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なかしゅー世界一周
なかしゅー世界一周2013・第10回:プロツアー「ドラゴンの迷路」とこれから
読み物
なかしゅー世界一周
2013.05.30
なかしゅー世界一周2013・第10回:プロツアー「ドラゴンの迷路」とこれから
Text by 中村 修平
さて、プロツアーです。
わりかし本気で『会場に隕石でも落ちてプロツアーが無くなっても良いのになあ』なんてのたまっていましたが、そんなことは起こりようもなくその日が来てしまいました。
プロポイント48点の私のポジションは、世界選手権「全体代表」枠の7つの椅子で4番目、ボーダーから4点上。
去年と比べてかなり楽な位置ではありますが、プロポイント30点より上でスタートしたプレイヤーが4~5人トップ8(最低20点獲得)に残られただけで私の目論見は完全に終わってしまうのです。
これが「プロポイントを何点を取れば良い」というプロプレイヤー・クラブ・プラチナレベルへの戦いではなく、「上から何人以内に残っていなければならない」世界選手権(旧称・プレイヤー選手権)の怖いところ。
【プロツアー「ドラゴンの迷路」開始時点でのプロポイント順位】
順位 | 氏名 | 所属国 | プロポイント | 備考 |
---|---|---|---|---|
1 | 渡辺 雄也 | 日本 | 62 | 2012マジック・プレイヤー選手権優勝 日本最上位 |
2 | Ben Stark | アメリカ | 58 | 北アメリカ地区最上位 |
3 | Josh Utter-Leyton | アメリカ | 55 | ? |
4 | Tom Martell | アメリカ | 52 | プロツアー「ギルド門侵犯」優勝 |
5 | Shahar Shenhar | イスラエル | 50 | ? |
5 | Eric Froehlich | アメリカ | 50 | ? |
7 | Willy Edel | ブラジル | 49 | ラテンアメリカ地区最上位 |
7 | David Ochoa | アメリカ | 49 | ? |
9 | Stanislav Cifka | チェコ | 48 | プロツアー「ラヴニカへの回帰」優勝 |
9 | 中村 修平 | 日本 | 48 | ? |
11 | Martin Juza | チェコ | 46 | ? |
12 | Owen Turtenwald | アメリカ | 45 | ? |
13 | Brian Kibler | アメリカ | 44 | ? |
14 | Shi Tian Lee | 香港 | 41 | アジア太平洋地区最上位 |
14 | Tzu-Ching Kuo | 台湾 | 39 | ? |
16 | Gerry Thompson | アメリカ | 38 | ? |
17 | Reid Duke | アメリカ | 37 | ? |
17 | Conley Woods | アメリカ | 37 | ? |
19 | Samuele Estratti | イタリア | 36 | ? |
↑トップ16で逆転圏内↑ | ||||
20 | Joel Larsson | スウェーデン | 34 | ? |
21 | Jon Stern | カナダ | 33 | ? |
22 | Ivan Floch | スロバキア | 32 | ? |
22 | Luis Scott-Vargas | アメリカ | 32 | ? |
24 | Sam Black | アメリカ | 31 | ? |
24 | Christian Calcano | アメリカ | 31 | ? |
24 | Kelvin Chew | シンガポール | 31 | ? |
24 | Matthew Costa | アメリカ | 31 | ? |
24 | Melissa DeTora | アメリカ | 31 | ? |
24 | Paul Rietzl | アメリカ | 31 | ? |
24 | 八十岡 翔太 | 日本 | 31 | ? |
31 | Alexander Hayne | カナダ | 30 | ? |
31 | Lukas Jaklovsky | チェコ | 30 | ? |
31 | Ari Lax | アメリカ | 30 | ? |
31 | Raphael Levy | フランス | 30 | ? |
31 | Jacob Wilson | アメリカ | 30 | ? |
↑トップ8で逆転圏内↑ |
25位以上からは獲得プロポイントが飛躍的に伸びる今のシステムでは、追いつかれないためにはその位置を自分がキープしに行きつつ、競争者の動向を探るという、毎ラウンド身を削られるような思いでの戦いをすることになるのです。
初日・ドラフトラウンド
できれば逃げ切りよりは戦って幕を引く、いやいや何よりもトップ8を目指すのが一番良いのですが、プロツアー初っ端の第1ゲームを
《山》
《山》《凍結燃焼の奇魔》
《山》 奇魔で全力を出されて4点
《山》 奇魔で全力を出されて4点
《山》から《敵への処罰》3点
《沼》からの《労苦 // 苦難》、対象は全部こちらで8点
からの、
トドメに《影切り》、しめて22点
なんて殺され方をした日には「こりゃ今日は駄目だわ」と思ってしまうこと請け合いです。
2本目は土地多めの手札をキープしたら後はお察し下さい。
デッキはかなり良い出来のアゾリウスタッチ黒で、3-0狙えると思ったのになあ...
