 《ケンタウルスの狩猟者》 |
《僧帽地帯のドルイド》 | 《樫変化》 |
in
《僧帽地帯のドルイド》:タフネス3ある優秀なマナクリーチャーとして評価を上げました。
out
《樫変化》:オーラ戦略は強力ではあるものの、アーキタイプによるムラがあるので評価を下げました。
以上、各色トップ3でした。前回は実際に使ってみての評価だったので変更なしが多いですね。けっして手抜きではございませんのでご容赦ください。
皆さんと評価が違う部分ももちろんあると思いますので、ぜひ比較してみてください。
5.最後に
『ドミナリア』に引き続き前編・後編とやらせていただきましたが、いかがでしたか? 感想いただけましたら今後の参考とさせていただきますので、ぜひTwitterなどでお送りください。
今回はグランプリ・ミネアポリスでトップ8に入賞することができ、前回のプロツアー5-1から引き続きドラフトが非常に好調です。
また、シーズン最後のプロツアーが終了し、世界選手権出場の権利が確定いたしました!
上手くいかない時期もございましたが、仲間や応援してくれる皆様に恵まれ、今年も世界選手権の権利を取ることができました。この調子で来月の日本選手権と世界選手権も頑張りたいと思いますので、今後とも応援していただけますと幸いです。
では次回も新セット発売直前にお会いしましょう。それでは!
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