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開発秘話

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マルチバース劇場・『基本セット2014』編

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マルチバース劇場・『基本セット2014』編

Sam Stoddard / Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru

2013年7月19日


 『基本セット2014』が発売されて、今はマルチバース・ファイルに目を通しマジックの開発部がこのセットを作っているときにどんなコメントを残したのかを見るのにぴったりの時です。例によってコメントはその洞察力の深さや、目立った特徴を作らせる能力、もしくは面白さで選ばれています。

ではいつものキャスト紹介です。

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AF―アーロン・フォーサイス/Aaron Forsythe
マジック開発部の責任者。ビッグ・ボス。

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DG―デイブ・ガスキン/Dave Guskin
経験デザイナーで、『基本セット2014』のリード・デベロッパー。カラオケマスター。

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DH―デイブ・ハンフリー/Dave Humpherys
マジックのデベロッパーで、デベロップ・マネージャー。私の上司。

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EVL―エリック・ラウアー/Erik Lauer
マジックの上級デベロッパー。肉好きで有名。

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GSV―ガヴィン・ヴァーヘイ/Gavin Verhey
Kaijudoのデベロッパーでマジックのテストプレイヤー。

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Hata―ジェームス・ハタ/James Hata
デュエルマスターズとKaijudoのデザイナー。『基本セット2014』デベロップ・チームのメンバー。

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KD―ケリー・ディグズ/Kelly Digges
編集者で、『基本セット2014』のデベロップ・チームのメンバー。

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KEN―ケン・ネーグル/Ken Nagle
マジックのデザイナーにして、ファッティをこよなく愛する男。

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MJG―マーク・グローバス/Mark Globus
上級プロデューサーで、『基本セット2014』のリード・デザイナー。

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MJ―モンス・ジョンソン/Mons Johnson
デュエルマスターズのデベロッパーでマジックのテストプレイヤー。ゴブリンの始祖。

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MT―マイク・チュリアン/Mike Turian
元マジックのデベロッパー。現在はデジタル・マジックのプロデューサー。熱烈的ビートダウン愛好者。

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SPS―サム・ストッダート/Sam Stoddard
マジックのデベロッパー。私です。

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Tabak―マット・タバック/Matt Tabak
編集者であり、ルール・マネージャー。

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TML―トム・ラピル/Tom LaPille
マジックのデベロッパーで『基本セット2014』デザイン・チームのメンバー。副業はサムライ。

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ZH―ザック・ヒル/Zac Hill
元マジックのデベロッパー。『基本セット2014』デベロップ・チームのメンバー。

 今日最初にお話ししたいことは『基本セット2014』の色対策サイクルについてです。メタゲームを少し揺るがす、1〜2色ではなく3色以上のデッキが支配する場所でよく機能するカードがあったほうが良いだろうということで、これらはデベロップの過程の途中でファイルに加えられました。


DG 4/26:ZHとEVLの議論に基づいて{W}{W}で2/2飛行と《プロパガンダ》だったのを更新。

MJG 8/14/12:いいね。

SPS 9/14/12:単に赤と黒のデッキを阻害する以外の働きを何かつけたいですな。今の能力よりも少々緩いぐらいがよいかと。

DG 9/6:プロテクション→ダメージ軽減に。

AF 9/10:プロテクションはこのセットでどんな役割を持っているんだろう? 今や《精霊への挑戦》しかなくて、それはおかしいと思う。

Tabak 10/11:先制攻撃をつけて、赤と黒の発生源からのダメージを軽減する能力を赤と黒の呪文の対象にならない能力に変更。


 能力の適正な組み合わせを見つけるために、この聖騎士は様々なバージョンを経てきました。これは2/2プロテクション(赤、黒)絆魂、先制攻撃から始まり、絆魂や警戒といった能力の中で様々な組み合わせを試してきました。

 我々がチームとしてこの数年にわたって苦心してきたもののひとつは対策カード、特にプロテクションの適正な扱いです。問題は、プロテクションが色によって公平から程遠いことにありました。例えばプロテクション(白)は、まだ《次元の浄化》や《審判の日》のような全体除去でクリーチャーを殺すことができます。プロテクション(黒)を持ったクリーチャーを殺そうとするプレイヤーは《蔓延》や《悪魔の布告》のような何かを使えます。その一方でプロテクション(赤)や(緑)は......そのクリーチャーはそこに永久に居座り続け、そしてそのデッキにはそれをどうにかする方法はほとんどないでしょう。赤は一般的に全体除去がプロテクションで防がれる唯一の色です。私はプロテクション(白)が《審判の日》でクリーチャーが殺されることを防ぐ別の世界線では物事はかなり異なっているのだろうと想像してしまいます。

