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這い回る

Blake Rasmussen
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2020年9月3日

 

 私の肌を這い回るひりつきは、以前ここを訪れた際の不快さを思わせるものです。誰か、あるいは何かがゼンディカー自体を傷つけようとするとき、ゼンディカーの大地がどれほどの怒りを顕にするのかをを覚えているのです。

 その傷跡は、勇敢なるゲートウォッチが問題を解決したとしても癒されるものではありません。ゼンディカーの大地はいまだエルドラージの侵略から立ち直っておらず、いわば不安定な状態です。

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 恐怖こそ、私が毎度ゼンディカーを気に入るきっかけです。コーに上空を支配される恐怖。この世界のマーフォークに深海を支配される恐怖。そして過去のゼンディカー・セットに存在していた、土地に蹂躙されることへの恐怖があります。

 それはさておき、ゼンディカーが現状にたどり着いたその過程は、本当に混み入っています。ウギン、ナヒリ、そしてソリンがはるか昔にエルドラージを封じ込めたとき、彼らはその行動がどういう結果になるか完全に予測してはいなかったでしょう。ジェイスとサルカンが誤ってそれらを開放してしまったとき、彼らは間違いなくその結果を想像できていませんでした。そして、ゲートウォッチがエルドラージの巨人2体を打ち倒しましたが、まあ、その時点でめでたしめでたしとはいかなかったでしょう。

 私の中には、この土地が提供する見た目上の要素の奥に隠されている何かを引っ張り出すものがあります。確かに、見た目は4マナで起動できるクリーチャー土地です。単純で、やや控えめですね。しかし、これは私たちが今までに見たことがないような能力です。能力を起動するたびに大きくなるのです。《怒り狂う山峡》にも同様のギミックはありますが、スタンダードにおいて《這い回るやせ地》はマナのつぎ込み先として使えます――他のフォーマットでも使えるかもしれません。

 消滅、錯乱、そして破壊――それはこの土地が間違いなく着地点となる、モダンのエルドラージ・トロンが巻き起こすゲームの呼び方です。このデッキは現状、ウルザランド以外にいくつか能力持ちの土地を採用しており、余ったマナをつぎ込めるものがあれば他の土地を押しのけてリストに入りそうに思えます。このカードの可能性について想像せずにはいられません。1ターン目から3ターン目までにいくつかの脅威を展開し、4ターン目にウルザランド3種がそろった場合、《這い回るやせ地》で攻撃しつつ他の呪文もプレイできます。あるいは、対戦相手とにらみ合いになっている間に能力を2回起動することも可能です。もしくは、無限マナを利用して対戦相手を倒すカードとして別のデッキで見受けられる《歩行バリスタ》に続くものと言えるかもしれません。他にも使い道は多数ありそうです。このカードを見て無数のアイデアを思い浮かべずにはいられませんね。

 いつまでたっても考えることをやめられないのは恐ろしい話ですが、この場合は良いことなのでしょう。この土地のシンプルさ、そして今までになかったような能力という事実は、基本的にあらゆるフォーマットで使われる可能性があるということなのですから。

 例えば、スタンダードでコントロールを使う場合、これは無色のマナを生み出すだけでありながら、コントロール同士の対戦で勝つための鍵となりえます。お互いに動きたくないしタップアウトもしたくないという状況におけるマナのつぎ込み先になりますし、プレインズウォーカーに圧力をかけられる脅威でもあります。しかも、カウンターはクリーチャーにならずとも得られるのです。

 私ではヴィンテージで似たように役立てられる状況を思いつけませんが、レガシーにはこれを役立てられそうなエルドラージ・デッキがありますし、統率者戦では能力持ちの土地はいくらでも欲しいところです――私はエルドラージを利用するような無色中心のデッキがこの土地に飛びつき、それほど強くはない他の無色マナが出る土地や《荒地》と入れ替えるのではないかと想像しています。

 クリーチャー化する土地に再び惹かれる自分に気づくのは、元気づけられる気分です。私は《隠れ石》や《フェアリーの集会場》そして名誉クリーチャー土地である《Kjeldoran Outpost》で育ちました。昔そうであったように、《這い回るやせ地》はあなたにマナを要求しますが、その支払いは報われるでしょう。

 パンデミックにより最近は向かい合っての対戦が制限されているため、私の思考も閉じこもりがちです。この記事は多少支離滅裂に見えるかもしれませんし、私の考えがページに巻き散らされているかもしれません。しかし《這い回るやせ地》の本当の強さについて誇張して伝えるのは困難でしょう。

 自信があるわけではありませんが、それでも《這い回るやせ地》は新スタンダード環境を定義づけるカードの1つになるかもしれないと思っています。過去《変わり谷》がそうであったように、《這い回るやせ地》もまた確実に名を残すでしょう。

 これから登場するカードについてこのように言うことは、期待のかけすぎでしょうか。

 私は以前このように感じたことがあります。過去に、《ダスクマントルの予見者》がスタンダードを定義づけると思っていました。またその一方で、《けちな贈り物》を初めて見たときにも、信じられないほど強力だと思いました。この新しい土地がどれほど強力とされるかは、時がたてばわかるでしょう。しかしあえて失敗を恐れずに言わせてもらうならば、《這い回るやせ地》はよく見かけることになるはずです。

 結果がどうなるのか、不安ではあります。しかし私の言葉を覚えておいてください――すぐに皆が同じ印象を抱くようになるでしょうから。

(Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing)

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