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マナを作るということ
マナを作るということ
Sam Stoddard / Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru
2014年6月27日
Mファイル・『ニクスへの旅』編・パート2で、《マナの合流点》の項目にこう書いてあったことにお気づきでしょうか。
DH 8/16: 一般の人向けの質問:これが「{T}、1点のライフを支払う」であるべきなのは何故?
KD 8/20: デイブとエリックより:ダメージよりもライフを支払うほうが我々が再録する可能性が最も高い土地サイクルに合っている。
こちらをクリックして最新のスタンダード向けに再録された土地をご覧ください。
再録――同型かそのままか
これらはあなたの期待してたものではないかもしれません。ええ、それは認めざるを得ないでしょう――皮肉に思えたので、私はマルチバースの記事のコメントを引用しました。この記事で私が言ったように、我々はダメージよりもライフの支払いのほうを非常に好んでいます。今後、我々は恐らく《マナの合流点》とショックランドの両方と同じように、ライフを支払う土地を印刷するでしょう。このコメントを書いたとき、我々はペインランドを『基本セット2015』に再録するつもりはありませんでした。基本セットの持つ有利さのひとつは、埋める必要のある穴を再録で埋められることです――そしてそのことはここに明確に現れました。
デベロップの初期に、我々は『基本セット2015』に敵対色の土地サイクルを入れることを決めました――『イニストラード』のM10ランドです。ほとんどの点で、これらはペインランドよりも優れています。これらは『ラヴニカへの回帰』のショックランドととても巧く機能し、ペインランドの持つライフを記録するときの問題もありませんでしたが、スタンダードで完全に機能するわけではありませんでした。将来にわたって機能しないというわけではありませんが、我々が達成しようとしたもののためには機能しなかったのです。私は去年、我々が構築とブロック構築のために10種の2色の組み合わせ全ての土地をブロック内で印刷するよう方向に進んでいると書きました。それは今も変わっていません。
これには驚いたかもしれませんが、『タルキール覇王譚』にはショックランドがありません。分かってます、ショッキングです、いいですか? 『ラヴニカへの回帰』がローテーションしたあと、占術土地とイニストラードの土地の間では、タップ状態で戦場に出る土地が多すぎ、アグロ・デッキに悪影響を及ぼすことが分かりました。友好色と敵対色の両方をスタンダードで機能させるようにするということは、常に同じだけ土地があるようにするという意味ではなく、単にそれぞれのデッキが比較の対象になるようにするということです。したがって、1ターン目に2色のマナを出すことが保証された土地のサイクル(ショックランド)が去るにあたり、我々は1ターン目に2色のマナを出せる土地のサイクルを入れ替える必要がありました。『イニストラード』のM10ランドはショックランドとは完璧に機能しましたが、1ターン目に2色のマナを出すことはできませんでした。しかしながら、ペインランドはそれができたのです。
我々はライフを支払う形の、ペインランドのような新しい土地サイクルを作ることについて議論をしましたが、それは却下されました。同型再版は我々の考える2色土地の形により近いものになるでしょうが、だからといって常によりよい書式を求め続けているわけではありません。この場合、既に存在しているもので行くほうがはるかに簡単なのです。多くの人々が既にペインランドを持っており、そして《コイロスの洞窟》、《シヴの浅瀬》、《ラノワールの荒原》、《戦場の鍛冶場》、《ヤヴィマヤの沿岸》にはとても懐かしさを感じました。既に持っている人々はおなじみのペインランドをしばらくの間スタンダードでプレイするようになり、新しいプレイヤーはペインランドを獲得するチャンスを得るだけでなく、他のバージョン――オリジナルの『アポカリプス』版など――を使う選択肢もあります。
なすべきことのための適正な手段
デベロップがスタンダードのバランスを取るときに好んで使う手段のひとつに、そのフォーマットにどんな2色土地を入れるかによってバランスを取るというものがあります。我々はいつでも土地の組み合わせを持っている傾向にあります――あるものはアグロに向いていて、またあるものはコントロールに向いています。占術土地はもちろんミッドレンジやコントロールに向いており、ショックランドはその2つの間でかなりバランスが取れています。
《シヴの浅瀬》 アート:Rob Alexander |
