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戦略記事

津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ

第50回:王者の風格・Caw-Blade特集

読み物

津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ

2011.04.20

第50回:王者の風格・Caw-Blade特集


 こんにちは~。

グランプリ・神戸

 延期されていたグランプリ・神戸もいよいよ今週末に迫ってまいりました。みなさん満足のいく調整は出来ましたか?
 僕の記事の内容は相変わらずスタンダードなんですが、現在は日本選手権予選真っただ中ですし、エクステンデッドだけでなく、スタンダードも頑張っていきましょう!

 今週は先週の続きで、グランプリ・ダラスでトップ8に残ったもうひとつのデッキである、「Caw-Blade」を見ていきます。一押しでは物珍しい、僕の大好きなカラーの「グリクシス・コントロール」を紹介していますので、今週も最後までお付き合いの方よろしくお願いいたします。


「Caw-Blade」

David Shiels
グランプリ・ダラス/フォートワース2011 / 優勝[MO] [ARENA]
4 《
4 《平地
4 《天界の列柱
4 《氷河の城砦
4 《金属海の沿岸
1 《沸騰する小湖
4 《地盤の際
1 《墨蛾の生息地

-土地(26)-

4 《戦隊の鷹
4 《石鍛冶の神秘家

-クリーチャー(8)-
4 《定業
3 《呪文貫き
2 《糾弾
3 《マナ漏出
1 《乱動への突入
2 《転倒の磁石
2 《審判の日
1 《迫撃鞘
1 《饗宴と飢餓の剣
4 《精神を刻む者、ジェイス
3 《ギデオン・ジュラ

-呪文(26)-
1 《悪斬の天使
1 《太陽のタイタン
1 《糾弾
2 《未達への旅
2 《神への捧げ物
2 《瞬間凍結
1 《剥奪
1 《審判の日
2 《決断の手綱
1 《シルヴォクの生命杖
1 《饗宴と飢餓の剣

-サイドボード(15)-

 言わずと知れた「Caw-Blade」です。少し前まではタッチ黒の「Dark-Blade」の隆盛が話題になっていましたが、今回のグランプリに残った4つは、いずれも純正2色のものでした。
 4人ものプレイヤーがトップ8に残ったのですが、そこまで大きな差はなかったように感じられたので、優勝者のリストに焦点を当てていきたいと思います。


メインデッキの構成

 このデッキも先週紹介した「青緑赤Turboland」と同じく、MOの流行を取り入れています。メインボードから採用された《糾弾》《迫撃鞘》《乱動への突入》、そして今のメタゲームを象徴する《転倒の磁石》がそれにあたりますね。

 《糾弾》はビートダウンデッキに限らず、ミラーマッチでも《饗宴と飢餓の剣》付きのクリーチャーに対して良い仕事をしてくれます。

 《迫撃鞘》も《糾弾》と同じく、対ビートダウン、特にタフネス1を多用する「ボロス」によく効きますし、これまたミラーマッチでも優秀で、《戦隊の鷹》絡みの攻防で重要な役割を担います。
 更に「青緑赤Turboaland」のキーカードであり、このデッキが最も苦手としている2マナ域である《水蓮のコブラ》を除去出来る貴重なカードでもありますね。

 《乱動への突入》は相手の《饗宴と飢餓の剣》を戻せばテンポアドバンテージを取れますし、コントロール対決における、プレインズウォーカー先出し有利の状況を入れ替えることができます。
 カウンターが無かったりで通ってしまった相手のプレインズウォーカーをこれでバウンスして、同じ名前のプレインズウォーカーをこちらが出してしまえば、今度は対戦相手がプレインズウォーカーを対消滅などで対処するために、メインフェイズで大量のマナを使った状態で、こちらは次のターンを迎えられるというわけですね。