 プロテクションを細分化した能力の一部をこれにつけることで、最もありふれた黒と赤の除去を防ぐことができますが、しかし赤や黒の全体除去でこれを殺すことは可能です。またこれは赤と黒の攻撃の多くを防ぐことができますが、その色を完全に閉め出すことはしません。全体的に見れば、私はこのカードの最終的な出来にとても満足しています。


TML 1/30/2011:これらの仕上がりは好きだな。

KD 2/7/12:同じく。私には他のよりも弱く見える。

DG 2/8:テストしてみよう。

DG 4/26:ZHとEVLの話し合いに基づいて、{B}{B}で2/2接死、相手のクリーチャーが死ぬたびに1点ドレインに変更。

Tabak 10/18:{B}{B}で2/2→{1}{B}{B}で3/1、能力を「対戦相手の緑か白のクリーチャーが戦場に出るたびに1点のライフを失う」から「戦場に出たときに手札から緑か白のクリーチャー・カードを追放する」に変更。


 その人生のかなりの部分、《生命散らしのゾンビ》は{B}{B}の2/2で、接死と威嚇か、威嚇に「緑か白のクリーチャーが対戦相手のコントロールで戦場に出たとき、そのプレイヤーは1点のライフを失う」を持っているかのどちらかでした。

 このテキストの問題は《未練ある魂》に対してはとても良い対策でしたが、他にはあまり効かないことでした。FFLの緑か白いデッキの大部分は、単により大きいクリーチャーを唱えるか、2ターン目に《生命散らしのゾンビ》をプレイしなければ間に合わない速さでクリーチャーを展開しました。ナヤ・ブリッツのような高速白緑デッキと対する事実を加えると、ライフ損失が適切な対策であることは稀でした。しかしながら、このカードは別の問題も抱えていました。{B}{B}で2/2の威嚇持ちゾンビはゾンビデッキのメインに入るのにほぼ十分なサイズでした。理想的には、我々はこれらの色対策クリーチャーのいずれもその対策となるデッキと多く当たることを期待する以外ではメインデッキに入って欲しくありませんでした。{B}{B}で2/2の威嚇持ちゾンビはゾンビデッキの他の2マナ域よりも優れていたので(そこはちょっと手薄なマナ域でした)、マナカーブの他の地点を探すのが理想的でした。

 この現在のデザインは《スラーグ牙》や《静穏の天使》のような追加の価値を生み出すクリーチャーと戦うのにより良く組み立てられましたが、さらにコストが3マナに増えたので、これをメインデッキに入れるときはかなり真剣に考えなければならないでしょう。メタゲームが変化してメインデッキで《ゲラルフの伝書使》や《ヴェールのリリアナ》よりもよく働くようであれば、このカードの存在意義があるというものです。


KD 7/18:よくできてるね。「この2/2を殺さないとあなたマジックできませんよー」じゃなく「一回だけあなたに悪さをしますよー」っていう方向性はいいと思う。

SPS 7/26:私には強すぎで本当につまらんように見えますな。これ瞬速要ります?

DH 8/8:必要だけどそれ以上に太っ腹/イライラさせるように見えるね。

DG 8/9:瞬速を削除。

GSV 8/30:プレイヤー視点から見れば古臭い。条件付《霊気の達人》がレアって......けどもう1マナ軽ければ使うかな? ナンセンスだが。

DG 9/5:バウンス→《地下牢の霊》能力に。

DG 9/6:FFLの連中は(地下牢を越えて)プレイ時に凍らせると言ってるので、《地下牢の霊》能力→《霜のブレス》に変更。

Tabak 9/27:2/2で、1ターン凍らせる→2/1、《地下牢の霊》能力に。

Tabak 11/2:サイズを元に戻して2/2に。


 《潮縛りの魔道士》は初期に多くの問題があり、 その大部分は青に新たな2マナクリーチャー、特に瞬速持ちを与えることに関係していました。これは最初は{U}{U}2/2で戦場に出たときに赤か緑のクリーチャーをバウンスしていましたが、これの瞬速はかなり赤と緑を罰し、青いデッキがかなり見事に戦闘をかき回すことを確実にしていました。それから彼は《霜のブレス》と《地下牢の霊》能力の間を行き来し、結局《地下牢の霊》能力に落ち着きました。最終的に、《霜のブレス》能力はいくつか利点もありましたが、《地下牢の霊》能力ほどエキサイティングではないと判断されてこうなりました。これでも食らえ、《スラーグ牙》。


G 11/21:これを残すことを強く望む。

Tabak 9/6:そうしよう。これは再録される。


 良い点をついてます。実際にデイブはアジャニを《群れの統率者アジャニ》バージョンのままにして欲しいと話していました(これは時々デベロップで変更されます)。


DG 7/22:アンコモンに格上げして、《夜の子》をコモンに戻す。1/2→1/3に変更。

Tabak 8/1:「クリーチャーを1体生け贄に捧げる」と「他のクリーチャーを1体生け贄に捧げる」のどっち?

