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行弘賢のよくわかる!リミテッド講座
行弘賢のよくわかる!リミテッド講座 第21回:『破滅の刻』発売!新環境ドラフト攻略
行弘賢のよくわかる!リミテッド講座 第21回:『破滅の刻』発売!新環境ドラフト攻略
皆さんこんにちは!
家から出たらもう汗でベトベト......クーラーや扇風機が無いと家で生活するのも億劫になる......そう、夏がやってきました!
暑くて家も外も過ごしにくい方は、カードショップならばクーラーも効いて過ごしやすいですよ! 海や山も良いですが、今年の猛暑はカードショップで乗り越えましょう!
おあつらえ向きに『破滅の刻』も発売ですし、リミテッド三昧とかもありですね!
さて、今回もいつも通り「新環境リミテッド:発売前ファーストインプレッション」と、「新環境リミテッド:プロツアー後の振り返り」の2本立てで、今回は前編です。
基本的にはブースタードラフトに関する内容の記事とはなりますが、カードの評価などはシールドデッキでも応用できる点もあるかと思いますので、リミテッドが好きな方のお役に立てたらと思います。
それでは、まずは新環境のファーストインプレッションから見ていきましょう!
1.新環境~『破滅の刻』のドラフト
『アモンケット』1パックと『破滅の刻』2パックを使用する形式になります。開封順は『破滅の刻』『破滅の刻』『アモンケット』となります。
ファーストインプレッション
今回の『破滅の刻』のカードリストを見たファーストインプレッションは、以下の3点です。
- 『アモンケット』のみの環境よりも低マナのクリーチャーの質が落ちた。
- 攻撃的なカードが弱体化し、環境が遅くりそう。
- 砂漠がキーとなるカードが全体的に強いので、砂漠の優先度が高そう。
順番に解説していきます。
『アモンケット』のみの環境よりも2マナ以下のクリーチャーの質が落ちた。
前環境では《突風歩き》や《ネフ一門の鉄球戦士》などの督励持ちクリーチャーをはじめとした攻撃的なクリーチャーや、《洞察の探求者》や《束縛のミイラ》のような優秀なシステムクリーチャーがいました。
ですが、『破滅の刻』の2マナ以下のクリーチャーはマナ・カーブを埋めるために必要なレベルのスペックのクリーチャーばかりで、明確に低マナ域からゲームを組み立てるのが難しくなりそうです。
攻撃的なカードが弱体化し、環境が遅くなりそう。
前環境では督励持ちクリーチャーや、スペックの良い不朽持ちクリーチャーで攻めを継続する戦略が非常に強力でしたが、今回は督励持ちクリーチャーが前環境よりも全体的にスペックダウンしています。
また、実のところコンバットトリックも全体的に弱体化しているのも相まって、短期決戦でゲームを決めるのは難しそうです。
砂漠がキーとなるカードが全体的に強いので、砂漠の優先度が高そう。
砂漠をコントロールしているか墓地にある場合にボーナスがある、「砂漠シナジー」のカードが『破滅の刻』には数多く存在します。それらを上手く機能させるために砂漠は4枚以上欲しいため、土地をある程度優先的にピックすることになりそうです。
逆に土地をピックする都合上カードが不足しがちなので、カットや受けドラフトをしているとカードが足りなくなってデッキを組むのが困難になってしまうこともありそうです。
ここまでがカードリストを見た最初の感想です。
前環境に比べ攻撃的クリーチャーが減り、短期決戦が難しくなりそうなので、ビートダウンよりも、中速以降の膠着状態を打破する術に長けたアーキタイプが推奨される環境になりそうです。
さて、次は『破滅の刻』の新キーワード能力について見ていきましょう。
2.収録キーワード能力について
永遠
永遠[コスト]([コスト], このカードをあなたの墓地から追放する:黒であり、4/4であり、マナ・コストを持たず、これの他のタイプに加えてゾンビであることを除き、このカードのコピーであるトークンを1体生成する。この能力は、あなたがソーサリーを唱えられるときにのみ起動できる。
永遠は、指定されたコストを支払うことで、クリーチャーを4/4の黒のゾンビとして墓地から戦場にトークンとして復活させる能力です。4/4の黒のゾンビであること以外の情報をすべて引き継ぐため、基本的にはサイズアップして戦場に戻せる能力となります。
加虐
加虐N(このクリーチャーがブロックされた状態になるたび、防御プレイヤーはN点のライフを失う。)
加虐は相手のブロックを抑制する能力で、加虐持ちクリーチャーをブロックすると加虐の数値のライフを失う能力です。
複数でブロックしても加虐は1回しか誘発しません。
督励
~を督励する:~(それは、あなたの次のアンタップ・ステップにアンタップしない。)
『アモンケット』では督励は攻撃時のみ誘発する能力でしたが、『破滅の刻』ではタップして能力を起動する際に督励することができるカードがあります。
前環境で強力だった警戒付与で督励のデメリットを打ち消すシナジーは、タップで起動する督励カードでは使えなくなりました。
砂漠
土地―砂漠
砂漠は土地のサブタイプです。『破滅の刻』では砂漠をコントロールしているか、墓地にある場合ボーナスがある「砂漠シナジー」のカードが多く存在します。
