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なかしゅー世界一周
なかしゅー世界一周2011・第11回:チェコ・ピルゼンにて
読み物
木曜マジック・バラエティ
2011.06.02
なかしゅー世界一周2011・第11回:チェコ・ピルゼンにて
By 中村 修平
イギリス・ロンドンからチェコのプラハへ。
我が家に滞在していたチェコ人プロプレイヤー、マーティン・ジュザの勧めもあって、ジュザ家を中心にこれから3週間のチェコ滞在です。
普段なら旅券の行き先変更はなかなか認められないのですが、この旅では溜めに溜めたマイレージを使っての旅券取得だったので、手数料さえ払えばある程度の融通が効きました。
ロンドンへ出発する直前にロンドン→パリ→プラハという経由先を追加してもらった上で、帰りをプラハ→パリ→東京にしてもらうという旅券で、こんな旅程にするとたぶん怒られるだろうなあという変更もあっさり通ってしまいました。
しかもロンドン→パリ→プラハは本来取っているビジネスクラス(たまにの贅沢です)が取れず、エコノミークラスでのフライトになってしまったのですが、そのおかげでイギリスからの出国税が大幅に軽減されたらしく、手数料を踏み越えてちょっとお金が返ってくることに、元々高かったというだけなのですが、ちょっとお得な気がしました。
それはさておき、夕方発と乗り継ぎ時間、ついでに時差の都合で午後10時にプラハ着。実質2時間のフライト、近いような遠いようなという印象ですね。実際に通過した国数で言うと多いのですが。
空港でこれからしばらくお世話になるジュザと待ち合わせ、ジュザ曰く「プラハの空港はフリーWi-Fiがあるから連絡は簡単だよ!」、ですが念のため、携帯を使って連絡することにしました。普段は自分の英語力からはほぼ使わないのですが、背に腹は替えられません。ここで連絡に失敗するとこれから先の3週間を路頭に迷う羽目になってしまいます。
幸いなことにあっさり合流に成功、ジュザのお母さんが運転するレクサスSUVでプラハから隣町のピルゼンへ。ジュザが一人暮らししているマンションの一室、2LDKのバスルーム付き!まで到着することができました。ここから3週間のチェコ滞在が始まりです。
(編注:「ピルゼン(Pilsen)」はドイツ語表記で、「プルゼニ(Plzen)」の表記でも知られています。以下本稿では「ピルゼン」に表記を統一します。)
翌日もジュザ曰く「スリープデイ」。夕方あたりにようやく起き出して、再びジュザ母さんの車で近くのスーパーマーケットで1週間の引きこも・・・ピルゼンライフを充足させるために必要な物、主に食料的な物の買い貯め。ここは郷に入れば郷に従えを念頭にマーティン・ジュザスタイルを模倣することにします。
まずカートを用意します。
適当に必要そうな物をカートに入れます。
パンとハム、それにサラダ用の野菜があればだいたいOK。
お菓子のコーナーは念入りに。
なにもかも安いからこれでOK。
ふむ・・・、なにか色々ともったない気がしないでもないですが、これがジュザスタイル。山と積まれたお菓子類が徐々に消えていく様はある意味マジック。体重計的な意味で私の未来も心配になってきます。
食生活的な意味で大丈夫かと心配になるような買い方でしたが、その後一緒に生活をするにつれ、だいたいジュザの生態は理解してきました。夕食はどこかできちんと取って、それまでの間食はおかしなりサラダなりで取るというライフスタイルのようです。
というかサラダ作りをしている時のジュザは職人そのもの。見た目と食感、それに味を引き立てるピクルス類とのバランスに妥協を許さない姿勢には感銘すら受けました。もっぱら私は頂くだけという最高のポジションだったのでなおさらです。
それにしても独特のスタイルとはいえ、その一人暮らしぶりは堂に入っていて昨日今日始めたという訳ではないようです。
詳しく聞いてみると、ジュザのお母さんは建築士兼会社経営者で、建物を作ってはそれを貸し出すというのを生業をしていて、チェコどころか近隣の国を飛び回るのが日常、この家にいること自体あまりいなくて気がつけば一人暮らしになっていた、ということらしいです。
話がちょっとワールドワイド過ぎて理解の範疇を超えかけています。ですが日本でも滅多に見ないレクサスSUVの謎は少し解けました。
