READING

コラム

なかしゅー世界一周

なかしゅー世界一周2013・第9回:プロツアー「ドラゴンの迷路」への展望

読み物

なかしゅー世界一周

2013.05.16

なかしゅー世界一周2013・第9回:プロツアー「ドラゴンの迷路」への展望


By 中村 修平

/

『マジックのゲーム外のこと。』
 と言い切れるかどうかは、それによって生きてしまっている私にとってはなんとも微妙なところではありますが、来年のことは来年、今年のことは今年。
 取るどころか失うことの皮算用にうつつを抜かし、かかった魚を取りこぼすような真似はしたくありませんので、このことは完全に切り離す...と、それはそれで逆に意識してしまいそうなので、日曜日のサンディエゴにてヘレンに愚痴をこぼすことを夢想するくらいに留めておくとして、いよいよ今年も佳境です。

 現在の私の獲得プロポイントは48点。
 目標としている年度末の16人トーナメント=世界選手権のボーダーには、プロポイント最上位枠で53点のラプター(Josh Utter-Leyton)、50点のイーフロウ(Eric Froehlich)、49点のウェブ(David Ochoa)に続いて4/7位と圏内には入っていますが、下が45点のオーウェンに44点のジュザ、キブラーと予断を許さない状況であります。

【現在のプロポイント順位】
順位 氏名 所属国 プロポイント 備考
1 渡辺 雄也 日本 62 2012マジック・プレイヤー選手権優勝
日本最上位
2 Ben Stark アメリカ 56 北アメリカ地区最上位
3 Josh Utter-Leyton アメリカ 53 ?
4 Tom Martell アメリカ 52 プロツアー「ギルド門侵犯」優勝
5 Shahar Shenhar イスラエル 50 ヨーロッパ地区最上位
5 Eric Froehlich アメリカ 50 ?
7 Willy Edel ブラジル 49 ラテンアメリカ地区最上位
7 David Ochoa アメリカ 49 ?
9 Stanislav Cifka チェコ 48 プロツアー「ラヴニカへの回帰」優勝
9 中村 修平 日本 48 ?
11 Owen Turtenwald アメリカ 45 ?
12 Martin Juza チェコ 44 ?
12 Brian Kibler アメリカ 44 ?
14 Shi Tian Lee 香港 39 アジア太平洋地区最上位
14 Tzu-Ching Kuo 台湾 39 ?
16 Gerry Thompson アメリカ 38 ?
17 Reid Duke アメリカ 37 ?
17 Conley Woods アメリカ 37 ?
19 Samuele Estratti イタリア 35 ?
20 Joel Larsson スウェーデン 34 ?
21 Jon Stern カナダ 33 ?
22 Ivan Floch スロバキア 32 ?
22 Luis Scott-Vargas アメリカ 32 ?
24 八十岡 翔太 日本 31 ?
24 Kelvin Chew シンガポール 31 ?
24 Christian Calcano アメリカ 31 ?
24 Matthew Costa アメリカ 31 ?

 もっとも、イーフロウに言わせれば、
『全員プロツアーの成績が良いなんてことは無いから心配しすぎ』
 だそうですが、これもまた私の性分というものです。


プロツアー前週/グランプリ・ポートランド

/

 この原稿を書いているのは5月12日、日曜日。プロツアーまでは残り5日。
 チャネル合宿前半のラス・ベガス編は終了し、今シーズン最後のグランプリ・ポートランドからサンディエゴへと普段より一足早くのチーム全体での移動、チーム調整合宿第2ラウンドへと向かう道すがらです。

 それにしてもグランプリは本当に骨折り損でした。
 多色ビートダウン。所謂ドメインズーを使って初日1敗で通過したまでは良かったのですが、翌日は相性が最悪の白系のライフ回復&トークンデッキに当たり続けるという、つい最近どこかで味わったデジャブのような展開で連敗街道一直線。
 2日目の初戦から都合3戦して全敗。せっかく《部族の炎》を5点打ち込んでも《砂の殉教者》で18点回復される、の繰り返しに完全に心が折れました。

 そういえば初日の負けも白黒トークンに《オーリオックのチャンピオン》を並べられてでした。

 せっかくこちらの《聖トラフトの霊》が攻撃して天使を出しても、差し引き2点しか減らないという盤面に涙で前が...

