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津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ
第69回:「三種の神器」の可能性
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津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ
2011.09.08
第69回:「三種の神器」の可能性
こんにちはー。
今週は先週予告した通り、前々から僕が書きたかった内容でいってみたいと思います。
テーマはずばり、「『剣』の今後について」です。
記事のタイトルを見て、《帝国の玉座》シリーズだと思ってきてくださった方はすいません。一応MO(マジックオンライン)で《帝国の玉座》シリーズは揃えたので、いつの日にかそのデッキもご紹介できればと思います。
それでは、本題に入りましょう。
~《石鍛冶の神秘家》のいない世界~
いつまでも、そして何度もこの話題を持ち出してしまって申し訳ないのですが、6月後半に《石鍛冶の神秘家》と《精神を刻む者、ジェイス》が禁止になるとの発表があった際に、友人にこんな質問をされました。
「《石鍛冶の神秘家》が禁止になるみたいだけど、今後各種『剣』はどれくらい使われると思う?」
この難しい、しかしながら非常に興味深い質問に、僕は即答することができませんでした。
可能性は十分にあれど、環境に「赤緑《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》」や「青赤《欠片の双子》」のような速いデッキがいては真価を発揮できないのではないかと、少しネガティブな答え方をしたのを覚えていますが、みなさんは当時どのように考えていらっしゃったでしょう?
ちなみにここで言う各種『剣』とは、《肉体と精神の剣》、《饗宴と飢餓の剣》、《戦争と平和の剣》のことを指します。
《石鍛冶の神秘家》のいた頃は、これらの『剣』を始めとした各種装備品が環境を席巻していましたが、それはひとえに《石鍛冶の神秘家》が強すぎたからに他なりません。禁止カード施行前後で、《殴打頭蓋》の使用頻度にこれほどまでに差があることは、その証明と言ってもいいでしょう。
ですが、各種『剣』を筆頭とする現代の装備品は、《石鍛冶の神秘家》がいなくても十分に通用することを、すでに何名ものプレイヤーが証明しています。
「Caw-Blade」
3 《島》 3 《平地》 4 《天界の列柱》 4 《氷河の城砦》 4 《金属海の沿岸》 4 《地盤の際》 2 《墨蛾の生息地》 1 《乾燥台地》 1 《沸騰する小湖》 -土地(26)- 4 《戦隊の鷹》 2 《幻影の像》 3 《刃の接合者》 2 《エメリアの天使》 1 《太陽のタイタン》 -クリーチャー(12)- |
4 《定業》 3 《呪文貫き》 4 《マナ漏出》 2 《四肢切断》 2 《乱動への突入》 2 《忘却の輪》 3 《饗宴と飢餓の剣》 2 《ギデオン・ジュラ》 -呪文(22)- |
2 《糾弾》 2 《精神的つまづき》 4 《瞬間凍結》 1 《幻影の像》 4 《機を見た援軍》 1 《太陽のタイタン》 1 《ジェイス・ベレレン》 -サイドボード(15)- |
2種類の禁止カードが適用されても、相も変わらず「Caw-Blade」は勝ち星を重ね続けています。もちろん、以前ほどの力がないのは確かですが、それでもTier1から落ちることはありませんでした。
「Caw-Blade」は、過去に幾度となく紹介してきたデッキなので、今回はこのデッキの強さの秘訣を、今週のテーマである「装備品」という観点から見ていきましょう。
そもそも、古来より「装備品」というキーワード能力には、いくつかの弱点がありますが、その中でも代表的かつ問題になりやすいのは以下のふたつです。
- 装備先のクリーチャーがいないと何もしない。
