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津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ
第47回:各大陸の出した答え・ヨーロッパの場合
読み物
津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ
2011.03.30
第47回:各大陸の出した答え・ヨーロッパの場合
こんにちはー。
先週末は各大陸で大きめの大会がありまして、ヨーロッパでは「グランプリ・バルセロナ」が、アメリカでは「StarCityGames・オープントーナメント」が、そして日本では「PWCチャンピオンシップ」が行われました。
せっかくレベルの高い大会が3つもあったので、今週から2週に渡り、それらの優勝デッキなどを軸に、トップ8のデッキ分布なども見ていきたいと思います。
今週は1200人以上が参加した、グランプリ・バルセロナを見ていきましょう。
カバレージページはこちらからどうぞ。
Scheinin Beats Them Black and Blue / Grand Prix Barcelona 2011(英語)
トップ8分布
優勝 | 「青黒コントロール」 |
準優勝 | 「赤緑《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》」 |
3位 | 「青緑赤Turboland」 |
4位 | 「赤緑《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》」 |
5位 | 「青緑赤Turboland」 |
6位 | 「Dark-Blade」 |
7位 | 「青黒コントロール」 |
8位 | 「Dark-Blade(《精神を刻む者、ジェイス》無し《ボーラスの工作員、テゼレット》型)」 |
「Caw-Blade」の隆盛を受け、最近ではあまり見る事のなかった「青黒コントロール」が、トップ8に2人も残り、そのまま優勝旗をさらって行きました。
もちろん、勝ったからにはちゃんとした理由があるので、以前のリストから変わったところを重点的に見ていきましょう。
「青黒コントロール」
5 《島》 3 《沼》 4 《忍び寄るタール坑》 4 《闇滑りの岸》 4 《水没した地下墓地》 1 《湿地の干潟》 1 《沸騰する小湖》 4 《地盤の際》 -土地(26)- 3 《墓所のタイタン》 1 《ワームとぐろエンジン》 -クリーチャー(4)- |
4 《定業》 3 《コジレックの審問》 2 《強迫》 4 《マナ漏出》 2 《広がりゆく海》 2 《乱動への突入》 3 《喉首狙い》 1 《冷静な反論》 2 《転倒の磁石》 2 《黒の太陽の頂点》 1 《ジェイス・ベレレン》 4 《精神を刻む者、ジェイス》 1 《リリアナ・ヴェス》 -呪文(31)- |
2 《先駆のゴーレム》 3 《見栄え損ない》 2 《漸増爆弾》 2 《瞬間凍結》 1 《破滅の刃》 1 《ミミックの大桶》 1 《冷静な反論》 2 《記憶殺し》 1 《ジェイス・ベレレン》 -サイドボード(15)- |
5 《島》 3 《沼》 4 《忍び寄るタール坑》 4 《闇滑りの岸》 4 《水没した地下墓地》 1 《湿地の干潟》 1 《霧深い雨林》 4 《地盤の際》 -土地(26)- 2 《墓所のタイタン》 -クリーチャー(2)- |
4 《定業》 4 《コジレックの審問》 2 《強迫》 4 《マナ漏出》 4 《広がりゆく海》 2 《喉首狙い》 2 《破滅の刃》 2 《漸増爆弾》 2 《冷静な反論》 4 《精神を刻む者、ジェイス》 2 《リリアナ・ヴェス》 -呪文(32)- |
2 《先駆のゴーレム》 1 《ワームとぐろエンジン》 2 《見栄え損ない》 1 《強迫》 2 《瞬間凍結》 2 《記憶殺し》 1 《決断の手綱》 2 《黒の太陽の頂点》 2 《ジェイス・ベレレン》 -サイドボード(15)- |
どちらもかなり似通った構成をしていますが、除去選択などの細部に、微妙な差が現れています。