 さっさと忘れることにしましょう。
 《未練ある魂》と0.5対1交換されて今度こそ昇天されたトラフトさんとかいなかったんや。

 それにしても、ポイントレース的には何も獲得することができませんでしたが、イーフロウ、ウェブ、オーウェン、キブラーが初日落ちでポイントを伸ばすことができなかったので多勢は変わらずといったところだけが救いでしょうか。ジュザのみが17位入賞でポイント差を2点詰めてきたといったところですね。(その結果が上表)

 ああ、ここでポイントを獲得できていたら...

 おっと思い出してはいけない。今日からは再びブロック構築&『ドラゴンの迷路』入りドラフトの時間へと復帰しなくてはなりません。
 この記事が掲載される頃にはちょうどプロツアーの初日がスタートしている頃でしょうか(編注:あと1日ほどあります)、ちょっとこれから忙しくなるので今回はズルをさせてもらいます。

 題して、プロツアーに向けて、現時点での展望と見どころ。

 果たして当たっているかどうか、空振っているとかなり目もあてられない状況になるだけに書いていて心配になってきますが...もしそんなことになってしまった暁にはたぶん大負けしていると思うので、そっとしておいてください。

 それでは行ってみましょう、まずはドラフトから。

/


ドラゴンの迷路ーギルド門侵犯ーラヴニカへの回帰ドラフト

 直近の両セットとも、多色をテーマとしてたはずなのにドラフトでは強力に2色推奨、といういささか奇妙な環境でしたが、ようやく多色っぽい環境になってきました。

 多色サポートに溢れたドラゴンの迷路のおかげで、取ろうと思えば1パック分全てをマナ関連のカードで押さえることもできる上に、これまでは考えることが無かったラヴニカーギルド門間のコンボや相性の良い組み合わせがあります。

 例えばいかにもラクドス的な《反逆の行動》に《カルテルの貴種》のようなオルゾフ的能力や、

 地上対空中戦となりやすいアゾリウスから撃たれる《強打》。留置のような能力持ちを使いまわす手段がどれだけ増えたかと考えるだけでもなかなか面白いです。

 また、単純にドラフト中にギルド門の供給数が増えたことによって強くなったカードもあります。
 ギルド門侵犯ではギルド門の価値が低かったので日の目を見なかった《緑側の見張り》や《盗賊の道》は再評価されるべきカードとなりました。

 逆にラヴニカへの回帰では最も信頼性が高い打ち消し呪文だった《払拭》が、ソーサリーや湧血カードのおかげで大きく価値を落としています。

 ですがカードの評価、組み合わせ以上に重要となるのは「組み上げるデッキを3色以上にするか、セオリー通りの2色にまとめるか」。
 それがこのプロツアーでのドラフトの大きなテーマとなるでしょう。

 ただしデッキの強度では間違いなく2色の方が強力ということに留意が必要です。
 ラヴニカへの回帰かギルド門侵犯のどちらかで多色カードに触れないというリスクを持つにも関わらず、カードを集めきって2色で組めたなら...3連勝を賭けたテーブルに座っているどちらか、もしかすれば両方ともが2色というのも全然有りうる展開だと思います。

 ですが同時にスタニスラフ・シフカがプロツアー「ラヴニカへの回帰」で全勝したデッキほどの完成度を持ったデッキを、このプロツアーで見ることはおそらく無いでしょう。

 全体の基調としてデッキは明らかに弱くなっているのです。
 ギルドのコンセプトに従っているどころか、マナカーブ通りに展開するだけでもこの環境では強い。
 カードパワー、そしてデッキの総合力が落ちているからこそ許されている多色環境。
 デッキが弱いからこそゲームが長引き、カードが弱いからこそ強いカードを求めるために色を足すという方向に向かう。

 2色が抱える構造上の欠陥はここにあります。
 取れるカードがそもそも弱いのに、わざわざ取れる領域を更に自分から狭めてしまっている。
 自分にその覚悟があるのか。隣のギルドに浮気をせずに弱い自分のギルドカードを取り続けられるのか。卓内に、自分のギルドのカードを押さえられてしまう「関係ある3色」のプレイヤーがどのくらいいるのか。
 こればかりは、実際にプロツアーのドラフト卓に座ってみないと解りません。

