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なかしゅー世界一周

なかしゅー世界一周2011・第18回:グランプリ・ピッツバーグ

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2011.09.08

なかしゅー世界一周2011・第18回:グランプリ・ピッツバーグ

By 中村 修平


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 ツイッターとフェイスブックが使えない国、中国・上海から大阪へと帰国して、触れなかった情報に触れること10時間あまり、再び関空から今度は逆方向にアメリカ西海岸のサンフランシスコまで8時間、そこから東海岸のペンシルバニア州ピッツバーグまでのフライト距離はなんと7時間。アメリカの広大さを思い知らされます。

 1日分の時間をかけて地球を半周しましたがまだ目的地までには少し足りません。
 もう0時近くの空港からそこまでのシャトルタクシーを手配してくれたという連絡を受け取っていたので、それらしき人影を探す作業です。

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 荷物受け取り所近くのレンタカー会社コーナー、ハーツの付近、なんとか発見しました。シャトルタクシーということで、なんとなくガラの悪そうな兄ちゃんというイメージを持ってましたが、出迎えてくれたのは人の良さそうな老紳士です。
 お礼を言いつつ車に乗り込み、残る100マイルを2時間ほどかけて消化していきます。

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 辿り着いたのはペンシルバニア州の某所にある山荘、ここがチームチャネルファイアーボール虎の穴です。
 ルイス・スコット=バルガス、パウロ・ヴィター、マット・ナス、ジョシュ・ウッター=レイトン、デビット・オチュア、オーウェン・ターテンバルド、コンリー・ウッズ、ベン・スターク。
 チェコからマーティン・ジュザ、ルーカス・ブロホン、スターシティゲームスからブラッド・ネルソン、ブライアン・キブラー。
 週末に開催されるグランプリ・ピッツバーグまで、1週間弱のマジック漬け生活の始まりです。


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 それとは別に、少し遅くなりましたが、
 今年度のマジック殿堂に選ばれました。改めて感謝を。

 元来、自分のことを語るのはあまり好きではないですし、ここで書き連ねたとしてもブライアン・デビッド=マーシャルのインタビューへの焼き直しにしかならないでしょう。
 ただ、幾人かの友人・知人から、殿堂表彰式まで活動を自粛してはどうかという提案を頂いたことについては、私自身のことを考えてくれているという気持ちはありがたいのですがこの場を借りてそのようなことは考えたこともないし、する気もなく。
 少なくとも世界選手権までは50点を目指してやりたいようやっていくつもりと答えさせていただきます。

 いつかの4人で話し合った、自身の望むべきプレイヤーとしての終着点。
 私はただ一つの頂点ではなく、最高峰の1つに留まり続けたいというものでした。
 カイ・ブッディやジョン・フィンケルではありませんし、始めからそうあろうとも、なろうとも思っていなかったのです。
 殿堂入りについては、6年間の自分なりにマジックをやってきたその道程を評価してくれたのだと考えています。
 評価されたいからマジックをやってきたのではなく、マジックをやってきたから評価された。
 もちろん、それに付随する諸々のことで言いたいことはたくさんありますが、その結果としてこれから数ヶ月の間に何らかのことがあるなら、それはそれで仕方ないとも思います。

 たしか『チャーリー』だったと思います。
 伝記を書こうとして本人にインタビューを申し込んだ記者に対して、チャーリー・チャップリンが答えるシーンがあります。
『私の映画を見なさい、そこに全てがある』
 偉大すぎる先人を例に出すなど、おこがましいにも程がありますが、そのような矜持が私にもあり、そうあり続けたいのです。


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 とまあ、そんなことを考えながら今年の残り運の残量とかオカルトじみたことを週末に考えていた反動でしょうか、ピッツバーグでの成績は本当に酷いものでした。

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 まず前日のグランプリトライアルに参加してあっさり1没、続けてのグランプリ本戦も負けスタート。
 ほとんど同じデッキを使っているナベが快調に全勝街道を歩む中、着実に3本目にマリガンを重ね、気が付けば僅か1勝しただけでの1勝3敗でドロップアウト、しかしまだまだこれくらいでは済まされませんでした。
 翌日にドラフトをやれば、かなり強いデッキを構築して3連敗。
 納得いかずにもう一回挑戦してみてもやはり3連敗。
 その頃72枚くらい同じリストのノリノリ日本人は優勝しちゃってます。