 《転倒の磁石》は多様なデッキで使われるようになった優秀な疑似除去ですが、特に《饗宴と飢餓の剣》を始めとする装備品相手には恐ろしい力を発揮します。

 しかし《糾弾》と《転倒の磁石》を採用した弊害として、《水蓮のコブラ》を対処できるカードがデッキ内にほとんどなくなってしまっています。
 第41回の連載で少し触れたのですが、《糾弾》と《失脚》《未達への旅》の最も大きな違いは、《水蓮のコブラ》《獣相のシャーマン》のようなシステムクリーチャーに対処できるかどうかです。
 今までのメタゲームなら、《水蓮のコブラ》はともかく《獣相のシャーマン》はほとんど見かけることがなかったので《糾弾》で問題なかったんですが、「青緑赤Turboland」のような《水蓮のコブラ》の入ったデッキが今以上に流行るようならば、これからは除去を《糾弾》以外のものにする必要が出てくるでしょう。
 逆に「青緑赤Turboland」側としては、《糾弾》が流行っている間は、不用意なアタックで《水蓮のコブラ》を失わないように注意しておきましょう。

 それ以外で目を引く部分として、1枚だけ採用された《墨蛾の生息地》が挙げられます。
 「Decks of the Week」にも《地盤の際》ではなく《墨蛾の生息地》を採用しているリストがあるのですが、今のところ《地盤の際》よりも優先することはないように思えます。
 《地盤の際》の有無で「赤緑《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》」相手には大きな差が出ますし、「Caw-Blade」や「青黒コントロール」の使っているミシュラランドを壊せるカードがあるかどうかは、こちらのプレインズウォーカーが生き残りやすいかどうかという重要な問題に直結します。

 少し脱線しますが、「Caw-Blade」と「Dark-Blade」最大の相違点こそが正にそれです。
 純正2色のデッキの魅力は、その強固なマナベースにあり、そのおかげで《地盤の際》を4枚採用することが可能となっています。
 反対に「Dark-Blade」は《地盤の際》を諦めてまで《コジレックの審問》や《喉首狙い》といった2色にはない魅力を追及しているわけなんですが、今はまだ、一概にどちらがいいかは判断しかねますね。
 僕の好みとしては、純正2色の「Caw-Blade」が好きですが、黒には黒の良さがあるのも事実です。

 本題に戻って《墨蛾の生息地》を見ていきましょう。当然のことながら、これは「毒殺」を狙っての採用ではなく、《饗宴と飢餓の剣》との相性の良さを買っての採用です。

 《饗宴と飢餓の剣》が無ければ大したことはないのですが、逆に《饗宴と飢餓の剣》が戦場にある時は大きなプレッシャーになります。今までは5枚目の無色ランドの枠には《惑いの迷路》が採用されている事が多かったのですが、《墨蛾の生息地》も、十分に検討の余地のあるカードだと思います。

 しかしながら土地の総数が26枚で無色ランドが5枚というのは、《定業》があると言えど本当にギリギリのマナベースなので、ここはみなさんも自分の手に馴染む形を追求してみてください。


「最も良いマッチアップは?」

 デッキの構成はもちろんなんですが、僕が最も感銘を受けたのは、優勝者の残した、トップ8プロフィール欄のコメントでした。
 「最も良いマッチアップは?」という質問に対し、なんと優勝者は「ミラーマッチ」と答えたのです!

 「Caw-Blade」のミラーマッチをやった事がある方ならば納得していただけると思うのですが、この試合は難解を極めます。グランプリ・ダラスの前日にMOでSam Blackと当たりましたが、彼もこの意見には同意してくれましたし、本当に難しいゲームだと思います。
 しかし優勝者は同系を「最も当たりたい相手」と語っており、実際に決勝ラウンドで昨年のアメリカ選手権王者であるJosh Utter-Leytonとのミラーマッチを2-0で制しています。

 僕の力量では、現段階で何が重要かをあまり多く語ることができないのですが、その秘訣は、今回の優勝者のリストにあるのかもしれません。先程紹介したカード達は、全てミラーマッチで活躍しますし、サイドボードにもミラーマッチで優秀なカードが数多く採用されています。

