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第61回:『基本セット2012』直前総復習!?中国選手権より
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津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ
2011.07.06
第61回:『基本セット2012』直前総復習!~中国選手権より
こんにちはー。
ついに禁止カードが使えなくなった新環境、みなさんいかがお過ごしですか?
現実世界ではまだあまり多くの大会は行われていませんが、Magic Onlineの世界では、連日たくさんのトーナメントが開かれています。
それゆえに、基本的には週末にしか大会がない現実世界とはデッキ開発速度にそれなりの差があり、先週末にあった中国選手権のトップ8のリストにも、MOの影響が色濃く出ていたので、今週は予定を変更し、禁止適用後のリストを取り上げさせていただきます。
その前に、まずはMOから見る今のメタゲームをちょっとだけ見てみましょう。
まさかの「赤緑《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》」超え!? 「赤単」の躍進
禁止カードが発表されて以来、「赤緑《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》」の存在は危険すぎると誰もが声高に騒ぎ立ててきました。もちろん僕もその中のひとりなのですが、実際に禁止カードが適用された世界で、一番の勝ち頭になったのは「赤単」でした。
MOの結果を考慮すると、現在のメタゲームは以下のようになっています。
Tier1
「赤単」
「赤緑《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》」
「青赤《欠片の双子》」
「青黒コントロール」
「青白コントロール」
Tier2
「吸血鬼」
「青黒Tezzerator」
「《出産の殻》」
Tier2以下は少し省略していますが、概ねこんな感じです。
上記の3つは先週紹介したので、今週はそれ以外のデッキを解説していきたいと思います。あまりにもデッキの種類が多かったので、来週以降に基本セット2012が入った後でも通用しそうなものに絞って紹介させていただきます。
それでは、中国選手権の結果を交えつつデッキの解説に移りましょう。
中国選手権結果~トップ8分布
優勝 | 「青黒コントロール」 |
準優勝 | 「青白コントロール」 |
3位 | 「青黒コントロール」 |
4位 | 「青黒コントロール」 |
5位 | 「青黒コントロール」 |
6位 | 「《絡み森の大長》入り赤緑《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》」 |
7位 | 「《隠れしウラブラスク》入り赤緑《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》」 |
8位 | 「黒単コントロール」 |
中国選手権は「青黒コントロール」がトップ8に4人も残っています。「青白コントロール」も含めると、その数は実に5人。MOとは違い、「赤単」系のデッキがいないのも興味深いですね。
そんな青系のコントロール使い達は、《精神を刻む者、ジェイス》の穴埋めをどうしているのでしょうか? 今週は禁止カードの影響を受けたデッキの特集なので、その辺りにも注目して読んでみてください。
それでは、まずは《精神を刻む者、ジェイス》のいなくなってしまった青系のコントロールを見ていきましょう。
「青黒コントロール」
5 《島》 5 《沼》 4 《忍び寄るタール坑》 4 《闇滑りの岸》 4 《水没した地下墓地》 4 《地盤の際》 -土地(26)- 2 《深淵の迫害者》 2 《墓所のタイタン》 1 《ワームとぐろエンジン》 -クリーチャー(5)- |
4 《定業》 4 《コジレックの審問》 1 《蔑み》 4 《広がりゆく海》 4 《マナ漏出》 4 《喉首狙い》 1 《乱動への突入》 1 《黒の太陽の頂点》 4 《ジェイス・ベレレン》 2 《リリアナ・ヴェス》 -呪文(29)- |
2 《方解石のカミツキガメ》 4 《見栄え損ない》 2 《瞬間凍結》 1 《乱動への突入》 1 《生命の終焉》 2 《記憶殺し》 1 《冷静な反論》 1 《決断の手綱》 1 《ワームとぐろエンジン》 -サイドボード(15)- |