- 装備品はキャストする時と装備する時にマナを必要とするマナ喰い虫なので、効果が大きな反面、隙も大きい。特に、装備を付ける際と、返しのターンに無防備になってしまうこと。
1は装備品がクリーチャーに依存するカードなので、当たり前と言えば当たり前の欠点ですね。しかし「Caw-Blade」を象徴する《戦隊の鷹》は、戦場に出れば4枚分のクリーチャーが約束されるので、これさえあればそんな悩みとはおさらばできます。
2も装備品を使う限り常に付きまとう問題点ですが、《饗宴と飢餓の剣》は、攻撃が通れば土地をアンタップすることができるので、この弱点を幾分か緩和することが可能です。
1と2の弱点を一人で解決する《石鍛冶の神秘家》がいた頃はその陰に隠れていましたが、禁止カードが適用されてなお「Caw-Blade」が結果を残し続けていることで、《戦隊の鷹》も《饗宴と飢餓の剣》も比較的対処が難しい部類のカードであるということを再認識させられました。《戦隊の鷹》と《饗宴と飢餓の剣》の組み合わせは間違いなく、今年のスタンダードを語る上で欠かせない存在ですよね。
《饗宴と飢餓の剣》の土地をアンタップする能力の性質上、待ちを信条とする青を2色目に選ぶプレイヤーが多いのですが、中にはカウンターを入れずに、装備品に特化したこのようなバージョンも存在します。
「Puresteel-Blade」
8 《平地》 1 《島》 4 《金属海の沿岸》 2 《天界の列柱》 4 《氷河の城砦》 4 《墨蛾の生息地》 -土地(23)- 4 《純鋼の聖騎士》 4 《戦隊の鷹》 3 《粗石の魔道士》 1 《刻まれた勇者》 -クリーチャー(12)- |
4 《急送》 4 《定業》 2 《オパールのモックス》 1 《調和者隊の盾》 3 《皮剥ぎの鞘》 1 《バジリスクの首輪》 1 《シルヴォクの生命杖》 4 《迫撃鞘》 2 《饗宴と飢餓の剣》 2 《戦争と平和の剣》 1 《肉体と精神の剣》 -呪文(25)- |
3 《コーの火歩き》 4 《瞬間凍結》 3 《四肢切断》 2 《否認》 2 《機を見た援軍》 1 《饗宴と飢餓の剣》 -サイドボード(15)- |
デッキ名にもなっている《純鋼の聖騎士》をフィーチャーしたデッキです。
《純鋼の聖騎士》のドロー能力はもちろんのこと強力なのですが、真に凶悪なのは「金属術」を達成した時の「0マナでの装備」にあります。
この能力を使える状況下であれば、戦闘で圧されることなどまずありませんし、対コントロールだろうと対ビートダウンだろうと圧倒的な優位を確立できます。
そして一度いずれかの装備品が《純鋼の聖騎士》に付いてしまうと、除去することすら困難になるので、「赤単バーン」のように相手のデッキに除去が多く含まれている場合は、《純鋼の聖騎士》よりもあえて先に装備品を展開し、相手がタップアウトなりした返しのターンで《純鋼の聖騎士》を出して、一気に装備品を付けるのもひとつの手ですね。
前述の通り《饗宴と飢餓の剣》は青と組み合わせることでその力をより一層発揮することができますが、このデッキはそれだけにとどまらず、その他の2本も入っています。
《戦争と平和の剣》には高い打点とその他の剣にはない魅力的なプロテクション(白)(赤)がありますし、これは《戦隊の鷹》と《エメリアの天使》が横行する現代では非常に重要な要素です。
《肉体と精神の剣》は、他の剣が強すぎることもあり、若干見劣りしてしまう感は否めませんが、対「赤緑《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》」などでは、ライブラリーを削る能力が役に立ちますね。
大量に入った装備品を見てもらえれば分かるように、《純鋼の聖騎士》に依存したデッキではあるのですが、適当に装備品を並べて《戦隊の鷹》などに付けるだけで勝てることも多々ありますし、それに「《出産の殻》」のようなクリーチャー除去をほとんど持たないデッキがTier1にいることも、このデッキに取ってはプラスと言えます。
そして「《出産の殻》」の《極楽鳥》や、「Caw-Blade」の《戦隊の鷹》などのタフネス1クリーチャーや、《幻影の像》にも強い《迫撃鞘》もこのデッキのキーカードのひとつです。