 それでは、そのサイドボードの紹介に移りたいと思います。


サイドボードの分析

 まずはミラーマッチで強いカードの紹介から。


2 《神への捧げ物

 このカードは個人的に必須だと思っています。こちらが先手の場合は、《石鍛冶の神秘家》を出して《饗宴と飢餓の剣》付きのクリーチャーで先にアタックできるのであまり問題ないのですが、こちらが後手の場合は立場が逆になります。
 この嵌めパターンを回避するには、《糾弾》《乱動への突入》《転倒の磁石》などのカードを引いている必要があるのですが、後手で3ターン目に《転倒の磁石》にトライすると、仮に設置に成功したとしても、返しの相手のターンの《精神を刻む者、ジェイス》に無抵抗になってしまうので、後手の場合は特に慎重な対処が求められます。

 ここで《糾弾》や《乱動への突入》を使用したとすると、先手後手が入れ代わるのですが、これはどちらも《石鍛冶の神秘家》を引いてる時の話だということに留意してください。仮に相手だけが《石鍛冶の神秘家》を引いている場合、上記のカードを使用したとしても、一時的な時間稼ぎにしかなりませんし、《饗宴と飢餓の剣》のプレッシャーから逃れることはできません。

 しかしこれが《神への捧げ物》ならどうでしょう? 《石鍛冶の神秘家》こそ残ってしまいますが、装備品さえきっちり対処すれば所詮はただの1/2クリーチャーでしかないのです。

 少し前ならば、アーティファクトの総数が少なかったため、《神への捧げ物》が無駄カードになってしまう可能性もあったのですが、今は《転倒の磁石》がほぼ確定で使われていることもあり、ターゲットに困らなくなった事も、このカードの採用を後押ししています。

 前述の通り僕はこのデッキのミラーマッチは非常に難しいマッチアップだと考えています。そのため、ミラーマッチの際にプランが構築しやすく、「ボロス」デッキに入っている《骨溜め》に対して最も効果的な解答であるこのカードは、「Caw-Blade」のサイドボードを作るにあたって、真っ先に採用されるべきカードではないかと思います。


1 《太陽のタイタン

 このカードの説明に入る前に、少しだけ「Caw-Blade」の特徴を解説させていただきます。

 「Caw-Blade」というデッキの長所は、端的に言うとメインボード戦では《饗宴と飢餓の剣》がほとんど対処されないことです。
 他のデッキにも効くカードで、メインから《饗宴と飢餓の剣》に効果的なカードは《漸増爆弾》と《転倒の磁石》くらいのものですが、《漸増爆弾》は「青黒コントロール」しか搭載していないですし、《転倒の磁石》は使用回数に制限があります。
 そのため、一旦戦場にさえ出してしまえば、《饗宴と飢餓の剣》自体を対処されることはないので、《戦隊の鷹》や《墨蛾の生息地》も驚異的なクリーチャーに化けます。
 そして《饗宴と飢餓の剣》のハンデス能力が相手の選択肢を狭め、土地をアンタップする能力で毎ターン確実にカウンターマナを構えられるようになり、動くしかない対戦相手に出来る事と言えば、こちらにカウンターがないことを祈るくらいになります。

 つまり対戦相手としては待っていても手札が減っていくだけなので、序盤から中盤戦にかけて《饗宴と飢餓の剣》が機能している場合、対戦相手は必然的に短期決戦を挑まざるを得なくなります。このパターンは「Caw-Blade」が望む絶好の展開です。

 しかしこれは逆説的に言うと、このデッキの長期戦の弱さを示唆しているとも言えます。対ビートダウンの場合はゲームを長引かせ、ゲームを掌握するプランを実行することになりますが、対コントロールはどちらかというとこちらが攻める側にまわります。メインボードに確定カウンターは入っていませんし、長期戦でも強いパーツはプレインズウォーカーくらいのものですからね。
 ではなぜこのデッキがこれほどまでに強いかと言うと、最初に述べた通り、メインボード戦では《饗宴と飢餓の剣》がほとんど対処されないので、《饗宴と飢餓の剣》戦略が概ね成り立ってしまうからです。