こんなところに手土産のひとつも持参せずに適当に滞在してしまったことに、今更戦慄を覚えてしまうのが小市民たる私。
肉を食べなくて魚好き、当然寿司も大好きで去年の日本滞在でイクラを気に入ったらしいので(ジュザがお土産にコンビニのイクラ醤油漬けおにぎりを好物だと言って買っていたのです)、次回があれば必ず持って行こうなんてことを誓いつつ、その後もジュザ母さんにはお世話になりっぱなしでした。
結局ジュザ家滞在は1週間に及んだのですが、その間にしたことと言えば、昼過ぎくらいにジュザと一緒にピルゼンの市街まで繰り出して観光したりショッピングしたり、
ジュザのガールフレンド、エリスと彼女が預っていたジュザの愛犬、ベンディーと一緒に散歩に出かけたりという実にマジックプレイヤーらしからぬ日々の連続。
それに加えて一日の摂取酒量の飛躍的な増加まで。この国では昼の3時からはビールを飲むものと決まっているのかと思えるくらい誰もかれもがビールを、しかも大ジョッキを平気で飲み干していきます。しかもそれがミネラルウォーターより安いとあっては頼まない訳には、ということで精一杯の虚勢を張って小ジョッキを。
教会やシナゴーグ、名産ビール・ピルスナーウルケルの醸造所といった市街地にある名物を一通り見物しきり、毎夕小ジョッキに挑戦すること4日目、金曜日はフェスティヴァル。
第二次世界大戦でアメリカ軍がピルゼンを開放した記念日ということで、街が徐々にお祭りムードになっているのが分かります。
そこかしこに観光客や街の関係者、招待されたと思わしき異国の軍服を着た一団に、退役軍人さんと思わしきお爺ちゃんが軍服を纏って練り歩き、教会前の広場には出店が立ち並んでいます。
メインストリートのアメリカ通りではセレモニーが開催され、現市長でジュザの高校時代の恩師がスピーチをしているのを遠目に見ながら、楽団の演奏を聴きつつ、
ジュザが子供時代によく買い食いしていたという、にんにくがこれでもかと効いているチェコ風揚げパンもしくはピザ・ランゴスを頬張りながら、当時使われていた軍用車の展示を見て帰宅です。
週末はピルゼン在住のマジックプレイヤー達の車に相乗りさせてもらって、近くのプレリリーストーナメント会場へ。高速道路から一面の菜の花畑を眺めること30分ほど、プラハとピルゼンの中間点にある街が今回の会場のようです。
とは言っても公民館や文化施設ではありません。
なんと川沿いにあるレストラン。ここを半ば貸しきる形でプレリリーストーナメントは開催されるらしいのです。プラハからプロプレイヤーのルーカス・ブロホンやマイケル・へプキー、この後プラハ滞在中にお世話になったディビットやペティ、キキといったこの旅で知り合った面々ともほとんどがここが初対面でした。
プレリリーストーナメントなのにトップ8あり、その上レストラン。何よりも日本では考えられない、ビールを片手にマジックの大会。スペシャルディスカウントメニューのグラーシュ、シチューにダンペリングが添え物のチェコの名物料理まで、試合しながら食べていても全く問題ないのです。両者同意の上ならテラスに移動して昼から太陽の光を浴びつつビールマジックです。良い意味でカルチャーショックでした。
予選ラウンドが終了した後はみんなで改めて夕食、もう一つのチェコ名物であるシュニッツェル、豚カツを食べながら同じく名物のウルケルを一杯。これぞマジックプレイヤーの休日ですね。
ですが休暇ともいえた時間はそろそろ過ぎ去ろうとしています。
ここからは終わりなきマジック練習週間の始まり。新たなるファイレクシアが入ってから2週後にはリミテッドのグランプリ・プラハ、さらに次の週にはスタンダードのグランプリ・シンガポール、そして6月10-12日にはプロツアー・名古屋が待ち構えているのです。
と言いつつも、突然思い立ってお隣りのオーストリア、そしてハンガリーへと小旅行に出かけたり、週末のプレリリースで知り合ったペティのお誘いでプラハ近郊の古城巡りをしたり、わりあいマジック以外のことで色々と楽しんできていたような気もしますが、それはまた次回、もしくは次々回あたりに。
それではまた世界の何処か、あるいは名古屋でお会いしましょう。
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