こちらも《戦隊の鷹》と相性がいいですし、《シルヴォクの生命杖》《バジリスクの首輪》とのコンボも特筆に値します。
このデッキは《純鋼の聖騎士》によって装備品のマナを踏み倒しますが、他にも《大建築家》でその役割を担うリストもあるようです。
「青単《大建築家》」
13 《島》 3 《ハリマーの深み》 1 《沸騰する小湖》 4 《地盤の際》 1 《墨蛾の生息地》 -土地(22)- 4 《面晶体のカニ》 4 《幻影の熊》 4 《蒼穹の魔道士》 4 《大建築家》 4 《宝物の魔道士》 1 《ファイレクシアの変形者》 1 《溶鉄の尾のマスティコア》 1 《ワームとぐろエンジン》 -クリーチャー(23)- |
2 《思案》 2 《定業》 4 《マナ漏出》 2 《四肢切断》 1 《肉体と精神の剣》 1 《饗宴と飢餓の剣》 1 《戦争と平和の剣》 1 《かごの中の太陽》 1 《精神隷属器》 -呪文(15)- |
4 《瞬間凍結》 4 《倦怠の宝珠》 4 《書庫の罠》 2 《ワームとぐろエンジン》 1 《核の占い師、ジン=ギタクシアス》 -サイドボード(15)- |
このデッキは《大建築家》の両方の能力を駆使して攻めていくリストに仕上がっています。
以前は1、2マナ域に優秀な青いクリーチャーが少なかったため、《大建築家》からのスーパーマナ加速が難しかったのですが、基本セット2012から《幻影の熊》と《蒼穹の魔道士》が加わったことで、その可能性も僅かながら向上しています。
《幻影の熊》は、装備品との相性が悪いことだけは気掛かりですが、このデッキは装備品戦略がメインではありませんし、《幻影の熊》はその点以外は満点なので良しとしましょう。
《面晶体のカニ》は、《大建築家》の右腕としてだけではなく、サイド後に《書庫の罠》と合わせてライブラリーを狙うプランBの役割も担ってくれます。サーチする回数の多い「赤緑《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》」や「《出産の殻》」相手には効果的なプランですね。《肉体と精神の剣》はこのプランBでも役に立ちます。
《大建築家》の相棒としてお馴染みである《宝物の魔道士》のサーチ先として、《かごの中の太陽》を採用しているのも興味深いです。
これさえあれば装備品のマナも全く気になりませんし、《蒼穹の魔道士》も起動し放題。サイドに潜む禍々しき《核の占い師、ジン=ギタクシアス》も《かごの中の太陽》のマナを利用して出すのでしょう。
サイドボードには、最近では「赤単」や「Caw-Blade」など、色んなデッキで見かけるようになった《倦怠の宝珠》も入っていますね。「《出産の殻》」が多い環境ならいつでも候補に挙がる1枚です。
青いデッキはここまでにして、ここからは緑絡みの剣が入ったデッキを見ていきましょう。
「緑白ビートダウン」
5 《森》 4 《平地》 4 《剃刀境の茂み》 4 《陽花弁の木立ち》 3 《活発な野生林》 3 《地盤の際》 -土地(23)- 4 《極楽鳥》 4 《ミラディンの十字軍》 4 《巣の侵略者》 4 《戦隊の鷹》 4 《刃の接合者》 4 《刃砦の英雄》 -クリーチャー(24)- |
4 《四肢切断》 2 《饗宴と飢餓の剣》 2 《戦争と平和の剣》 4 《野生語りのガラク》 1 《ギデオン・ジュラ》 -呪文(13)- |
3 《自然の要求》 4 《孤独な宣教師》 2 《天界の粛清》 4 《機を見た援軍》 2 《最後のトロール、スラーン》 -サイドボード(15)- |
緑絡みの装備品デッキで最も有名なのが、この「緑白ビートダウン」でしょう。日本選手権でローリー(藤田 剛史)さんが生み出したこのデッキは、MOでも結構な頻度で見かけます。
さきほど紹介した《戦隊の鷹》と剣の組み合わせに加え、《ミラディンの十字軍》と《刃砦の英雄》まで投入されたこのデッキは、現環境でも屈指の攻撃力を誇ります。
特に《ミラディンの十字軍》と装備品の相性は、野蛮と称していいほどまでに強力です。《極楽鳥》以外の全てのクリーチャーは、トークンを出したり二段攻撃だったりと、装備品や《野生語りのガラク》の《踏み荒らし》能力と相性のいいものばかりで構築されていますね。
