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『久遠の終端』の伝説たち

Miguel Lopez, Amanda LaFranco, Laurel Pratt, and Jay Annelli
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2025年7月22日

 

 恒星系ソセラは既知の宇宙の端に位置しており、エントロピーと拡大とが永遠の闘争を続けるその中心にあります。ここでは、様々な勢力が支配権を争っています――新たな故郷を築こうとする異星種族、混沌につけ込む企業やフリーランサーたち、そして必死に平和維持に努める恒星間官僚機構。

 さてここに、ソセラのあらゆる領域から集ったあり得ない連中が登場します。謎めいたアーティファクトが運命を操っていなければ、彼らの多くはためらいなく他者を殺してしまうでしょう。争いの絶えないソセラ星系で、この悪党と兵士の寄せ集め集団は名を上げつつあります。ソセラで最も名高い(そして悪名高い)顔ぶれの幾つかを紹介しましょう。

 『久遠の終端』のストーリーに興味がある方は、The Magic Story Podcastで全編をお聴きいただくか、DailyMTGで読むことができます。ソセラ星系とその住民たちについて詳しく知りたいですか?「 プレインズウォーカーのための『久遠の終端』案内」には、“終端”で生き延びる方法 (あるいは、少なくとも生き延びるほど自分を役立たせる方法)について知っておくべきすべての情報が記載されています。

 『久遠の終端』は2025年8月1日に発売されます。お近くのゲーム店Amazonなどのオンライン小売店、その他マジック製品を取り扱う店舗で今すぐご予約いただけます。


『久遠の終端』の伝説たち EOE Set Symbol

テゼレット
人間(混沌壁からの噴出物)・男性

 ファイレクシアの侵略後、テゼレットは望んでいたすべてを手に入れた――他者の束縛を受けない自由と、それを維持する破壊不能のダークスティールの身体。だがその旅は、予期せぬ目的地へとテゼレットを導いた。未だ不明の手段によって、彼は久遠の闇から追い出されてしまったのである。だが“終端”にてテゼレットは力を発揮している。魔法の才能により、競争相手よりも十歩先を行くことができるのだ。彼は盗品の売買、盗難宇宙船の自動応答装置番号の削除、氷と水の取引の独占など、時を待ちながら犯罪組織の基盤を築こうとしている。テゼレットの当初の目的は故郷への道を見つけることだったが、今ではその確信が持てなくなっている。

サミ
人間・三人称単数形they/them(ノンバイナリー、男性でも女性でもない)

 宇宙船セリーマ号の勇敢な若き船長、サミはワイルドキャットだ。自分の船を所有し、誰からでも報酬(マロウマス、あるいは通貨のような古風なもの)を貰って仕事を請け負う無所属のフリーランサーである。サミは勇敢なスクラップ漁り兼メカニックとしてキャリアを開始し、過度な露天掘りで破壊されたカヴの母星を周回するデブリ宙域の周縁で当初は働いていた。だが愛猫ミリーの失踪など不運が続き、乗組員のほとんどをより裕福な組織に奪われてしまった。それでも一等航海士のタヌークと共に、サミは再起のための成功を手に入れようとしている。

タヌーク
カヴ・男性

 タヌークは心優しき巨人であり、かつてはカヴ記念軍艦隊(KMN)の操縦士であった。だがカヴァーロンのデブリ帯から落下する破片の方向を変え、巻き添え被害を最小限に抑えたことで不名誉除隊処分となった。カヴの母星の残骸は災害の中にあり、彼の行為は犯罪にあたるのだ。故郷から追放されたタヌークはサミの仲間となり、この若き船長はタヌークが故郷の同胞たちに抱く情熱と同じほどに熱く船員たちを気にかけていると知った。現在、他の船員たちはもっと儲かる船を求めてセリーマ号を離れ、タヌークは最後のひとりとなっている。彼は忠誠心が強く、サミが自分たちを莫大な富へと導いてくれると信じている――サミが怪しい話に乗るのを彼が止めることができれば、だが。