「青黒コントロール」と下で紹介する「青白コントロール」は、《精神を刻む者、ジェイス》がいなくなってしまったために、デッキリストに大幅な改善を余儀なくされたデッキです。
とは言え、《精神を刻む者、ジェイス》の枠を《ジェイス・ベレレン》にしただけで、あとはメタゲームの変化に合わせて《広がりゆく海》を加えただけのようにも見えますね。
やはり新環境の「赤緑《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》」の隆盛は誰の目から見ても明らかだったようで、「青黒」に限らず、「青白」にも《広がりゆく海》が入っているリストが増えています。
中国選手権では、「青黒コントロール」対「青白コントロール」が決勝戦を戦ったようなので、メタゲームをきちんと読み切れば、これらのデッキにも十分にチャンスがあるという良い証明になったでしょう。
「青黒コントロール」も「青白コントロール」も今まで何度も紹介してきたデッキなので、今回は「黒」と「白」の部分の違いを、色によって今のメタゲームでどのような長所と短所ができるのかを重点的に見ていきましょう。
~「黒」の長所~
これは言うまでもなく《コジレックの審問》、《強迫》や《蔑み》のようなハンデス呪文が使えることですね。これによって「青白コントロール」に対して高い勝率が期待できるようになっていますし、Tier1の「赤緑《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》」と「青赤《欠片の双子》」に対しても、これらのスペルは効果的です。
そして「青赤《欠片の双子》」には、《喉首狙い》や《破滅の刃》のような単体除去もよく効くので、これも黒の長所と言えます。
「Caw-Blade」全盛期にはビートダウンデッキが鳴りを潜めていたので、環境的にライフはどうでもよかったため、どの色でも《四肢切断》という万能除去を使うことができましたが、今は「赤単」系のデッキが流行っているので、「青白コントロール」などが《四肢切断》を使うのは少し躊躇われます。
そうなってくると「青白コントロール」は除去のスペースに《糾弾》や《未達への旅》などを使うことになるのですが、これらは「青赤《欠片の双子》」デッキの前に無力なので、ハンデスも除去もない「青白コントロール」では「青赤《欠片の双子》」は厳しい相手と言わざるを得ません。
つまり「青赤《欠片の双子》」デッキや、他のコントロールなど、比較的遅いデッキに対して相性が良いことが、「青黒コントロール」最大の強みです。
~「黒」の短所~
逆に短所としては、サイドボードを含めても、クリーチャー以外のパーマネントに触りづらいことが挙げられます。
本来であれば、「赤単」系のデッキが流行っている状況ならこれは気にならないはずなんですが、今の「赤単」には《燃え上がる憤怒の祭殿》という過去最強の置物火力があります。
一応ハンデスとカウンターや、キャントリップ付きの《乱動への突入》はあるのですが、ハンデスとカウンターはタイミングを選びますし、《乱動への突入》は多くても2枚が限界なので、やはりこの色で《燃え上がる憤怒の祭殿》を対処するのは中々に難しいです。
これが「青白コントロール」であれば、《神聖の力線》や、その気になれば《神への捧げ物》のようなカードまであるので、クリーチャー以外のパーマネント対応力は「青白」に軍配が上がります。
「青黒コントロール」を使う人々は《燃え上がる憤怒の祭殿》入りの「赤単」に対して《平和の徘徊者》、《殴打頭蓋》、そして《ワームとぐろエンジン》の「ライフゲイン」で対抗しています。少ない時間ながらも、それぞれを試した結果、《殴打頭蓋》と《ワームとぐろエンジン》が優れているという至って普通の結果が得られました。
継続的にライフを回復できる両者と違い、《平和の徘徊者》の回復量では「赤単」の猛攻を防ぐには心許ないという判断ですね。
結論としては、決して対処できないほどではないものの、「赤単」とのマッチアップで生じる「ムラ」が課題と言えそうです。このデッキで大会に参加する際には、「赤単」対策をいつも以上にしっかりとするように心掛けましょう。
《生命の終焉》について
最後に中国選手権優勝者が使用した《生命の終焉》について少しだけ解説を。
このカードはビートダウン対策としては重すぎてあまり有効ではないのですが、クリーチャーが主な勝ち筋であるミラーマッチ戦で活躍します。