優勝者が《喉首狙い》3枚と《黒の太陽の頂点》2枚を採用しているのに対し、コントロールの化身・Wafo-Tapaは《破滅の刃》2枚、《喉首狙い》2枚、《漸増爆弾》2枚となっています。しかし優勝者はそれ以外にも《乱動への突入》2枚と《転倒の磁石》2枚を採用しており、「Caw-Blade」を強く意識した構成になっていると言えるでしょう。
《乱動への突入》は《饗宴と飢餓の剣》のような装備品に対してテンポを獲得できるだけでなく、自身の《転倒の磁石》を再利用したり、相手のパーマネントをバウンスした後にハンデスで落としたりと、実に幅広く活躍します。
そして両者が共通して採用しているのが、これまた久しぶりに見た《リリアナ・ヴェス》です。これはコントロール過多のメタゲームを完全に読み切ったカードで、メタゲームの産物と言えます。
「Caw-Blade」がミラーマッチで《ギデオン・ジュラ》に手こずるのは、《ギデオン・ジュラ》のその強力な能力と、「忠誠度の高さ」ゆえです。
《リリアナ・ヴェス》の忠誠度の高さは歴代でも屈指のもので、クロックの小さいデッキはこれを壊すために数ターンを必要とします。除去などで場を落ち着かせた後ならばビートダウン相手にも効かないことはないですし、優勝者のデッキなら、-2能力で《黒の太陽の頂点》をサーチすることもできます。昔懐かしの《ジェイス・ベレレン》でお互いドロー→《リリアナ・ヴェス》でディスカード、なんて動きもできますね。
ついでに《リリアナ・ヴェス》にはもうひとつ、《精神を刻む者、ジェイス》にはないメリットがあります。
先週の《滞留者ヴェンセール》の項目でも少しお伝えしましたが、あまり使われていないプレインズウォーカーのメリットとして、対消滅の少なさが挙げられます。
特に《リリアナ・ヴェス》や《滞留者ヴェンセール》のように忠誠度の高い物は、1度の戦闘では壊れないことが多いので、このメリットがなおのこと活きてきます。
大量の除去と《転倒の磁石》にバックアップされた《リリアナ・ヴェス》は本当に頼もしい存在なので、今のメタゲームが続くようであれば、これからはもっと見かける頻度が増えるでしょうね。
どちらもハンデスをメインから多めに採用しているのも印象的です。優勝者は《コジレックの審問》3枚、《強迫》2枚の計5枚を、Wafo-Tapaは《コジレックの審問》4枚、《強迫》2枚の計6枚をメインから採用しており、更にサイドボードに追加の《強迫》も用意しています。
この戦略の長所は、こうすることで自然と対コントロール、そして「Caw-Blade」に耐性が付くところです。《コジレックの審問》はビートダウン相手であろうと強いので、そのおかげでこの戦略が成り立っていますね。
ミラーマッチやコントロール対決では、いかにハンデスを効果的に使えるか、というのがひとつの分かれ目になります。
《コジレックの審問》はその性質上、早めのターンで使うべきでしょうが、《強迫》はそうではありません。
《精神を刻む者、ジェイス》を通す直前であったり、相手が《石鍛冶の神秘家》で装備品を手に入れた直後など、有効なタイミングで使うように心掛けましょう。
どはいえ、以前にもお伝えしましたが、相手のプレインズウォーカーを野放しにはできないので、自分の手札にカウンターがないようであれば、《強迫》の使用を躊躇う必要はないですね。
「Caw-Blade」も黒が入った「Dark-Blade」が主流になりつつありますが、その「黒」とは、ハンデスのためだけにタッチされていると言っても過言ではありません。それほどまでに重要で、様々なデッキ相手に効果的なアクションであり、「Caw-Blade」相手にも有効とあらば、このような形も納得です。
少し脱線してしまいますが、アメリカの有名ライターであるPatrick Chapinも自身の記事上で「Caw-Bladeタッチ黒」のことを「Dark-Blade」と呼んでいたので、もしかするとこの呼び方が定着するかもしれません。
メインボードで以前と変わったのはこのくらいでしょうか。
