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小型セット2つのドラフト
小型セット2つのドラフト
Sam Stoddard / Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru
2015年12月4日
年間2ブロック制の世界に移行するにあたり、我々は行なってきた事柄のいくつかを再評価する時間を設け、そのうちいくつかを変更することに決めました。それらの変更の中で今日私がお話ししたいのは、小型セット2パックと大型セット1パックでドラフトをすることについてです。
伝統的に、第2セットのドラフト環境の課題の1つは、それらが目立った変化を十分に起こせていなかったことだと言えるでしょう。新しいパックから順番に開けるようにする変更は大きな助けになりましたが、それでもそれらのパックのほとんどは第1セットによって定義されていて、第3セットが出たときのほうが大きな影響を受ける傾向にありました。我々はそれをいつか変更したいと思っていたので、そして第2セットのパックを1つ増やすことはその目標に大きく役立ちます。加えて、これはプレイヤーが数年にわたって疑問に思っていたことでもあります。我々がこれについて考えたとき、それを試しすらしなかった一番の理由は惰性でした。惰性はとても強力ですが、物事を改善したいのであればそれに立ち向かわなければなりません。
我々はこの切り替えについて『ゲートウォッチの誓い』よりも早く発表しました。2ブロック制が決まったのは『運命再編』のデベロップのかなり遅い時期で、そして我々が試してみたいことの1つが、第2セット1つと第1セット2つの代わりに第2セット2つと第1セット1つでドラフトすることであると分かっていました。リミテッドで開けるパックのエキスパンションの数は常に不均等ですが、しかし我々は大型の第3セットがない世界に向かった(もしくは大型の第3セットだけと見なすことができた)ので、我々はその配分を試すことを、人々が地元のフライデー・ナイト・マジックで新しいカードを開けるより良いチャンスを持てるようにするために、そしてそのドラフト環境自体が第1セットと第2セットの間でもっと変化するために良いと考えました。
我々が実際に『運命再編』『運命再編』『タルキール覇王譚』のドラフトをやってみたとき、基本的に『運命再編』『タルキール覇王譚』『タルキール覇王譚』ほど楽しくないことが分かりました。しかしながら我々は『運命再編』『運命再編』『タルキール覇王譚』のほうが良くなる試みを行っていなかったので、驚くべきことではありませんでした。このことは我々に最初の2パックを開けたときに最も楽しくなるような戦略を考え出すために、『ゲートウォッチの誓い』のデザインを変更する有用な情報をもたらしました。以下の戦略は我々が採用した高レベルのもののいくつかです。
追加の10枚のコモン
大したことではないように見えるかもしれませんが、我々が『運命再編』をドラフトしているときに気づいたことの1つに、頻繁に同じコモンを見かけるということがありました。それについて考えてみたとき、つじつまは合っています。小型セットは3パックのうちの1つとしてドラフトされるようにデザインされているので、大型セットに比べて劇的にコモンの数は少なくなっています。それらは十分な多様性を提供していますが、もう1パック増やすとなるともっとコモンの数が必要であると判明しました。この追加の10枚のコモンは、このセットのコモンの数を大型セットの3分の2をわずかに下回る程度にしました。大型セット3パックよりも多様性は少なくなりますが、このパックをドラフトするのは3つではなく2つです。
この追加はドラフトに十分な多様性を持たせることに役立ちますが、我々は個別のドラフト戦略で強く、それらの戦略がドラフトで機能するようにしたときだけ十分に見かけるコモンを作っていました。小型セットに大型セットと同じ101枚のコモンを入れてしまうこともできましたが、そうなると個別のカードが必要なだけ回ってこないことになり、特定のカードを中心とした戦略の妨げになります。
「弱いカード」サイクルを少なく
恐らく『運命再編』2つのドラフトからの最大の収穫は 呪印サイクルがいかにコモンで繰り返されているかでした。他のコモンも大型セットより頻繁に現れますが、気づきません。もしくはほとんど全てのパックで最後に1枚以上の呪印が残っているようなことにならなければ気づかなかったでしょう。
