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津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ
第58回:Caw-Bladeの裏側で・《欠片の双子》デッキ特集
読み物
津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ
2011.06.15
第58回:Caw-Bladeの裏側で・《欠片の双子》デッキ特集
こんにちはー!
日本選手権予選も半分以上を終え、そろそろ佳境にさしかかってまいりましたが、僕の記事が、まだ権利を取れていない方のお力になれば幸いです。
今週はようやくリストの固まってきた「《欠片の双子》」デッキと、そこから派生したデッキを中心に見ていきたいと思います。Magic Onlineで密かに流行の兆しを見せている注目のデッキタイプも紹介していますので、今週も最後までお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。
「青赤《欠片の双子》」
今週のデッキ紹介に移る前に、マジックウィークエンド・名古屋で行われた、これらのイベントの結果もご覧ください。
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そうです、少しずつではありますが、確実に「《欠片の双子》」が結果を残すようになってきているんです。
これはこのデッキが単純に強いデッキだということに他なりませんし、《焼却》のような専用カードが少しでも環境から減れば、このような結果を残せるという証明だと思います。
個人的にはこのデッキは「Caw-Blade」と肩を並べられるだけのデッキパワーがあると感じているので、「Caw-Blade」だけではなく、このデッキへの対策カードも忘れずに投入するようにしておきましょう。
それでは、デッキの解説に入らせていただきます。
10 《島》 8 《山》 4 《沸騰する小湖》 4 《地盤の際》 -土地(26)- 4 《呪文滑り》 4 《海門の神官》 4 《詐欺師の総督》 1 《業火のタイタン》 -クリーチャー(13)- |
4 《定業》 4 《マナ漏出》 3 《乱動への突入》 4 《欠片の双子》 2 《ジェイス・ベレレン》 4 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(21)- |
4 《呪文貫き》 4 《紅蓮地獄》 2 《焼却》 2 《粉砕》 1 《業火のタイタン》 1 《聖別されたスフィンクス》 1 《ワームとぐろエンジン》 -サイドボード(15)- |
最近ではMOでも数の増えてきた「青赤双子」デッキ。アメリカの有名なライターであるMike Floresが自身の記事上にアップして以来、瞬く間にこの形が急増しました。
そのFloresのバージョンには《呪文滑り》が入っていなかったのですが、そこだけ変更して廣澤君に紹介したところ、MOでの勝率がよかったようで、そのまま予選に持ち込んだそうです。
以前紹介した「タッチ黒」バージョンとの最も大きな違いは、マナベース面での安定感です。「タッチ黒」は《地盤の際》に弱く、黒マナを狙い撃ちされるとハンデスが使えず無抵抗になるシーンが多かったですが、基本土地が18枚(フェッチも含めると22枚)も入ったこのリストは対戦相手の《地盤の際》など意に介しません。
むしろ強固なマナベースを活かしてこちらが《地盤の際》を採用できますし、これはいつも言っている通り《地盤の際》のある環境下では、2色デッキが普遍的にとることができるアドバンテージと言えるでしょう。
しかしこれだけ綺麗なマナベースをしていても、実際のところ結構な確率で「色事故」は起こってしまいます。青と赤は友好色ではないので、《天界の列柱》のような土地がないのでこれは仕方のないことですね。
そのため、今のMOのリストは《山》を1枚削って《進化する未開地》にしています。青マナさえ出てしまえば、豊富に入っているドローサポートで色マナに困ることもなくなるので、この変更は悪くないと思います。
