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ヒストリック・フォーマットとは
2020年9月1日
9月10日~13日(PDT)に生放送が予定されている「2020ミシックインビテーショナル」は、ヒストリック・フォーマットにて開催される。最高峰のレベルとなる本イベントには161名のプレイヤーが参戦し、スイスラウンド14回戦の後、トップ8プレイオフを行い王者が決定する。総額250,000ドルの賞金、そしてトップ16に入賞したプレイヤーに授与される「2020年シーズン・グランドファイナル」への出場権を懸けた戦いに注目だ。
ヒストリック・フォーマットは、去年新たに実装されて以来メタゲームが変化し続けている。直近では『Jumpstart』、『アモンケットリマスター』が加わったことが環境を一変させた。本大会はマジックのトーナメント中でも特に選択肢の広いものと言えるだろう。本戦開始前に他のプレイヤーに差をつけることがこれまで以上に重要になりそうだ。
激動するメタにいち早く適応したプレイヤーが優位に立ってスタートを切ることができるだろう。
ミシックインビテーショナルでは、《副陽の接近》を2回唱えることによる勝利を目指すコントロールデッキから、全速力で対戦相手を攻め立てるゴブリンたちを操るアグロデッキまで、さらにはコンボデッキや《ファイレクシアの抹消者》が入ったデッキなど、多種多様な戦略を目にするだろう。現在MTGアリーナでは、リミテッドやスタンダード同様、ランク戦シーズンにおいてミシック・ランキング1200位以内到達を目指すべく、ヒストリックでも常時ランク戦をプレイすることが可能だ。
配信者やトーナメント主催者からの注目が集まっている今こそ、「ミシックインビテーショナル」や来週行われる「ヒストリック・チャレンジ」に向けて、ヒストリックについて学ぶ絶好の機会だ。それでは、特に人気のあるいくつかのデッキとともに、このフォーマットについて紹介しよう。
ヒストリックってどんなフォーマット?
スタンダードやモダンのような他のフォーマットとは違い、ヒストリックは初めMTGアリーナ専用のフォーマットとして実装された。つまり、このフォーマットでは最近発売されたセットに限らず、さまざまなセットに収録されたカードが使用可能だ。
ヒストリックで使用可能なカードは主に3つのタイプに分けられる。
- スタンダードで実装されたセット。スタンダードで使用可能となったすべてのカードは同時にヒストリックでも使用可能となる。
- 「ヒストリック・アンソロジー」として収録されたカード。「ヒストリック・アンソロジー」はさまざまな異なるテーマや戦略をより広げるためにMTGアリーナに追加され、1セットあたり15~20枚のカードを収録。《絶え間ない飢餓、ウラモグ》、《宝石の手の汚染者》、《女魔術師の存在》などが含まれる。
- 特殊セットとしてMTGアリーナに実装されたもの。『Jumpstart』や『アモンケットリマスター』がこれに当たる。
現在ヒストリックで使用可能なセットは以下の通りだ。
『イクサラン』『イクサランの相克』『ドミナリア』『基本セット2019』『基本セット2020』『基本セット2021』『ラヴニカのギルド』『ラヴニカの献身』『灯争大戦』『エルドレインの王権』『テーロス還魂記』『イコリア:巨獣の棲処』『Jumpstart』『アモンケットリマスター』『ヒストリック・アンソロジー1~3』
スタンダードで好きなカードがあり、それらをもう少し長く使いたい、と思っている方にとってヒストリックはピッタリなフォーマットだ。また、不可能だと思っていた組み合わせを試すことができるフォーマットでもある。
《探検》、《思考囲い》、《集合した中隊》、これらすべてが入ったデッキもヒストリックでは使用可能なのだ。
今はヒストリックをeスポーツシーンで扱うのにもってこいの時期だ。ヒストリックで開催される初めてプロ・レベルの大会であるために、意外な展開が目白押しになることは請け合いだし、最近『Jumpstart』や『アモンケットリマスター』が実装されたことにより、一挙に数百種類ものカードが増え、環境が一変している。「ミシックインビテーショナル」開催の先に何が待ち受けているのか、予測不能だ。
ヒストリックで禁止されているカードは?