以前であれば、クリーチャー云々ではなく《精神を刻む者、ジェイス》がフィニッシャーのような役割をしていたのでお呼びがかかりませんでしたが、現在は勝ちに直結する《リリアナ・ヴェス》、《解放された者、カーン》のようなプレインズウォーカーは極僅かしかいないので、クリーチャーを根こそぎ対処できる《生命の終焉》には要注目です。
《外科的摘出》とは違い、仮に対戦相手がフィニッシャーを「散らして」いてもまとめて処理できる点も評価できます。
相手のリスト次第では「青白コントロール」相手にもいい動きをするかもしれませんが、相手のデッキに《滞留者ヴェンセール》のようなプレインズウォーカーが多めに入っていたりすると効果が薄いですし、《神聖の力線》があるとキャストすらできないので、1、2本目で対戦相手のリストをしっかりと見てからサイドインするかどうか慎重に判断するようにしましょう。
「青白コントロール」
5 《平地》 4 《島》 4 《天界の列柱》 4 《金属海の沿岸》 4 《氷河の城砦》 1 《惑いの迷路》 4 《地盤の際》 -土地(26)- 2 《前兆の壁》 1 《海門の神官》 1 《聖別されたスフィンクス》 1 《太陽のタイタン》 -クリーチャー(5)- |
2 《精神的つまづき》 2 《呪文貫き》 1 《糾弾》 4 《広がりゆく海》 4 《マナ漏出》 1 《剥奪》 1 《乱動への突入》 1 《四肢切断》 1 《取り消し》 3 《審判の日》 3 《神聖の力線》 2 《ジェイス・ベレレン》 2 《ギデオン・ジュラ》 1 《エルズペス・ティレル》 1 《滞留者ヴェンセール》 1 《解放された者、カーン》 -呪文(30)- |
1 《ワームとぐろエンジン》 3 《外科的摘出》 3 《倦怠の宝珠》 2 《天界の粛清》 2 《光輝王の昇天》 3 《瞬間凍結》 1 《審判の日》 -サイドボード(15)- |
5 《島》 4 《平地》 4 《天界の列柱》 4 《金属海の沿岸》 3 《氷河の城砦》 2 《カビーラの交差路》 4 《地盤の際》 -土地(26)- 3 《前兆の壁》 2 《刃の接合者》 2 《太陽のタイタン》 -クリーチャー(7)- |
4 《定業》 1 《呪文貫き》 4 《マナ漏出》 4 《広がりゆく海》 3 《四肢切断》 1 《取り消し》 3 《審判の日》 3 《ジェイス・ベレレン》 2 《ギデオン・ジュラ》 2 《滞留者ヴェンセール》 -呪文(27)- |
3 《光輝王の昇天》 3 《天界の粛清》 4 《瞬間凍結》 1 《四肢切断》 4 《神聖の力線》 -サイドボード(15)- |
前述の通り、「赤単」の隆盛を受けて、できることなら《四肢切断》は入れたくないのですが、「青赤《欠片の双子》」に対して無防備であることを嫌い、数枚は入れざるをえない、というのが実情です。
~「白」の長所~
「青白」最大の長所はビートダウンデッキへの高い勝率でしょう。「青黒コントロール」のリストと比較してみれば一目瞭然なのですが、《前兆の壁》に始まり、《糾弾》《審判の日》や、その気になれば《悪斬の天使》など、ハンデスの代わりに入っているスペルが軒並みクリーチャーに強いのがその理由です。
そして極めつけが《神聖の力線》です。火力の多い「赤単」にはこれだけで勝ててしまうレベルのカードですし、当然のことながら「赤緑《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》」相手にも、「青黒コントロール」などのハンデスにも非常に効果的です。
特にメインでは割られることがほとんどないカードなので、その信頼性はなおのこと向上します。
そのため、中国選手権で準優勝したXu Binさんのメイン《神聖の力線》は大変興味深いアプローチですね。
これだけにとどまらず、他にも「青白コントロール」の利点は数多くあります。最たる例は、コントロール対決で通れば終わってしまう《光輝王の昇天》や《滞留者ヴェンセール》の存在が挙げられるでしょう。
これらのカードは対「青赤《欠片の双子》」や「赤単」系のデッキにこそ弱いものの、中速のデッキ相手には恐ろしい強さを発揮するので、これらのカードを多めに採用していれば「青黒コントロール」への勝率も上げることが可能です。
それと上記の「青黒コントロール」には入っていませんでしたが、《外科的摘出》はコントロール対決で優秀な1枚です。確実に3枚以上入っていると思われる《マナ漏出》や《ジェイス・ベレレン》を抜くのが効果的で、展開次第では《地盤の際》などを抜いても面白いでしょう。