今まではあまり深く解説したことがなかったので、細かいカード選択も含めて見ていきましょう。
コンボ要員
ここは説明不要ですね。たったの2枚で対戦相手を投了に追い込む脅威のコンボ。当然、4枚未満はありえません。
実際に対戦してみると分かるのですが、このコンボがあるせいで対戦相手は常に除去やカウンター用のマナを立たせておく必要があります。隙を見せると返しのターンで負けてしまうので、あの《精神を刻む者、ジェイス》ですらキャストするのを躊躇せざるをえないのです。
このお手軽な2枚コンボは想像以上に対戦相手にプレッシャーがかかるので、「《欠片の双子》」デッキ側は《詐欺師の総督》のマナを残しておくだけで、対戦相手の動きを抑制できることも、このデッキの強みのひとつでしょう。
クリーチャー陣
4 《呪文滑り》
コンボを決める際に0マナで《詐欺師の総督》を守れる優秀なクリーチャー。《石鍛冶の神秘家》に《饗宴と飢餓の剣》や《戦争と平和の剣》が付いてもブロックできますし、最低でもメインに3枚は入れたいクリーチャーです。サイド後に飛んでくる《帰化》系のカードから《欠片の双子》を守ることも可能なので、少なくともサイドには4枚目を入れましょう。
逆に対戦相手側からこのカードを意識するならば、《呪文滑り》に対象を曲げられない《喉首狙い》を《破滅の刃》よりも優先するといいでしょう。《焼却》なら《呪文滑り》でも《払拭》でも大丈夫なので、このデッキが流行るのであれば、必須サイドカードと言えますね。
4 《海門の神官》
ドローサポートでありながら、コンボを稼ぐまでの時間稼ぎもできる、このデッキにうってつけの1枚です。一見頼りなさそうなんですが、使ってみるとその使い心地のよさに驚くと思います。
《詐欺師の総督》を引かない場合に、《欠片の双子》を付ける対象としても文句ないですね。
1 《業火のタイタン》
コンボ以外での勝ち手段、いわゆるプランBの役割を担う存在です。ビートダウン系のデッキがもっと増えるのならメインから2枚入れてもいいですが、僕は今のところその必要性を感じていないので、この枠を削って《乱動への突入》の4枚目にしています。
妨害手段
《マナ漏出》はコンボを邪魔してくる除去をかわすのにも使えますし、これらインスタントの多さがこのデッキの強さと言っても過言ではないので、僕は両方とも4枚採用することをお勧めします。
《乱動への突入》も、コンボデッキが使うバウンスは他のデッキのものとは違い、相手に動きづらくさせる役割が大きいので4枚で問題ないでしょう。対戦相手としては、ただでさえ即死コンボのあるこのデッキ相手にはタップアウトしづらい上に、そこにバウンスが絡めば、こちらとしてはなおのこと動きを抑制しやすくなりますからね。
《呪文貫き》の入ったリストも見かけますが、メインボードではブロッカーにもなる《呪文滑り》の方が優れていると思います。
ドローサポート
4 《定業》、2 《ジェイス・ベレレン》、4 《精神を刻む者、ジェイス》
少なくとも《定業》と《精神を刻む者、ジェイス》を4枚ずつ入れるのは確定なんですが、正直なところ、《海門の神官》を合わせた上記の14枚でもドローサポートが少なく感じていて、スペースがあるなら《予感》を入れたいくらいです。
とは言え、これ以上ドローサポートに枠を割くと、《呪文滑り》のような「対策カード対策」を減らさざるをえないので、14枚で我慢するのが賢明でしょう。
他に入れたいドローサポート候補としては、《ギタクシア派の調査》や《占いフクロウ》があります。
コンボ前や《精神を刻む者、ジェイス》のような大きめのアクションを取る前の安全確認に最適ですし、実際にMOではこれを入れたリストが結果を残しています。
前述の通りドローサポートの枠は14枚が限界なので、《ギタクシア派の調査》を入れるとしたら、《ジェイス・ベレレン》か《海門の神官》と入れ替えるのがいいでしょう。
ただしドローサポートという観点で見ると《ギタクシア派の調査》はいまいちなので、多くても2枚くらいにしておかないと、コンボの達成率が下がってしまうことに留意しておきましょう。あくまで安全確認程度と認識しておいてください。
