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津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ
津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ 世界選手権直前!見所ポイント特集
津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ 世界選手権直前!見所ポイント特集
こんにちは!晴れる屋の津村です。
明日からいよいよ「世界選手権2016」が開催されます! この大会は世界中から選りすぐりの24名が集結し、栄えある世界チャンピオンの座を争います。
昨年度世界チャンピオンのセス・マンフィールド選手 |
「世界選手権」は参加資格を獲得するのも非常に困難な大会で、参加するための、そして優勝するための難易度はプロツアー以上と目されています。そんな世界最高峰の戦いに、日本からは「アジア太平洋地域プロポイント上位」の枠から、八十岡 翔太選手、渡辺 雄也選手、玉田 遼一選手の3名が、さらにはプロツアー『戦乱のゼンディカー』王者として瀧村 和幸選手が参戦予定です。
参加者のみなさんのプロフィールを見ているだけでも、大会開始が待ちきれませんね!各人のプロフィールや、詳しい大会スケジュールなどはこちらの記事をご覧ください。
さて、今週はそんな「世界選手権2016」に向けて、先々週末と先週に開催された「プロツアー『カラデシュ』地域予選」の結果をもとに、直近のスタンダードの変化や「世界選手権2016」・スタンダードラウンドの見所をチェックしてみたいと思います。
見所その1・デッキ選択
スタンダードラウンドで最大の見所は、ズバリ!何名のプレイヤーが「バント・カンパニー」を選択するかです。
4 《森》 3 《平地》 2 《島》 3 《梢の眺望》 3 《大草原の川》 3 《ヤヴィマヤの沿岸》 3 《伐採地の滝》 4 《進化する未開地》 -土地(25)- 4 《薄暮見の徴募兵》 4 《森の代言者》 3 《ヴリンの神童、ジェイス》 1 《無私の霊魂》 4 《反射魔道士》 4 《呪文捕らえ》 4 《不屈の追跡者》 2 《巨森の予見者、ニッサ》 2 《老いたる深海鬼》 -クリーチャー(28)- |
2 《石の宣告》 4 《集合した中隊》 1 《オジュタイの命令》 -呪文(7)- |
1 《無私の霊魂》 4 《ドロモカの命令》 2 《否認》 2 《過去に学ぶ》 1 《オジュタイの命令》 2 《意思の激突》 1 《隔離の場》 1 《実地研究者、タミヨウ》 -サイドボード(14)- |
今現在最高のデッキと評される「バント・カンパニー」ですが、それだけに仮想敵として真っ先に意識されるデッキであり、参加者たちがこのデッキに簡単に負けてしまうようなデッキを選択するとは思えません。さらに、「バント・カンパニー」は仮想敵として強く意識されているだけでなく、ミラーマッチが非常に難解なデッキです。
そのため、「バント・カンパニー」を選択するには、マークがきつい中でも勝ち切る自信と、それに加えミラーマッチをも乗り越えられるだけの研鑽を積む必要があります。
また、「バント・カンパニー」は特にサイドボード後が強いデッキとされていますが、それはメタゲームを把握したうえでリストが完成されているからこそです。最近ではメインデッキに《ヴリンの神童、ジェイス》や《老いたる深海鬼》、《実地研究者、タミヨウ》などが採用される機会が増え、どちらかと言えば対ミラーマッチや対コントロール戦を見据えたリストが多いので、以前と比較すると多少なりとも「白単人間」のような速度に長けたデッキに対して不安を抱える構成になっています。《ドロモカの命令》が減っていることもこれを助長しており、トッププレイヤーたちがこの辺りの変化をどのように受け取るかに注目です。