特に《マナ漏出》と《地盤の際》が対戦相手のデッキに入っていないと相当にゲームが楽なので、極力そういった複数枚入ったカードを狙うといいですね。
他にも《コーの火歩き》や《天界の粛清》のような「赤単」専用カードが強いのも白の利点のひとつです。これだけ「赤単」が流行っているにも関わらず、
なぜ《コーの火歩き》ではなく《天界の粛清》なのかと言いますと、それはひとえに「青赤《欠片の双子》」相手にも使えるからです。
《瞬間凍結》も今のメタゲームなら必須と言え、「赤緑《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》」だけでなく「青赤《欠片の双子》」にも、「赤単」にも効果的なこのカードは、青いデッキのサイドボードには必ず入れるべきでしょう。
~「白」の短所~
ここまででも何度かご紹介しましたが、やはり「青白コントロール」の短所は対「青赤《欠片の双子》」への弱さということになります。
色的な問題として、サイド後にも専用カードと呼べるものはないので、前述の通り《瞬間凍結》や《天界の粛清》のような、他のTier1デッキ相手にも効くカードを多めに入れることで改善を図るしかありません。
しかしこれだけ入れれば「《欠片の双子》」コンボにもある程度の耐性は付くので、サイド後はそこまで悲観するマッチアップではないと思います。
ただ、そうは言っても相手は早ければ4ターン目に勝負を決める瞬殺コンボデッキなので、いつもよりも少しマリガンは厳しめにしましょう。《ギタクシア派の調査》で手札を見られることも考慮し、1枚も対策カードがないハンドは積極的にマリガンすべきだと思います。
「青白コントロール」の他の欠点として、「青黒コントロール」への弱さも懸念されます。あちらがハンデスというコントロール対決で最高に近い解答があるのに対し、こちらにはそれがないので、これは仕方のないことと言えますね。
サイドからは《光輝王の昇天》や《神聖の力線》が入るので、このマッチアップもサイド後には相性が改善されますが、やはりメインボードでの不利があるので、コントロールが多いフィールドであれば「青黒コントロール」を、ビートダウンが多いフィールドであれば「青白コントロール」を、といった感じで使い分けるのも悪くないと思います。
まだ新環境になって日が浅いので、環境が進むにつれて、メタゲームが進むにつれて結果を残しやすくなる青系コントロールには、今後より一層の期待ができるのではないでしょうか。
「青黒・青白コントロール」の解説は以上になります。ここからはちょっとデッキの数が多いので、少し駆け足で見ていきたいと思います。
「吸血鬼」
6 《沼》 4 《溶岩爪の辺境》 4 《黒割れの崖》 4 《竜髑髏の山頂》 4 《新緑の地下墓地》 1 《湿地の干潟》 -土地(23)- 4 《鼓動の追跡者》 4 《吸血鬼の裂断者》 3 《臓物の予見者》 4 《恐血鬼》 4 《カラストリアの貴人》 4 《マラキールの門番》 -クリーチャー(23)- |
4 《稲妻》 3 《電弧の痕跡》 4 《喉首狙い》 3 《四肢切断》 -呪文(14)- |
3 《躁の蛮人》 1 《皮裂き》 2 《圧壊》 1 《電弧の痕跡》 1 《破滅の刃》 3 《闇の後見》 4 《反逆の印》 -サイドボード(15)- |
「吸血鬼」デッキは日本にはあまり数がいないのですが、MO界では禁止カード適用前から勝ち組に属していました。1マナから流れるように展開されるクリーチャー陣は、一見パワー不足に見えるかもしれませんが、実際には十分な殺傷能力を秘めています。
Tier1、2のデッキ相手には良い勝負ができるのですが、唯一《燃え上がる憤怒の祭殿》入りの「赤単」だけは苦手としています。そのため、サイドに《躁の蛮人》を取って《燃え上がる憤怒の祭殿》を割れるようにしています。
《燃え上がる憤怒の祭殿》以外にも、「青黒テゼレイター」や《出産の殻》のようなアーティファクトを多用しているデッキが依然として存在していますし、近頃では《殴打頭蓋》がビートダウン用のサイドボードとして扱われているので、それを破壊するのにも便利です。
その《殴打頭蓋》は「吸血鬼」のサイドにも入っているのをよく見かけますし、他にも《シルヴォクの生命杖》などを使って「赤単」との相性を改善しようと試みている人もいます。
もしも現実世界でもMOくらいに「赤単」がいるのならば少し厳しいですが、そうでないのであれば、このデッキの存在も軽視しないようにしておきたいです。