メインボードの構成が分かりやすいので、サイドボードも目的のはっきりとしたカードで構成されていますが、特に苦手とする「赤単」系のデッキと、「青赤《欠片の双子》」に対しては、かなりの枚数を割いています。特に先週紹介した、《渋面の溶岩使い》入り「青赤《欠片の双子》」デッキには、《天界の粛清》がよく効くのでお勧めです。
この「緑白ビートダウン」は目にしたことのある方も多いかと思われますが、ここからは少しマニアックなデッキの紹介になります。
「青緑クロックパーミッション」
7 《森》 2 《島》 4 《カルニの庭》 4 《霧深い雨林》 3 《新緑の地下墓地》 4 《地盤の際》 2 《墨蛾の生息地》 -土地(26)- 1 《極楽鳥》 4 《水蓮のコブラ》 1 《肌変わり》 1 《強情なベイロス》 1 《最後のトロール、スラーン》 1 《酸のスライム》 2 《聖別されたスフィンクス》 1 《原始のタイタン》 -クリーチャー(12)- |
4 《緑の太陽の頂点》 4 《マナ漏出》 3 《不屈の自然》 2 《四肢切断》 2 《内にいる獣》 4 《饗宴と飢餓の剣》 3 《原初の狩人、ガラク》 -呪文(22)- |
3 《自然の要求》 2 《呪文貫き》 1 《四肢切断》 3 《忍び寄る腐食》 3 《強情なベイロス》 1 《最後のトロール、スラーン》 2 《酸のスライム》 -サイドボード(15)- |
このリストは《饗宴と飢餓の剣》4枚入れたクロックパーミッションになっています。その力を最大限に発揮すべく、土地構成も《カルニの庭》4枚、《墨蛾の生息地》2枚とやる気満々。
このデッキの面白い点は、《緑の太陽の頂点》を4枚入れることで、クリーチャー構成をシルバーバレッドにしているところですね。《饗宴と飢餓の剣》を3ターン目に装備できる可能性のある《水蓮のコブラ》は当然のごとく4枚採用されていますが、その他のクリーチャーは状況に応じて必要なものをサーチしてくる形になっています。
《聖別されたスフィンクス》だけは単純にカードパワーで選ばれていますが、今現在は「Caw-Blade」を筆頭に実に多くのデッキで使われており、青いデッキの顔と呼べるほど使用頻度が増えています。このカードもこれからのスタンダードを牽引する存在として、ぜひ覚えておいてほしい1枚です。
《原初の狩人、ガラク》も、《聖別されたスフィンクス》と同じく息切れ防止に役立つ1枚で、単純なカードパワーもかなりのものなので、今後は見かける機会が増えると思います。
ただし、プレビューで公開された、イニストラードの新ガラクこと〈情け知らずのガラク〉が強そうな上に、《原初の狩人、ガラク》よりも1マナ軽いということで、今後はどちらを使うか、という嬉しい悩みも増えてしまうでしょう。
新ガラクには、緑という色にはなかなか与えられない貴重な除去能力がありますし、キャストに必要とする緑マナがたったのひとつという大きな利点もありますが、{G}{G}{G}というコストが気にならない、このようなデッキであれば、今のところ《原初の狩人、ガラク》が勝っているかなぁという印象を受けています。
こればかりは実際に使ってみないとなんとも言えないので、今後の連載でまたお伝えできればと思います。
「赤緑ランデスビート」
4 《森》 4 《山》 4 《銅線の地溝》 3 《怒り狂う山峡》 3 《根縛りの岩山》 4 《霧深い雨林》 2 《沸騰する小湖》 1 《地盤の際》 -土地(25)- 4 《極楽鳥》 4 《水蓮のコブラ》 4 《肌変わり》 4 《オキシド峠の英雄》 3 《ゴブリンの廃墟飛ばし》 3 《最後のトロール、スラーン》 2 《躁の蛮人》 3 《酸のスライム》 1 《業火のタイタン》 -クリーチャー(28)- |
2 《電弧の痕跡》 2 《四肢切断》 3 《戦争と平和の剣》 -呪文(7)- |
1 《自然の要求》 2 《地盤の際》 2 《電弧の痕跡》 1 《四肢切断》 1 《帰化》 3 《強情なベイロス》 1 《ゴブリンの廃墟飛ばし》 2 《攻撃的な行動》 2 《原初の狩人、ガラク》 -サイドボード(15)- |