サイドボード
4 《紅蓮地獄》
この枠は「白緑」、「ボロス」、「吸血鬼」のようなクリーチャーデッキ対策です。最近ではクリーチャーを横に並べるデッキも少ないこともあって、ミラーマッチを強く意識するなら、《四肢切断》にしてもいいですね。
4 《呪文貫き》
対コントロール全般で役に立ちますが、特に「青白コントロール」、「青黒コントロール」のようなアクションの大きめのデッキによく効きます。ハンデスを弾くのにも適していますし、一度見せるだけで相手の動きを抑制できる効果もあるのがいいですね。
2 《焼却》
ミラーマッチで、ほぼ確実にコンボを阻害できる優良除去です。対象が青と白いクリーチャー限定なので、《呪文滑り》で曲がることもないので便利です。
2 《粉砕》
「Caw-Blade」にはもちろんのこと、《呪文滑り》を入れてくるデッキには概ねサイドインします。《呪文滑り》だけを見るなら、《よじれた映像》でもいいのですが、やはり環境のアーティファクトの多さゆえに《粉砕》を採用したのでしょう。
サイドボード・追加の勝ち手段
1 《業火のタイタン》、1 《ワームとぐろエンジン》、1 《聖別されたスフィンクス》
この3種類は練習時間が取れなかったので決め切れなかったとのことですが、最も一般的なものは《業火のタイタン》ですね。先々週紹介した「白緑ビートダウン」のような相手にはそれ1枚だけで勝ててしまいます。
MOだと「吸血鬼」が多いので、除去耐性のある《ワームとぐろエンジン》を優先してもいいのですが、日本にはあまりいないのでその必要はないでしょう。廣澤君曰く、「赤単」系のデッキ相手にはコンボ要素を抜いてしまい、コントロールデッキにシフトすれば、相性がよくなるようなので、《ワームとぐろエンジン》を増量する必要性を感じなかったようです。
《聖別されたスフィンクス》は「Caw-Blade」や《精神を刻む者、ジェイス》を使用したデッキに強いですね。
サイド後は対戦相手も《四肢切断》や《焼却》のような除去を入れてくるので、メインボード戦よりもコンボを決めるのが難しくなるため、これら1枚で勝てるクリーチャー陣は必要不可欠な存在となります。
日本では「吸血鬼」のような黒除去を使ったデッキではなく、「Caw-Blade」と「白緑ビートダウン」のような《四肢切断》を使ったデッキが流行っているので、《ワームとぐろエンジン》ではなく、《業火のタイタン》と《聖別されたスフィンクス》を入れるといいでしょう。
《業火のタイタン》3枚、《聖別されたスフィンクス》1枚というバランスがいいと思います。
僕はこの「青赤」2色のバージョンが好きなのですが、近頃ではこのデッキの研究も進んで、「タッチ黒」だけに限らず様々なバージョンが結果を残すようになりました。
そんな中でも、今最も話題になっているのはこのバージョンでしょう。
「Twin-Blade」
3 《島》 3 《山》 2 《平地》 4 《天界の列柱》 4 《金属海の沿岸》 4 《乾燥台地》 4 《沸騰する小湖》 2 《氷河の城砦》 -土地(26)- 4 《石鍛冶の神秘家》 2 《呪文滑り》 4 《詐欺師の総督》 -クリーチャー(10)- |
4 《定業》 3 《呪文貫き》 3 《稲妻》 2 《マナ漏出》 2 《乱動への突入》 3 《欠片の双子》 1 《饗宴と飢餓の剣》 1 《戦争と平和の剣》 1 《殴打頭蓋》 4 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(24)- |
3 《精神的つまづき》 1 《稲妻》 3 《紅蓮地獄》 3 《神への捧げ物》 2 《焼却》 1 《呪文滑り》 2 《太陽のタイタン》 -サイドボード(15)- |
環境で最も強い「Caw-Blade」に《欠片の双子》コンボを取り入れたのがこちらのリストになります。良いデッキ名が思い浮かばなかったので非常にださい名前になっていますが、それとは裏腹に強さは本物です。
