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ReConstructed -デッキ再構築-
トピカル・ジュース#3
トピカル・ジュース#3
Gavin Verhey / Tr. Tetsuya Yabuki / TSV testing
2015年12月7日
今回は、3回目を迎えた「トピカル・ジュース」をお届けしよう。これは、マジックの話題とマジックとは関係のない話題をそれぞれ取り上げる記事だ。どんな話題にするかはみんなに投票をしてもらい、先週、その結果が出た。投票で選ばれ、今回の記事のテーマとなったのは、「デッキ構築にまつわる伝説」と「ありえない経緯で仲良くなった友達について」のふたつだ。楽しんでくれ!
皆さん、こーんにーちはー! 本日の『マジック版:怪しい伝説』へようこそ。当番組では、私とその友人がマジックにまつわるうわさ話を検証し、それが真実か......あるいはデマなのかを判定する、というものです! 司会は私、ガヴィン・ヴァーヘイ/Gavin Verheyが務めさせていただこう――それでは早速、皆さんご一緒に――ウソか! ホントか! 見極めよう!
[スタジオの観客から割れんばかりの拍手]
『マジック版:怪しい伝説』では毎回、テーマを決めて3つのうわさ話を検証している。さて、今回のテーマはどうなるだろう? 今こそ私たちの運命を決める抽選のときだ! こちらのルーレットには、様々なマジックの話題が書かれている――ルーレットを回して止まったときにご来場の皆さんの方を向いている話題が、本日取り挙げられるものだ。タバック、ルーレットを回してくれ!
[カメラが切り替わり、そこはステージ中央。マット・タバック/Matt Tabakが親指を立て、ルーレットを回す。ぐるぐると回るルーレットに書かれた文字は判読できないが、やがて回る速度が落ちてくるにつれて、様々な話題を示す言葉が少しずつ見えてくる。「開発段階での龍王の名前」、「マーク・ローズウォーター/Mark Rosewaterとともに仕事をすること」、「《ゴブリンのゲーム》の有効な使い方」、「モダンで解禁されそうなカード」......そして、ついにルーレットが止まった......]
おや、これは......「デッキ構築」! みんな準備はいいかい――本日はデッキ構築にまつわる伝説を見ていくことにしよう! 果たしてホントの話はいくつあるのだろうか。もしかしたら......ウソばかりかもしれないね。
[スタジオの観客から、がっかりするようなうめき声]
今週はいくつホントの話が出てくるか、ぜひ家族や友人と予想してみてくれ――それでは始めよう!
おっといけない。『マジック版:怪しい伝説』は、多元宇宙中に広がるたくさんの友人たちなしには始まらないね。ここで本日のゲストをお呼びしよう!
[ガヴィンが指を鳴らすと、ステージの床からスモークが湧き上がる。すると不思議なことに、背の高い20代の女性が現れた。髪色は茶色で、緑の眼鏡をかけている。ジョン・グリーン/John Greenの著作『さよならを待つふたりのために』を手に持ったその女性は、ガヴィンの向かいに用意された椅子に座っていた]
《時間の把握》 アート:Scott M. Fischer |
皆さん、ゲストのタフタ/Taffetaを温かく迎えてくれ!
[スタジオの観客から割れんばかりの拍手]
あ、ええと。こんにちは?
久しぶりだね、タフタ! 来てくれてありがとう。
オーケー、質問が3つあるわ。まず、私は今ここへ来たところなのね? それから、これは何の騒ぎ? そして、私はどうやってここに来たの?! 読書をしていただけなのに、気づいたらここに。マジックか何か?
まあ、確かに......マジックなんだけどね。
[スタジオの観客の中からくすくすと笑う声]
でもそうだね、詳しく話そう。君は今『マジック版:怪しい伝説』という番組に出演していて、ここではマジック:ザ・ギャザリングにまつわる伝説に迫っていくんだ。今から君は、私と一緒にうわさ話を検証するわけさ。
え、でも......私マジックをプレイしてないけど。
そうだよね、それはおかしな話だ。でも私の召喚術に狂いはないはずだよ!
まあ確かに、私はいつでも新しいことを学びたいと思っているわ!