サイドボードもほとんど同じような造りなので、優勝者のリストを解説していきます。
3《見栄え損ない》、1《破滅の刃》、2《漸増爆弾》
これらは主にビートダウン系のデッキ対策ですが、《漸増爆弾》に関しては「Caw-Blade」や「テゼレット・コントロール」など、様々なデッキ相手に投入できるユーティリティカードですね。
4枚目の《喉首狙い》ではなく《破滅の刃》なのは、後述の《先駆のゴーレム》が増えてきた情勢を考慮してのことでしょう。
Wafo-Tapaはそれを踏まえメインから《破滅の刃》と《喉首狙い》を2枚ずつにしていますね。MO上ではまだまだ「吸血鬼」デッキが多いのですが、現実世界ではあまり活躍していない現状を加味すると、このアプローチもいいかもしれません。
2《瞬間凍結》、2《記憶殺し》
この2種類は「赤緑《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》」に劇的に効きます。
最近では《記憶殺し》を見かけることがなかったので、サイド後はフィニッシャーを《原始のタイタン》だけにしているプレイヤーもいたりで、《原始のタイタン》を指定しただけで勝てたこともありました。
《記憶殺し》は、他にもミラーマッチで活躍しますし、優勝者が《墓所のタイタン》4枚ではなく、《墓所のタイタン》3枚、《ワームとぐろエンジン》1枚にしているのは、多少なりともこのカードの存在を意識してのことでしょう。
1 《ジェイス・ベレレン》、1 《冷静な反論》
《ジェイス・ベレレン》はジェイスゲーと称される、青対決特有のプレインズウォーカー戦で重宝する1枚です。お互いに《精神を刻む者、ジェイス》が入ったデッキ同士の対戦だと、ジェイスは4枚や5枚では足りないので、今となっては、最早当たり前のテクニックになりましたね。
《冷静な反論》は「赤緑《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》」などにもサイドインできる優秀なカウンターで、《瞬間凍結》とは違いミラーマッチなどでも使えるため、どんなマッチアップであれ、単純なカウンターの増量をしたい時にはサイドインできるので便利です。
1 《ミミックの大桶》
世の中にはアーティファクト破壊を全く使っていないデッキがいくつかあります。そうでなくても、仮に何かしらのアーティファクト破壊を使用したとしていても、このデッキ相手にはあまり入れたくはないでしょう。
メインにアーティファクトはたったの4枚だけで、なおかつそれらは、いずれ戦場から消える《漸増爆弾》だったり、元から使用回数に制限の付いている《転倒の磁石》だったりと、とてもではないですが、積極的にアーティファクト破壊を入れたくなるような面子ではありません。
これを逆手に取って、致命的なアーティファクトである《ミミックの大桶》を入れるのは、相手次第では非常に有効な手段となりえます。
例えば、「Caw-Blade」相手に《石鍛冶の神秘家》を刻印して、相手の《ギデオン・ジュラ》を置き物同然にしたこともありますし、《審判の日》で流れたこちらの《墓所のタイタン》を刻印してそのままゲームに勝ったこともあります。「青緑赤Turboland」にも効果的で、相手は《酸のスライム》という回答を持ってはいますが、逆に言えばそれさえカウンターすればいいので、ゲーム展開が楽になります。
今のところ、お試しカードのような扱いなので、他のカードよりも積極的にサイドインするようにしてはいますが、Tier1、Tier2のデッキで僕が入れようと思ったデッキは以下のものです。
・《悪斬の天使》や《太陽のタイタン》の入った「Caw-Blade」
相手の除去は《審判の日》くらいしかないので、一度《ミミックの大桶》を通せば、相手は《墓所のタイタン》をカウンター以外では対処できなくなります。
しかし相手のクリーチャーが《戦隊の鷹》と《石鍛冶の神秘家》だけでは刻印できても効果が薄いため、相手にも《悪斬の天使》や《太陽のタイタン》のような大物がいない場合はサイドインしないことにしています。