「黒単コントロール」
25 《沼》 -土地(25)- 4 《大霊堂のスカージ》 4 《マラキールの門番》 4 《吸血鬼の夜鷲》 3 《ファイレクシアの抹消者》 1 《墓所のタイタン》 1 《ワームとぐろエンジン》 -クリーチャー(17)- |
4 《コジレックの審問》 2 《蔑み》 3 《血の署名》 3 《喉首狙い》 2 《四肢切断》 3 《鞭打ち悶え》 1 《リリアナ・ヴェス》 -呪文(18)- |
1 《呪詛の寄生虫》 1 《呪文滑り》 2 《吸血鬼の呪詛術士》 2 《皮裂き》 1 《ワームとぐろエンジン》 2 《強迫》 2 《ミミックの大桶》 2 《記憶殺し》 2 《黒の太陽の頂点》 -サイドボード(15)- |
このデッキは「吸血鬼」デッキというわけではないのですが、「黒単」系のデッキということで併せて紹介させていただきます。
MOで着実に数を増やしているのがこのような「黒単コントロール」で、ついには中国選手権のような大きめの大会でも結果を残すにいたりました。
このデッキのキーカードは《鞭打ち悶え》です。単体だと頼りない《大霊堂のスカージ》も、《吸血鬼の夜鷲》も、これさえあれば超が付く優良生物に成長します。これらのクリーチャーの持つ「絆魂」能力のおかげで、《鞭打ち悶え》や《血の署名》のペイライフも気兼ねなく払う事ができるようになるわけですね。
古来より「黒単」と言えば「赤単」に弱いものですが、このデッキは「絆魂」付きのクリーチャーが多いので、従来のものよりも好勝負が期待できると思います。このリストには3枚しか入っていませんが、《鞭打ち悶え》は間違いなく4枚採用されてしかるべきカードでしょう。
「青黒テゼレイター」
6 《沼》 4 《忍び寄るタール坑》 4 《闇滑りの岸》 4 《水没した地下墓地》 4 《墨蛾の生息地》 2 《地盤の際》 -土地(24)- 4 《呪文滑り》 1 《ファイレクシアの変形者》 4 《カルドーサの鍛冶場主》 1 《ワームとぐろエンジン》 1 《マイアの戦闘球》 1 《荒廃鋼の巨像》 -クリーチャー(12)- |
4 《永遠溢れの杯》 2 《太陽の宝球》 4 《コジレックの審問》 3 《喉首狙い》 2 《倦怠の宝珠》 2 《転倒の磁石》 2 《テゼレットの計略》 1 《精神隷属器》 4 《ボーラスの工作員、テゼレット》 -呪文(24)- |
3 《平和の徘徊者》 1 《ワームとぐろエンジン》 3 《強迫》 2 《見栄え損ない》 2 《倦怠の宝珠》 1 《破滅の刃》 1 《四肢切断》 2 《黒の太陽の頂点》 -サイドボード(15)- |
新環境後で今まで以上の活躍を見込めそうなのが「青黒テゼレイター」です。《カルドーサの鍛冶場主》入りとそうでないものがあるのですが、個人的には《カルドーサの鍛冶場主》入りの方が好みです。
理由としては多くのデッキ相手に、一度でも《カルドーサの鍛冶場主》を起動できれば有利になる、またはゲームに勝てる点が挙げられますね。
特に《精神隷属器》の威力はすさまじいの一言で、「赤緑《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》」にはもちろんのこと、対戦相手の戦場に《呪文滑り》がいるだけで、ゲームにほぼ勝ててしまいます。
《呪文滑り》は能力や呪文がスタック上にあるだけで何度でも起動できるので、《精神隷属器》影響下で、こちらが《墨蛾の生息地》を起動するだけで相手をライフ0か1に追いやることが可能です。
まだ完成形と呼べるリストは出ていないように思えますが、それでもかなり勝っているところを見ると、このデッキも次期環境で活躍が見込めるデッキと言えます。
《倦怠の宝珠》は「赤緑《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》」と「青赤《欠片の双子》」に強いものの、今は圧倒的に数が多い「赤単」に弱いカードなので、何枚採用するかが難しい1枚です。今のようなメタゲームが続くようであれば、Ceneさんのようにメインは2枚程度に抑えておくのがいいように思えますね。
最後にドローサポートとマナベースに関して少しだけ。
ドローサポートには《テゼレットの計略》ではなく《定業》を採用している人もいるのですが、《定業》の方がマリガンも減って便利に感じました。