ペインランドがスタンダードに提供するものは問題の解答です――占術土地サイクルはタップ状態で戦場に出ます。除去の多い黒のデッキと《森の女人像》や《クルフィックスの狩猟者》のようなカードが組み合わさった場合、2色のアグレッシブなデッキを競技レベルに作り上げるのは非常に難しくなります。アグレッシブな戦略がスタンダードで機能するためにはアンタップ状態で戦場に出る土地のサイクルが2つ必要だとは思いませんが、ペインランドがアグレッシブな戦略の助けになるのは確かです。我々はいくつかの単色デッキが出てきたのを見ましたが、ペインランドがボロス・アグロのようなデッキの助けとなり、一方でにエスパー・コントロールにとっては理想的ではないことを望んでいます。
スタンダードにとって適正な2色土地を見つけ出すのは困難です。アグロにもコントロールにもコンボにもミッドレンジにも平等にフェアなデザインというのはほとんど存在しません。一般的にコントロールとミッドレンジには(普通これらはマナ・カーブを外れてカードをプレイする準備をするので)タップ状態で戦場に出る土地が多い方がよく、そしてアグロとコンボにとってはライフの価値が低いので2色土地に何らかのライフを払うほうが有利です。
スタンダードの面白さを長期にわたって維持していく部分のひとつは、絶えず異なる動きの2色土地環境の中でローテーションさせていくことであり、それをそのフォーマットのカードを組み合わせることで、毎年のスタンダード独自の印象を出す一部となります。『アラーラの断片』〜『ゼンディカー』期のスタンダードから『ゼンディカー』〜『ミラディンの傷跡』期のスタンダードに切り替わったとき、スタンダードの雰囲気は大きく変わりましたが、そのいくらかは2色土地の変化によるものです。『イニストラード』〜『ラヴニカへの回帰』期のスタンダードはM10土地とショックランドの組み合わせによって大きく多色デッキに傾いており、現在のスタンダードのショックランドと占術土地の組み合わせよりも強力でした。
全てのスタンダード環境に正確に同じで強力なマナ基盤を作ることは可能かもしれませんが、多くの環境が同じような感じになり始めて――そしてスタンダードのカード・パワーの流動の源を取り去ってしまうでしょう。
2色土地のこれから
去年の今頃、私は『基本セット2014』に2色土地のサイクルがないことをバラしていました。これは『テーロス』ブロックの占術土地を導入し、そして我々がこのフォーマットの全てのデッキを対等な立場であるようにしたいと思ったからです。占術土地の使われ方には全体的に満足していますが、単色でないアグロ・デッキがもう少し強くても良かったと思うのも事実です。我々が『基本セット2014』でM10土地を外したのは、我々が『テーロス』を支援したいと思った以上のマナ基盤がスタンダードにあったからです。また我々は全てのデッキがその中の呪文を十分に唱えられるような方法で、マナ基盤を分散させるようにしたいとも思いました。
さて、『基本セット2015』に土地が5枚しかなかったとして、スタンダードはどうなるのでしょう? 我々は2色土地に関する考えを変えるのでしょうか?
その答えは「NO」です――私が去年言ったことは今でも真実です――我々の望むスタンダードの方向は、プレイヤーが自分達のデッキを機能させるマナ基盤を持つことで、その意味の一部はブロック構築のプレイヤーが適切なマナ基盤を持っているであろうということです。『タルキール覇王譚』で2色土地サイクルを見つけたとしても多分あなたにとって驚くべきではないでしょう――秋の大型セットでは、『ミラディン』以降は全て2色土地のサイクルが入っているのです(しかしながら『時のらせん』の蓄積土地がマナ基盤の観点からはすっかり取り残されていることは認めます)。我々は依然として、プレイヤーが自分のデッキの呪文を唱えられるように企画しています。我々はまたもや物事を少し壊しただけに過ぎません。
まだ『タルキール覇王譚』の2色土地についてお話しすることはできませんが、それらがスタンダードに影響を与えるだろうということはお話しできます。私が去年初めて占術土地を紹介したときにいくらか懐疑的な見方があり、多くのプレイヤーがスタンダードでプレイするのに十分な強さがないと信じていたことは知っています。実際は、色の合わない占術土地をプレイするデッキも見かけられ、そしてまたモダンでも姿を現し始めており、占術土地は十分に強力であると言って良いと思います。
さて、今週はここまでです。この記事が掲載されるころには、『基本セット2015』カードギャラリーで全てが公開されているはずなので、次週のプレビュー・カードはないでしょう。その代わり、『基本セット2015』全体についてお話しし、デベロップ・チームが取り組んだものについてのいくつかの洞察を説明します。
ではまた次回お会いしましょう。
サム(@samstod)より
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