《詐欺師の総督》+《欠片の双子》コンボ入りの「青緑赤Turboland」の時にも言いましたが、この手のデッキのいいところは、試合途中まで相手に「即死コンボ」が入っていると悟られないところにあります。
普通にプレイしていれば「Caw-Bladeタッチ赤」にしか見えないので、対戦相手を容易に惑わすことができます。
タッチ赤することで採用可能になった《稲妻》も、「Caw-Blade」「白緑ビートダウン」「赤単」系全てに有用なカードなのも、タッチ赤の大きなメリットと言えます。特に最近大流行中の《ミラディンの十字軍》を僅か1マナで除去出来るのは優秀ですね。
《稲妻》では対戦相手の《欠片の双子》コンボに無力ですが、サイドボードから《焼却》を入れることでこれを補っています。
サイドボードの《精神的つまづき》は用途が限定されているものの、《コジレックの審問》や《強迫》のようなハンデスによく効きますし、青マナの少ないこのデッキだと《呪文貫き》のようにマナを構える必要がないのも高評価ですね。
《欠片の双子》コンボの強さはこれだけにとどまらず、更にこんなバージョンも現れています。
「シャーマンの欠片」
4 《森》 4 《島》 3 《山》 4 《銅線の地溝》 4 《霧深い雨林》 4 《沸騰する小湖》 3 《怒り狂う山峡》 -土地(26)- 4 《極楽鳥》 4 《獣相のシャーマン》 4 《水蓮のコブラ》 1 《呪文滑り》 4 《詐欺師の総督》 2 《海門の神官》 1 《躁の蛮人》 3 《復讐蔦》 1 《ムル・ダヤの巫女》 1 《酸のスライム》 1 《業火のタイタン》 -クリーチャー(26)- |
4 《欠片の双子》 4 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(8)- |
1 《躁の蛮人》 3 《強情なベイロス》 1 《酸のスライム》 2 《業火のタイタン》 4 《マナ漏出》 4 《内にいる獣》 -サイドボード(15)- |
こちらは全く新しいアーキタイプと言える、《獣相のシャーマン》を軸に据えためずらしいタイプの《欠片の双子》デッキです。
《獣相のシャーマン》+《復讐蔦》という基本セットに加え、《獣相のシャーマン》のおかげで《欠片の双子》と相性の良い《躁の蛮人》《酸のスライム》《業火のタイタン》のようなカードを状況に応じて手札に加えられるようになっています。
このデッキも普通に使えば「即死コンボ」内蔵と気付かれないので、相手の隙が大きくなったタイミングでコンボを仕掛けることができますね。
サイドボードに潜む《マナ漏出》と《内にいる獣》も非常にいやらしい存在です。《獣相のシャーマン》を使ったデッキがカウンターを使うと、《審判の日》や《黒の太陽の頂点》のような致命的なスペルが弾かれてしまうので、ぶんまわってしまうと全く手がつけられなくなります。
《内にいる獣》は、メインでは《呪文滑り》しかなかったミラーマッチへの解答になりますし、このような中速のデッキは相手のビーストトークンが全く気にならないので、デメリットなしの完全除去のように機能しますね。
今回紹介したものと、環境初期ではベストの選択肢に思えた「タッチ黒」を比較してみると、マナベースに大きな差があると感じています。「タッチ黒」最大のデメリットとして、《闇滑りの岸》と《黒割れの崖》が4枚ずつ入っていることが挙げられます。
当たり前なのですが、これらが8枚入っているということは、4枚目以降の土地がかなりの確率でタップインになることを意味します。
そうなれば《精神を刻む者、ジェイス》の設置が遅れてしまったり、せっかく4ターン目に《詐欺師の総督》+《欠片の双子》コンボが揃っていても、キャストできないなんてことになりかねません。
僕は環境を問わず、ビートダウンデッキ以外のデッキでこれら「ミラディンの傷跡」ランドを8枚入れるのには反対です。環境に《地盤の際》があることも足かせですし、そのようなデッキを作るなら、「Dark-Blade」くらい軽いカードを大量に詰め込んだデッキ構築をすべきだと思います。
そのような理由からも、今回紹介した3つのリストは非常にお勧めです。「《欠片の双子》」デッキの強さは間違いなく本物ですし、あとはデッキ構築段階でどう工夫するかと、いかに適切なタイミング、端的に言えばこのデッキがメタられていない時に使えるか次第だと思います。