こちらは《ゴブリンの廃墟飛ばし》と《酸のスライム》によるランデス戦略を用いたバージョンです。
「赤緑《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》」と「青赤《欠片の双子》」にランデスがいまいちなので、それらには相性が悪いですが、対コントロール戦では非常に効果的ですね。
とは言え、このデッキにおけるランデス戦略はあくまで補助的な役割にすぎません。昔からランデスデッキと言えば、勝ち手の薄さが課題でしたが、このリストは《肌変わり》《オキシド峠の英雄》《最後のトロール、スラーン》、そして《戦争と平和の剣》という高いクロックをランデス戦略でバックアップしていく形になっています。
「Caw-Blade」が《饗宴と飢餓の剣》を用い、相手に「動くこと」を強要し、そこを《呪文貫き》や《マナ漏出》で絞めあげていくのに対し、このデッキは土地を縛ることで相手の行動回数を減らしていくので、ある意味「Caw-Blade」の対極に位置するデッキとも言えますね。
それとこのデッキで使われている《肌変わり》は、装備品のお供としてよく見かけるカードで、ただ単に強いだけでなく、2/2飛行か4/4トランプルになればほぼ確実に剣の能力を誘発させることができることが高評価です。
現実世界の大会結果を見る限り、まだあまり使われていないようですが、今後の緑を代表するカードになるかもしれません。
「ジャンド」
4 《森》 4 《沼》 4 《溶岩爪の辺境》 4 《怒り狂う山峡》 4 《銅線の地溝》 2 《黒割れの崖》 4 《新緑の地下墓地》 -土地(26)- 4 《極楽鳥》 4 《巣の侵略者》 4 《深淵の迫害者》 1 《強情なベイロス》 1 《最後のトロール、スラーン》 2 《酸のスライム》 1 《墓所のタイタン》 -クリーチャー(17)- |
4 《緑の太陽の頂点》 2 《稲妻》 4 《喉首狙い》 2 《迫撃鞘》 2 《戦争と平和の剣》 3 《狂乱のサルカン》 -呪文(17)- |
4 《コジレックの審問》 2 《稲妻》 1 《ヴィリジアンの堕落者》 3 《強情なベイロス》 1 《最後のトロール、スラーン》 4 《記憶殺し》 -サイドボード(15)- |
赤緑黒の組み合わせと言えば、悪名高き《血編み髪のエルフ》の入った「ジャンド」デッキが有名ですが、アラーラブロックで主力カードがまとめて落ちてしまって以降、すっかり見かけなくなりました。
そんな「ジャンド」デッキの現代版がこちらになります。これまた久しぶりに使われている《深淵の迫害者》がこのデッキの軸で、《戦隊の鷹》が出てきても止まらないかなりの逸材です。これを3ターン目に出すための《巣の侵略者》や、役目を終えた後にきちんと自殺できるように《迫撃鞘》や《狂乱のサルカン》を採用していたりと、他の枠も《深淵の迫害者》に合わせたチョイスが目立ちますね。
もちろん、《破滅の刃》ではなく《喉首狙い》なのも《深淵の迫害者》を考慮してのことです。
《深淵の迫害者》の強さは特筆すべきほどのものですが、しかしながらこれ以外のクロックがあまりにも頼りないことがこのデッキの問題点です。そこで登場するのが《戦争と平和の剣》というわけですね。
これさえあれば《極楽鳥》でも《巣の侵略者》でもアタッカーとして十分期待できますし、ミシュラランドの多いこのデッキだと、それらに持たせて殴る展開もそれなりにありました。
そしてこのデッキにも《緑の太陽の頂点》を利用したシルバーバレッド戦略が仕込まれているのに注目です。第63回で紹介したまっきー(三原 槙仁)さんの「赤緑《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》」も同じような手法を使っていましたし、これから緑の定番戦略になっていくかもしれません。
《深淵の迫害者》も《狂乱のサルカン》も、スタンダードで使える期間が残り僅かしかないので、その前にこのようなデッキで使ってみてはいかがでしょう?