見所その2・追われる側になったデッキの命運やいかに!? 対策が進んだ「昂揚」/「現出」・「青赤《熱病の幻視》バーン」デッキ
プロツアー『異界月』の時点ではあまり警戒されていなかったデッキも、今ではすっかりお馴染みのデッキとなり、それと同時に対策も進んできています。
4 《沼》 1 《山》 5 《森》 4 《燻る湿地》 1 《燃えがらの林間地》 4 《ラノワールの荒原》 4 《進化する未開地》 -土地(23)- 1 《棲み家の防御者》 3 《巡礼者の目》 2 《巨森の予見者、ニッサ》 2 《不屈の追跡者》 1 《約束された終末、エムラクール》 3 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》 1 《膨らんだ意識曲げ》 -クリーチャー(13)- |
4 《焦熱の衝動》 3 《ウルヴェンワルド横断》 3 《発生の器》 4 《過去との取り組み》 3 《最後の望み、リリアナ》 2 《コジレックの帰還》 1 《餌食》 4 《衰滅》 -呪文(24)- |
1 《竜使いののけ者》 1 《棲み家の防御者》 1 《議事会の自然主義者》 1 《膨らんだ意識曲げ》 1 《約束された終末、エムラクール》 3 《精神背信》 2 《知恵の拝借》 2 《ムラーサの胎動》 2 《餌食》 1 《殺害》 -サイドボード(15)- |
3 《森》 2 《島》 1 《沼》 1 《山》 4 《ヤヴィマヤの沿岸》 2 《伐採地の滝》 3 《ラノワールの荒原》 3 《窪み渓谷》 4 《進化する未開地》 -土地(23)- 4 《ヴリンの神童、ジェイス》 1 《首絞め》 4 《秘蔵の縫合体》 2 《巨森の予見者、ニッサ》 4 《憑依された死体》 1 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》 1 《不憫なグリフ》 4 《老いたる深海鬼》 -クリーチャー(21)- |
4 《ウルヴェンワルド横断》 4 《群れの結集》 4 《過去との取り組み》 4 《コジレックの帰還》 -呪文(16)- |
1 《苛性イモムシ》 1 《竜使いののけ者》 1 《ゲトの裏切り者、カリタス》 1 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》 1 《ギトラグの怪物》 1 《龍王シルムガル》 2 《集団的蛮行》 1 《血統の呼び出し》 1 《首絞め》 2 《知恵の拝借》 2 《餌食》 1 《護法の宝珠》 -サイドボード(15)- |
「現出」クリーチャーと《コジレックの帰還》をもってして「バント・カンパニー」に立ち向かう「昂揚」と「現出」。どちらのデッキにも共通しているのは、何らかの形で墓地を使うことです。
そして、こういった墓地活用のデッキに対抗する術として注目を集めているのが、《一日のやり直し》と《過去に学ぶ》です。
これまでは《即時却下》や《オジュタイの命令》といった面々が対策を担っていましたが、墓地を軸とするデッキに対してより一層効果的なアプローチとしてサイドボードに採用される機会が増えています。この2種類がカウンター呪文よりも優れている点は、対戦相手がリカバリーに時間を要するところです。
特に《過去に学ぶ》は、一見《集合した中隊》やカウンター呪文を構えているようにしか見えないこともあって奇襲性抜群。《墓後家蜘蛛、イシュカナ》や《ウルヴェンワルド横断》、《最後の望み、リリアナ》の[-2]能力や《コジレックの帰還》の誘発能力に対応することで、対戦相手の思惑を外すことができます。
《一日のやり直し》と《過去に学ぶ》のどちらが良いかの判断は難しいところですが、《秘蔵の縫合体》+《憑依された死体》に対しては明確に《過去に学ぶ》の方が優れていますし、対戦相手に余分なカードを与えないこともあり、今のところ《過去に学ぶ》の採用率が上回っているようです。
「黒緑昂揚」などのデッキでは、《享楽者の宝物庫》という驚きのテクニックも!