それに、君となら有意義な話ができると私は確信しているよ。19歳の若さで本を出版した作家であり、生徒を導くような教師であり、今なお無尽蔵の創作エネルギーをたたえた君となら、何かを生み出せるはずさ。
うーん......そうね。まだ少しもにょっとしているけれど、大丈夫。やってみるわ。
たぶん、「もにょっとしている」の意味をスタジオの皆さんに説明した方がいいと思うよ。
ああ、「もにょっとしている」ね。「なんだか不安なこと」を「パニくっている」って言うよりは静かな表現だと思いませんか? ある日ガヴィンとオンラインで話をしていたら、そのことを思いついたんです。
あれは楽しかったね。そういえば君との出会いは、他の誰との出会いよりも変わったものだったよ。
ホントそうね! ビデオチャットをしていて、あんなに面白かったのは他に思いつかないわ。
たしか、かわいい猫の動画がきっかけだったよね。
そうそう! 誰かが私のFacebookのウォールに投稿していたの。あなたが「ウェブカメラなしでビデオチャットをして、一生ものの友だちを作りたいんだ。ところで、僕らはライターという共通点を持っているね」なんて言い出したときは、まさかそれから何時間もおしゃべりして、やがて仲良しになるなんて思いもしなかった......ええ、まさに驚き桃の木、ね。
本当に世の中わからないものだね。おっと、そういえば今君は、マジックの話をするためにステージにいるんだった。そろそろ本題に入っていいかな?
ええ、始めましょう!
オーライ。最初の伝説がミステリー・モニターに映し出されるぞ!
[ステージ上のスクリーンが点灯し、文章を映し出す。
「ある特定のデッキに負け続けている場合、そのデッキを倒すための最初の一歩は、その相手に対して効果的なカードを大量にサイドボードへ搭載することである」
]
「ミステリー・モニター」? 何でもかんでも頭韻を踏まないと気が済まないのかしら?
そうとも。かつてこう言ったのは君じゃないか。頭韻は――
「頭韻は世界を制す」。そんなことまで覚えているなんて!
この言葉をパッチワークにして、掛け布団に縫い付けたほどだよ。それはともかく、モニターに注目してくれ!
そうね、モニターに注目しましょう。サイドボードの作り方は父が教えてくれたわ。まずはホームセンターへ行って、板を何枚か買う。それから――
ああ、違う違う。今はマジックのサイドボードの話をしているんだ。
マジックの......サイドボード......?
そう。ゲームの合間にデッキを修整するのに使えるカードの束のことだ。
ちょっと確認させてちょうだい。マジックで遊ぶには、「デッキ」を使うのね?
そう。
それで、「デッキ」という言葉にはふたつの意味がある。カードの束を「デッキ」と呼ぶし、庭とかにあるあれも「デッキ」よね。
そうだね、その通り。
オーケー。あなたは、誰かが「ベランダ」のことを指して「デッキ」と言ったときに、これまで何度「マジック」のことを思い浮かべてきたのかしら?
そりゃ毎回だよ。どういうことだい?
いえ、ちょっと思っただけなんだけど、何千という言葉の中から「デッキを修整するカードの束」を意味するものを選ぶときに、あなたたちは「デッキ」と同じように「木製のもの」を選んだんだなって――「サイドボード」だっけ?
ああ、たしかに......そんなこと考えたこともなかったよ。なるほど。
マジックは「魔術師たちによる木材加工のゲーム」とも言えるんじゃないかしら?
なんだかそんな気もしてきたなあ。実際に、強力なサイがものをぶっ壊してるし。とはいえ、だ。本題に戻ろう。
わかったわ。それじゃあ私にもわかるように、もう少し噛み砕いて言ってよ。
そうだね。「サイドボード」は、デッキと一緒に持ち込める「サブ・デッキ」みたいなものだ。ゲームとゲームの間にそのカードを使って、デッキをその戦いで有利な形に組み換えることができるんだ。
それなら、このうわさ話ははっきりしているじゃない。「ホントの話」よ、そうでしょ?
まあまあ、そう慌てずに。一般的には、たしかに「イエス」だ。その相手に効くカードを入れるのは正解だね。ただしそこにはリスクもある。「オーバーサイド」って言われるんだけど。
私にもわかるように説明してちょうだい。
オーケー、じゃあこう考えてくれ。君がファンタジー小説を書いているとしよう。物語の最後にきちんと悪を倒せるように、キャラクターをひとり書き直す必要が出てきた。でも文字数に制限があって、残りは多くない。君はそのキャラクターが悪の親玉を倒す手段に気づくシーンを書くのだが、そのシーンを多く書きすぎた結果、物語にちぐはぐな感じが出て冗長なものになってしまった。しかも、そのシーンを書くために大事な解説シーンをカットしてしまう始末だ。これをどう思う?