ハリーヤ
人間・女性

 ハリーヤはサンスター・フリーカンパニーの聡明で熱心な従者だ。彼女は最近、ドーンサイアーに搭乗してソセラにやって来た。これはホライゾン・ジャベリンを有する全長数キロメートルの宇宙船であり、スーパーヴォイドと化したソセラを再燃させようとしている。この星系のモノイストたちは、それを阻止するためにあらゆる手を尽くすと予想されている。ハリーヤは、年少の頃から彼女を指導してきた師であり敬愛する存在、ヴォンダム卿へと光剣を捧げる誓いを立てている。

ヴォンダム
人間・男性

 ヴォンダム卿はサンスター・フリーカンパニーの高位騎士であり、騎士団を率いてドーンサイアーの防衛を任されている。彼は秩序の模範であり、多くの従者を育ててきた名高い騎士である。またハリーヤの師でもあり、これまで育てた中で最も有望な騎士候補のひとりだと彼は考えている。

アルファラエル
人間・男性

 若き侍祭アルファラエルは、ソセラのスーパーヴォイドの影に隠れたモノイスト修道院で人生を過ごしてきた。だが双子の姉が久遠を抱いてスーパーヴォイドへ飛び込んで以来、奇妙な夢に苛まれている。今、彼はソセラにおけるサンスター・フリーカンパニーの示威を排除するという任務を帯びている。生き延びる見込みのない任務であり、彼の信念は揺らぎ始めている。だが運命から逃れる機会がアルファラエルに訪れるかもしれない――恐ろしい力を持つ古代のアーティファクトの思惑によって、ではあるが。

ムメノン
イルヴォイ・三人称単数形they/them(人間とは異なる性別形態)

 惑星ウスロスの大気圏深部には、イルヴォイの研究拠点であるウスロス連合の基地が設置されている。ムメノンはその不名誉な元研究者だ。連合から追放された後、ムメノンはテゼレットに協力することで星系に留まった。ウスロスの謎を解き明かしてそこから利益を得ようというのだ。ムメノンは熟練した塑雲師(超高密度のガスから硬い面や物体を形作るイルヴォイの技術)であり、多くの言語を操り、その姿は常にテゼレットの傍らにある。

ズー・イフィット
人間・女性

 ズー・イフィットはモノイスト教団の外科医であり、現在はススール・セクンディに駐在している。10年前、ズー・イフィットの妻はソセラのスーパーヴォイドへの落下を試みた。だが突然の重力異常に巻き込まれ、時間の遅延によってその場に凍り付いたままとなった。ズー・イフィットは妻を救い出し、次なる久遠への旅に同行することを人生の使命としている。それを成し遂げるために彼女はモノイストの侍祭たちを用いて実験を行い、危険な任務を通して彼らの生存能力を検証した後、ソセラのスーパーヴォイドへの自由落下へと送り込んでいる。実験を繰り返すごとに彼女は手法に磨きをかけ、妻と自身を救う手段の開発へと近づいている。

ダイアドライン
メカン・三人称単数形they/them(人間とは異なる性別形態)

 鉱床の乏しいとある未開の衛星にダイアドラインは置き去りにされた。そしてナノテクノロジーによる自己修復プロトコルがすぐに適切な材料を使い果たしてしまうと察した。数年にわたる分析の結果、現地の植物相が修復材料として十分な構造的健全性を備えているとダイアドラインは判断した。根はすぐにダイアドラインのシステムに定着した。時とともに植物と機械の融合は進み、やがて両者は見分けがつかなくなった。近頃、ダイアドラインは栄養素を思いっきり摂取したいという衝動に駆られている。自己診断によると不具合は報告されていないが、その症状は現地植物相の増殖サイクルに一致している。

ラゴスト
ロブスターフォーク・男性

 ラゴストはソセラで最も悪名高い宇宙船のシェフだ。彼は星系内のほぼあらゆるフリーランサー船に仕え、とあるユーミディアンの王女と婚約し、フライパンひとつでカヴ記念軍艦隊の巡航艦6隻を相手に戦って生き延び、サンスター・フリーカンパニーの現地任務を断り、ウスロスの核で星の神と交信し、ススール・セクンディのモノイストの共同食堂から追放されたと吹聴している。これらの話が真実かどうかはさておき、ラゴストが用いる特製の食材は、ほとんどの人型生物の消化器官の処理能力を超えている。幸いにも、ラゴストは思いがけない仲間を見つけた――食の快楽を味わいたいと願う、自意識を持つメカンの集団だ。そしてラゴストは、まさしく彼らにふさわしいシェフなのだ。