「青赤《熱病の幻視》バーン」・「赤黒バーン」対策
「昂揚」や「現出」と同様に、上位デッキとして一定の地位を確立した感のある「青赤《熱病の幻視》バーン」。しかしながら、このデッキは火力呪文と《熱病の幻視》というエンチャントカードに依存している性質上、他のデッキに比べて対策がたくさん存在します。
まず《熱病の幻視》に対しては、《ドロモカの命令》に加え《苛性イモムシ》や《フェリダーの仔》といった分かりやすいものから、《首絞め》や《血統の呼び出し》といった変わり種まで。
この2種類は《熱病の幻視》を破壊することはできませんが、手札を減らすことで《熱病の幻視》のダメージを与える効果を無効化することができます。特にライフ回復まで兼ねる《血統の呼び出し》は専用サイドボードカードに相応しい威力で、引くことさえできればそのゲームに負けることはほとんどないでしょう。
もうひとつの火力呪文対策は、《ランタンの斥候》や《ムラーサの胎動》、そして《護法の宝珠》が一般的です。
こういった露骨な対策が進むに連れ、「青赤《熱病の幻視》バーン」デッキは徐々に数を減らしてきましたが、そんな中「プロツアー『カラデシュ』地域予選」では、2色目に黒を採用したより直情的なリストが結果を残しています。
9 《山》 5 《沼》 4 《凶兆の廃墟》 4 《燻る湿地》 1 《ガイアー岬の療養所》 -土地(23)- 3 《傲慢な新生子》 4 《熱錬金術師》 4 《騒乱の歓楽者》 -クリーチャー(11)- |
4 《集団的蛮行》 4 《焼夷流》 4 《苦しめる声》 4 《血管の施し》 4 《集団的抵抗》 4 《癇しゃく》 1 《極上の炎技》 1 《コラガンの命令》 -呪文(26)- |
3 《稲妻織り》 1 《ゴブリンの闇住まい》 2 《焦熱の衝動》 4 《自傷疵》 2 《コラガンの命令》 2 《穢れた療法》 1 《護法の宝珠》 -サイドボード(15)- |
こちらは《熱病の幻視》がない代わりに、妨害されづらいドロー手段兼フィニッシャーである《騒乱の歓楽者》が採用されているのが特徴です。
また、サイドボードに除去と火力を兼ねる《自傷疵》、そしてライフ回復呪文をシャットアウトできる《穢れた療法》が取れるのも黒ならではの魅力と言えます。
前述の通り対策が進むに連れて数を減らしてきたデッキではありますが、マークが甘くなったり、デッキの構成を変えて対戦相手の裏をかくことができれば大成もありえると思います。これはこのデッキだけでなく、かつてスタンダードで活躍した全てのデッキに当てはまることで、「白単人間」などもこれに該当します。
見所その3・かつて一時代を築いたデッキの復権なるか? 「白単人間」・「白緑トークン」
13 《平地》 4 《戦場の鍛冶場》 -土地(17)- 4 《ドラゴンを狩る者》 4 《スレイベンの検査官》 4 《町のゴシップ屋》 3 《勇者の選定師》 3 《探検隊の特使》 3 《アクロスの英雄、キテオン》 4 《白蘭の騎士》 4 《サリアの副官》 2 《ハンウィアーの民兵隊長》 -クリーチャー(31)- |
4 《グリフの加護》 4 《石の宣告》 4 《永遠の見守り》 -呪文(12)- |
2 《ハンウィアーの民兵隊長》 2 《忌の一掃》 1 《絹包み》 2 《停滞の罠》 4 《無謀な奇襲隊》 4 《鋭い突端》 -サイドボード(15)- |
「バント・カンパニー」に勝ちやすいデッキとして注目を集めている「白単人間」。このデッキもどれくらい意識されるかで勝率が著しく変化しますが、環境の低速化に伴い「バント・カンパニー」が大量の《ラムホルトの平和主義者》と《悲劇的な傲慢》を搭載するのが難しくなったことを受け、環境最速のデッキとして再び活躍しやすい状況が整ってきたと思います。
依然として《最後の望み、リリアナ》や《衰滅》が入ったデッキこそ少し厳しいものの、以前よりも「バント・カンパニー」に勝ちやすいことは「白単人間」の強みのひとつです。
8 《森》 8 《平地》 4 《梢の眺望》 4 《要塞化した村》 1 《ウェストヴェイルの修道院》 -土地(25)- 4 《首絞め》 4 《森の代言者》 3 《大天使アヴァシン》 4 《搭載歩行機械》 -クリーチャー(15)- |
