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Latest Developments -デベロップ最先端-
モダンに狙いを向ける
モダンに狙いを向ける
Sam Stoddard / Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru
2017年1月20日
こんにちは、そして「Latest Developments -デベロップ最先端-」へようこそ! 皆さんは先日の『霊気紛争』プレリリースを楽しんでいただけたと思います。そして私はスタンダード禁止後第1週目、そして『霊気紛争』の第1週目に何が出てくるか本当にワクワクしています。このスタンダードは非常に開拓されていない領域であり、そこから生まれる本当にクールなデッキがたくさんあると言って間違いないと思います。
お気づきかもしれませんが、『霊気紛争』にはモダン向けのカードがかなり存在します。それはまさしく偶然ではありません。さて、我々は最初から『霊気紛争』をモダンで強力なカードをたくさん入れるというアイデアを持っていたわけではなく、我々がこのセットに選んだメカニズムから自然に生まれたものです。それらのメカニズムを決めたなら、我々はそれを避けることはしませんでした――モダンの人気を踏まえれば、我々のセットがそのフォーマットに影響を与えることができるなら、それは常に良いことです。
以前言及したように、我々はスタンダード向けにセットを作るときにモダンのテストをしていませんが、それはモダンのことを全く考えていないということではありません。これまでに、我々はモダンで使われるかもしれないカードを作ってきました――『マジック・オリジン』の《潮流の先駆け》や《ゴブリンの群衆追い》のようなカードです。我々はカードについて話し合い、それらの整合性をチェックします(妨害しにくい2枚コンボやトップメタのデッキの1つを完全にパワーアップさせるようなカードをうっかり作ってしまわないようにします)が、デッキを作ってテストを行うことはしません。
紛争
我々が満足のいくバージョンの紛争ができあがると、それがモダンでとても面白いカードを作るチャンスであることを知りました。最もわかりやすい強力な『霊気紛争』とモダンの相互作用は、紛争とフェッチランドにありました。スタンダードでは紛争を誘発させるために《進化する未開地》や《改革派の地図》のようなカードが使われるかもしれませんが、モダンでフェッチランドが紛争を誘発させることと比べると見劣りします。これはスタンダードで適切なパワー・レベルを維持しながら、カードをローテーションのないフォーマットでパワーアップさせるのによい方法です。
これはスタンダードでは心配する必要のないものであり、我々は確実にスタンダードでの紛争の速度を1ターン丸々遅くするか、もしくは少なくともデッキで異なるカードをプレイするように強制できます。《ナーナムの改革派》はスタンダードでは1ターン目に2/3にはなりませんが、モダンでは選択肢になりえます。同じように、《緑輪地区の解放者》はスタンダードで《改革派の地図》などの助けを借りて2ターン目に出すことができますが、1ターン目《野生のナカティル》からの2ターン目4/3とは大きく異なります。《改革派の結集者》も同様に、フェッチランドや《炎の印章》を戻してくるのとは異なるでしょう。
これらのような類のカード・パワーの異なりは、モダンで本当に優れた相互作用を持ち、なおかつスタンダードやリミテッドでシンプルかつ妥当な強さなカードを作るチャンスを我々に与えてくれるので、素晴らしいことです。同時に、そのゲームプレイを楽しむ人はパワー・レベルが低くなるとはいえ、それをスタンダードに移植することができます。
パワー・レベルと言えば、《致命的な一押し》は推されたカードです。しかしそれには理由があります。我々が内部で受けたモダンとカラー・パイに関する苦情のひとつに、《流刑への道》によって白が最強の単体除去色になっているというものです。と言うのも、その問題の一部はモダンで実際に強い黒除去は《四肢切断》であり、これは沼の入っていないデッキのサイドボードで頻繁に見かけられます。このセットに紛争が入ると、『霊気紛争』のリード・デベロッパー、ベン・ヘイズ/Ben Hayesは(最大の力を発揮するために紛争を達成することが必要であり、モダンよりもスタンダードでより多い5マナ以上のクリーチャーを無視することによって)スタンダードとモダンの両方でバランスの取れた除去呪文を作る能力に興奮をおぼえていました。
巧技サイクル
このサイクルは『霊気紛争』の物語に登場する様々なキャラクターの「得意呪文」を作るというアイデアから始まりました。我々がたくさんのデザインをいじくり回すにあたり、ここ数年に印刷された中でとても多くのバリエーションがありました。我々は『タルキール龍紀伝』の命令を使ったばかりなのでそれをやりたくありませんでしたし、また『異界月』の増呪は組み立て式のデザイン空間を本当に上手くプレイしました。