 ですがTier1の最上位に位置するこのデッキに対し、サイドボード後はどんなデッキだろうと何かしら《饗宴と飢餓の剣》を対処できるカードをサイドインしてきます。《自然の要求》や《神への捧げ物》《圧壊》がそれにあたりますね。
 これが何を意味するかと言いますと、サイド後はメイン戦と比べてゲームが長引く傾向があるということです。

 《太陽のタイタン》と《決断の手綱》は、それを見越したチョイスと言えるでしょう。
 《太陽のタイタン》は上記の《帰化》系のカードにも耐性がありますし、《饗宴と飢餓の剣》ではなく、装備先のクリーチャーを狙ってくる「青黒コントロール」や「吸血鬼」のようなデッキ相手にはクリーチャーを回収して、プレッシャーを与え続けることもできます。

 今回の優勝者のリストのように、サイド後は長期戦に強いカードを2~3枚入れておくと、サイド後の勝率も高く維持できると思います。


2 《決断の手綱

 優勝者のリストで最も驚いたのは、2枚の《決断の手綱》を採用したところです。
 前述の通り長期戦に強くなるパーツの中でも最上級のものですし、実際に優勝者はミラーマッチで対戦相手の《太陽のタイタン》を奪って勝利しています。
 今はミラーマッチを意識すると、《存在の破棄》よりも《神への捧げ物》を優先せざるを得ないので、エンチャントは割られることが皆無なのも、見逃せないポイントです。青いデッキ対決では、カウンターくらいしか対処法がないので、このカードはお勧めです。
 なお、メインボードに1枚だけ入っている《乱動への突入》は、対戦相手の《決断の手綱》に対するベストな解答であることも明記しておきます。

 しかしメインボードに強気に無色ランドを5枚搭載しているので、マナベースだけは少し気になりますね。そのため、サイド後は《定業》で青マナの出る土地をしっかりと確保することを意識するといいですね。


1 《剥奪》、2 《瞬間凍結

 この2種類も、長期戦で重宝する確定カウンターです。「赤緑《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》」に対して、もう少しサイドの枠を取りたいので、《悪斬の天使》などを削ってもいいかもしれません。


1 《悪斬の天使》、1 《シルヴォクの生命杖》、1 《糾弾》、2 《未達への旅》、1 《審判の日

 これらは見たまんまビートダウン対策です。このデッキで対ビートダウンを15~20マッチほどやりましたが、マッチは1回も落としませんでした。それはこのデッキが、一般的なリストよりも多めにビートダウン対策に枠を割いているからでしょう。メインボード戦を負けることはそれなりにありますが、これくらいのサイドボードがあると、余裕を持って2、3本目に挑めます。

 特に《シルヴォクの生命杖》は本当に素晴らしいカードで、メタゲームに《水蓮のコブラ》が減ってビートダウンがもっと多くなるのなら、メインの《迫撃鞘》と入れ替えた方がいいと思います。

 《未達への旅》はその《水蓮のコブラ》を除去できるナイスサイドカードですね。
 《糾弾》の追加分が優先されているのは、以前にもお話ししたように、1マナのカードは対ビートダウン相手に重要な役割を担うからです。ビートダウンデッキを相手取る場合、1マナと2マナには天と地の差があるので、《水蓮のコブラ》デッキよりも「ボロス」や「吸血鬼」のようなビートダウンに勝ちたいのなら、1マナのカードを増量するだけでグッと勝率が上がります。


1 《饗宴と飢餓の剣

 《太陽のタイタン》の項目でお伝えした通り、サイド後は《饗宴と飢餓の剣》は破壊されてしまいます。またはサイド後は増量されたハンデスで《饗宴と飢餓の剣》を狙い撃ちにされたりもしますし、そんな時に2体目以降の《石鍛冶の神秘家》でサーチするべき対象がないと対コントロール戦で厳しいので、《肉体と精神の剣》かどちらかはあった方がいいでしょう。