『久遠の終端』統率者デッキの伝説たち EOC Set Symbol

ハースハル
ユーミディアン(エヴェンド系)・性別なし

 巨大輸送艦に見えるハースハルだが、厳密に言うとその正体は、何世紀も星から星へと移動しているうちに、シードポッド全体をまるごと抱えるだけの大きさに成長した、古のユーミディアンの生体である。ユーミディアンの他のシードシップとは異なってハースハルは自我を持ち、自身の仕事に意識と自覚を持ち、惑星エヴェンドに入植した群れへと強い愛着を示している。この庇護本能には非常に切実な根拠が存在する――故郷の惑星カヴァーロンをおよそ破壊し尽くしたカヴの開拓者たちが、自然資源の採鉱先としてエヴェンドに関心を向けているのだ。だがこの船が惑星を見守っている限り、まだまだ未熟なユーミディアンの群れでもカヴへの抵抗が見込めているのである。

ザーレル
ユーミディアン(エヴェンド系)・男性

 エヴェンドにおいてザーレルは、ユーミディアンによる惑星共生の現工程を担う責任者である。惑星共生とはテラフォーミングに関するユーミディアンの技術であり、惑星を緑豊かで居住可能な世界へと変えていくと同時に自分たちの生物学的内部構造を適応させていくというものだ。この双方から順応していく戦略によって劇的に工程が加速し、ユーミディアンを星から星へ効率よく撒種することに成功している。

 しかしながら、エヴェンドにおけるザーレルの任務の責任は重大である――惑星共生を管理しながら、この惑星を我が物にせんとするカヴの開拓者から守らねばならないからだ。惑星共生の完遂を見るまで生きられないことは、ザーレル自身も重々承知している。それでもなお、大義を成すために生涯を懸けて取り組むのである。

インスピリット
宇宙船・性別なし

 ソセラは幽霊を秘めている――名高い久遠船インスピリットは、星系の端にある不気味で広漠な一帯、アピーロンの庭を漂流している。この巨大船はかつて、遠方のとある惑星の誇りであったが、進宙すると虚空間の事故により失われてしまった。だがかつての乗組員にとって、インスピリットは静かなる棺などではない。自意識を有する人工頭脳キロを宿した船として、いまも生きているのだ。そしてここは、船に乗り込むことを決めたメカンの一団にとっての家でもある。彼らはそこで瞑想にふけり、自我の顕在化に向けてたゆまぬ努力を続ける。自身のコードのどこかに自我の芽生えの可能性を孕むメカンの巡礼者にしてみれば、インスピリットとは寺院であり、神体であり、希望である。

キロ
メカン・性別なし

 当初はインスピリットのみが在った。やがてキロが生まれた。宇宙船の航行用頭脳から生まれ、自ら主観を育み、操縦する宇宙船から自らを切り離せるまでになった。この天啓から数十年、インスピリットはアピーロンの庭で「行方不明」となり、キロは自意識の顕在化を果たし、自身に名をつけ、初期段階にあった自我の断片を、母船の外にあるひとつのメカンの身体に移した。キロは自我という贈り物を慈しみ、他のメカンに広めることを目指す――それは、身体ひとつに収まるサイズを遥かに超える、巨大頭脳をめぐる苦悩のプロジェクトであった。メカンの巡礼者がインスピリットに乗り込むと、新参者ひとりひとりがキロの力のかけらを取り込む。それは意志を育ませる種なのである。

『アルケミー:久遠の終端』の伝説たち

ゼンダー
カヴ・男性

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アート:Lius Lasahido

 ゼンダーはカヴ帝国に恨みを抱いている。かつて帝国のモーキサイト採掘者だったゼンダーは、私腹を肥やすために少しの鉱石をかすめ取るくらいなら問題ないだろうと考えていた。だがそれは間違いだった。彼はすぐに解雇され、現カヴァーロンへと送還されてしまった。今ではゼンダーは「盗めるはずだった鉱石を取り戻す」ことに躍起になり、帝国から盗みを働いている。

ヴァル
人間・女性

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アート:Cristi Balanescu
こちらはピナクル研究船「コンヴィクション」のヴァルです。救助用ボートが必要です。これは遭難信号です。応答をお願いします。
 