また、戦場にある砂漠を生け贄に捧げたり、砂漠をタップすることをコストとする起動型能力もあるため、『破滅の刻』のリミテッドにおいては、一種の色のような役目を担っています。
3.『破滅の刻』の注目のカード
さて、それではここからは色、レアリティ別(コモン・アンコモン)で、僕が強力だと思うカード・トップ3を挙げていきたいと思います(3枚の中での順位はつけません)。
皆さんも最初はカードの強さがいまいちよく分からないと思うので、ぜひ参考にしてみてください。
白・アンコモン
《砂漠の拘留》:ほぼ完全除去かつ、砂漠シナジーのライフゲインまでついてる優れた除去です。
《陽光鞭の勇者》:永遠のコストが軽く、ライフゲインの量も多大なため、ゲームに与える影響が大きいクリーチャーです。
《信義の侍臣》:督励クリーチャーの「ロード」のような存在で、いきなり盤面を打開できる可能性がある、優れたシステムクリーチャーです。
白・コモン
《不屈のエイヴン》:督励クリーチャーのデメリットを打ち消すことが可能な、優秀な飛行持ちクリーチャーです。
《オケチラの報復者》:2マナ3/1と『破滅の刻』屈指の攻撃的な2マナ域で、督励で攻めを継続しやすい、優秀なクリーチャーです。
《砂爆破》:タイミングこそ制限されるものの、システムクリーチャー以外のほとんどのクリーチャーに対処可能な除去です。
青・アンコモン
《選定の侍臣》:永遠持ちや不朽持ちクリーチャーを墓地に送ることでアドバンテージを稼ぎ、さらに不朽・永遠を起動するたびにドローできる、リソースを稼ぐことに長けたシステムクリーチャーです。
《しなやかな打撃者》:本体こそ少し頼りないスペックですが、永遠で戻ってきた場合はゲームを決めることも可能な、強力な永遠持ちクリーチャーです。
《不吉なスフィンクス》:5マナ4/4の優秀な飛行クリーチャーだけでなく、サイクリングをコンバットトリックとして機能させることができる、強力なフィニッシャーです。
青・コモン
《抑え難い渇き》:砂漠シナジーがあると2マナのほぼ完全除去で、無くても(状況こそ選びますが)除去として機能する、優秀な除去です。
《空からの導き手》:飛行軸でビートする際に重宝する飛行クリーチャーです。
《狡猾な生き残り》:デッキこそ選びますが、サイクリング中心のデッキだと無類の活躍を見せる、強力な2マナクリーチャーです。
黒・アンコモン
《禍鞭の懲罰者》:戦場に出たときにタフネス1のクリーチャーを除去できるだけでなく、実質4マナの除去としてあらゆるクリーチャーに対処することができる、強力な除去内蔵クリーチャーです。
《スカラベの責め苦》:毎ターンライフか手札か土地以外のパーマネントを失うというのは思ったより大変で、長期戦にさえしてしまえば1枚で勝てる可能性がある、強力なシステムエンチャントです。
《無慈悲な永遠衆》:後半ライフを詰める際に、「加虐」「手札を捨ててパンプアップ」の2つの軸で攻められる、優秀な攻撃的クリーチャーです。
黒・コモン
《致死の一刺し》:デメリットこそあるものの、3マナと驚くべき軽さの優秀な完全除去です。
《毒の責め苦》:インスタントなのでコンバットトリックとしても使える除去で、追加効果もライフを攻める攻撃的アーキタイプだと重宝する、優秀な除去です。
《無法の斬骨鬼》:環境屈指のマナレシオを誇る、優秀な攻撃的クリーチャーです。
赤・アンコモン
《砂かけ獣》:砂漠シナジーにより、戦場に出たときに相手のクリーチャーを除去できる、非常に強力な除去内蔵クリーチャーです。
《削剥》:2マナのインスタントの3点除去としてだけでなく、装備品やタフネス3以上のアーティファクト・クリーチャーも除去できる、強力な除去です。
《燃え拳のミノタウルス》:手札を捨てるデメリットこそあるものの、基本的にブロックするのが困難な優秀な2マナクリーチャーです。
赤・コモン
《ケンラの潰し屋》:2/3威迫という強力なサイズかつ、督励によりブロックしにくくできる、優秀な回避能力持ちクリーチャーです。
《穿刺の一撃》:永遠や不朽持ちクリーチャーを後腐れなく除去可能な、優秀な除去です。
《金色のセロドン》:砂漠シナジーありきですが、一度動き出したら対処が困難な強力なフィニッシャーです。
緑・アンコモン
《強靭な狩り手》:基本スペックが4マナ4/4と高く、さらに警戒と接死まで付いたら手が付けられません。相手のクリーチャーに-1/-1カウンターが置かれていてもボーナスが発動するのを忘れないように。
《活力の信奉者》:マナこそかかるものの、相手のブロックを難しくさせる優秀なシステムクリーチャーです。
《超克》:《踏み荒らし》よりも決定力は落ちるものの、それでも優秀な全体強化呪文です。
緑・コモン
《待ち伏せ》:インスタントタイミングで相手のクリーチャーに対処できる、優秀な除去です。格闘と違い、こちらはダメージを受けない点も非常に重要です。
《侵略ナーガ》:3マナ域としては最高峰のマナレシオを誇る、優秀なクリーチャーです。
《ロナスの重鎮》:督励時に2マナ3/3となるだけでなく、パワー2以下のブロック不可までついてくる、最後の一押しにも強い優秀な攻撃的2マナ域です。
以上、各色のトップ3でした。
さて次は、『破滅の刻』の注目アーキタイプをチェックしていきましょう!