 ちなみに、剣を2枚以上採用していると、《転倒の磁石》に対して多少の耐性が付きます。2体のクリーチャーにそれぞれ剣を装備すれば、対戦相手の戦場に《転倒の磁石》があろうともどちらかが通りますからね。
 なので、メインから《転倒の磁石》に耐性を付けたい場合は、サイドではなくメインに2枚目の剣を入れておくと吉です。


ケーススタディ~「Caw-Blade」のプレイング

 最後に、最近の僕の趣味(?)である、MOで実際にやった変なプレイングを紹介します。みなさんならどうするかも考えてみてください。

 現在は僕のターンの第1メインフェイズで、こちらの戦場には忠誠度:5の《精神を刻む者、ジェイス》、忠誠度:2の《ギデオン・ジュラ》と土地が7枚(《天界の列柱》有り)。手札には《饗宴と飢餓の剣》と土地だけでライフは8です。

 相手のデッキは「ボロス」で、戦場には4点分のクロック(《戦隊の鷹》が3体と《石鍛冶の神秘家》が1枚)がありますが、クリーチャーは全てタップ状態です。手札は1枚でライフは18。忠誠度:2の《ギデオン・ジュラ》が生きているので、相手の手札が火力でないことは明らかになっています。

 こちらはすでにゲームの流れを掴んでいる状態なので、あとほんの少しの時間を稼げば勝利できるでしょう。しかし仮に《精神を刻む者、ジェイス》の《渦まく知識》を使って有効牌がなかった場合、《ギデオン・ジュラ》が死んでしまうかもしれない上に次のターンのドローにもあまり期待できないため、一気に劣勢になってしまいます。《送還》能力を使った場合も、相手が火力や装備品を引いてしまうと《ギデオン・ジュラ》が死んでしまうので、あまりいいプランとは思えませんでした。

 セオリーとしては、このターンの行動を決める前に《精神を刻む者、ジェイス》で《渦まく知識》を使いそうなものですが、みなさんならどうしますか?


 僕の選んだ行動は、《ギデオン・ジュラ》をクリーチャー化し、《饗宴と飢餓の剣》を付けてからアタック。アタックは無事に成功して、全ての土地がアンタップしました。

 なぜこの場面でアタックしたか、と言いますのも、最初は《精神を刻む者、ジェイス》で《渦まく知識》をしようと思っていたんですが、よくよく考えると《精神を刻む者、ジェイス》で《ギデオン・ジュラ》をバウンスできることに気付いたからです。

 こうすることで、再キャストした《ギデオン・ジュラ》はまた能力を使えるので、忠誠度が当初の2から8へと大幅に増えますし、不確定な《渦まく知識》《送還》に賭けるよりもいいプランかなと思い、実行してみました。

 次のターンからは《天界の列柱》が攻防に使えますし、相手がブロッカーを引いた場合は《精神を刻む者、ジェイス》でそれを《送還》し、《ギデオン・ジュラ》と共に殴れば、おそらくゲームに勝てます。
 僕はかなりの回数《精神を刻む者、ジェイス》と《ギデオン・ジュラ》を入れたデッキをプレイしていますが、このようなプレイングをしたのはこれが初めてでした。
 素直に《渦まく知識》でもよかったかもしれませんが、たまにはこんな選択肢もあるという事で、みなさんも機会があればやってみてください。


 なかしゅーさん情報によりますと、プロツアー・横浜チャンプで、先々週のグランプリ・バルセロナでもトップ8入りしたWafo-Tapaは、「青黒コントロール」を使用する際、多くのマッチで後手を取るようですし、プレイングもデッキ構築も、スタンダードにはまだまだ隠れたテクニックがたくさんあると思います。みなさんも、ぜひご自身の手でそれを見つけてみてください!