《テゼレットの計略》は《永遠溢れの杯》と組み合わさった場合にのみ高い効果を得られますが、逆に言ってしまえば本当にそれだけです。特に後手の場合にはその重さが命取りになりかねませんし、サイド後に《黒の太陽の頂点》などの特定のカードを探す場合にも《定業》の方が優れているので、ドローサポートは《定業》がいいと思います。
土地構成に関しては、《カルドーサの鍛冶場主》入りのリストは《忍び寄るタール坑》を採用しない方がいいでしょう。
《忍び寄るタール坑》を入れたせいで《水没した地下墓地》もタップインになってしまう可能性が上がっていて、4マナ目や5マナ目がタップインになるというのは、このデッキにとって致命傷となるので、極力アンタップインの土地を採用したいですね。そのため、《忍び寄るタール坑》は《島》にするといいでしょう。
このデッキとは別に、アーティファクトを軸にしたデッキが結果を残していたので、そちらも紹介させていただきます。
「青茶単《大建築家》」
17 《島》 4 《墨蛾の生息地》 3 《地盤の際》 -土地(24)- 4 《呪文滑り》 4 《かき鳴らし鳥》 4 《大建築家》 3 《宝物の魔道士》 2 《ワームとぐろエンジン》 1 《トリスケリオン》 -クリーチャー(18)- |
4 《永遠溢れの杯》 4 《定業》 3 《伝染病の留め金》 4 《転倒の磁石》 2 《精神隷属器》 1 《伝染病エンジン》 -呪文(18)- |
3 《屍百足》 4 《瞬間凍結》 2 《漸増爆弾》 1 《四肢切断》 1 《冷静な反論》 1 《精神隷属器》 3 《殴打頭蓋》 -サイドボード(15)- |
こちらは何度か紹介している《大建築家》を軸にしたデッキです。今までとは違い、《呪文滑り》という最高の避雷針を手に入れたことで、《稲妻》やサイド後の《帰化》などに耐性が付きデッキパワーが上がっています。
とにかく「増殖」というキーワード能力をこれでもか、というくらいに味わえる面白いデッキなので、まだ使用したことのないみなさんはぜひ手にとってみてください。
最後に、僕の大好きな《出産の殻》を使った新しいデッキが出ていたので、そちらを紹介してお別れにしたいと思います。
「Twin Pod」
3 《森》 3 《島》 2 《山》 4 《怒り狂う山峡》 4 《銅線の地溝》 4 《霧深い雨林》 4 《沸騰する小湖》 -土地(24)- 4 《極楽鳥》 1 《呪詛の寄生虫》 4 《水蓮のコブラ》 4 《獣相のシャーマン》 1 《呪文滑り》 4 《詐欺師の総督》 1 《狡猾な火花魔道士》 1 《粗石の魔道士》 1 《躁の蛮人》 2 《復讐蔦》 1 《酸のスライム》 1 《霜のタイタン》 -クリーチャー(25)- |
4 《定業》 3 《出産の殻》 4 《欠片の双子》 -呪文(11)- |
3 《呪文滑り》 2 《酸のスライム》 1 《聖別されたスフィンクス》 3 《自然の要求》 2 《呪文貫き》 4 《ジェイス・ベレレン》 -サイドボード(15)- |
アメリカを代表するライターであるMike Floresが生み出したのは、「青緑赤《欠片の双子》」デッキに《出産の殻》を混ぜたハイブリッドデッキでした。
勝ち手段が多岐に渡るので、対戦相手としては非常に戦いづらいデッキになっています。《獣相のシャーマン》からの《復讐蔦》だったり、《出産の殻》を利用したボードコントロールだったり、《詐欺師の総督》+《欠片の双子》だったりと、その多彩な勝ち手段は実にいやらしいですね。
サイド後にはさらに拍車がかかり、その気になればコンボ要素も《出産の殻》も全て抜くことが可能で、普通の「青緑赤中速デッキ」に変身することもあります。相手が《神への捧げ物》などのアーティファクト破壊をサイドインしてきた場合は、《出産の殻》を抜いて《ジェイス・ベレレン》をサイドインするだけで相手の無駄カードを増やせますからね。
《詐欺師の総督》は《出産の殻》をアンタップできることや、サイド後に《ジェイス・ベレレン》と《聖別されたスフィンクス》が並んだ場面で《ジェイス・ベレレン》の+2能力を起動したら膨大なカードを引けたりと、小技が多いので使っていて楽しいのもいいですね。
今週は以上になります。ちょっとデッキ数が多かったので、全ての項目が満足のいく解説とはなりませんでしたが、先週と今週の記事を読んでいただければ、基本セット2012が入るまでの下準備はばっちりだと思います。
来週は日本選手権直前予選と本戦向けに、基本セット2012入りのTier1のデッキを見ていこうと思っているのでお楽しみに!
それでは、また来週ー!
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