《ギデオン・ジュラ》も、クリーチャーになっている間に除去すれば、刻印できることをお忘れなく。
・「青緑赤Turboland」
前述の通り、《酸のスライム》こそあるものの、これさえカウンターすれば相手の《業火のタイタン》でも《霜のタイタン》でも《ゼンディカーの報復者》でも、何でも取り放題です。
《破滅の刃》が1枚だけなのでなかなかありませんが、今日の対戦では実際に相手の《先駆のゴーレム》を取って勝ちましたし、できれば《破滅の刃》だけは、対《先駆のゴーレム》用に温存しておきたいですね。
・ミラーマッチ「青黒コントロール」
これはアーティファクト除去が《漸増爆弾》しかないため、《ミミックの大桶》の真価が発揮できるマッチアップです。
このカードの対処と、ジェイスゲーを制するために、《漸増爆弾》を残した方がいいのかもしれませんが、基本的には残したくない部類のカードなので、判断が難しいですね。もしも《ミミックの大桶》がそこまで流行らないようであれば、《漸増爆弾》を残す必要はないと思います。
今のところサイドインするのはこれくらいでしょうか。先攻なら「吸血鬼」デッキ相手に入れてもいいと思いますが、後攻なら間に合わないので入れない方がいいでしょう。
2《先駆のゴーレム》
ミラーマッチにおいて、劇的な強さを発揮するのが《先駆のゴーレム》です。
リストを見れば一目瞭然なのですが、「青黒コントロール」のメインデッキに入っているクリーチャー陣は、《忍び寄るタール坑》を含めても黒いクリーチャーだらけです。例外として優勝者の使っている《ワームとぐろエンジン》がありますが、こいつには元から除去耐性が付いているので、そのためだけに《破滅の刃》を残すことはしないでしょう。
その思惑を外すのが《先駆のゴーレム》です。《破滅の刃》を抜いてしまうと、これに対処できるカードは《墓所のタイタン》くらいしかありません。
しかし実際問題として、ミラーマッチで《破滅の刃》を残すという英断はなかなかできるものではないので、こいつの強さがより際立つわけなんです。
僕も何度かミラーマッチで対戦相手に出されましたが、やはり基本的には無駄カードである《破滅の刃》をサイドインすることはできませんでした。
ミラーマッチでは《記憶殺し》に強くなるというメリットもあるので、「青黒コントロール」が増えそうな現状では、お勧めの1枚です。他にも《審判の日》を使ったデッキ、特に先週紹介した「青白コントロール」なんかにも強いです。
このデッキは非常によくできており、これと言って苦手なデッキもないように思えます。
メタゲームの頂点に位置する「Caw-Blade」に対しても、今のところMO上でまだ負けていないので、ハンデスを多く採用したりで、苦手と思われていたデッキにもきちんと勝てるように仕上げてきたのは流石としか言いようがありません。
実は僕もMOでかなりの回数「青黒コントロール」と「青黒感染」を使っていたのですが、《リリアナ・ヴェス》は候補にも入れていませんでした。今回この2人が示したように、スタンダードにはまだまだ隠されたシークレットテクニックがたくさんあるのかもしれませんね。
「今週の一押し」~「Tezzerator‐Blade」
4 《平地》 2 《島》 2 《沼》 4 《忍び寄るタール坑》 4 《金属海の沿岸》 4 《闇滑りの岸》 2 《氷河の城砦》 4 《湿地の干潟》 -土地(26)- 4 《戦隊の鷹》 4 《石鍛冶の神秘家》 -クリーチャー(8)- |
4 《定業》 4 《強迫》 3 《伝染病の留め金》 2 《破滅の刃》 1 《喉首狙い》 4 《転倒の磁石》 1 《迫撃鞘》 1 《饗宴と飢餓の剣》 1 《骨溜め》 4 《ボーラスの工作員、テゼレット》 1 《滞留者ヴェンセール》 -呪文(26)- |
2 《コーの火歩き》 1 《太陽のタイタン》 2 《コジレックの審問》 1 《天界の粛清》 2 《瞬間凍結》 3 《記憶殺し》 1 《肉体と精神の剣》 1 《ジェイス・ベレレン》 1 《精神を刻む者、ジェイス》 1 《ギデオン・ジュラ》 -サイドボード(15)- |
普通の「Dark-Blade」だと思われた方は、お手数ですがもう一度デッキリストをよーく見てみてください。