それと、これらのデッキが良い例ですが、これからは青と赤という組み合わせのデッキを見たならば、その時点で《詐欺師の総督》+《欠片の双子》コンボを意識するようにしましょう。「Caw-Blade」が最も良い例ですが、《四肢切断》がある今現在、《稲妻》ぐらいではタッチ赤にする理由として十分ではありませんからね。
《欠片の双子》デッキ解説は以上になります。
お次は「ミラディンの傷跡」ブロック構築でも猛威を振るっているこのデッキをご覧ください。
「白単《鍛えられた鋼》」
15 《平地》 4 《墨蛾の生息地》 3 《地盤の際》 -土地(22)- 4 《羽ばたき飛行機械》 4 《信号の邪魔者》 4 《呪詛の寄生虫》 4 《鋼の監視者》 4 《ファイレクシアの破棄者》 -クリーチャー(20)- |
3 《オパールのモックス》 4 《急送》 4 《きらめく鷹の偶像》 4 《鍛えられた鋼》 3 《黄金のたてがみのアジャニ》 -呪文(18)- |
4 《倦怠の宝珠》 3 《レオニンの裁き人》 3 《コーの火歩き》 2 《コーの奉納者》 3 《屈折の罠》 -サイドボード(15)- |
ブロック構築で圧倒的な強さを誇る、《鍛えられた鋼》での強化をメイン戦略にした、「白茶単ビートダウン」がスタンダードにも活躍の幅を広げてきました。
このデッキの爆発力はすさまじいものがあるのですが、特に《オパールのモックス》を絡めた展開は圧巻の一言です。
しかし「爆発力がすごい」と言うことは、その半面で安定性が低くなってしまうという欠点も付きものですが、このデッキは普通ならば入っているのが当たり前の《メムナイト》が入っていなかったりと、多少なりとも安定性を上げようと工夫されているのが伺えますね。
以前からこのアーキタイプは見かけていたのですが、「新たなるファイレクシア」で《急送》という完全除去と、プレインズウォーカーや《転倒の磁石》対策にもなる《呪詛の寄生虫》を得たことで、デッキパワーが格段に上がった点は見逃せません。
《急送》は普通のデッキでは《ぐるぐる》でしかありませんが、このデッキだとあの《剣を鍬に》を超える除去になります。
それに加え、環境から《審判の日》が減っていることも、このデッキにとって大きな追い風です。このデッキは全体的にマナコストが軽いので、手数が非常に多いんです。そのため、《神への捧げ物》のような1対1しかしない単体除去ならば、それをものともせず手数で圧倒することが出来ます。
「ボロス」「吸血鬼」のような「真面目な」ビートダウンデッキ相手にも、軸が違うので展開次第ではありますが相性はいいと思います。
このデッキが示すように、時間の経過とともに、「新たなるファイレクシア」の加入で誕生した新デッキが目立つようになってきました。ちょうど「白単」つながりでMOで勝っている面白いデッキがあったので、ついでに紹介させていただきます。
「白単装備ウィニー」
18 《平地》 4 《墨蛾の生息地》 -土地(22)- 4 《戦隊の鷹》 3 《闘争の学び手》 4 《石鍛冶の神秘家》 4 《純鋼の聖騎士》 4 《ファイレクシアの変形者》 -クリーチャー(19)- |
4 《四肢切断》 3 《皮剥ぎの鞘》 3 《バジリスクの首輪》 4 《迫撃鞘》 1 《肉体と精神の剣》 1 《饗宴と飢餓の剣》 1 《戦争と平和の剣》 2 《殴打頭蓋》 -呪文(19)- |
4 《呪文滑り》 4 《コーの火歩き》 1 《コーの奉納者》 3 《使徒の祝福》 2 《神への捧げ物》 1 《骨溜め》 -サイドボード(15)- |
先週末に行われたプロツアー・名古屋(ブロック構築)で、殿堂入りプレイヤーであるRob Doughertyが使用していたリストと同じコンセプトで作られたのがこちらのリストです。
このデッキのキーカードは《純鋼の聖騎士》です。装備品が自身の戦場に出る度にカードが引けるのですが、この能力で注目すべき点は、「キャストしたとき」ではなく「戦場に出たとき」であるところです。