そういえば前回でなんとなく日本人は多色寄りじゃないかと書いてしまいましたが、2週間ぶりにサンディエゴで再会してドラフトの感触を聞いてみると、やはり練習が進むうち2色傾向が強くなっていったとのこと。
3パックから1パックへとギルドのテーマが一気に薄れてしまった中で、やはりドラフトの本筋は、どのようにデッキをカバーしていくかというのが焦点のようです。
なんて思っていたら負けた身の上なのに凄まじいのにあたってしまいました。
2ターン目《ウォジェクの矛槍兵》
3ターン目《ボロスの反攻者》
4ターン目《空騎士の軍団兵》
5ターン目 タッチの沼からの《穴開け三昧》
6ターン目に超過《ミジウムの迫撃砲》
なんぞこれ??
そういえば3本目には再び《ミジウムの迫撃砲》超過からの《サンホームのギルド魔道士》なんてのも出て来ましたね。ちなみにこの時点で土地は8枚付き。
ついでにあまりに多色クリーチャーばかり出てきて初手から《究極の価格》を撃てずに困っていたところに、出てきた《長屋壊し》に喜び勇んで打ってみると《ボロスの魔除け》で防がれて、2ターンぶり3回目くらいのゲームの終わりも覚悟しました。
が、こちらの《オブゼダートの大口》のプレッシャーに負けてくれてギルド魔道士を差し出してくれたお陰で本当に針の先ほどの辛勝。
終わった後に対戦相手が物凄く不服そうでしたが、全くもって同感です。
我ながらよく勝てたな...
初めの2試合からして、ちょっと急激すぎるアップサイドダウン。
かなり色々と消耗してしまった気がしますが、気分的には負けから勝ちと上り調子っぽく見えるので良しとすべきでしょうかね。
前2戦とは比べものにならないくらい簡単な試合だった3戦目を勝って、ドラフトラウンドを2勝1敗でまとめたところでライバル達の順位をチェックすると、ディビット・オチョアとオーウェン・ターテンヴァルトがドラフトラウンドを0勝3敗と大失速。
特にオーウェンは不調ぶりは深刻だったようで構築ラウンドでも負けてしまい早々と初日落ちが確定。
本人には悪いですが、私としてはこれでマージンとして席1つ分が空きました。
初日・構築ラウンド
戦前1週間前予想の答え合わせとしては半歩ずれた正解といったところでしょうか。
私が思った以上にビートダウンの数は少なく、その代わりに見えるのはコントロールの海。いや青白黒のエスパーコントロールの海と言った方が良いでしょうね。
データとしても既に示されていますが(参考:プロツアー「ドラゴンの迷路」メタゲームブレイクダウン)、実感としてはそれ以上に多いという印象を受けました。
個人的には、会場にいたプレイヤーのうち、何人くらいが本当に自信を持って構築ラウンドへと挑んだのか気になりますね。
この環境のエスパー・コントロールというのは、『ギルド門侵犯』の頃からデッキの形があるところから『ドラゴンの迷路』のカードも入れられるということで構築の幅が広く、前述のようなビートダウンに対して耐性を付けるのが比較的容易なのですが、悪く言うと器用貧乏になりやすい。
何かに勝てるように組むと、それ以外の何かに負けてしまう、といった構成になりやすいデッキでもあるのです。
その欠点がはっきりと出るのが同系対決、いや《霊異種》対決です。
もちろんそれに至るまでにいくつかの要素、特に《霊異種》が活躍できるようするにはまず土地を並べなければならないので、《思考を築く者、ジェイス》をどちらが置くかというのが重要になってはくるのですが、結局はそれも《霊異種》が安全に着地できるかというためのお膳立て。一度戦場に出てしまうと、決定的な解答が無いのです。
かといって、安易に《霊異種》の数を増やせないというのがエスパーの悲しいところ。
対コントロールを見てしまうと他の要素を割かざるを得ず、そうしてしまうとそもそものデッキ使用目的である特定の何かに勝つことができなくなってしまうのです。
ベターチョイスかと言われればそのとおり、だがこれがベストチョイスかと言われると首を傾げてしまう...