作品に字数制限をかける作家なんているかしら?
いやそこまで厳密な話じゃないって。
オーケー、わかったわ。一番考えられる結果として、物語の根幹が機能しなくなってしまうでしょうね。ひとつひとつは印象深く素晴らしいシーンを書けていても、それらをまとめ上げる「核」となるような解説シーンをカットしてしまっては、物語はバラバラになってしまうわ。
その通りだ! そしてマジックにおいても、それは同じことなんだ。
やった正解! でも待って、どういうこと?
サイドボードから過剰なカードを入れてしまうと、その分、他のカードを抜かなくちゃいけなくなる。そうなると「オーバーサイド」が起こって、デッキに不可欠なカードや、すでにそのマッチで有利なカードを抜いて、他のカードを入れてしまう状態に陥るんだ。《破滅の刃》を《死の印》と入れ換え始めてしまうと、もうサイドボーディングの意味はほとんどなくなる。簡単な基準を挙げると、カードを入れ換えずに、いったん横に置いて悩むようになったら、サイドボードを見直すべきだ。大量のサイドボードで相性を改善するのではなく、戦略全体を見直してメイン・デッキを含めて調整を施すことで、その相手へのサイド・カードを減らせるよう努力する方が良いだろう。
わかったわ! つまりこういうことね。小説で言うなら、むやみにシーンを挿入するんじゃなくて、(核となる)解説シーンを書き直した方がうまくまとまる、と。
そう、そんな感じだね。私が言いたいのは、相性差という問題に立ち向かう手段はたくさんあって、決して「正解はひとつじゃない」ってことなんだ。「オーバーサイド」という間違いは、本当に多く目にするよ。実際のところ、特定の相手に対するカードばかり詰め込んだ「凝り固まった」サイドボードよりも、ゲームが変われば戦い方も変えられる強力なカードを採用した「柔軟な」サイドボードの方が効果的だと私は思う。
私からはこれ以上うまいことは言えないわ。これで限界。もう無理。
それじゃあタフタ、判定に移っていいかな?
ええ!
一緒に検証してくれてありがとう――このデッキ構築にまつわる伝説は、「ウソ」だ!
[ステージを取り巻くスクリーンすべてに映し出される「ウソ!」の文字。観客が大きな拍手を送ると、ガヴィンは再び指を鳴らした。またも湧き上がるスモーク。すると、タフタの姿は消えた]
改めて、来てくれてありがとう、タフタ。これでひとつがウソ、残るはふたつになった。
次のゲストに――そしてふたつ目の伝説に向かうぞ。皆さんご一緒に――ウソか! ホントか! 見極めろ!
[観客が声を揃えると、ガヴィンは指を鳴らした。先ほどと同様に白いスモークが噴き出し、突然ガヴィンと同じくらいの年齢の女性が現れる。長い黒髪に隠れるようにして耳の後ろに色鉛筆をかけたその女性は、上下ともに青いシャツとジーンズを着こなし、さらに青いスケッチブックを抱えている]
皆さん、ゲストのエイドリアン/Adrienneにご挨拶を!
[観客から「こんにちは、エイドリアン!」の声]
オーケー、ガヴィン。この愉快なパーティーに私を投げ込んだのはあなたね。ちょっと失礼なんじゃないかしら。クイズ番組風のパーティーにゲストを呼ぶためだけに、いきなりテレポートで呼び出すなんて。
いやいやいや、落ち着いてくれ。実際に番組中なんだよ。それから、この技はテレポートじゃなくて「即興招来(インプロンプツ・インビテーション)」って言ってくれた方が嬉しいな。
まあ、テレポートで呼び出されたのがあなたでよかったわ。
[観客から「おー!」と歓声が上がる]
ありがとう! でもテレポートで呼び出されること自体は、君にとって、その、珍しいことじゃないのかい?
本気で言ってるの? 驚かないわよ。知り合いで魔法が使える人っていえば、あなたくらいしか思いつかないもの。とはいえ、あなたが実は悪の魔法使いだって可能性も否定できないけれど。私はあなたが悪さをしないよう見張っているからね、ヴァーヘイ。それはさておき、ここで何をするのかしら?
この番組は『マジック版:怪しい伝説』! マジック:ザ・ギャザリングにまつわる伝説を検証して、それがホントかウソか判定するんだ。
なるほど。私はまだマジックを始めて間もないけれど、ベストを尽くすわ!
頑張ろう! ミステリー・モニターに注目してくれ!