「緑単Equipment」
15 《森》 4 《霧深い雨林》 4 《新緑の地下墓地》 -土地(23)- 4 《極楽鳥》 4 《ラノワールのエルフ》 1 《東屋のエルフ》 4 《ヴィリジアンの密使》 4 《ダングローブの長老》 2 《最後のトロール、スラーン》 2 《ファイレクシアの変形者》 2 《溶鉄の尾のマスティコア》 -クリーチャー(23)- |
4 《四肢切断》 1 《バジリスクの首輪》 2 《迫撃鞘》 2 《肉体と精神の剣》 2 《饗宴と飢餓の剣》 1 《執念の剣》 1 《戦争と平和の剣》 1 《殴打頭蓋》 -呪文(14)- |
2 《自然の要求》 4 《強情なベイロス》 4 《倦怠の宝珠》 3 《内にいる獣》 2 《忍び寄る腐食》 -サイドボード(15)- |
このリストはMOでたまたま当たった0MJ0という方のリストに一目惚れし、それを教えてもらったものなんですが、よくよく話を聞いてみると、0MJ0さんは今年のシンガポール選手権で5位に輝いた強豪だったようです。とにかく剣が好きで好きでどうしようもないそうで、彼のデッキには色を問わず、いつでもこれくらいの剣が入っているとのこと。その愛情はすさまじく、普段はあまりお目にかかれない《執念の剣》までも投入されている徹底っぷりです。
このデッキは《ダングローブの長老》と《最後のトロール、スラーン》の二大「呪禁」クリーチャーで攻めていくことになるのですが、《最後のトロール、スラーン》は登場してしばらくの間、あまり使われていませんでした。
その理由に、《戦隊の鷹》の存在が挙げられます。禁止カードのおかげで、最近ではそこそこの活躍を見せ始めた《最後のトロール、スラーン》さんなのですが、その苦手とする《戦隊の鷹》は未だ健在ということで、何かしらの方法で回避能力などを付けてあげる必要があります。
もうお分かりかと思いますが、それにあたるのが《戦争と平和の剣》や《執念の剣》ですね。《ダングローブの長老》も《最後のトロール、スラーン》と全く同じ問題を抱えているので、剣でサポートするこの戦略は有効です。
上で紹介したなべ君のように、近頃は「Caw-Blade」に《幻影の像》を入れるのが主流になってきているので、《最後のトロール、スラーン》さんは以前よりも対処されやすくなってしまいましたが、《ダングローブの長老》は《幻影の像》でコピーされづらいのもいいですね。
その代わり《審判の日》で死んでしまったりと、一長一短なところもありますが、なんにせよ、今後も「呪禁」クリーチャーを装備でバックアップするこの手法はよく見かけることになるでしょう。
一見少し浮いている感のある《ファイレクシアの変形者》と《溶鉄の尾のマスティコア》の主な役割は、このデッキの天敵である《ミラディンの十字軍》対策だそうです。
実際に《ミラディンの十字軍》を出されてみるとそれも納得で、単色のデッキで相手のプロテクションに困るようであれば、これも今後に活かせそうなテクニックですね。
『剣』の入ったデッキ特集は以上になります。今回紹介した装備品デッキのほとんどが、往々にして「赤緑《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》」と「青赤《欠片の双子》」デッキに対して不利だったりするので、どちらかというとイニストラード後に注目を集める可能性の高いデッキが多かったと思います。
しかし、そんな今の環境でも彼らは実際にMO上で結果を残していますし、今から着目しておいても損はないと思いますよ!