 練習中の感覚では、4月中の日本においては3色以上をドラフトするプレイヤーが多数で2色をすることがかなりリスキーだったのに対して、5月以降のアメリカ滞在中にやったチャネル合宿では、むしろ2色固定化志向が強いドラフトが行われていました。

 習熟度という点もあるので一概に言い下すことはできませんが、近年のアメリカ人プロプレイヤーが徹底的に協調路線を取るのに対して、私を含む日本人プレイヤーが4人・6人ドラフトで良く見られる、「受けの広さ」と「他のプレイヤーへの妨害」を意識したドラフトをしたがる、という傾向が垣間見えたような気がするような?
 まあ日本でやったといっても知り合いでのドラフトのことですし、同じようにアメリカでやっているのも全て顔見知りというのもありますからね。


 本番ではどちらの側に針が振れるのか、あるいはその中間のような第三極が存在するのか。用意されるであろうフィーチャー・ドラフトテーブルを記録したドラフト・ビュアーでは、そういうところがちょっとした見どころになるのではないかと思っています。

 私としては今のところ白をやりたいので2色寄りではありますが、特にピックを2色に固定はしない派。
 ラヴニカへの回帰でのコモンの白が、ギルド色カードよりも白単色カードの方が強いので比較的やりやすい、という事情なんですけどね。

/

イーフロウの愛犬、ハニー


ラヴニカへの回帰・ブロック構築

 環境に影響を与えたドラゴンの迷路のカードを挙げていくと、上位の迷路走者、《ラクドスの血魔女、イクサヴァ》、《第10管区のラヴィニア》あたりは使われてくると思われますし、《縞痕のヴァロルズ》はデッキの軸になるだけのポテンシャルすらあります。

 青絡みだと2枚の分割カード、《遠隔+不在》と《変化+点火》は強力ですね。

 片方で使ってもよし、融合すればなお良しと、単体除去枠として従来の除去と入れ替わると考えられます。
 《ラル・ザレック》も《思考を築く者、ジェイス》ほどでは無いですが追加のジェイス的なポジションとして使われるでしょう。

 ですがコントロール最大の収穫は《霊異種》ですね。

 単純にサイズが大きく、最大で8点まで1ターンに与えられる上にブロック不可。
 青マナさえあればあらゆる除去を無効化し、おまけに擬似警戒まで備えているという凶悪さ。
 かつての《静穏の天使》や、新規加入の《ヴィズコーパの血男爵》を押しのけて、おそらくほとんどの青いデッキは多かれ少なかれこのカードを搭載することになると思います。
 だいたいこの手のビートダウンに強いカードは青同系では大したことが無いというのが相場なのに、このカードに限って言うと戦場に出てしまった段階で単体除去でも、布告系でも除去することはほとんど不可能になってしまいますからね。
 同系でもこのカードをどう捌くかというゲームとなってしまいます。

 それを上回る補強がされたのが白緑。
 《復活の声》と《ワームの到来》という解りやすいカード達は本当に解りやすく強いのです。

 上から順番に白緑のカードを突っ込んだだけのデッキがお手軽簡単に強い。
 《セレズニアの声、トロスターニ》で各種トークンを居住をするだけでゲームが比喩抜きに終わってしまうのです。

 メタゲームの第一段階は、この強化された白緑と旧環境で幅を効かせていた赤単ビートダウン。
 この2つが環境を規定するというのが現在のところの私達の予想です。
 白緑は中速なのですが、生半可なデッキに対してカードパワーの高さで圧倒してしまい。赤単はその速度から、中速に狙いを定めたより遅いデッキの天敵となります。

 つまりこの2つを両方とも相手ができるデッキ、特に青系のコントロールでそういうデッキが組めるならばそのデッキこそが答えだと思うのですが...

 今のところはまだそれに行き着いてないですね。
 ここからソリューションとなるようなデッキが見つかれば良いのですが、要はいつもの通りということで。


 おっと、そろそろサンディエゴへと到着するようです。
 たった今、降下を開始したので電子機器の電源を落とすようにアナウンスがありました。それでは今回はこれくらいで、次回は新シーズンに入ってから。

 叶うなら良い報告ができればと、
 また次回、世界の何処かでお会いしましょう。

/

  • この記事をシェアする

RANKING

NEWEST

CATEGORY

BACK NUMBER

サイト内検索