つまり《石鍛冶の神秘家》の能力で戦場に出してもカードが引けるんですね。《石鍛冶の神秘家》がいない時は、装備品を普通にキャストするしかないので、装備品がカウンターされるとカードが引けないというデメリットはありますが、《石鍛冶の神秘家》との相性の良さに比べたら本当に些細なことでしかありません。
このデッキはとにかく《純鋼の聖騎士》を上手く使える構成を目指しており、スタンダードではなかなかお目にかかれない《皮剥ぎの鞘》のような装備品まで入っています。
《ファイレクシアの変形者》も、装備品をコピーすれば、装備品として戦場に出ることになるので、《純鋼の聖騎士》でカードを引くことができます。
おそらくではありますが、みなさんは《純鋼の聖騎士》に対してあまり良い評価を下していないかもしれません。しかしこのカードは想像以上に強いです。そのドロー能力でデッキの潤滑油になるのはもちろんのこと、一見地味に見える「金属術」達成後の「0マナで装備できる」能力も馬鹿げた強さを誇ります。《殴打頭蓋》や各種剣などが0マナになってしまうと、今までには体験したことのない、別次元のゲームを味わうことができます。
サイドボードの《使徒の祝福》は、クリーチャーに限らず《帰化》系のカードから装備品も守れる非常に優秀なインスタントです。《呪文滑り》と合わせて、《帰化》系のカードに強くなったことも、このデッキ躍進の理由でしょう。
しかし《使徒の祝福》はサイドボーディング時に入れ替えるカードが難しいので、それよりも《太陽のタイタン》の方が汎用性があっていいと感じました。それかサイド後に剣を1枚ずつ増量するのもいいですね。
特に「Caw-Blade」を相手取る場合、《使徒の祝福》がない時に《戦争と平和の剣》を割られてしまうと、そのゲーム中に2度と「プロテクション(白)」を付けられないとなると、ゲーム展開に大きく支障が出ます。
そのため、個人的には後引きでも大丈夫な《太陽のタイタン》か、各種剣の増量が好ましいと思いました。
《純鋼の聖騎士》と《石鍛冶の神秘家》に依存している感は否めませんが、「Decks of the Week」で4-0しているのをよく見かけるこのデッキは、これからの注目株と言っていいのではと思います。
最後に、このデッキから派生したデッキを一押しとして紹介してお別れしましょう。
「今週の一押し」~「白青装備ウィニー」
5 《平地》 4 《氷河の城砦》 4 《金属海の沿岸》 3 《乾燥台地》 4 《墨蛾の生息地》 -土地(20)- 4 《羽ばたき飛行機械》 2 《コーの決闘者》 4 《呪文滑り》 4 《純鋼の聖騎士》 4 《石鍛冶の神秘家》 -クリーチャー(18)- |
3 《オパールのモックス》 4 《定業》 3 《予言のプリズム》 2 《先読み》 2 《肉体と精神の剣》 2 《饗宴と飢餓の剣》 2 《戦争と平和の剣》 2 《殴打頭蓋》 2 《滞留者ヴェンセール》 -呪文(22)- |
3 《コーの火歩き》 3 《急送》 3 《天界の粛清》 3 《神への捧げ物》 3 《審判の日》 -サイドボード(15)- |
先程のリストに青を加えたものなんですが、その青い部分は驚きの《滞留者ヴェンセール》です。
《滞留者ヴェンセール》さんの能力によって、ターン終了時に装備品が戦場に出る際にも《純鋼の聖騎士》でドローができるわけなんですが、これはいささかやりすぎ感が漂います。
しかしアーティファクトを多用することによって、サイドに《急送》を取れたりといった付加効力もありますし、何と言っても楽しさには拍車がかかっているので良しとしましょう。
今回紹介したふたつの「装備ウィニー」には、ぜひとも《ミラディンの十字軍》を入れたいですね。
すでにMOでは値上がりし始めている《純鋼の聖騎士》。みなさんもぜひ今のうちにチェックしてみてくださいね!
来週は引き続き日本選手権予選の結果を追っていくのに加え、MOで当たった非常に面白いデッキを紹介しようと思います。ヒントは「ミラディンの傷跡」ブロック構築でそこそこ有名なデッキです。
それでは、また来週ー!
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