[ステージ上のスクリーンが点灯し、文章を映し出す。
「色が合っているからといって、そのフォーマットの『主力』を必ず使わなければならないわけではない」
]
よし、エイドリアン! これについて君はどう思う?
「主力」メカニズムはどういう効果なのかしら? きっと昔の能力なのね――最近始めた私にはわからないわ。
おっと!「主力」は、そのフォーマットで色が合えばよく使われるカードのことだ。モダンの緑における《タルモゴイフ》とかね。
スタンダードの白と黒と緑における《包囲サイ》ってこと?
その通り!
それなら、「必ず使わなければならない」なんてことはないはずよ。クリーチャーの選択は自由! 入れたいものを入れればいいのよ!《包囲サイ》なんて使う必要ない! サイはデッキの中じゃなくて野生の中で生きるべきだわ!
ちょっと落ち着いて。
サイにはちょっと思い入れがあって。
そうみたいだね。でもこの問題は、もう少し突き詰めるべきだと私は思う。「本当にそうするのが望ましいのだろうか?」
んん、ゴホン。そうね、一風変わった手段を取るのは、確かに利点があると思うわ。でもそれが良いこともあれば良くないこともある。「一風変わった手段」といえば、私たちの出会いを思い出すわね。
そうだね、君のお母さんに感謝だ――
――あ、会場の皆さん、これ冗談じゃなくて本当に私の母のおかげなんです。
おっと、そうそう、その通り。ある日私はシアトルの電車内でエイドリアンのお母さんと会ったんだ。そのとき彼女は、娘を訪ねにシアトルまで来たところだった。私たちは電車を一緒に降りて、結局空港から宿泊場所まで彼女を案内することになった。彼女は私に感謝の言葉をかけ、そして言ったんだ。「きっとウマが合うから、ぜひウチの娘に会ってみなさいよ」と。
数日後、私たちは朝食をともにしたの!
そして今や、親友だ。「きっとウマが合う」って言った君のお母さんは正しかったね!
母はそういうのを見抜くのがうまいから。
まさにその通りだ。さてエイドリアン、さっきの質問だけれど、「『主力』を使わなくてもいい場合は本当にあるのだろうか?」
この伝説はホントの話だと、私の勘が言ってるわ。確かにいつでも使いたいような強力なカードはあるけれど――同時に、そのカードを使いたくなくなるような理由もあって然るべきよ。それに、あなたが教えてくれた。「マジックにおいては、思考停止で下した判断は失敗する」ってね。どうかしら、「怪しい伝説」っていうくらいだから、やっぱりウソなのかしら?
いや、まったくもって君の言う通りだ!
え、本当に?
ああ。例えば、《タルモゴイフ》について考えてみよう。こいつが最高のカードであることは疑いようがなく、モダンで緑を使うなら検討する必要があるだろう――でも、例えば「風景の変容」デッキには入らないよね。「風景の変容」デッキが目指すことに、《タルモゴイフ》は一切関与しないんだ。《タルモゴイフ》にこだわるあまり他に入れるべきカードより優先してしまうと、このデッキは力を発揮できなくなってしまう。カード採用するときは、そのカードが果たす機能と、「なぜ」そのカードを使いたいのかを考えなくちゃいけない。《ヴリンの神童、ジェイス》は素晴らしいカードだけれど、クリーチャーばかりのデッキで採用するわけにはいかないよね。無理に採用しても、何も「フラッシュバック」できないからだ。
つまり......
よし、君の方から言ってくれるかい?
正解?!
ああ、正解だ。でもこの番組での言い方があるよね?
あ、そうね。この伝説は......「ホント」!
[スタジオの観客がはっと息を止め、それから大きな歓声を上げる]
エイドリアン、ありがとう!
こちらこそ! さて、私はそろそろウェブ・コミックの原稿に戻らなくちゃいけないんだけど、いいかしら。
もちろんさ! それじゃあ最後のゲストと伝説に移ろう。
さーて皆さん、『マジック版:怪しい伝説』を引き続き楽しんでくれ! いよいよすべてが決着する大事なときを迎えたぞ。
ここまでの伝説は、ひとつがウソ、ひとつがホントという結果になっている。つまり現在1-1のタイで、次の伝説がウソかホントかで本日の勝敗が決まるわけだ。準備はいいかな? それでは皆さんご一緒に――ウソか! ホントか! 見極めろ!