少し気が早いですが、イニストラード登場後でも各種剣が使われるかどうか、というのは僕が密かに注目しているトピックのひとつです。みなさんは現時点でどうお考えでしょう? 今週の記事で、みなさんが少しでも『剣』に対して良いイメージを持ってくれたら幸いです。
それでは、「今週の一押し」に参りましょう。
「今週の一押し」~「緑単"Post"入りエルドラージ」
13 《森》 4 《エルドラージの寺院》 4 《微光地》 3 《地盤の際》 1 《ウギンの目》 1 《カルニの庭》 1 《惑いの迷路》 -土地(27)- 3 《ジョラーガの樹語り》 4 《草茂る胸壁》 1 《強情なベイロス》 1 《酸のスライム》 4 《原始のタイタン》 1 《テラストドン》 1 《無限に廻るもの、ウラモグ》 1 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー(16)- |
4 《緑の太陽の頂点》 2 《永遠溢れの杯》 4 《探検》 1 《耕作》 4 《召喚の罠》 2 《原初の狩人、ガラク》 -呪文(17)- |
4 《自然の要求》 3 《呪文滑り》 2 《強情なベイロス》 1 《酸のスライム》 1 《ワームとぐろエンジン》 1 《白金の帝像》 1 《コジレックの職工》 1 《真実の解体者、コジレック》 1 《原初の狩人、ガラク》 -サイドボード(15)- |
先週末のプロツアー・フィラデルフィア(モダンとドラフト)のカバレージをご覧になった方であれば、《雲上の座》と《微光地》で大量にマナを出すデッキが活躍していたのをご存じでしょう。
残念ながらスタンダードに《雲上の座》はないので、このデッキの《微光地》はただのライフゲイン手段でしかありません。しかし《原始のタイタン》から導かれると、その回復量は馬鹿にできないものへと変わります。
「赤単バーン」の多いメタだとこれが思いの外強く、まだ意外と知られていないテクニックかなと思い紹介させていただきました。
小技としては、《原始のタイタン》で《微光地》を持ってくる場合、一度に2枚持ってくる方が回復量が多くてお得なので、少しだけサーチの仕方に気をつけましょう。
もうしばらくで《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》はなくなってしまいますが、今後は《微光地》が《原始のタイタン》の良き相棒になるかもしれません。
このリストは「Decks of the Week」から拾ってきたものを、ほんの数枚変えただけなんですが、土地構成はまだちょっと怪しいです。コピー元のリストは、このデッキの《カルニの庭》が《ワームとぐろエンジン》となっていたので、これはかなり厳しい土地構成だなと思って変更したのですが、これでもまだ緑マナが少なく、緑マナのない初手がそれなりの頻度で来てしまいます。
ですから、《地盤の際》を2枚に減らして、1枚は《森》か追加の《カルニの庭》にしてもいいかもしれないですね。逆に言えば、そこまでのリスクを背負ってでも入れる価値が《微光地》にはあるということです。
それとこのデッキにも《原初の狩人、ガラク》が入っていますが、このデッキの《原初の狩人、ガラク》のマイナス能力は、普通のデッキの5倍くらいイケメンです。
《強情なベイロス》や《原始のタイタン》でも十分すぎるほどのドローができるのですが、《引き裂かれし永劫、エムラクール》がいれば奇跡の15枚ドローですからね。《引き裂かれし永劫、エムラクール》がいるならさっさと殴って勝てよ!と思ったそこのあなた!・・・おっしゃる通りです(笑)
それは冗談としましても、大量にエルドラージの入ったこのデッキは、とにかく使っていて楽しいので、スタンダード落ちしてしまう前に、ぜひ一度使ってほしいデッキですね。
「青赤《欠片の双子》」にはすさまじく相性が悪いですが、その他のデッキで特別苦手なデッキは「赤緑《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》」くらいですし、その「赤緑《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》」も昨年末ほど圧倒的に多くはないので、メタゲーム的にも悪くない選択だと思います。
それでは、また来週ー!
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