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戦略記事

ReConstructed -デッキ再構築-

チームを作ろう

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チームを作ろう

Gavin Verhey / Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing

2015年11月30日


 チーム・ウィークにようこそ! 今週のDailyMTGのテーマは、チームについてだ。

 チームという要素はマジックにおいて大きな位置を占めている。近いところでは、ワールド・マジック・カップが開催されたばかりだ――このトーナメントにはチーム戦に関する全てがある。(この記事を執筆している時点ではまだ開催前だが、私もその場に行って、全てを見てきたはずだ。会場で私を見かけた読者とお話できてたら嬉しいね!)

 しかしチームの存在は、実際にチームを組んで戦うイベントでなくとも、競技マジックの黎明期からすでにマジックと深い関わりがあった。一緒にデッキを構築し、情報を共有し、調整をともに行うグループだ。今日だと、例えばTeam Ultra ProやTeam Pantheonなどが存在している。過去にはTeam CMUやTaking Back Sundayといったチームがあった。そして、この先も新しいチームが生まれるだろう。

 そう、それはあなたのチームかもしれない。

 私はこの5年間で、チームとして動くプレイヤーが華々しく活躍していく事例をいくつも見てきた。それもうなずける。有名チームが成功し続けていることで、他のチームも彼らのように成功しようと触発されるからだ。とどのつまり、彼らにもできるのだから、あなたがためらう理由がどこにあるだろうか?

 その思いに駆られて、今回の記事を執筆することにしたんだ。

 2005年の昔、私は新人プレイヤー同士でチームを組んだ。このチームには、アリ・ラックス/Ari Lax、カイル・ボージェム/Kyle Boggemes、マテイ・ザトルカイ/Matej Zatlkaj、メリッサ・デトラ/Melissa DeTora、サム・ストッダート/Sam Stoddard......その他にも大勢が参加していた。私はチーム・メンバーに大いに触発されたし、私たちはともに名を上げつつ、マジックというゲームを次の段階へと押し進めたんだ。それから私は、他のグループやチームとともに試行錯誤と前進を繰り返し、学んだ知識や経験を蓄積していった。参加したどのチームでも、私は何かを新しく学び取り、プレイヤーとして成長していった。

 あなたは、プレイに磨きをかけるために地元でマジックのチームを作りたいと考えたことがあるかもしれない。チームは作ったけど、次にどうすればいいかがわからない、という立場かもしれない。あるいは、チームを立ち上げるつもりは無いけれども、友人がマジックのデッキを構築する上で助けになるであろう手法を、いくつか思いついているかもしれない。

 よろしい、ならば続きへ進もう! 今回は、マジックのグループとして活動するために知っておくべき、5つの重要な事柄について詳しく解説しようと思う。

 始めるぞ!

0.チーム活動をするためにチームを組もう

 話を先へと進める前に、この話の中で最も重要な点を扱わなければならない。5つの項目を説明する前の、必須となる起点についてだ――チームを組みたいなら、チームを作ろう。

 新しいデッキやアイデアを試したい場合などに他のプレイヤーと協力できる、というだけでも、チームは驚くほど有益なものだ。そしてインターネットという大きな力によって、考えの共有や情報の交換は昔に比べて簡単に行える。もし、あなたが活動する上で他のプレイヤーの協力が必要なら、時には積極性を発揮する必要があるだろうね。


荒野の確保》 アート:Scott Murphy

 例えば、あなたの行きつけの店や生活エリア内にも、大きなトーナメントで通用するほどに上達したい、という思いを持っているプレイヤーはいるだろう。しかし、そのための場所はまだ存在していない。そんなプレイヤーに対して、一緒に集まって調整することに興味はないか、と尋ねるだけでも、チームらしきものが生まれはじめる。

 何らかの理由により、マジックをプレイできる主だった場所が無いとしても、まだインターネットが残っている。Facebookなどで、地元の集まりがないか確認してみよう。ネット上でマジックについてやり取りするだけでも、充分に有益かもしれないね。

 チームと、マジックを一緒に遊んでいる友達の集まりの違いは何だろうか? チームには、イベントでお互いが最善を尽くせるよう助け合う、という共通の目的がある。(ああ、もちろん、必要としているかどうかはともかく、素晴らしいチーム名を自分でつけることもできるぞ。)

 さて、第1段階では、チームとして活動する上で心に留めておくべきいくつかのことについてやっていこう。

1.交流手段を作って積極的に交流しよう

 いくつかの理由から明らかだとは思うが、会話や連絡のやり取りはチームを機能させるための大黒柱となるものだ。

 ここで言うやり取りとは、「これが使うつもりの調整が終わったデッキリストだ。明日プロツアー予備予選の会場で会おう。」というようなものではない。午前2時に《面晶体の掘削者、ザダ》デッキについての新しいアイデアをチームに連絡すれば、翌日には誰かからその思いつきについて何らかの返答が来る、というような繋がりだ。荒削りなアイデアは持っているが、洗練したデッキとして完成させることができない、ということは個人個人でしばしばあることだろう――しかし、別視点からの少しの反応があるだけで、大きな発展があるかもしれない。