これは我々が『ドラゴンの迷路』を振り返って10枚の 導き石はドラフトするのに多すぎたという教訓でした。これらが何度も卓をぐるぐるしているのを見る体験は全くもって楽しくありません。確かにこれらはいくらかはプレイされましたが、多くはありませんでした。この場合でも同じように、2つの『運命再編』のパックから遅い順目で多くの呪印を取ることになります。誤解のないように言うと、私はリミテッドで弱いカードに役目があることは良いことだと思っていますが、それらの画一性は実際に人々が指摘していたことでした。もしその選択肢が《粉砕》、エンチャント(クリーチャー)、《濃霧》まであれば、少なくとも使える効果が見つけられるぐらい十分な多様性がありました。呪印サイクルはそれらとはかけ離れていました。
全体的に、このことは我々を小型セットのコモンのサイクルの数に関してより注意深くさせました。大型セットには101枚のコモンがあり、5枚で構成されるカードのサイクルは大体1パックおきに1枚ぐらい出てきます。それらのカード・パワーの幅が広い(全部がトップコモンでもなく、全部が最悪でもない)と仮定すれば、邪魔にはなりません。コモンが70枚になると、いきなりこれらのカードは3分の2以上の確率でパックから出現するようになります。ドラフトの見た目を同じようにするあまりにも多すぎるカードがあり、それは我々が起こらないように努力している具体的なものです。『イーブンタイド』を見てみると、明らかにとても古いセットなので、コモンのサイクルでいっぱいです。私が数えてみたところ、7つの5枚カードのサイクル(アーティファクトのカカシ・サイクル、 混成のミミック・サイクル、混成のオーラ・サイクル、 1マナの混成サイクル、 「その色の呪文を唱えるとアンタップする」サイクル、 回顧サイクル、同じ色の他の呪文を唱えていた場合サイクル(《忠実なシロハヤブサ》など))が60枚のコモン枠に入っています。このセットのパックを開けてみると、カードがお互いに似ているのでどれも中身が同じような印象を受けます。将来的には、私は小型セットの中身をリミテッドの面白さを保つためにもう少し多様性を多くしたいと考えています。
《カラスの罪》 アート:Warren Mahy |
セットを越えたシナジーをより重視する
小型セットからドラフトをすることは、そのセットが出たときにドラフト環境を新しく感じさせるためのとても大きな改良でした。これにより、その新しいセットを古いセットより強力にすることなく、違った雰囲気をそのフォーマットに作り出すことが可能になりました。私が感じるほとんどの古いフォーマットがセットを追加するに際し抱えていた大きな問題は、その新しいセットを意味があって整理されたものにするのが難しかったことです。我々は頻繁にどちらか一方、もしくは両方に苦労していました。例えば『モーニングタイド』では、確かに『ローウィン』のドラフトに意味のある影響を与えましたが、ある意味で全くまとまりがありませんでした。一方で『神々の軍勢』は、かなりまとまりのある『テーロス』の延長でしたが、そのセットによる意味のある目立った変化は起こりませんでした。
伝統的に、小型セットにおける問題の1つは、得られる利益が過剰なものでないかぎり、特定のカードを中心としたデッキを組もうと思わなくさせてしまうことです。1パックしか開けられないので同じアンコモンを2枚見かけるチャンスはなく、また2番目や3番目のパックで《蜘蛛の発生》を見るチャンスは少なくなります。加えて、《蜘蛛の発生》の恩恵を受けるためにはドラフトの序盤にそれを取ることなく決め打ちしなければならないでしょう。セットが追加されると、大抵楽しく小さなシナジーが死んでしまい、そのアドバンテージが超強力な瞬殺コンボや単体で強いカードになると私は信じています。
小―小―大への変更は《蜘蛛の発生》の問題を助けることにはなりません(実際には悪化させています)が、いくつかのセットが達成したようなドラフトの雰囲気に意味のある影響を与えられる、合理的な中心となる戦略を2番目のセットにもっと入れることができるようになります。もし『闇の隆盛』に『イニストラード』の《蜘蛛の発生》と同じぐらいデッキの中心になるカードを入れたとしても、それは実際十分な数がなく機能しなかったでしょう。『ゲートウォッチの誓い』を2パック開けること(そして『戦乱のゼンディカー』よりもアンコモンの総数が少ないこと)によって、我々は実際に、ドラフト・フォーマットに意味があり一貫性のある変更を行うことができるようになったのです。
今週はここまでです。来週は一問一答にお答えします!
ではまた来週お会いしましょう。
サムより (@samstod)
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