 優勝者のデッキ解説はこの辺にして、最後に一押しを紹介してお別れしましょう。




「今週の一押し」~「グリクシス・コントロール」



Alex Muhich
グランプリ・ダラス/フォートワース2011 / 2日目進出[MO] [ARENA]
8 《
2 《
4 《忍び寄るタール坑
4 《闇滑りの岸
2 《竜髑髏の山頂
4 《沸騰する小湖

-土地(24)-

4 《業火のタイタン
1 《カルドーサのフェニックス

-クリーチャー(5)-
4 《永遠溢れの杯
4 《太陽の宝球
2 《予言のプリズム
4 《感電破
4 《転倒の磁石
3 《金屑の嵐
4 《ボーラスの工作員、テゼレット
3 《精神を刻む者、ジェイス
3 《槌のコス

-呪文(31)-
1 《ワームとぐろエンジン
3 《コジレックの審問
4 《瞬間凍結
2 《破滅の刃
1 《喉首狙い
1 《紅蓮地獄
3 《黒の太陽の頂点

-サイドボード(15)-


 どうやら広い世の中、僕以外にも「グリクシス」マニアはいるようで、見事にグランプリ2日目進出を果たしています。
 このデッキは斬新かつ繊細なデッキに仕上がっています。それなりの回数使いましたが、マナベースに不備は見当たりませんし、マナ関係以外のカードもよく選別されていると思います。

 基本的には《永遠溢れの杯》か《太陽の宝球》から3ターン目にいずれかのプレインズウォーカーをキャストし、除去でバックアップしていく動きになります。
 ただでさえ強力なプレインズウォーカーたちが、いつもより1ターン早い3ターン目に登場すると、いずれも凶悪さに拍車がかかりますが、中でも極悪なのは《槌のコス》でしょうか。

 相手次第ではすぐさま最終奥義を発動できますし、マナ加速能力も《業火のタイタン》を4ターン目に出したりと鬼神のごとき強さです。
 小技として、対戦相手の戦場に《》がある場合、《槌のコス》でそれをクリーチャーにしてしまえば、《精神を刻む者、ジェイス》で《送還》したり、「金属術」達成後の《感電破》だったりで、多少ではありますが土地をロックしたりもできます。

 《精神を刻む者、ジェイス》は言わずと知れた歴代最高のプレインズウォーカーですし、個人的には《ボーラスの工作員、テゼレット》よりも優先して《槌のコス》か《精神を刻む者、ジェイス》を4にしたいですね。
 しかしながら《ボーラスの工作員、テゼレット》は「Caw-Blade」に対して、忠誠度を上げながら《転倒の磁石》を探せるので、このマッチアップにおいては一番強いプレインズウォーカーに化けます。
 そのため「Caw-Blade」の多い現在のメタゲームなら、《ボーラスの工作員、テゼレット》を減らしてその他のプレインズウォーカーを増やすのではなく、おそらく「青黒コントロール」用と思われる《カルドーサのフェニックス》を抜いて入れるといいでしょう。
 その際《槌のコス》か《精神を刻む者、ジェイス》の片方だけを4枚にするのなら、このデッキなら僕は《槌のコス》を選びます。3ターン目に出ると本当に凶悪ですし、《槌のコス》4枚、《ボーラスの工作員、テゼレット》4枚、《忍び寄るタール坑》4枚も入ったこのデッキなら、相手の《精神を刻む者、ジェイス》を対処するのも難しくないですからね。

 このデッキの素晴らしさを文章だけで全て伝えるのは難しいので、KJ(鍛冶友浩)の記事で近々取り上げてもらう予定です。そちらもお楽しみに!


 今週は以上となります。今まで何度も登場している「Caw-Blade」の特集でしたが、いかがでしたでしょうか?

 このデッキが強いのは間違いないのですが、リストやミラーマッチのコツなど、まだまだ研究の余地はたくさんあるのではないかと個人的には感じています。大会では使う側にしろ、使われる側にしろ、練習で動きをしっかり把握しておくのは大事なことですよ!

 それでは、また来週ー!


2011年日本選手権予選

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