少なくとも私達の中では、チャネル・ファイアーボール勢でエスパー・コントロールを使用したプレイヤー達はそうでした。
このところデッキ作りには苦労しますが、今回は、いや今回も難産で、直前になってもこれはと言えるデッキが見つからず、モントリオール(プロツアー「ギルド門侵犯」)の時と同じくチーム内でデッキが分裂してのプロツアーとなってしまいました。
私が選択したデッキはエスパーとは真逆ともいえる黒緑白ビートダウンです。
4 《森》 2 《平地》 1 《沼》 4 《寺院の庭》 4 《草むした墓》 4 《神無き祭殿》 2 《ゴルガリのギルド門》 3 《オルゾフのギルド門》 -土地(24)- 4 《実験体》 2 《ドライアドの闘士》 4 《ロッテスのトロール》 4 《復活の声》 1 《カルテルの貴種》 4 《縞痕のヴァロルズ》 3 《ロクソドンの強打者》 2 《屑肉の刻み獣》 2 《罪の収集者》 3 《冒涜の悪魔》 1 《幽霊議員オブゼダート》 -クリーチャー(30)- |
2 《突然の衰微》 2 《肉貪り》 2 《化膿》 -呪文(6)- |
1 《罪の収集者》 3 《セレズニアの声、トロスターニ》 3 《ヴィズコーパの血男爵》 1 《肉貪り》 1 《ゴルガリの魔除け》 1 《化膿》 2 《地下世界の人脈》 1 《債務者の演壇》 2 《花崗岩の凝視》 -サイドボード(15)- |
エスパーの器用貧乏さを嫌気して、逆にエスパーを倒せるデッキを使おうという方向。
Magic Online環境後期に現れた黒緑ビートダウンをベースとして、《実験体》、《ロッテスのトロール》、《縞痕のヴァロルズ》という《至高の評決》に耐性のある再生付きクリーチャーに加えて、《復活の声》と《罪の収集者》というコントロール殺しをメインから。
色を足したことで土地の安定性が下がり、赤系ビートダウンへの耐性は落ちましたが、それは対白緑も含めてサイドボードから《セレズニアの声、トロスターニ》コントロールとして立ちまわることでカバーするというゲームプラン。
何よりも、ほとんどの人にとって未知のアーキタイプというのは私がプロツアーで使う上で大きな決定材料です。
とは言っても、私自身も確信があるわけではもちろんありません。
おっかなびっくりといった具合で挑んだ構築ラウンドですが、3戦を消化して3連勝したあたりで手応えらしきものが出てきました。
4戦目の1本目を判断ミスでゲームを落としてから、サイドボードプランで目論見通り2本取れたというのも自信に繋がりました。
盤面がほとんど固まっている状態で、後は《カルテルの貴種》でダメージを通せるかといった状況です。
このターンのみ、ブロックしているワームトークンを《化膿》することで《ロッテスのトロール》のダメージが通る、という状況なのですが、こちらの陣営を支えることを優先して《ロクソドンの強打者》を捨てずに3点のダメージで解決した結果、残りライフ1のところで《セレズニアの声、トロスターニ》を引かれてそこから逆転されるという決着。
ここでマッチを落としていたら後を引きそうな負け方だっただけに、サイドボード後は逆にこちらの《セレズニアの声、トロスターニ》で蹂躙するという展開で勝てたのは僥倖でした。
ということで気がつけば初戦の負けから6連勝。
ここで勝って気持ちよく初日を終わらせられれば良かったのですが、結果は青白コントロールに負け。
何もかもうまくとはいかないのが世の常。特に調子が良い時こそ注意しないといけませんね。
対エスパー用に想定していたサイドボードプランが、対戦相手の攻撃的なサイドボード、《管区の隊長》《リーヴの空騎士》に対応できていないことがこのゲームを通じて解ったので、そのことで再検討する時間が取れたのを良しとしなければ。
負勝勝勝勝勝勝負の6勝2敗とオセロのようなスコアで初日を終了したのですが、16人の椅子を賭けたレースの方は大分状況がはっきりとしてきました。
かつては勝ち越しが求められましたが今は4勝4敗が2日目進出条件なので、さすがに競争者のほとんどはクリアしています。
ウェブことディビット・オチョアもドラフト3連敗から巻き返し4敗で初日を通過してきました。
唯一オーウェンが脱落したものの、ランキングですぐ下につけているレイド・デュークが好調で16位以内に入られると52点。私が3点で終了した場合51点どまりと逆転されてしまうので、目に見える形ではプラスマイナスゼロの状況は変わらずといったところでしょうね。
トップ8入賞まで見るとそれなり以上に可能性があるプレイヤーがいるので、今は考えずに、としてもやはり最低でも1点の上乗せ、100位以内の入賞が必要なようです。