そうなんです、青いデッキならば入っていない事の方が珍しいくらいの、あの「精神を刻む人」が入っていないんです!そして最近では固定パーツと認知されている、《ギデオン・ジュラ》さんもいません。
ひっそりとサイドボードには入っていますが、そこは見逃してあげましょう。
このデッキを象徴するカードは、何と言っても4枚採用されている《ボーラスの工作員、テゼレット》でしょう。
《ボーラスの工作員、テゼレット》は非常に強力なカードではあるのですが、いまだにどのデッキで使えばその真価を発揮できるのかを、まだ皆が模索している段階です。
このデッキはそんな現状に風穴をあける一品で、1201人が参加したグランプリでトップ8という素晴らしい結果を残した以上、このデッキこそが、今現在最も上手く《ボーラスの工作員、テゼレット》を活用できていると言えます。
装備品や《伝染病の留め金》を探し出すだけではなく、必要とあらばそれらをクリーチャーにすることも可能で、《ボーラスの工作員、テゼレット》さえあれば、装備品しかない状況でも、それをクリーチャーに変えて攻勢を維持することができます。
加えて、装備品はルール上「クリーチャーになってしまうと何かに装備させることができなくなる」ので、もしも対戦相手の装備に困るようであれば、それを5/5にすることと引き換えに、その脅威から逃れることもできます。
今日なんて相手の出したばかりの《転倒の磁石》をクリーチャーにして強制的に召喚酔いにし、その間に《戦隊の鷹》に《饗宴と飢餓の剣》を付けてアタックしたりもしました。思った以上に、用途の広いカードのようです。
そして《ボーラスの工作員、テゼレット》採用に伴い、アーティファクトの総数を増やす必要が出てきたため、このデッキには普通のリストよりも多めに装備品が投入されています。
アーティファクトの水増し、と言う理由もあって採用された《迫撃鞘》、《骨溜め》のような「生体武器」を持つ装備品は、微力ではありますが、《滞留者ヴェンセール》とのコンボも魅力的です。
《伝染病の留め金》3枚、《迫撃鞘》1枚を擁するこのデッキが《滞留者ヴェンセール》を引くと、対戦相手のタフネス1~3くらいの軍団程度はすぐさま壊滅するでしょう。
《精神を刻む者、ジェイス》が入っていないという事実は、こちらが《伝染病の留め金》のような、普通の「Dark-Blade」に入っていないようなカードをプレイするまでは、おそらく気付かれることはないはずです。
《迫撃鞘》や《転倒の磁石》のような、普通のデッキにも入っていそうなカードをさりげなく出しておくと、《ボーラスの工作員、テゼレット》でクリーチャー化して即座に《精神を刻む者、ジェイス》を除去できるので、いかにして普通の「Dark-Blade」と対戦相手に勘違いさせるかも重要なポイントです。
《伝染病の留め金》以外のパーツは、本当に普通の「Dark-Blade」そのものなので、普通にプレイしていればまず気付かれることはないでしょうが、そこはかなり重要なので、少しだけ意識して使いましょう。
メインボードに関しては、アーティファクトが10枚しか入っていないので、そこは大きな不安要素ですね。
第42回の連載で紹介したMartin Juzaの「青黒テゼレットコントロール」のアーティファクトの総数は21枚でしたが、これでもそこそこの頻度で「空振り」してしまうのに対し、このデッキは10枚しか採用していないのですから、その可能性はかなり上がってしまっています。
このデッキのメインボードでもうひとつだけ懸念されるのは、「Caw-Blade」に次ぐ勢力である、「赤緑《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》」に対し、あまりにも無防備なことです。
僕も実際にこのデッキを使って「赤緑《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》」と対戦しましたが、その時はメインボード戦も運よく勝てました。しかしこれは対戦相手が《原始のタイタン》などの勝ち手段を1枚も引かなかった、ただのラッキーウィンで、そんなことはそうそう起こらないでしょう。