 初めてモダンで開催されたプロツアー、プロツアー・フィラデルフィアでサム・ブラック/Sam Blackが用いた毒デッキにまつわる話は、素晴らしい実例だ。サムのチームメイトであり友人でもあるジョン・ストルツマン/John Stolzmannが組んだ毒デッキは、率直に言って出来が悪かった。それでもジョンはサムにデッキを見せた。それからサムはそのデッキについて考え、他のチームメイトにもデッキを公開した。それについてチーム内で様々な提案が繰り返され、ついには完成度の高いデッキとしてまとまり――サムはプロツアーのトップ8へ飛び込んだんだ。

 結論として、常にチームメイトと連絡できるような手段を作っておくことを推奨する。今の時代、そうするのは極めて簡単だ。単に、メーリングリストを作成するとか、Facebookのメッセージを定期的に確認するとかでいい。そうすれば、何か面白いことを考え付いたときに、すぐ相談できるだろう。

2.アイデアとフィードバックを共有しよう

 もしあなたの目標が(願わくば)成功することであれば、他の人が使っていないデッキやカードの活用法を見つけだして有利を得る手腕が欲しいものだろう。とするならば、思いついたアイデアを原則として即座に切り捨てることのない場所が必要になる。

 例えば、先ほどの《面晶体の掘削者、ザダ》デッキをチームに公開するとしよう。それに対しての返事が「悪いけど、これは構築戦ではいまいちだね」では役にも立たないし、建設的でもない。確かに、今のところ構築で《面晶体の掘削者、ザダ》を活躍させるのは難しいだろう。しかし、来るかもしれない好機に備えて、少なくともそのアイデアは残しておく価値があるはずだ。《群れネズミ》も、「構築戦ではいまいちだね」と言われていたカードだった――急に誰もが使い始めるまではね。カードに対する一般的な認識にとらわれることなく、デッキを実用化する手法について追求してみよう。


面晶体の掘削者、ザダ》 アート:Chris Rallis

 そしてその追求は、フィードバックを得る上でも極めて重要になる。まさにチームを持つ一番の理由だ! チームの誰かが、あなたのデッキの問題点について理路整然とした指摘を返信した場合に、それを個人に対する批判のように受け止めてはいけない。その指摘が実際に正しいかどうかを考えることこそが大事なのだ。

 この種のやり取りを繰り返すことは、前向きな創造性を促進する素晴らしい手段だ。アイデアはいつでもチームに相談しよう。いまいちなものは問題点を指摘されるかもしれないが、結論を出していく価値はある。

3.様々な方法で一緒に調整しよう

 一緒にプレイテストを行うことには多くの意味がある。もちろん、それはチームとして行いたい活動だろう。しかしながら、プレイテストとは、単にマジックの対戦を繰り返すことだけを指すわけではない。プレイテストの方法は多岐にわたり、それぞれ別の役目を持っている。

 チームに参加する利点の1つが、1つのゲームに対して多くの視点を持てることだ。例えば、1つのデッキを調整しているときに、別のチームメイトがその対戦を両側の立場から見るようにする。そうして対戦が終わったあとに、ミスや興味深いプレイなど、何か気づいたことがないか話してもらうようにするんだ。この方法からは多くのことが学べるし、全員が成長できる。これは初めて扱うデッキに慣れるときには特に有効だ。

 もしチームの人数が多ければ、トーナメント形式で調整したり、大勢で議論することもできる。そのためには少なくとも6人以上が必要になるとは思うが、この方法は情報を蓄積していく上でとても役に立つ。全員でデッキを1つずつ選んで、全ての組み合わせで対戦していくという方法もある。これもトーナメントに近い感触で、参加者全員が環境の現状についての有益な情報を大量に獲得可能だ。

 それで、得る情報についてだが......

4.プレイテストの目的を理解しよう

 私が知っている限り、プレイテストに関しての最もよくある間違いとは、そもそも何のためにプレイテストするかを理解していない、というものだ!

 具体的な例で説明しよう。私は《面晶体の掘削者、ザダ》デッキをプレイしている(どうやら今回はザダの日らしい)。あなたのダーク・ジェスカイ・デッキと10戦して、あっさりザダ・デッキが7勝3敗と勝ち越した。

 これらのやり取りから、実際には何を学ぶことができたんだろうか?