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 全くもって何たる格差、ですが本当の不ヅキはここからでした。

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 翌朝、次のプレミアイベント開催地であるフィラデルフィアまで向かおうとピッツバーグ空港に向かってみると、アメリカにも到来していたハリケーンの影響で飛行機が大幅欠航中。
 その中に私たちの便も含まれており、翌日出発かキャンセルの2択を迫られてキャンセル。
 ここでちょっとした違和感があったのですが、深く追求せずに切り上げてしまったのが更なる悲劇を生んでしまうことになります。


 それは一時、脇に置くとして、キャンセルした飛行機の替わりとなる交通手段を探さなくてはいけません。とりあえず電光掲示板からフィラデルフィア行きの欠航されていない便を運行しているところに片っ端にあたってみますが、金額的に高すぎてちょっと割に合いません。

 それならばと次に考えるのは電車とバス。
 アメリカでは電車は一般的ではありませんが、長距離バスはとてもポピュラーと聞いたことがあります。ピッツバーグとフィラデルフィアは同じ州ですし、今からでも充分に間に合う可能性は高いです。
 空港のインフォメーションデスクにお願いしてもらって、検索をかけてもらうと見つかりました。
 午後2時50分発のフィラデルフィア行き、バスターミナルはこれまで滞在していたホテルの隣。
 ちょうど5分後の11時50分にはダウンタウン行きの路線バスが出るというので慌てて飛び乗り、30分ほどかけて戻ってきました。

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 グレイハウンドバスステーションもすぐに発見、同じように飛行機が欠航してしまったマジックプレイヤーがかなりの数詰めかけており、彼らと一緒に長蛇の列になっているチケット売り場でなんとかフィラデルフィア行きのチケット2枚を確保したところで、違和感の正体が解りました。


 パスポートがありません。
 初めは鞄の中に紛れ込んでいるかもと、ひっくり返す勢いで探していましたがやはり見つかりません。普段から鞄の中、というよりパスポートケース以外に収納していないのでその他の鞄の中はありえません。
 どこの段階までパスポートを持っていたかの回想をしてみましたが、行き着くのはピッツバーグ空港の航空会社のデスク。
 あの時にパスポートの提示を求められましたが、その時に返却された記憶がありません。もしあそこだとすれば、ホテルで待機しているナベもパスポートを現状で持っていないことになります。急いで戻って確認を取ってみるとやはりナベもパスポートを紛失しています。
 紛失先はほぼ特定できました。問題は時間です。
 空港まではタクシーで片道30分強、現在の時刻が午後1時半、バスは午後2時50分発なので往復でタクシーを使っても時間的に怪しい時間。
 ましてや確証なんてものはありません。そこでパスポートが見つからなければどうしようもない事態に陥ってしまいます。
 覚悟を決めてタクシーで空港まで向かい、航空会社のデスクまで向かってみると・・・


 ありました!
 しかし喜んでいる時間もあまりありません。急いで再度タクシーに乗り込み、ピッツバーグ市街まで。
 グレイハウンドバスステーションに到着したのは午後2時35分。

 なんとか間に合いました。
 まだ昼過ぎくらいですが本当に長かった月曜日でした。
 何はともあれ、その日中にフィラデルフィアまで行くことができたのです。

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 とは言っても、実はここから切符を買うだけで終わりではなく、搭乗が先着順だというのを同行しているマジックプレイヤーに教えてもらい、すんでのところで彼らの列に加えて貰って事無きを得たり、州の中を移動するのにさえ6時間かかったり、隣の席がすごく体格の良いお母さんとその乳児であったりと散々だったのですけどね。

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 それでは次回は1ヶ月のアメリカ滞在、フィラデルフィア編。
 もしかすればそれから先についても少し書くかもしれません。

 それではまた次回、世界のどこかでお会いしましょう。


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