しかしその試合のおかげで、《マナ漏出》も持たないこのデッキがいかに「赤緑《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》」に対して弱いか気付けましたし、ついでにサイドボードプランでも、ひとつの発見がありました。
このデッキに限らず、以前から《ボーラスの工作員、テゼレット》を使用したデッキが抱えていた問題点があったのですが、それはデッキ内のアーティファクトの大半が、「赤緑《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》」デッキに対して弱いことでした。
《転倒の磁石》は、使うデッキ次第では《原始のタイタン》への回答となりえますが、このデッキではそうはいきません。《原始のタイタン》から導かれる《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》に対し、《広がりゆく海》や《地盤の際》のような回答があるわけではないですし、《戦隊の鷹》も《石鍛冶の神秘家》も《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》の前に生き残ることはできないので、ダメージレースも挑めませんからね。
つまり《ボーラスの工作員、テゼレット》入りのデッキが概ね採用している、《伝染病の留め金》や《転倒の磁石》の存在が、このマッチアップではネックになってくるわけです。
それらを抜いてしまえば《ボーラスの工作員、テゼレット》の全ての能力が弱くなってしまうので、従来の「青黒テゼレットコントロール」などでは、この辺りの兼ね合いが上手くいかなかったことが、ひとつの大きな課題でした。
しかしこのデッキは違います。アーティファクトの総数が10枚まで絞られたこのデッキは、サイドボード後に無駄なアーティファクト全てと、《ボーラスの工作員、テゼレット》を抜くことができるんです。
実際に僕が対「赤緑《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》」戦で行ったサイドボーディングは以下のようなものです。
out | in |
3 《伝染病の留め金》 4 《転倒の磁石》 4 《ボーラスの工作員、テゼレット》 1 《骨溜め》 |
1 《太陽のタイタン》 2 《コジレックの審問》 2 《瞬間凍結》 3 《記憶殺し》 1 《肉体と精神の剣》 1 《ジェイス・ベレレン》 1 《精神を刻む者、ジェイス》 1 《ギデオン・ジュラ》 |
まだこのサイドボードプランが正しいかどうかは分かりませんが、こういったプランがあると知っているかいないかどうかだけで全然違うと思ったので、紹介させていただきました。まだまだ研究の余地がありすぎるデッキなので、みなさんもぜひ、ご自身の手で、このデッキの良さを確かめてみてください。
正直に言うと、これほどの素晴らしい新デッキを、まさかプロツアー以外で見かけようとは思いもしませんでした。それでトップ8に残っているのですから、本当に頭が下がるばかりです。
今週は以上です。来週は残る2つのトーナメントである、「StarCityGames・オープントーナメント」と、「PWCチャンピオンシップ」の中から、僕が注目する面白いデッキを見ていきたいと思います。
それと僕の記事とはあまり関係ないんですが、早くも次期エクスパンションである『新たなるファイレクシア』の情報が出始めています。
お知らせ記事にある動画がものすごくかっこいいんで、時間のある方はぜひご覧になってみてください。
《銀のゴーレム、カーン》はどうなってしうのか? すでに画像が公表されている「白赤剣」こと《戦争と平和の剣》の能力はいかに!? などなど、気になる話題満載のエクスパンションになっております!!
それでは、また来週ー!
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