4.『破滅の刻』ドラフトの注目のアーキタイプ
注目のアーキタイプその1:白緑督励
白緑督励は、《ロナスの重鎮》と《オケチラの報復者》の2マナ域の督励持ちクリーチャーを《不屈のエイヴン》でサポートするビートダウンアーキタイプです。
《オアシスの祭儀師》を《不屈のエイヴン》でサポートすることにより、手数も増やすことができるので重いカードも使いやすく、序盤から終盤までしっかり攻めることができます。
注目のアーキタイプその2:青赤果敢
《呪文織りの永遠衆》と《棘モロク》などの果敢持ちクリーチャーを、呪文でサポートするアーキタイプです。
《突破》や《巧みな軍略》のような手札を失わずに呪文を唱えられるものや、《かすむ刀剣》や《火をつける怒り》のようなコンバットトリックを駆使して、果敢持ちクリーチャーをしっかりとサポートしていきましょう。
注目のアーキタイプその3:黒白ミイラの大王
白の《ミイラの大王》を黒のゾンビ・クリーチャーでサポートするアーキタイプです。
黒のコモンクリーチャーはほとんどゾンビなので、《ミイラの大王》さえピックできれば強力なゾンビデッキを作るのは難しくありません。
アンコモンですが《型破りな戦術》は見かけたら絶対にピックするようにしましょう。
注目のアーキタイプその4:青黒サイクリング
青黒サイクリングは、《狡猾な生き残り》と《忌まわしい生き残り》をサイクリングでバックアップするアーキタイプです。
『アモンケット』で《洞察の探求者》を見かけた際は、他の選択肢がアンコモン以下ならばほとんどの場合で優先してピックしましょう。
5.既存アーキタイプの『破滅の刻』参入による変化
『アモンケット』3パックの環境で活躍したアーキタイプは、『破滅の刻』参入によってどう変化したのでしょうか? ここでは、前環境で活躍したアーキタイプの変化について予想していきます。
- 白黒ゾンビ:他のアーキタイプがパワーダウンする中、《ミイラの大王》の存在により依然として強力なアーキタイプです。
- 青黒サイクリング:サイクリングシナジーが前環境よりも軽いカードで存在するため、前環境より強力になっています。
- 緑白督励:督励のカードが全体的に弱くなったため、弱体化しています。
- 黒緑ミッドレンジ:-1/-1カウンターシナジーが減ったので、弱体化しそうです。
- 赤軸ビートダウン:前回は最強格のアーキタイプでしたが、攻撃的なカードが軒並み弱体化したので今回は厳しそうです。
- 青白不朽:不朽が減った代わりに永遠持ちクリーチャーが増えたので、地上を固め飛行で殴る戦術はそのまま使えそうです。
- 低コストビートダウン:《這い寄る刃》を中心とした軽いクリーチャーのビートダウンは、今回は低マナ域の優秀なクリーチャーが少ないため厳しそうです。
6.最後に
これで今回の記事は終わりです。最後まで読んでいただいてありがとうございました。この記事が少しでも、皆さんが新環境のドラフトを楽しむ助けになれば幸いです。
プロツアー『破滅の刻』後には再度環境の振り返り、答え合わせ編をやりますので、そちらもよろしくお願いします。
前回のプロツアー『アモンケット』では運よく6-0することができたので、今回も前回に負けないようにしっかり練習して、6-0を狙っていきたいと思います!
プロツアーの成績次第では世界選手権にも出場できそうなので、ぜひとも応援のほど、よろしくお願いいたします!
それでは皆さん、また次回の連載の記事でお会いしましょう!
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