我々はアップグレードする呪文について多くの話し合いをしましたが、最終的にもっとジョニー的な空間の「割高な呪文だが自分で付け足しができる」になりました。《スラムの巧技》で《集団的努力》を唱えたり、《バラルの巧技》で(対戦相手が確実にダメージを受けるように)《熱病の幻視》を唱えることができます。このサイクルと一緒に存在する本当にクールなワンツーパンチと、デッキの中のどのみちプレイすることになるカードはたくさんあり、巧技サイクルがそのプレイを最大限にすることで発生する追加の使い方が得られます。
我々がこのサイクルを作ったとき、続唱が壊れているのと同じ理由でモダンにおいてあるリスクがあるとすぐに指摘されました――『時のらせん』のマナ・コストのないカード(《均衡の復元》《祖先の幻視》、《命運の輪》)を唱えることができるのです。これは確かに問題であり、考える必要がある事柄でしたが、我々はこれがモダンでは大きなリスクにならないと判断しました。
重要なのは、続唱とは違ってそのカードをデッキに入れておくだけではなく実際に引いてこなければいけないということです。これにはあるアドバンテージがあり、《死せる生》デッキは確実にそれを続唱できるように3マナより軽い呪文は使いません。同時に、私はこれらのデッキのほとんどがそのカードを「タダ」で唱える前に実際に引く必要があるようになればもっと面白くなると思います。これによりそれを捨てさせるやり取りやムダヅモを引き起こすリスクが生まれます。
巧技サイクルのいいところは、タダで唱えるカードを引かなければならないことによって(続唱のような)多くの「タダで唱える」メカニズムの落とし穴を避け、そして追加のカードのマナ・コストをより公正な方法で調整できるところです。《血編み髪のエルフ》のようなカードが手札から唱えて、最終的に自然とカード1枚得をしながらそのマナ効率を得ないならはるかに妥当でした。私はこの巧技サイクルがただ単にカードアドバンテージを削るだけでなく、たくさんの大きく派手なターンにつながることを期待しています。
その他のさまざまなカード
大きなメカニズムだけでなく、『霊気紛争』にはモダンで使われる可能性がある個別のカードがたくさんありますが、確実に将来性はあります。
《産業の塔》は親和で《空僻地》と置き換わるかもしれませんが、少なくとも《産業の塔》の振れ幅の少ない性質が親和プレイヤーにたくさんの対策カードに対するやり取りを可能にすることは、全体的にモダンにとって健全であると私は思います。《鼓舞する彫像》、《発明品の唸り》、1マナの「器具」、《屑鉄さらい》のようなカードで『霊気紛争』は間違いなくジョニー/コンボ的な空間を重点的に使っています。私はそれが『カラデシュ』よりも実際にうまくいっていると思います。
その一部は『カラデシュ』の斬新な空間の多くがエネルギーに焦点を当てていたからであり、また一部はスタンダードとこのセットで我々が背負うことのできるリスクの妥当な量に関するより良い知識によるものです。我々はフューチャー・フューチャー・リーグで《発明品の唸り》、《パラドックス装置》、《次元橋》を使ったデッキを作りましたが、私はいくつか強力なコンボが我々をなんとか通り抜けたと確信しています。先週申し上げたように、うまくいけば手に負えなさすぎるものを防ぐ安全弁がいくつかありますが、私はスタンダードに妥当で強力なコンボがあれば、とても楽しいものになると思います。
正直に言うと、いつか将来にモダンに危険を及ぼすカードはたくさんありますが、私は物事が制御不能になりすぎた場合、モダンはアーティファクトや墓地に基づいたコンボに対処できるかなりよい場所だと思います。我々は基本的に、全てのデッキにアーティファクトや墓地専用のサイドボードを8枚取るように圧力をかけるのは好きではありませんが、理論的には『霊気紛争』のあらゆるコンボは通常のやり取りでなんとかできるか、ストームのレベルでフォーマットを押さえつけてはいないかのどちらかです。
私は人々が楽しんでプレイできる、トップメタではないどこか不安定なコンボがかなりあり、そして対戦相手がそれに対する準備をしていないときに勝つフォーマットについて、言うべきことはたくさんあると思います。「エッグス(サニー・サイド・アップ)」はそのようなパワーレベルだったならば、そのフォーマットにあれば素晴らしいデッキでした。このデッキは特に、それによってトーナメントに加えられた時間を考慮すると、プロツアーを勝つのに十分な強さのデッキとしてそれほど魅力的なものではありませんでした。
今週はここまでです。来週はプロツアーのプレイ向けにリミテッドを調整するために我々が用いた、いくつかのテクニックと戦略についてお話しします。
それではまた来週お会いしましょう。
サムより (@samstod)
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