 そうだな、この対戦は7対3でザダが有利だ、と早急に結論付けることもできるかもしれない。しかし必ずしも、それが本当に正しいとは限らない――それはたったの10戦で、そのうちの何戦かはどちらが勝ってもおかしくなかったかもしれない。その前の10戦は8勝2敗で、それでも引きが悪かったと感じていたかもしれないし、その逆もまたしかりだ。

 見るべきところはそこではない。ゲーム中に起こった出来事こそが、もっとずっと重要な情報だ。実際に調査したいのは、ゲーム中のどの要素がその結果に繋がっているのか、そしてそれがどういう理由で影響を及ぼしているのかを理解することだ。

 見るべき点についていくつか例を挙げよう。

  • どのターン、あるいはどのプレイが、ゲームを決定付ける根底となった分岐点だったか?
  • こう動くしかない、と思えるプレイは何かあったか?
  • 極めて弱いカードは何かあったか?
  • 極めて強いカードは何かあったか?
  • 困難な状況において本当に役に立ったのはどんなカードか?
  • サイドボードのカードはどの程度ゲームに影響していたか?
  • 土地が詰まったことはどの程度あったか?
  • この対戦でデッキをアグレッシブ側やコントロール側に寄せたいと思っただろうか?

 これらの点以外にも、ゲームから学べることはたくさんある。上記の注目例すべてを10戦分集めたなら、デッキとプレイを改善するための良い情報を山ほど手に入れられるだろう。


達人の巻物》 アート:Lake Hurwitz

 ただプレイテストを行うだけではダメだ。何を調査するのかをはっきりさせ、プレイテストの中でその問題に取り掛かろう。

5.情報を収集し共有しよう

 ここまででチームを作り、アイデアを共有し、様々な方法でプレイテストし、プレイテストから様々な事柄を学ぶようになった。次は何だろうか?

 そうだな、鍵となるのは情報の共有だ。

 6人からなるチームがあって、ある夜に全員で集まってプレイテストを3時間行ったとしよう。さて、プレイテストが終わり、最も対戦をこなしたり対戦を観戦したりしていたのは自分だと気づいた。このあと全員がそのまま解散するなら、あなたが得た情報はそこでチームから断絶されてしまうんだ。得られた結果の3分の1は、他のプレイヤーに伝わらないまま終わることになる! つまり、結論としては、ゲームから学んだことについて、チーム全員が他の全員に伝えるようにすることが絶対に重要だ。

 ゲーム中に気づいたことなどを共有するために、最後に数分を設けて話し合うことをお勧めする。そのデッキを用いる側にとってもそのデッキと対戦する側にとっても、知識を共有しておくことは極めて有用だ。それだけではなく、考えてもいなかったアイデアが喚起されることもある。(「そうだ、ダーク・ジェスカイを倒すコツは、後から出てくる《黄金牙、タシグル》のために除去を取っておくんじゃなくて、3ターン目の《カマキリの乗り手》を除去することだって気づいてた? 覚えておくといいよ!」)

 常に意識してほしい。グループで活動することの利点とは、集まって話し合える多くの仲間がいることだ。もし情報や調整結果の連絡共有を怠れば、その優位性は失われていくだろう。

 話し合うこと。調整しあうこと。情報を共有すること。そして、もちろん、楽しむことだ!

お題を決めよう

 チームで活動することについての今回の解説は楽しんでもらえたかな? チームの一員であることは、私に大きな影響を与えるものだった――願わくば、あなたにとってもそうでありますように!

 もし何か質問のようなものがあったら、私へのツイートTumblrで気軽に尋ねてほしい。チームに関するどんな質問であっても、助けになりたいと思ってるよ。

 それから、皆で活動すると言えば、前回に私の次のお題に関する投票をもらったよね! その結果はこれだ。勝利したのは......

マジックの話題
テーマに沿った構築方法19913%
コンボ・デッキの構築方法20314%
新カードの評価方法22915%
使用デッキの選択方法1067%
プレイテストの改善方法1198%
デッキ構築にまつわる伝説40327%
マナベースについて443%
マナカーブについて312%
メタゲームについて544%
サイドボードについて926%
マジック以外の話題
ベアスネークについて26918%
開催したおかしなテーマのパーティについて19413%
健康について1037%
ありえない経緯で仲良くなった友達について27018%
成長について544%
自宅の内装を整えた方法について886%
大好きな映画について18813%
帽子について14910%
話術について866%
旅行について795%

 いやあ、盛り上がるね。

 次回は勝利したこの2つの題材から共通点を見つけて、それらについて執筆することにするよ! ReConstructed記事の年末休みに入る前に、コラムの年末商戦を派手に行うことになりそうだ。

 次回も、チームの一員であることを楽しもう、と話すことになるかな! また来週!

Gavin / @GavinVerhey / GavInsight

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