2日目
さて2日目です。
ドラフトラウンドはまるで昨日の再現かのよう。
初戦を《自由なる者ルーリク・サー》に負けて、2戦目を《霊異種》に怯えながら勝ち切った先は、昨日の3戦目と同じプレイヤーと同じようなゲーム展開で勝ち。
まあ私のデッキが青白タッチ赤と昨日と似たようなデッキだったというのもありますし、自分のデッキを含めて全体的に昨日より派手さが減衰していますが勝ちは勝ち。2-1は2-1です。
あまり意識はしていませんでしたが、残り5戦の構築ラウンドで4連勝すればトップ8まであるのです。
と思ってしまった瞬間にやってきました。
フィーチャーマッチで、ステファン・マンに2本を10分で取られて負け。
ハイライトはマンに私のデッキが緑白と勘違いさせたことだけでしたね。
これでトップ8戦線からは脱落。
戦後、彼のプロポイント(プロツアー開始時点で27点)を見てみると、準優勝(+24点)されると私と同点、レイド・デュークと同じ条件で逆転されると知って二重にショックを覚えましたが、だいたい状況は固まってきたようです。
この時点でトップ8に残れるプレイヤーは3敗まで。
私を脅かす位置にいるのはマンを含めてトップ8入賞条件の幾人かと、16位条件の数名のみ。
その中には、もともと最悪の事態を想定して逆転されることを前提に考えているキブラーやジュザがいますし、さらにその生存者もラウンドを進めるごとに潰し合うことで減っていきます。
実質的にアクティブな脅威はレイド・デューク、ステファン・マン、アリ・ラックス、三原槙仁の4人、うち2人は私が3点どまりでかつ準優勝のみが逆転条件。
そして次戦は仮想敵であった白緑ビートダウンとの対戦を、2本取り返す形で持ちこたえて9勝4敗に。
残り3戦を全敗しても計算の上では100位以内に滑りこむことが可能な位置。逆に残りを全勝すれば16位以内、2勝1分けでも絶対安全圏内の25位に入ることができる距離。
13戦目を勝ったことで飛び越えた!
マジックというゲームにおいて、『確実』という言葉はありません。
どんなに調子が良い時でも、何かの弾みで以後全く勝てなくなるということは比喩抜きにありえるのです。
私だと2008年のプロツアーベルリンで、あと2つでトップ8のところからいきなり崩れて5連敗してしまったことは忘れることが出来ない記憶の1つです。
あとたったのプロポイント1点、あとたったの1勝、あとたったの1ゲーム。
見る側にとってはほんのわずかな違いにしか感じられないとは思いますが、私にとっては、いやプレイヤーにとっては、どこまで行ってもそこには彼岸と此岸、生死の境界があるのです。
何はともあれ今回もこちら側に生き残ることができたようです。
確実を期すためにはどこかで引き分けは必要なので、未だに『ほぼ』という修飾こそつきますが、16人トーナメントへの参加権は手にしつつ後は賞金の上積みを確保するという状況。
肩の荷が降りたところで、14戦目に対戦相手となったのはラファエル・レヴィでした。
最終盤にて
チャネルのリーダーであるルイス・スコット=バルガスが今回のプロツアーに向けてのインタビューでこんなことを言っています。
『遊びというのはお金を払ってするものだ。だけど遊びが君にお金を払ってくれることもある。プラチナ・レベルにあるというのはそういうことなんだ。』
全面的に同意です。プラチナ・レベルであってこそプロプレイヤー。
少なくともマジックという遊びでお金をもらって生きていこうとするのであれば、それ相応の支払い、お金の対価としてそれ相応の実績を出さなければいけません。
費やした時間や情熱などではなく、ただ成果のみが必要なのです。
現状のプロシステムにおいて、私のようなグランプリを積極的に参加するスタイルだと、プラチナすら最低条件、16人トーナメントに参加することが必須条件です。それを取りにいくため、つまり16人トーナメントへの参加権という事情で私は戦っていますが、目指しているものは全く同じです。
求めているラインがゴールドであれ、プラチナであれ、自分にとってのマジックをしていくためにはこのラインを越えなければならない。
先ほどの1勝の勝ち負けと同じです。1か0。
そういうものと戦っているのです。
ルイスがこのプロツアーでプラチナ・レベルを維持するために必要な順位は最低でも16位以内、ボーダーは4敗。
その彼の現時点でのスコアは私と同じく9勝4敗。
通常ならば、プロポイントの分かれ目になる25位以内を確保するために、最終戦時点で4敗のプレイヤーは合意の上で引き分けを狙うのですが、ルイスにはそれができません。
本当に伸るか反るかの残り3戦、今年と来年を賭けた長い3試合...