DG 9/6:{B}、生け贄に捧げる→{1}{B}生け贄に捧げる(FFLより)。@Tabak「クリーチャーを1体生け贄に捧げる」です。我々はこいつが効果のために自分をサクるもっともらしい理由があるように感じたんだ(吸血鬼とは違ってね)。


 これはマーク・ローズウォーター/Mark Rosewaterが彼のコラムで言っていた「クリーチャーは自分自身を生け贄に捧げられるかどうか」の議論です。伝統的に、ほとんど全てのクリーチャーを生け贄に捧げる能力を持つクリーチャーは自分自身を生け贄に捧げることができ、それはMagic Onlineでのミスクリックの壮大な叙事詩と、いくらかの新人プレイヤーがなぜ彼らがクリーチャーを生け贄に捧げたとき効果を得られないか混乱する事例の両方を導きました。

 我々が今行おうとしている基本的なルールはフレーバーと直感のほうへ向かっています。このクリーチャーがこの効果のために自分自身を生け贄に捧げるのは道理が通っているでしょうか? 吸血鬼は多分血に飢えていますが、それらはほぼ不滅の自己保存本能を持っている傾向にあります。しかしながらゾンビは......ええ、ゾンビは基本的にすごく賢くないし、もし自分自身を生け贄にすることになれば、やつらはそうするでしょう。他のクリーチャー・タイプは実際には個別のカードによります。

 このカードに唯一あった大きなパワーレベル関連の変更は生け贄のマナコストが{B}から{1}{B}になったことで、ゾンビデッキの《墓所這い》と組み合わさってちょっとイカれたことになるので変更されました。これをそのままの性能で残しても良かったでしょうが、我々は1年の取り組みと現実世界の《血の芸術家》と《殺戮の波》デッキを見て安全にプレイできるように決断しました。


TML 2/8/2012:攻撃強制

DH 3/9:超クール!

DG 3/23:メモ――リミテッドでこいつから目を離さないように。これは想定どおりにいってるかな?

AF 3/29:我々は「パワー5で攻撃」したいか?それが彼の行動の原因だ!


 素晴らしい。全ては計画通りです。


DG 1/13/2012:《立ちはだかる影》を新しいタフネスが高いマヌケ(バニラであることが必要)に差し替え。

TML 1/30/2011:私はこのマヌケを支持するよ。

EVL 7/15:それにイラストともマッチしてるしね。ミノタウロス・ゾンビのステーキはどんな味だろうね :)

KEN 7/24/2012:何じゃその発想は!


 デベロップのファイルを通して多くの非常に興味深いカードがやってきます。これはそのうちの1つではありません。少なくともカードのテキストの点では。我々が赤と黒を分離させようと積極的に行っていることの1つは、黒をよりタフネスの高い色にして赤をパワーが高くタフネスの低いままにすることです。我々は黒に普通でない4/6バニラと、典型的な2/3バニラを収録しました。私はあなたが{2}{R}の2/3を見るのが最後だとは思いませんが、これから黒でより頻繁に見ることになるでしょう。


ZH 10/20:イェヤアアアアア。

MT 11/17:こいつが4マナなら好きになれるだろうな。

DG 11/21:MTへ、売った!4マナにしよう。({3}{R}{R}4/4→{2}{R}{R}3/3)

AF 3/9:多分《未練ある魂》とすごいことになるな。

Hata 3/15:ビートダウンのファンとして、これは継続してこのセットの私のお気に入りの1つです。


 マイク・チュリアンは常に攻撃的なデッキのファンであり、4マナ域への移動はこのカードを多く助けたのは確実です。除去耐性が少し落ちましたが、あなたは彼を唱えてから次のターンに《未練ある魂》を表裏で唱えないようでは生きているとは言わないでしょう。それは美しいものです。


 マルチバースへの新たな旅はお楽しみいただけたでしょうか。私は『テーロス』のコメントをお届けするのを楽しみにしていますが、それはまだ何ヶ月か先になります。しかし、もしあなたがもっと知りたくてたまらないのであれば、サンディエゴ・コミックコンでのマジックの発表をチェックするようにして下さい。もし見逃しても、我々はその後でビデオを投稿する予定です。

サムより

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