[再び観客が声を揃えると、ガヴィンは指を鳴らした。ひと際多くのスモークがステージを覆う。煙の向こうに現れたのは、30代半ばと思しき手足の細長い男性だった。紫色のTシャツを着たその男は、カードをシャッフルしている]
『マジック版:怪しい伝説』へようこそ、リチャード!
あれ、私の対戦相手はどこへ?
まあ気にしないでくれよ。
せっかく行きつけの店で開催されている「マンデー・ナイト・モダン」で決勝まで来たのに!
ちゃんと元の場所に返すからさ。うまくいけばゲームロスを喰らう前に......この場合はスロープレイになるのかな?
テレポーテーションが違反処置指針のどこに該当するかなんてわからんよ。
それはさておき、改めてようこそ!
ありがとう!『マジック版:怪しい伝説』は大好きだよ。お招きいただき光栄だね。うんうん、今度は立場が逆になったってことだね? 私が君の番組に呼ばれるなんて。
その通り! 私とリチャードが出会ったきっかけは、およそ10年前に彼のポッドキャストを聴いたことだ。私はその配信のコメント欄にコメントを投稿し続けた――
それはもう頻繁にコメントをくれていたね。
それくらい面白かったんだ! するとある放送に、私がゲストで呼ばれることになった。あとは説明するまでもないね。それ以来、私たちは長年の友人ってわけさ。
さてガヴィン、私はどうすればいいのかな? 早く試合に戻りたいのだが。
オーライ、リチャード。この番組を観たことがあるなら、何をするかはわかっているよね。準備はいいかな?
もちろんだとも! さっさとミステリー・モニターに映してくれ!
[ステージ上のスクリーンが点灯し、文章を映し出す。
「赤のアグレッシブなデッキなどの『ビートダウン』はプレイが簡単なため、マジックの経験豊富なプレイヤーは使わない方が良い」
]
「けしからん」って顔だね、リチャード!
ああ、そんな顔にもなるさ。私自身、長年アグレッシブなデッキを楽しんでいるからね。ほら今だって、手札を見てくれよ。
[リチャードが手札を見せると、スタジオの観客たちが息を呑む。それは《野生のナカティル》と《稲妻》だった]
わお、《野生のナカティル》じゃないか! 面白いデッキを作ったね。
いや実際、最近のデッキ構築における革新はビートダウンから生まれていることも多いよ。特に組み方についてはね。引きをコントロールするようなドロー呪文がないからこそ、デッキに入れるものをよく考えることになるんだ。
その点については私も同じ考えだ! さて、君はこの伝説には反対しているみたいだね。
当たり前さ! 実際に、コントロール・デッキよりアグレッシブなデッキの方が技術を要すると思うことも多いよ。コントロールには、1枚で窮地を脱することができる派手な効果の呪文がある。アグレッシブなデッキにはそれがなく、ひとつひとつのプレイの影響が大きいんだ。ミスによって与えるダメージが1点減ってしまうと、そのたった1点が勝敗を分けたりする。適切な順番で呪文を唱えないと、あっさり負けてしまうんだ。
そうだね。私も、パトリック・サリヴァン/Patrick Sullivanが私じゃ絶対思いつかないようなプレイで2点のダメージを絞り出したのを見て、感動すら覚えたよ。それこそ、彼が多くの勝利を積み重ねることができた理由なんだと思う。私の意見を言うなら、ビートダウンとコントロールではそれぞれ別の技術が試される。赤単でもね。
そう、赤単でも。確かに80%の力を引き出すのは簡単なんだ――でもそこからもう15%くらいを引き出すには、技術や練習が必要になる。
さて、ここで判定を出してしまって大丈夫かな?
ああ、これは自信があるよ。それに、早く戻って対戦相手を焼き尽くしたい!
それじゃあ早速、判定をどうぞ。
このデッキ構築にまつわる伝説は、「ウソ」だ!
[「ウソ!」の文字と、「ウソ 2-1 ホント」という結果がステージを取り巻くスクリーンすべてに映し出されると、観客はひと際大きな歓声を上げた]
以上、本日はこれまで! いつも『マジック版:怪しい伝説』を応援してくれてありがとう!
この番組についてのご意見やご質問があれば、いつでも私にツイートを送ったり、あるいはTumblrで質問したりしてくれ。皆さんのご意見を楽しみにしているよ!
今年の『マジック版:怪しい伝説』はこれで終わりだ。それではまた今度、良い年末を。もし誰かがまた怪しいうわさ話を投げかけてきたら、やることはわかるね――ウソか! ホントか! 見極めろ!
Gavin / @GavinVerhey / GavInsight
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