そして私がここで対戦することとなったラファエル・レヴィも状況は全く同じでした。
彼によればプラチナ維持に必要なのはプロポイント15点、16位以内......
上位の組み合わせを見て席に着いた後、再検算をした上で私は投了を宣言しました。
そもそもこのような場でこのようなことを記述するには非常に微妙な問題であるということは解っています。
対戦がショーであるかどうかという前提は置いておくとして、原則論として真剣勝負の場で譲りあうことそのものに抵抗がある方もいると思います。
ですがなぜそれが可、あるいはなぜ不可であるかについても語らずに、ただ盲目的に臭いものに蓋をするというのは、少なくとも現行のルール上で認められていることに対してそれを無かったことや見ないこととするのは、あまりに二律背反的です。
投了という行為もまた、私が暮らしている競技マジックの世界の一部としてたしかに存在し、どうあるべきかについては個々人がそれに考えなければいけないことだと私は思います。
この時あった現実として、
私にとってトップ8の目はもうほとんど無く、しかもこれ以上の追加プロポイントはそれほど必要ではない。
レヴィにとっては残り3勝がとても必要である。
という状況があり、
プレイヤーはゲーム外の要素を使って勝敗を決めてはいけない。
ただしプレイヤーが投了を選択するのは自由。
というルールと私の考えに則った上で、ルール上認められている投了を選択しました。
そこに友情なり、信義なり、打算なりの味付けをすることは可能ですが、現実としてあるのはただこのことだけです。
もしこの時、3敗だった場合なら?
これは私とブライアン・キブラーが11戦目終了時に「もしルイスと対戦したら」と実際に相談したことですが、戦うことを選択したでしょう。
私たちがこのトーナメントに参加している一義的には勝つことであり、そのために予選ラウンドでトップ8に入ることだからです。
これから先、同じシチュエーションに出くわしたとしたら、やはり同じ選択をするでしょうね。
と、格好をつけたは良いですがまだ落選の可能性も無いわけではないのです。
最終戦を合意の上で引き分けできなければ、100位落ちする未来だって全然あるのです。
そんな後顧の憂いを断っておきたい15戦目は、さっくり勝ててこれで本当に当選確実。
いや、今年も本当に長かった。
最終戦は、「お互い勝てばプラチナ到達マッチ」というルイスや、ワールド・マジック・カップ国別代表を争っているジュザ、トップ8ラインで引き分けが選択できなかった三原を尻目に、パトリック・チャピンと合意の上引き分け。
どちらもこのラウンドで勝利しても1つ上のラインである25位に届かないので、これが一番合理的なのです。
予想である50位圏内、41位で終了して今期のプロポイントは54点。
世界選手権へのボーダーは、52点に3人が並ぶというものでした。
実はイーフロウの予言通り48点スタートというのは実は安全圏内であったのですが、それは全てが終わった今だから言えること。
お祈りしながら最後を待つのはやはり性に合いませんし、勝ち取って今年も出られるというのは自信になります。
ともかくも2013年度も目標を到達した形で終わらせることができました。
これから
2013 Magic World Championship Competitors(世界選手権出場プレイヤー紹介、英語ページ)
さて、これでいよいよ来年度について真剣に考えないといけないのですが、
その前にちょっと一休みくらいしても罰は当たらないでしょう。
実はこの後も直後にグランプリがあったり、概要が発表される前に約束してしまったお陰で日本に戻って直ぐのとんぼ返りでアメリカのチーム戦グランプリ・プロヴィデンス、そこから1ヶ月滞在が待っている...
まあ、夏まではなんやかんやでグランプリ廻りが続いてしまうのです。
この連載も含めてどうするかというのはまた次回以降にということで、少しだらけさせてもらいたいと思います。
それではまた世界のどこかでお会いしましょう。
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