4 《ニッサの誓い》 4 《ドロモカの命令》 2 《停滞の罠》 2 《悲劇的な傲慢》 4 《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》 4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -呪文(20)- |
3 《棲み家の防御者》 3 《不屈の追跡者》 2 《狩猟の統率者、スーラク》 1 《大天使アヴァシン》 1 《保護者、リンヴァーラ》 2 《石の宣告》 1 《停滞の罠》 1 《隔離の場》 1 《悲劇的な傲慢》 -サイドボード(15)- |
こちらは「白単人間」とはある意味対極に位置するデッキで、どちらかと言うと黒系のコントロールデッキに勝ちやすいデッキです。《無私の霊魂》や《呪文捕らえ》を止めるための《首絞め》、そして《約束された終末、エムラクール》の流行に伴い再び評価を上げた《停滞の罠》が印象的なリストです。
《老いたる深海鬼》の影響で、《破滅の道》一辺倒ではなく、インスタントの《殺害》と併用される傾向にあり、それもこのデッキにとっては大きな追い風となっています。
少し前の状況と比べると驚くほど数を減らしてしまった両デッキですが、「世界選手権2016」で最後に一花咲かせることができるのでしょうか。現環境の集大成ともいえる今大会に、そして一流のプレイヤーのプレイングにぜひご注目ください。
「今週の一押し~5色プレインズウォーカー・コントロール~」
1 《平地》 1 《島》 1 《沼》 1 《山》 1 《森》 2 《大草原の川》 1 《窪み渓谷》 2 《燻る湿地》 2 《燃えがらの林間地》 2 《戦場の鍛冶場》 1 《ヤヴィマヤの沿岸》 4 《ラノワールの荒原》 4 《崩壊する痕跡》 4 《進化する未開地》 -土地(27)- 1 《龍王アタルカ》 -クリーチャー(1)- |
4 《ニッサの誓い》 3 《チャンドラの誓い》 3 《リリアナの誓い》 3 《衰滅》 2 《ゲートウォッチ配備》 2 《最後の望み、リリアナ》 1 《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》 3 《先駆ける者、ナヒリ》 3 《実地研究者、タミヨウ》 1 《アーリン・コード》 1 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 2 《揺るぎないサルカン》 1 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》 2 《炎呼び、チャンドラ》 1 《死の宿敵、ソリン》 -呪文(32)- |
4 《前線の僧侶》 2 《ゲトの裏切り者、カリタス》 2 《龍王ドロモカ》 3 《強迫》 3 《光輝の炎》 1 《衰滅》 -サイドボード(15)- |
「今週の一押し」は《ゲートウォッチ配備》を利用した「プレインズウォーカー」コントロールを。
「プレインズウォーカー」はがっつり17枚採用され、3種類の「誓い」が脇を固めます。
特に継続的にブロッカーを提供してくれる《リリアナの誓い》は、このデッキにとって非常に重要な役割を担いますね。毎ターン「プレインズウォーカー」を出せるデッキということで、中長期戦での強さは特筆に値します。実はこの「プロツアー『カラデシュ』地域予選」以外の予選でも同リストが10位に入賞しており、この結果がただのフロックではなかったことを証明しています。
こんなにも「プレインズウォーカー」を多用したデッキはなかなか珍しいですし、「プレインズウォーカー」の枠は自分の好みに合わせて変更しても面白いと思います! 大味なデッキがお好きな方はぜひ一度挑戦してみてください!
おわりに
今週の「スタンダード・アナライズ」は以上です。日に日に「バント・カンパニー」一強時代に拍車がかかってきた印象がありますが、果たして、世界有数のプレイヤーはどのような選択をするのでしょうか。今回紹介できなかったデッキもたくさん登場するでしょうし、細かなカード選択やプレイングもきっと参考になるものが多いと思うので、お時間のある方は生放送もぜひご覧になってみてください!
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それでは、また次回の連載で!
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