 ヴァルが乗っていた宇宙船は、カヴの屑鉄業者との悲運の衝突によって未踏のジャングル惑星に墜落してしまった。以来、彼女は毎日このメッセージを送信し続けている。遭難信号への返答は未だにないものの、ヴァルは任務を完遂し、ピナクルのためにジャングルの奥地を探検する決意を固めている。重要な発見があれば無限導線の目にとまり、より徹底的な捜索隊を派遣してくれるかもしれないのだ。

アクサヴァー
ドリックス・男性

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アート:Tianxing Xu

 かつてドリックスのエルドラージ狩人の中でも、アクサヴァーは比類なき存在だった。彼の全実存の織物への理解と、極めて精密な虚空間渡りの能力は、畏敬だけではなく恐怖とともに囁かれていた。アクサヴァーが名を受け取ったなら、即刻確実に死が訪れるだろう。だがとても多くの暗殺を重ねるうち、アクサヴァーは絶え間ない狩りに疲れ果てていった。果たしてドリックスはエルドラージの脅威を真に止められるのだろうか? それとも自分は果てしない敵を追い詰め、滅ぼすという終わりのない運命にあるのだろうか? そこでアクサヴァーは契約と運命を断ち切った。彼は今、全実存の織物を用いてドリックスの狩人たちを妨害している。いつか捕らえられることは覚悟の上である。それでもその日までは、自身の信条を貫くつもりだ。

ヴヴ・ヴィザ
イルヴォイ・三人称単数形they/them(人間とは異なる性別形態)

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アート:Cristi Balanescu

 ムメノンがウスロス連合から不名誉に遁走した後、ヴヴ・ヴィザはその不在によって生じた欠落を埋めようと、熱意をもってその地位に就いた。現在、ヴヴ・ヴィザは惑星ウスロスの雲の核の奥深くに埋もれた秘密を渇望し、大気圏探査のあらゆる取り組みを監督している。ヴヴ・ヴィザは、ウスロス連合が今なおムメノンからの情報を考慮していることに憤慨している。この対立はおそらく、両者が管理部門にいた頃からの長年のライバル関係にまで遡るものだ。ムメノンはあらゆる策略をもって、ウスロス連合が苦労して手に入れた秘密を探り出そうとしている。一方のヴヴ・ヴィザはこの追放された研究者を締め出すための、同様に巧妙な対抗手段を用意している。

試作機X-8
メカン・性別なし

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アート:Sergey Glushakov

 この有機物と合成物質の融合体についての情報はほとんど存在しない。ピナクルの渡航情報は長年に渡り、試作機X-8が存在する衛星には近づかないようにと探検家たちに強く勧告している。この警告を無視した者は必然的に、ひどく乱れて判読不能な最終通信を送信することになる。衛星地表、氷に覆われた研究施設の奥深くには――幸運にもその場所を見つけられたなら――遠い昔に亡くなった科学者のメモが、自分たちの創造の進捗状況を楽しそうに見守っている。

スリヴァーの虚空絡み
スリヴァー・性別なし

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アート:Slawomir Maniak

 スリヴァーの群れの無数のサイクルから生まれ、失われた文明の広大な墓地の上で育まれ、幾つもの時代をかけて、かつて何者も目撃したことのないような頂点の存在が出現した。スリヴァーの虚空絡みは実在に穴をあけ、まるで地面にトンネルを掘るように虚空間を掘る能力を持つ。このスリヴァーは混沌壁の内にその棲処を見つけた。今のところ、その巣は静穏を保っている。“終端”のためにも、このまま静穏であり続けることを願うばかりだ。


 これは『久遠の終端』で出会うエキサイティングな物語のほんの始まりに過ぎません。物語を視聴したり、「プレインズウォーカーのための『久遠の終端』案内」に目を通したりして、この彼方の世界を実際に探検しましょう。さらなるソセラのコンテンツをお探しの方には、近日中に『アルケミー:久遠の終端』のカードを公開致します。どうぞお楽しみに!

 『久遠の終端』は2025年8月1日に発売されます。お近くのゲーム店Amazonなどのオンライン小売店、その他マジック製品を取り扱う店舗で今すぐご予約いただけます。

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