フォーマットのバランスを健全に保つという点において、ヒストリックは他のフォーマットとは少々異なる。禁止カードに加え、使用可能なカードプールからは除外されているが、環境次第では解禁が検討されている一時停止カードも存在する。(もちろん、一時停止カードから禁止カードになる場合もある。)
現在、以下の3枚のカードがヒストリックにおいて一時停止カードとなっており、これらのカードが「ミシックインビテーショナル」が登場することはない。
- 《炎樹族の使者》
- 《時を解す者、テフェリー》
- 《荒野の再生》
また、禁止カードは以下の通りだ。
ヒストリックはスタンダードのようにローテーションが存在しないため、スタンダードではできなかった組み合わせが実現可能だ。例えば、《コーの精霊の踊り手》や《羽ばたき飛行機械》を《きらきらするすべて》や《執着的探訪》と組み合わせたり、《神の怒り》と《ドミナリアの英雄、テフェリー》と組み合わせることも可能だ。
8 《平地》 4 《島》 4 《神聖なる泉》 4 《氷河の城砦》 2 《啓蒙の神殿》 -土地(22)- 2 《羽ばたき飛行機械》 4 《無私の救助犬》 3 《命の恵みのアルセイド》 4 《コーの精霊の踊り手》 2 《アダントの先兵》 -クリーチャー(15)- |
4 《結束のカルトーシュ》 4 《執着的探訪》 3 《秘儀での飛行》 2 《歩哨の目》 4 《きらきらするすべて》 4 《圧倒的洞察》 2 《知識のカルトーシュ》 -呪文(23)- |
1 《夢の巣のルールス》
-相棒(1)- 3 《静寂をもたらすもの》 2 《潜水》 2 《墓掘りの檻》 2 《呪文貫き》 4 《不可解な終焉》 1 《霊気の疾風》 -サイドボード(14)- |
スタンダードで使用されている多くのカードをヒストリックでもよく見かける。しかし、その独特の構造から、他のフォーマットでは決して出会うことのないデッキに遭遇するのもこのフォーマットの特徴だ。ゴブリン・デッキがその最たる例だろう。『Jumpstart』の実装により《上流階級のゴブリン、マクサス》や《ゴブリンの酋長》が追加され、《ずる賢いゴブリン》などの他のゴブリンと組み合わせることにより、戦略のアグレッシブさが飛躍的に上がった。《スカークの探鉱者》を入れれば、マナ加速をしてマクサスを着地させるといった、コンボによって爆発的な攻勢を始動することも可能だ。
ゴブリンデッキはさまざまなフォーマットで使用されているが、ヒストリックで使用されているリストは非常に独特なものだ。
9 《山》 2 《平地》 4 《聖なる鋳造所》 4 《断崖の避難所》 1 《エンバレス城》 4 《古代の聖塔》 -土地(24)- 4 《スカークの探鉱者》 4 《ずる賢いゴブリン》 3 《人目を引く詮索者》 2 《ゴブリンの扇動者》 1 《ゴブリンのクレーター掘り》 4 《ゴブリンの酋長》 4 《ゴブリンの女看守》 3 《ゴブリンの鎖回し》 2 《ゴブリンの戦長》 3 《光明の繁殖蛾》 2 《群衆の親分、クレンコ》 2 《上流階級のゴブリン、マクサス》 -クリーチャー(34)- |
2 《削剥》
-呪文(2)- |
3 《ゴブリンの廃墟飛ばし》 2 《悪斬の天使》 4 《チャンドラの敗北》 4 《不可解な終焉》 2 《敬虔な命令》 -サイドボード(15)- |
ヒストリックのこれから
ヒストリックは、大きく異なるデッキ同士が我々がめったに目にしない形でぶつかり合う、フォーマットとして立ち位置を静かに確立し、MTGアリーナにおいてスタンダードやドラフトからの箸休めとは呼べない規模に成長した。まだ新たなフォーマットして実装されたから日の浅いヒストリックは、カードが新たに追加されるたびにその魅力を増している。
スタンダードのカードが多数ある中、他のフォーマットでは活躍が見られなくなり、忘れ去られてしまったかもしれない多くのカードがヒストリックで輝いている――《ファイレクシアの抹消者》のように。
20 《沼》 4 《ロークスワイン城》 -土地(24)- 4 《漆黒軍の騎士》 4 《死より選ばれしティマレット》 4 《ヤロクの沼潜み》 2 《悪魔の職工》 4 《ロークスワインの元首、アヤーラ》 4 《残忍な騎士》 4 《ファイレクシアの抹消者》 2 《悪ふざけの名人、ランクル》 4 《アスフォデルの灰色商人》 -クリーチャー(32)- |
2 《ファイレクシアの闘技場》 2 《死の国への引き込み》 -呪文(4)- |
4 《強迫》 4 《苦悶の悔恨》 2 《古呪》 3 《肉儀場の叫び》 2 《ヴラスカの侮辱》 -サイドボード(15)- |
《ファイレクシアの抹殺者》に並び、ヒストリックで勝ち星を挙げているのは、本当にあの《アスフォデルの灰色商人》だ。新たな黒のクリーチャーも加わり、「黒単信心」は古来のアーキタイプに新たなひねりを加えた。ヒストリックで活躍をしているのは黒単だけではない。「赤単バーン」や「青白コントロール」もよく見かけるアーキタイプだ。
一方で、最近ヒストリックのメタに新たに加わったアーキタイプにも注視が必要だ:《集合する中隊》を軸にしたデッキだ。《集合する中隊》はモダンなどのフォーマットで活躍することにより名声を上げたカードだ。『アモンケットリマスター』の実装とともにこのカードがMTGアリーナに追加された今が、クリーチャーを中心とした緑のデッキを最前線に押し上げるのにうってつけかもしれない。
中隊が登場するデッキは多く存在するが、そのうちの1つが以下の、「もう1つの部族デッキ」だ。
12 《森》 4 《草むした墓》 4 《森林の墓地》 1 《ギャレンブリグ城》 -土地(21)- 4 《アロサウルス飼い》 4 《ラノワールのエルフ》 4 《ドゥイネンの精鋭》 4 《エルフの部族呼び》 4 《エルフの幻想家》 3 《楽園のドルイド》 4 《エルフの大ドルイド》 4 《ラノワールの幻想家》 1 《傲慢な完全者》 1 《孔蹄のビヒモス》 -クリーチャー(33)- |
4 《集合した中隊》 2 《破滅の終焉》 -呪文(6)- |
4 《漁る軟泥》 4 《再利用の賢者》 4 《思考囲い》 3 《英雄的介入》 -サイドボード(15)- |
本記事の中で例として挙げたデッキ以外にも、ヒストリックには遥かに多くのデッキが存在する。しかしながら、どれだけ幅広いアイディアが広がっているかはご理解いただけたのではないだろうか。
《渋面の溶岩使い》から、《アジャニの群れ仲間》、《大嵐のジン》、《副陽の接近》、《絶え間ない飢餓、ウラモグ》、そして《集合する中隊》まで、あらゆる戦略が活躍を見せるヒストリック。予想外の展開が目白押しのこのフォーマットから目が離せない。
9月10~13日(PDT)に生放送予定の「2020ミシックインビテーショナル」をお見逃しなく!
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